『イラクで航空自衛隊は何をしていたか
-憲法9条1項違反の実態-』 緊急出版
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■「イラク空輸」の大半は米軍を中心とする多国籍軍兵士の輸送
憲法記念日の前日5月2日は、航空自衛隊によるイラク空輸活動
を憲法違反と判断し、平和的生存権の具体的権利性を認めた
歴史的判決(08.4.17名古屋高裁)が確定して2周年をむかえます。
この日にあわせて「イラク派兵差止訴訟」原告・弁護団有志チームが
ブックレットを刊行しました。
『イラクで航空自衛隊は何をしていたか-憲法9条1項違反の実態-』
(せせらぎ出版 定価600円 「名古屋高裁判決」全文収載)
概要・申込用紙(PDFファイル)
http://dl.dropbox.com/u/2067020/kuuji/tirasi.pdf
表紙画像(PDFファイル)http://dl.dropbox.com/u/2067020/kuuji/hyosi.jpg
昨秋、9月24日付で、航空自衛隊「イラク航空隊」の「週間空輸実績
(報告)」が全面開示されました。5年ごしの情報公開請求をへて
ようやく実現した全面開示でしたが、これによって、2004年3月~
08年12月まで、5年間にわたったイラクへの輸送活動の実態を
知ることができるようになりました。
たとえば、5年間に輸送した人員は46,263人。
うち米兵は23,637人、軍属を含む米軍人員は28,679人を占め、
豪軍兵士やその他の多国籍軍兵士をあわせると30,117人となり、
全体の65%を占めていたことがわかります。
陸上自衛隊撤退後は、この割合が84%にものぼります。
名古屋高裁は、少なくとも戦闘員をバグダッドに輸送した活動に
ついて9条1項違反であるとの判断を示しました。
これに該当する兵士輸送数はおよそ7,700人。バグダッドへの輸送を
開始した陸上自衛隊撤退後の兵士輸送数の44%、
すべての人員輸送数の3割を占めています。
ブックレットでは、そうした実態を、グラフや図表をふんだんに使って
解析していきます。
■わたしたちの「責任」を問わずに歴史を前にすすめることはできない
イラク戦争が国際法違反であることは、国際的コンセンサスです。
その前線において、いかなる犯罪や非人道的行為、人権蹂躙が
くりかえされたかについても、すでに多くのメディアや刊行物、
ドキュメント映画やDVDが伝えるところです。
民間人にたいする無差別攻撃・殺戮をおこなったこと、首を絞め、
頭を壁に叩きつけて住民を殺したこと、イラク人の死体を冒涜したこと、
市民の出生証明書をことごとく廃棄したこと、国際的に使用が禁止
されている爆弾や化学兵器、残虐兵器を使用したことなどについても、
多くの帰還兵の証言によって明らかにされています。
わたしたちは、それらの違法・非人道的行為に、空自の輸送活動を
通じて加担しました。その結果、イラク市民に甚大な被害と犠牲を
もたらしました。その「事実」を知ることなく、「責任」を問うことなく、
歴史を前にすすめることはできません。
開戦直後、この戦争をまっさきに支持した小泉元首相は、
06年9月26日に退任するまで「決定は正しかった」という姿勢を
翻しませんでした。首相の国際認識はどのようなものだったのか、
閣僚や政府の法律専門家たちのあいだでどのような議論が交わされ、
どのような経緯で自衛隊の海外派兵が決定されたのでしょう。
アメリカが「対テロ戦争」の主戦場をアフガニスタンへと移し、
日本の支援のあり方が問われている今、そうした事実の解明と
検証が急いで行われなければなりません。
現政権にその責務を果たすことを強く求めていくためにも、まず、
わたしたち自身が憲法違反の実態を知ることが大切だと思います。