平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

緒形拳さんの死を悼む

2008年10月08日 | 監督・俳優・歌手・芸人
緒形幹太、直人「急な話で3日間泣き通し」(スポーツニッポン) - goo ニュース

 またひとり好きな役者さんが……。
 緒形さんというと「楢山節考」「鬼畜」「復讐するは我にあり」があげられる様だが、僕は映画版の「わるいやつら」の印象が強烈に残っている。
 それはワンシーンだけ登場の刑事役。
 しらを切る医師・戸谷に緒形さんが演じる刑事はたったひと言の矛盾をついて戸谷の犯行であることを立証する。
 ごくわずかな時間のシーンだったが、そのシャープなこと!
 僕にとってワンシーンで存在感を見せた役者さんはこの緒形さんと同じ清張作品の「砂の器」の渥美清さんだった。

 そう、存在感とシャープ。
 緒形さんにはこれらの言葉がよく似合う。

 必殺シリーズでは緒形さん=藤枝梅庵というイメージだが、「必殺必中仕事屋稼業」の知らぬ顔の半兵衛も忘れられない。
 普段は飄々としているが決める時には決める。
 中村主水に通じる人物造型。
 このメリハリを表現できる役者さんは少ない。
 そして緒方さんについてもうひとつ言葉をつけ加えるとしたら、この「飄々」という言葉がふさわしい。
 飄々から緊張へ
 何気ない日常シーンが急に緊張感の持ったシーンに変わる。
 それは先程の「わるいやつら」でもそうだった。
 緒形さんが出ると急に画面が引き締まる。
 場面の空気が緊密なものに変わる。

 緒形さんはこういう役者さんだった。
 「風のガーデン」でこのことを確認したい。
 また惜しい名優がひとり。
 

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夢をかなえるゾウ

2008年10月07日 | その他ドラマ
★ガネーシャ(古田新太)の関西弁がいい。
 ガネーシャが次にどんな課題を出すのかも楽しみ。

 野上耕平(小栗旬)の場合は
 ①靴を磨け ②腹八分目 ③人を笑わせろ ④早く帰る ⑤ついてると思え ⑥他人の成功を応援しろ ⑦応募しろ ⑧自分のやり残したことをやれ ⑨サプライズをしろ ⑩他人に感謝しろ
 星野あすか(水川あさみ)の場合は、まず爪を切れ。

 これらのことは成功哲学みたいなものを書いたビジネス書にはよく書かれていることなんですよね。
 これを実に俗っぽい神様が関西弁で言うから面白い。
 
★さて、これからが深読み。

 まずこの作品の根底には現代人の欲求がある。
 仕事で認められたい、いい男を捕まえて幸せな結婚をしたい。
 経済、人間関係、すべてが息詰まった現代社会。
 そこで人は自分を変えてくれる存在を求めている。
 自分を救ってくれる言葉を求めている。
 それが神様であり神様の言葉であるというのは、インチキ占いやカルト宗教にハマるのと似ていなくもない。

 耕平は最初ガネーシャの言葉を疑うが、効果が出て来るにつれ信じるようになる。
 それは奇跡を見せられて宗教を信じるようになるのと似ている。
 ガネーシャは耕平らに契約書にサインする様に迫るが、これはインチキ商法で壺や高い教材を買わされるのに似ている。
 ちょっと引いて考えるとガネーシャはうさんくさい存在なのだ。

 そしてそこには何かを信じずにはいられない深い人間の業がある。

※追記
 課題の言葉はビジネス書にある言葉だが、ガネーシャが何気なく話す言葉には深いものがある。
 例えば『他人に感謝しろ』という課題にガネーシャは補足する。
 「名声もお金も他人が与えてくれるものだから」
 『爪を切る』ことに反発するあすかには「自分がどう見えるかばかりを気にして相手がどう感じているか気がついていない」「他人と右へならえのことをしているくせに自分だけが一番になれると思っている」となかなか手厳しい。

 何かの言葉を信じる時は、その根拠・理由を理解してから信じたいですね。


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篤姫 第40回「息子の出陣」

2008年10月06日 | 大河ドラマ・時代劇
★天璋院を中心にひとつになっていく大奥。
 今回で天璋院(宮崎あおい)を中心にした大奥が完成した様だ。
 滝山(稲森いずみ)は「ここを死に場所にする」という点で天璋院と一致。
 観行院(若村麻由美)は共に「祖母になる喜びと戸惑い」という点で一致。
 和宮(堀北真希)も「公武合体、日本国のためでなくひとりのおなごとして子を抱きたい」という点で一致。
 『居場所』『祖母』『おなご』……立場の違いによって様々だが、これらの言葉で天璋院と共感し合う和宮たち。
 おまけに孫の顔を見たいという点で天璋院は本寿院(高畑敦子)のことも理解。
 まだ多少のほころびはあるが、これで大奥はひとつになった。

 これは今後のドラマ作りの前振りである。
 大きな歴史の流れと闘って行く天璋院を中心とした大奥。
 このドラマ作りのためには大奥をそろそろひとつにしておかなければならない。

★大奥時間
 大奥の外では薩摩が長州と戦い、蛤御門の変。
 来週は薩長同盟が出来るらしい。
 いつの間に?
 歴史物語として展開が速すぎる。幕末のダイジェストを見ているかの様。
 まあ、これは大奥の視点で描かれているから仕方がないのでしょう。
 本格幕末モノを期待している人には物足りない?

★絵になる男・龍馬
 今回は帯刀(瑛太)と龍馬(玉木宏)が接近遭遇。
 「のだめ」以来の顔合わせ。
 しかし龍馬というのは絵になりますね。
 「懐の物は?」と問われて取りだした物は『拳銃』。
 屋敷にあがる時脱いだのは『ブーツ』。
 これで『国際法』の本も出してくれれば嬉しいのだが、ともかく龍馬はキャラとしては申し分ない。

★小道具
 今回は『でんでん太鼓』と『写真』の小道具の使い方が見事。
 天璋院、和宮、家茂(松田翔太)の3ショットで3人の気持ちがひとつになったことが一目でわかる。
 写真を撮って画面がセピアになる所なども効果的。
 和宮は自分を表現することが少ないが、作者はせりふでなく小道具で表現しようとしているのか?
 『鏡』『お守り』も和宮の気持ちを表す小道具だった。

※追記
 今回また魅力的なキャラがひとり。
 芸妓・お琴(原田夏希)。
 女の手練手管に通じている様でいていやらしくない。
 純情・帯刀を手玉に取ることなど簡単だろうが、一方で帯刀を魅力的な男として見ている。恋の対象として心動かされている。
 さてどうなるのか?
 帯刀にはお近さん(ともさかりえ)がいるのに。
 心の恋人<あの方>がいるのに。

 お琴が言ってた「怪しい男」って龍馬じゃなかったのね?
 ここはギャグにしてほしかったが、時間がなくてカットされたのか?


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ガリレオ SP

2008年10月05日 | 推理・サスペンスドラマ
 通常、推理小説は 
1.犯人のとった行動(トリックも含む) 
2.動機
 から犯罪が解明される。
 「相棒-劇場版-」でもチェスが暗号だとわかった右京さんは「では次に動機の方から考えてみましょう」と言う。
 
 だが「ガリレオ」は違う。
 湯川準教授(福山雅治)は犯人のとった行動(=トリック)にしか興味を示さない。
 動機については皆無だ。
 それは湯川が数字の世界に住む物理学者で『人間』というものに全く興味を持たない人物だから。
 彼の発する言葉は限られている。
 「実に面白い」「悪いアイデアではない」「仮説から実証へ」。
 「愛」や「憎しみ」といった言葉は湯川の口から聞くことはない。
 面白い人物設定だ。
 それが作品の特徴になっている。

 またそれが湯川という人間への謎にもなっている。
 彼はどの様な人生を過ごして人間の心に興味を示さない様になってしまったのか?
 彼は人間的な心を隠しているだけか?それとも失ってしまったのか?
 事件の謎と共に湯川自身が謎になっている。
 物語は1話完結方式だが、物語全体としては『湯川の謎』が貫いている。
 劇場版では『愛』が描かれるそうだが、湯川の謎は解明されるのであろうか?

※追記
 ちなみに僕は湯川がツンデレキャラであることを期待している。
 現に今回、塩野谷あかり(長澤まさみ)が超ビキニを見せると言った時は少し困った顔をしていたし、薫(柴咲コウ)に対する時も違う。
 恐らくは見られないだろうが、われわれは湯川のデレっとした顔を見たくてこの作品を見ているのかもしれない。

※追記
 20歳の湯川は三浦春馬さんが演じていた。
 三浦さんは福山さんの顔の系統だったんですね。

※追記
 今回は原作の「落下る」と「操縦る」を使っているらしい。
 「落下る」が団地から落ちた女性の話。
 「操縦る」の1エピソードだけで2時間作品を構成するのはきつかったのだろう。


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キャットストリート 最終話

2008年10月03日 | 学園・青春ドラマ
★「お前たちには足りないものがあるが人にないものを持っている。俺はそれを信じている」
 エル・リストンの森口(生瀬勝久)が卒業式の時に言った言葉。
 いい言葉ですね。
 恵都(谷村美月)たちだけでなく、すべての人に贈ってもいい言葉ではないでしょうか?
 人間には何かしら欠けているもの、足りないものがある。
 自分が他の人より劣っていると思ってこと、欠点と思っていることと言ってもいいかもしれない。
 でもそのことで悩んだり後ろ向きに生きる必要はない。
 それは恵都たちを見ればわかる。
 恵都は繊細で人とうまくつき合えないから演技で自分を表現する。
 浩一(勝地涼)は    〃      パソコンに向かうことが出来る。
 紅葉(黒川智花)は   〃      衣服で自分を表現しようとする。
 剛太(木村了)は    〃      ダンスで自分を表現しようとする。
 欠点はすなわち長所であり自分らしさであるわけだ。
 自分らしく生きることを見つけた彼らは卒業することが出来る。

★信じる。
 もうひとつの「俺は信じている」という言葉も含蓄がある。
 人に対する時、多くの言葉はいらない。
 「お前なら出来る」とただ信じてあげればいいのだ。
 このことはお父さん、お母さん、学校の先生、部下を持つ上司みんなに当てはまる。
 信じてあげれば人はいずれ自分の道を見出していく。

 信じるということでは監督(大友康平)の言葉もそうでしたね。
 撮影のすっぽかし。
 監督は恵都に言う。
 「お前はみんなの信頼を失った。信頼を回復するには十倍の努力が必要だ」
 人間関係とは「信じる・信じない」なんですよね。

 それは他人との関係だけでなく自分との関係でも。
 自分を信じられる人は強い。
 まっすぐに自分の道を歩んでいける。
 でも挫折・失敗した時など、時々自分を信じられなくなる時がある。
 そんな時はまわりの人間が「お前のことを信じてる」と言えばいい。

 この作品はこんなことを表現した青春ドラマだった。
 いい作品でした。

※追記
 恵都の父親(高橋ジョージ)が恵都にボーイフレンドが出来て喜ぶ所。
 僕も父親の目で恵都を見ていたから共感してしまう。

※追記
 鳥居みゆきさん。
 相変わらずの怪演だったが違和感なく見られた。
 いいアクセントになっていた。
 キャスティングが成功した例。


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東京カワイイ★TV

2008年10月02日 | バラエティ・報道
★最近NHKの番組にハマっている。
 昨日何気なく見た『東京カワイイ★TV』も面白かった。

 テーマは世界のカワイイ。
 渋谷のギャルのファッションが世界中で注目されていると言う。
 フランスのファッションカメラマンが109に取材に来ている。
 フランスのカメラマンは取材をして「アメイジング(素晴らしい)!」
 アジアはもちろんロシアやドイツの女性も109に来ている。
 みんな渋谷の女の子様な格好をしたくて。

 この様に日本は文化を輸出している。
 日本のアニメやコミックもそうだろう。
 番組にはマンガ喫茶に嬉々として行くイギリス女性や「キャンディキャンディ」や「ベルばら」の好きなフランス女性も登場した。
 イギリス女性はコミック「NANA」のファッションを真似ていた。

★そしてこの文化の輸出という点に将来の日本のひとつのカタチがある様に思われる。
 幕末の時代、西洋は日本の文化に驚愕した。
 浮世絵や絢爛豪華な着物、調度品。
 江戸時代三百年が生み出した文化だ。
 明治以後、西洋を見習う富国強兵の時代に入り、それらの文化は見捨てられてしまったが、日本人には豊かな文化を作り出す能力があった。
 それが現在、ファッション・アニメ・コミックという形で再び花開いている。
 日本には文化輸出立国という可能性がある。
 せっかく麻生さんが首相になったのだから道路に使うお金をそれらの育成のためにまわしたらどうか?
 もっとも相撲など国が文化に関与するとロクなことはないが。

★最後に文化の輸出についてもうひとつ。
 文化の輸出は相互理解に繋がる。
 番組では中国で人気のファッション番組が取材されていたが、「カワイイ」は共通語の様だ。
 ファッションの『カワイイ』のひと言で違った国の人どうしが繋がれる。
 それはギャルのファッションをするドイツ女性、キャンディキャンディが好きなフランス女性も同じ。
 僕は北朝鮮の国の体制は間違っていると思うが、爆弾を落とすよりはアニメやファッション雑誌を北朝鮮の人に見せた方が国が変わるきっかけになるのではないか。

※追記
 キャスターとして中国の番組を取材してた沢村一樹さんは中国の女性にかっこいいと言われていた。
 これも交流のひとつである。
 <カワイイ><カッコイイ>、形容詞は世界を繋ぐ。


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男はつらいよ

2008年10月01日 | 邦画
 先週テレビ東京で「男はつらいよ」をやっていました。

★感じるのは「三丁目の夕日」と同じ空気。
 というより「三丁目」が「寅さん」で描かれた世界をCGで再現していると言うべきか。
 例えば喧嘩。
 茶川先生と鈴木社長は大喧嘩をするが、それは寅さんとタコ社長の喧嘩と同じ。
 そこには隣近所の交流がある。
 誰が何をしていて何に悩んでいるかを町のみんなが知っている。
 今回見て気がついたのは柴又の町が帝釈天のお寺のもとひとつにまとまっていることだ。
 寅を始め町中の人が御前様(笠智衆)のことを尊敬している。
 こういう町の繋がりが昔はあった。

 これを良しとするか否かは意見の分かれる所かもしれないが、現在はあまりにも個人の時代に行きすぎている。
 近所の繋がりがなくなり、今は家族の繋がりがなくなってる。
 何しろ少年事件などを見ると親は子供が自分の部屋で何をして何を考えているのかわからないのだから。
 恋愛で悩んでいる寅さんを心配したり「バカだね」と言ったりするつながりは今はない。

★口上もこの作品の魅力
 寅さんの口上は全部リズムのある七五調。
 現在、七五調の言い立てを聞けるのは寄席ぐらいか。
 昔は朗誦の文化があった。
 この言語感覚を表現できる作家、役者さんは現在いない。
 ちなみに第1作の口上は
「七つ長野の善光寺八つ谷中の奥寺で、竹の柱に萱の屋根、手鍋下げてもわしゃいとやせぬ。信州信濃の新そばよりも、あたしゃあなたのそばがよい、あなた百までわしゃ九十九まで、共にシラミのたかるまで、と、きやがった、どうだチキショウ。さあこれで買い手がなかったら、私、稼業三年の患いと思って諦めます、ねえ、西に行って天橋立、東に行って東京、西と東の泣き別れだ、おい!」

★夢の共演
 今回は志村喬さんが博の父役で出演。
 寅さんというとマドンナばかりに関心が行くが脇役で出演する豪華な役者さんも見逃せない。
 考えてみると御前様が笠智衆さんで、笠さんと志村が夢の共演をしているんですよね。
 結婚式で博の父の名前の漢字が読めなくて(諏訪ひょう一郎/ひょう(風へんに火3つ)、みんながごまかす所はおかしかった。


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