テレ朝報ステも偏向報道アベノミクス絶望の素顔
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今回の総選挙の争点の一つとして
アベノミクスの評価
が挙げられており、テレビでも取り上げられている。
しかし、客観公正な報道がまったくなされていない。
専門家とされる人物がVTR出演するが、複数の人物が登場するのに、そのどちらもが政権にすり寄ったコメントを示す。
テレビ局もこれを認識しながら放送していると思われる。
明らかな偏向報道であり、主権者を誤導するものだ。
極めて許しがたい現実が広がっている。
「日本経済は数字の上では良くなっているが景気回復の実感がない」
との表現が用いられているが、これは完全な間違いである。
「日本経済に数字の上で良くなっているように見える部分があるが、実は良くはなっておらず、
景気回復の実感がないのではなく、景気回復という事実が存在しない」
というのが客観公正な評価である。
このことを以下に示す。
野党はこの事実を正確に主権者に知らせるべきである。
安倍首相が述べている、日本経済が良くなったという「部分」は以下の4点である。
1.雇用が増えた。
2.企業収益が増えた。
3.株価が上がった。
4.名目GDPが増えた。
これらはすべて事実である。
安倍首相がウソを言っているわけではない。
しかし、これらの数値は、「日本経済が全体として良くなった」ことを意味していない。
日本経済の「良くなった一部」を取り出して、これを強調しているだけだ。
雇用が増えたのは事実で、このことを悪いことだとは言わないが、重要なのは労働者の全体としての所得の推移なのだ。
経済全体を評価する、一番重要な指標は経済成長率である。
その経済成長率が名目でなく、実質であることは当然のことだ。
インフレ率が100%、実質経済成長率が-50%の経済を考えればよく分かる。
このとき、名目GDPは+50%だが、実質GDP成長率は-50%だ。
実質的に経済活動は50%ダウンで、これを自慢する馬や鹿はいない。
100万円の所得が150万円になっても、物価が2倍になれば、実質所得は50%もダウンなのだ。
大企業の収益は史上最高を更新している。
そして、株価も大幅に上昇している。
これも事実だ。
しかし、一番重要な経済指標は実質経済成長率であり、実質経済成長率の実績を見ると、民主党政権時代の実質GDP成長率(四半期毎、前期比年率)平均値は+1.8%だったが、第2次安倍政権発足後の成長率平均値は+1.4%である。
民主党時代も経済はあまり良くなかったが、2012年の第2次安倍政権発足後の5年間の平均は、民主党政権時代よりかなり悪い。
これが、日本経済が良くなったか悪くなったかの、一番基礎の、基準になるデータだ。
この比較を示さないで、細かな部分で、「良くなったと言える部分」だ毛を強調するのは「イカサマ」そのものだ。
安倍首相の行動は、学校受験に失敗してしまった学生が、
「計算問題の第3問は解けた、漢字の書き取りの第5問は解けた」
と負け惜しみを言っているようなものだ。
経済全体が悪くなるなかで、大企業の利益だけが史上最高を更新していることは、それ以外の所得、つまり、労働者の所得と中小企業の所得が悪化していることを意味しているにすぎない。
株価が上がっているのは事実だが、日本の上場企業数は4000社弱。
日本の法人企業数400万社の0.1%にも満たない。
その0.1%の企業収益が史上最高を更新して、0.1%の企業の株価が上がっているだけなのだ。
労働者にとっての最重要の経済指標は、実質賃金指数だ。
アベノミクスを全体として評価する場合に取り上げるべき第一と第二の指標は実質GDP成長率を労働者の実質賃金指数である。
厚生労働省が発表している実質賃金指数のなかで、従業人5人以上の企業すべて、固定給だけでなく時間外賃金、ボーナスを含めた現金給与総額統計を見るのが一番公正である。
この推移を見ると、民主党政権時代にはほぼ横ばいで推移したものが、第2次安倍政権発足後は5%も落ちている。
雇用者は増えたが、それ以上に一人当たりの実質賃金が落ちているのだ。
労働者全体の所得が減ったなかで、それを分け合う人数だけが増えた。
これをアベノミクスの成果だとする感覚は正常とは言えない。
全体として、日本経済は安倍政権下で悪くなった。
良くなったのは0.1%の大企業だけだ。
一般労働者の賃金は減り、いままで労働しないで済んでいた人たちが労働に駆り出されただけである。
生産年齢のすべての国民を低賃金労働に駆り出す。
これが安倍政権の「一億総活躍社会」であるが、その実態は「一億総低賃金強制労働」なのである。