ブレる新民進党の瓦解が本格始動する気配
民進党の前途が危ぶまれている。
民進党の代表選では国会議員票に8票の無効票が出た。
離党予備軍と見られている。
前原誠司氏と枝野幸男氏による代表選が実施されたが、3回生以下の議員で両候補者の推薦人になった者はいない。
つまり、民進党の若手議員は今回の代表選から距離を置いていたことが分かる。
この若手議員が離党予備軍の中核を占めている。
新代表に選出された前原誠司氏は挙党一致体制を構築するとともに、若手の登用を断行するとして、
枝野幸男氏を代表代行に、
当選回数2回の山尾志桜里衆議院議員を幹事長に起用する方針を示した。
ところが、代表選で前原氏を支持した陣営から異論が浮上して、前原氏はこの人事案を撤回する方針を示した。
新しい幹事長には代表選で前原誠司氏陣営の選対本部長を務めた大島敦氏を起用し、山尾志桜里氏を代表代行に横滑りさせる方針を示している。
このことが示す重要事実は以下の二点である。
第一は、結局、前原氏は挙党一致体制を構築しない方針を示したこということ。
第二は、幹事長と代表代行に決定的な差異があるということだ。
つまり、代表代行に重要な決定権はない。
「お飾りポスト」ということだ。
枝野氏を幹事長に起用し、山尾氏を国対委員長あるいは選対委員長に起用するなら挙党体制と呼べる体制になる。
しかし、幹事長ポストを前原氏側近が確保し、枝野氏と山尾氏を代表代行に祭り上げるのなら、これは「見せかけの挙党体制」ということになる。
目先の最重要事案は10月22日の三つの衆院補選と一つの知事選への対応である。
安倍政権を退陣に追い込むには、野党陣営が共産党を含む確固たる野党共闘体制を構築することが必要不可欠である。
枝野氏を幹事長に起用するならその可能性が高まる。
しかし、大島氏を幹事長に起用する場合には、その可能性が低下する。
民進党が共産党との共闘を否定して、小池国政新党との共闘に路線転換するなら、民進党の分裂、分離が現実化する可能性が高まる。
同時ににわかに現実味を帯びるのが、民進党若手議員の集団離党の可能性である。
山尾氏を幹事長に起用するなら若手議員の離党を回避することが可能になるだろう。
しかし、山尾氏を「お飾りポスト」に祭り上げることにより、若手の集団離党が現実味を帯びる。
民進党が全面的な解体に進む可能性が高まりつつあるのだ。
しかし、これは日本政治の再編にとっては望ましいことである。
民進党が「水と油の混合体」、奇怪な妖怪「鵺(ぬえ)」の存在であり続けることが日本の政界再編、野党再編を妨げる主因になる。
この民進党が解体することは、この意味で歓迎するべきことである。
今後の野党再編について複数の主張があること自体はおかしなことではない。
重要なことは、それぞれの主張に大きな背景があるということだ。
本ブログ、メルマガで記述してきたように、日本の野党再編論議は、日本の長期的な政治体制の問題に直結するからである。
日本政治の分岐点ということになる。
小選挙区制度の下で政権交代が生じる政治体制を
「保保二大勢力体制」
とするのか、それとも、
「保革二大勢力体制」
とするのか。
これが最重要の問題なのである。
そして、この問題と直結するのが、本年10月22日の衆院補選と知事選である。
大事なことは、日本の主権者の意思がどこにあるのかである。
日本の主権者の思潮が自公と同じ、あるいは自公と類似したもので占められているのであれば、自公と第二自公による二大政党体制は合理性を有することになる。
しかし、日本の主権者の思潮の多数が、自公と対峙するものであるなら、自公と第二自公による二大政党体制は合理性を持たない。
現実は明らかに後者であろう。
したがって、民進党がどうなろうとも、主権者が主導して、安倍政治に対峙する勢力の結集、大同団結を図り、この主権者勢力が次期衆院選の各選挙区で候補者を一本化することである。
民進党の混乱を乗り越えて、この方向に確実に歩を進めなければならない。