消費税大増税or官僚利権根絶が次期総選挙最大争点
菅直人氏は2月2日の衆議院予算員会質疑で消費税増税の実施時期は2013年8月の衆議院任期満了以降であることを明確にした。
他方で、すでに主権者国民の意思によりその実効性が消失している、所得税法附則104条の規定を守るかのような発言を示している。
附則104条には、税制の抜本改革を行うため必要な税制上の措置を2011年度までに講じることが示されている。
しかし、この条文は2008年9月総選挙、2010年7月参院選の最大の争点のひとつとなり、主権者国民の投票により、否定された内容であることを改めて確認しておく必要がある。
さらに菅直人氏は、消費税増税を決める前に総選挙で国民の信を問うことを明言している。
すべてが矛盾だらけであるし、そもそも、菅直人氏がうそつきの常習犯であり、自分自身が信任投票だと位置付けた2010年7月参院選での主権者の不信任との意思表示を踏みにじるほどの卑劣な行動を躊躇なく行う人物であるから、どの言葉も信用はできない。日本国民は最大不幸社会に身を置いてしまっている。
しかし、主権者国民の了解なく、消費税大増税に突き進むことは、主権者国民が実力を行使してでも阻止しなければならない。
はっきりしていることは、いずれ、消費税大増税の実施を最大の争点にして総選挙が実施されるということだ。国民が選挙の投票を通じて判断するためには、選択肢が明確に示されることが不可欠である。
つまり、現状の菅直人氏が示している提案の対案を明確に示す勢力が登場し、明確な対案を示すことが不可欠なのだ。
主権者国民の前に大衆大増税案だけが提示されて選挙が行われ、選挙後に国民も同意した大増税を説明されたのではたまらない。
菅直人氏の主張は「官僚利権排除なき消費税大増税」である。
最近、この「官僚利権排除」を「国会議員定数削減」にすり替えようとする動きが垣間見られている。
「国会議員定数削減」は国会の比例定数を削減して、少数政党を抹殺しようとする「大政党の利権政策」であって、無駄排除の政策ではない。
主権者国民が求めているのは「天下りの根絶」なのだ。政府機関への天下り根絶と、民間企業・団体への天下りの根絶を実現することが、何よりも重要なのだ。
公務員の定年までの就業を保証し、その代わり、公務員退職後10年間、退職直前10年間に関与した企業、団体、業界への就職を禁止することを法制化するべきである。
短期的には公務員給与支出は減らないが、このような構造改革は中期の取り組みだから、成果も中期で捉えるべきなのだ。
菅直人氏の「官僚利権排除なき消費税大増税」提案に対峙する対案は、
「増税論議に入る前提条件としての官僚利権排除」であるべきだ。
日本が明治以来の官僚支配国家で良いと考えるなら、菅直人氏の提案に乗っても良いだろう。しかし、国民主権国家として官僚支配をもういい加減にやめるというなら、消費税論議の前に、天下り根絶に踏み込むべきだ。菅直人氏もほんの少し前までは天下り根絶を主張していたのではないか。どこで誰に魂を売り渡したのか。
この対案が示されて総選挙で主権者が選択しないなら、民意を問うことにはならない。
次の総選挙は、官僚利権根絶と消費税大増税のどちらを優先するべきかを問う選挙になる。