近鉄奈良線は学生時代に暇つぶしに何度も乗っている。上本町の地下から地上に出て高架を走り、布施から生駒山めがけて真っすぐ走る割に先行の普通がつっかえてゆっくり走る急行や快速急行にもどかしい思いをしたのを思い出す。瓢箪山からは急こう配を上がる生駒越えとなるが、眼下に大阪の街が一望できる景色は京阪神の私鉄では見られないもので、阪急育ちの私にとっては新鮮な景色だった。しかし、生駒越えは想像以上に厳しく、石切まで上がり、生駒トンネルに入っても勾配がきついのがわかるような険しさで、近鉄奈良線がスピードが上がらない要因の一つと思える。当時は平日にも特急の運転があり、これがダイヤパターンを乱していた。そのあおりで快急や急行のパターンも崩れていて、急行は途中布施で特急を待避する列車があるなど、昼間からパターンが崩れっぱなしという印象があった。平日に特急は不要というのが学生時代の私の見解だったが、その後平日からは特急は姿を消している。土休日には特急の運転もあるが、何とかパターンダイヤを乱さないように設定されているようだ。
土休日の特急の利用状況も見た目には結構乗っているように思えるし、夕方以降の特急を見ていると特急料金を支払ってでも座りたいという欲求が強いのか、あるいは生駒、学園前の高級住宅街が控えているので、ブルジョワ階級が大盤振る舞いするからか、特急の利用者は多いように思う。このあたりはJRに有料特急が走っていても見向きもしない京阪神地区とは利用者の傾向が違うように思う。これは有料特急が根付いている南海にも同様のことが言える。
学生時代に近鉄で驚いたのは鶴橋での大阪線と難波線(奈良線)との接続が全く考慮されたダイヤになっていないことだ。大阪線電車が着いたのと同時に難波線電車が発車してしまうという光景は腐るほど見た。当時は大阪線も20分サイクルだったので、何とか接続できないものかと思ったものだが、列車密度の高い難波線では時間調整が難しいのか(大阪線が待てばいいとも言えるが)、鶴橋での大阪線と難波線の接続はいつまで経っても実現しなかった。今でも下りは相互に乗り換えられるような便宜が図られているが、上りの方があまり接続は考慮されていないようだ。
奈良線も京都線同様、学生時代は乗るだけで、ホームページを開くようになってから撮り歩きに出かけるようになっている。時刻表をよく見ればアーバンライナーを使った特急や伊勢志摩ライナーを使用した特急などが走っており、路線長の割にバラエティに富んだ列車が運転されているので、撮影ファンとしては結構面白い路線という印象がある。ただ、伊勢志摩ライナーの特急は午前中にも走っているが、アーバンライナーの方は朝の早い時間帯のみの運転で、あとは夜の運転となっているので、早朝から撮影に出かけないと撮れないのが厳しいところだ。奈良線には東花園で車内整備をする名阪甲特急が回送で乗り入れてくるので、それを撮ればいい話だが、生駒越えや平城京跡などでは撮れないので、東花園以東で撮るには早起きが必要だ。奈良線には今後阪神西大阪線難波延伸後には阪神電車も乗り入れてくるようになる。そうなると今以上にバラエティに富んだ車種が走るようになり、ファンとしては面白みが増すが、その分利用者にとってはややこしいところが出てくるとも言え、いいとも悪いとも言えない面がある。