オバマ大統領を操るミサイル屋
「米国の対日・核兵器販売『促進戦略』」、
http://alternativereport1.seesaa.net/article/114694653.html
「オバマ大統領の『世界戦略』」、
http://alternativereport1.seesaa.net/article/114232993.html
「オバマ新大統領の対日戦略」、
http://alternativereport1.seesaa.net/article/112645727.html
オバマ大統領の政策ブレーンの「本当の仕事」、
http://alternativereport1.seesaa.net/article/111306183.html
「オバマ大統領の『戦闘開始』命令」、参照。
http://alternativereport1.seesaa.net/article/113522030.html
書物短評 : ジョセフ・ナイ 「リーダーパワー」 日本経済新聞社
「CIAに入ったら、一生CIAのメンバーであり、退職と言う制度は存在しない。死んだ時に、退職となる。」
ビル・クリントン民主党政権でCIAを統括する国家情報会議NICの議長として、「CIAのボス中のボス」であったジョセフ・ナイ。冒頭に掲げたCIA職員について、しばしば言われる言葉は、このナイについてこそ、最も、ふさわしい言葉である。
「大統領は、どのように立ち居振る舞い、どのように政策を作るべきか」を伝授した本書で、「CIA統括部長」のナイは、「外国とは、柔軟な外交交渉を繰り返し、しかし、外交では解決が付かない問題に関しては、断固として軍事力を行使すべきである」と主張している。
新大統領バラク・オバマは、「アフガニスタン問題では、あくまで外交交渉を粘り強く続ける」としながら、「交渉が決裂すれば徹底的な軍事攻撃に出る」、と、アフガニスタン軍事攻略に意欲を燃やしている。
オバマが、ナイの叙述した「大統領を演じる人間のための俳優術書」=本書の通りに動き、考えている事が分かる。
クリントン政権で「諜報を仕切った」重鎮ナイが、ヒラリー・クリントンが国務長官を務める、クリントン色の強いオバマ政権の「シナリオ」を描くのは、ある意味当然とも言えるが、アーカンソー州知事時代から「政治家」ビル・クリントンの「教育担当」を務めてきたズビグニュー・ブレジンスキーが、現在、オバマの「最高ブレーン=教育担当者」であってみれば、ナイと、ブレジンスキーの役割分担は常に一定している。オバマの駐日大使として呼び声の高いナイは、クリントン・オバマの「2つの民主党政権内部」で、要所を締め、ブレジンスキーは常に影のブレーンの役割を分担している。
かつてのカーター民主党政権でも、カーターは外交問題の教師としてブレジンスキーを「影のホワイトハウス」のメンバーに就け、重用したが、ブレジンスキーの「副官」として常に同伴し行動を取っていたのがサミュエル・ハンチントンであった。ハンチントンは、子ブッシュ政権では「文明の衝突」を出版し、イスラムとキリスト教との戦争は必然であると、イラク戦争正当化の議論をブチ上げた事で有名である。
「主演男優」が、カーター・クリントン・オバマと変化しても、シナリオライターと、脇役を「しっかり固めている」のが、常に、この3人である。
「シナリオライター」ジョセフ・ナイは、エリート政治家・官僚養成所であるハーバード大学ケネディ行政大学院の院長・トップとして、かつて民主党・共和党の上院・下院議員を200名結集し、対日戦略文書の「シナリオ」を描き上げた。そこでは、日本と中国・北朝鮮の対立・紛争・軍事衝突を「アオリ」、この3国に兵器を売り付ける事で「米国軍事産業の景気回復を計る」事、この3国の対立を巧みに利用しつつ東シナ海のエネルギー資源を、いかに米国が手に入れるかの戦略が描かれていた。
それは当然、中国の核兵器、北朝鮮の核武装によって、「いかに、多くの迎撃ミサイルと、最終的には核ミサイルを日本に売り付け」、日本から「大金を巻き上げるか」の戦略でもあった。
ナイの、この戦略文書を擁護する形で、ブレジンスキーは、たびたび「日本が今後とも、現在の軍事的強さを、このまま維持できるとは考えられない」、つまり「核兵器を持たなければ、中国・北朝鮮に対抗できず、日本の安全は保証できない」と主張している。これがオバマ大統領の、最高ブレーンの発言である。ヘンリー・キッシンジャーも、「日本は近い将来、核武装する」と明言している。
ここには、ナイと、ブレジンスキーの、「ミサイル屋」の正体が明確に現れている。
この「核ミサイル販売促進」の姿勢は、スターウォーズ計画を立てたレーガン・父ブッシュ政権、子ブッシュ政権と、クリントン・オバマ政権のブレーン達=ブレジンスキー等との間で「本質的な差は無い」。子ブッシュのチェイニー副大統領は、最大手の核ミサイル製造企業レイセオンの経営者であり、イラク戦争を始めた子ブッシュの国防政策会議議長リチャード・パールは、「ミスター・ミサイル」というニックネームを持つレイセオンの敏腕営業マンであった。オバマ政権の国防副長官ウィリアム・リンは、レイセオンの副会長出身である。
核兵器原料ともなるウランを含む、未開発のエネルギー資源が大量に眠っているカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン等からアゼルバイジャン等の地域の資源開発を狙って作られた米・アゼルバイジャン商工会議所USACC、では、ヘンリー・キッシンジャー、「知日派」として知られるリチャード・アーミテージ、父ブッシュの大統領補佐官ブレント・スコウクロフト=子ブッシュの国務長官コンドリーザ・ライスの師匠、リチャード・パール、チェイニー前副大統領、ブレジンスキー、父ブッシュ政権で第一次イラク戦争(湾岸戦争)を始めた国務長官ジェームズ・ベーカーが、「仲良く」共同事業を営んでいる。
また、共和党・父ブッシュの国務長官ジェームズ・ベイカーの経営するアゼルバイジャン・インターナショナル・オイル・カンパニーでは、歴代民主党政権の「寝業師」ブレジンスキーが重役を務めている。
民主党も、共和党も、ネオコンも、反ネオコンも、ここでは、全員「同じ穴のムジナ」である。
CIAの「ボス中のボス」ジョセフ・ナイが院長・トップを務めて来たケネディ行政大学院の置かれた、ハーバード大学と、こうした「ミサイル屋」との連携は、「歴史が深い」。
1930年代に、ハーバード大学の総長であった、ジェームズ・コナントは、第二次世界大戦末期に、日本に投下された核爆弾を製造するマンハッタン計画の「中心人物」の1人であった。特に、日本の「軍事工場と市民居住地の間に原爆を投下し、一般市民の大量虐殺で日本人の反抗心を根絶すべき」と強硬に主張し、広島・長崎への原爆投下を「具体化」した責任者が、このコナントである。
このハーバード大学のケネディ行政大学院で、ナイが「人材育成」を行えば、その人材に国際情勢を教育する、ハーバード大学CFIA「国際問題センター」の所長が、サミュエル・ハンチントンであった、と言う連携に(冷戦末期の85年当時)、この大学の「ハーバード・戦争ビジネススクール」の姿が明確に出ている。
このハーバード大学から徒歩で30分程の場所に、核ミサイル技術研究の中心地=マサチューセッツ工科大学MITがある。こうした至近距離にあるのは、核兵器を使った外交・軍事戦略研究のハーバード大学と、核ミサイル開発のMITは「近くに無ければ連携に困る」ためである。
ハーバード大学に「CIAのボス中のボス」ナイが居れば、MITでは50年代CIA副長官であったマックス・ミリカン教授がCIS「国際学研究所」を作り、核兵器を使った外交・軍事戦略研究を、フォード財団の資金援助で行っているという連携である。第二次世界大戦中、「アドルフ・ヒトラーをアメリカ大統領に!」をスローガンとした、アメリカ・ナチス党を創立した、フォード財団からの「資金援助」である。このフォード財団のアン・ダナムは、バラク・オバマの母親であり、オバマ大統領がウォール街のトリニティ教会で「社会活動」を行っていた当時の「恩師」ライト牧師はフォード奨学生、オバマ大統領本人は、フォード財団傘下のウッズ財団理事として長年、そこから給与と生活費を支給されて来た、という「連携ぶり」である(注1)。
MITの研究所には建物ごとに番号が付されているが、その「第20ビル」で、長年、その言語学者としての能力を「フル回転」させ、核ミサイル弾道計算用のコンピューター開発に従事してきた「核ミサイル屋」が、ノーム・チョムスキーである。
MITの「一卵性双生児」ハーバード大学ケネディ行政大学院には、ジェフリー・サックス等の作った「市民運動プラン」がある。「ジュビリー2000」と呼ばれる、多額の債務を背負った貧しい国々に対し「債務免除」を行うという運動である。これはベトナム反戦運動で「手痛い思いをした」米国軍事産業が、「市民を決して敵に回してはならない」という危機感から「編み出した」戦略である。多重債務者には「これ以上、資金の貸付は不可能であるが、債務免除によって債務が減少すれば、さらに新たな貸付が可能になる」と言うもので、欧米の銀行筋には新しい融資先が「生み出され」、A・A・LA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)からは新しい消費財(大量の兵器を含む!)等への需要が起こり、欧米企業の生産品の売り上げが伸び景気回復が行われる、とするものである。これはA・A・LAの貧困地域に物資(大量の兵器を含む!)を「届ける」結果になり、「人道主義」の立場から「市民運動を取り込む事が出来る」とする発想から採用された戦略である。こうした「市民運動の取り込み戦略」の立場からは、イラク戦争のような方法は、軍需だけの先進国の景気回復政策になり、先進国以外の相手国には死者と政治経済体制の崩壊しか、もたらさないため、厳しい批判の対象になる。「ミサイル屋」チョムスキーが、子ブッシュに「厳しい批判を浴びせた」理由は、ここにある。
しかし、イラク戦争を批判したチョムスキーのボスには「通称ジョージ・ブッシュ・センター」CIAの副長官が居、MITの「一卵性双生児」ハーバード大学には、子ブッシュのイラク戦争を賛美したハンチントンが居る。
チョムスキーの開発した弾道ミサイル用のコンピューターは、イラク戦争を画策したリチャード・パールと、チェイニーのレイセオンが買い取り、チョムスキーの給与は、そこから支払われて来た。
「CIAに入ったら、一生CIAのメンバーであり、退職と言う制度は存在しない。死んだ時に、退職となる。」この言葉は、ナイだけでなく、チョムスキーにも該当する。
ここに、米国民主党と共和党「対立のウソ」が存在し、民主党に変われば何かの「チェンジが起こる」とする幻想の「ウソ」がある。そして「頭の良い」ハーバード大学で考案された「市民運動の骨抜き戦略」がある。
なお「頭の良い」ハーバード大学の「ミサイル屋=市民運動の骨抜き戦略家」ジョセフ・ナイが、個人的に「しばしば、私信を交わしている親友」が居る。かつてソ連の独裁体制に逆らい「世界中から民主主義の旗手」として賞賛されたポーランド「連帯」のレフ・ワレサ書記長(元)、「環境保護の旗手」として世界中から賞賛されたアル・ゴアである。ワレサや、ゴアを賞賛した善人たちは、どうやらナイによって「鼻ズラを掴んで、引きずり回された」ようである。もちろん、ナイが一番多く「私信を交わしている親友は」、レイセオン社の元CEOダニエル・バーナムである。
チョムスキー、アル・ゴア、ワレサ、そして「ミサイル屋」バーナムの私信の手紙を1つのデスクの上に並べ、順に読んでいるジョセイフ・ナイの姿に、「世界の本当の姿がある」。
*注1・・・オバマの、このナチス資金源を見る時、1930年代の大恐慌時代に現れたヒトラーに熱狂したドイツ国民の姿と、2009年の大恐慌時代に現れた「ポピュリスト」オバマへのアメリカ国民の熱狂に、「二重写し」を見ない者は、政治的鈍感のソシリを免れない。