医科歯科連携②③

2014年09月16日 | Weblog
みなさん、こんにちは。
今回は前回に引き続き「医科歯科連携」についての②と③です。

②入院患者を対象とした「医科歯科連携」(周術期口腔機能管理料)

 周術期口腔機能管理料とは、「がん等に係る手術を実施する患者の周術期における口腔機能の管理を行うため、歯科診療を実施している保険医療機関において、周術期口腔機能管理計画に基づき、当該手術を実施する他の病院である保険医療機関(歯科診療を行うものを除く。)に入院中の患者又は他の病院である保険医療機関若しくは同一の病院である保険医療機関に入院中の患者以外の患者に対して、歯科医師が口腔機能の管理を行い、かつ、当該管理内容に係る情報を文書により提供した場合には、当該 患者につき、手術前は1回に限り、手術後は手術を行った日の属する月から起算して3月以内において、計3回に限り算定できる。」という歯科の医学管理料です。この管理料は、管理料(Ⅰ)は外来患者、または他医院の歯科医院が入院患者に口腔機能管理を実施した場合、管理料(Ⅱ)は入院患者に自前の歯科部門が管理を実施した場合に分かれます。

 2014年度診療報酬改定で手術前の点数が引き上げられた背景に、周術期の口腔機能管理を行うことで、術後の感染リスクを減らせることができ、医療費を抑えつつ在院日数短縮につながるところが評価されたと言われています。

 この管理料は、院内に歯科部門を持つ大病院が実施している例が大半であるのが現状ですが、回復期や慢性期の患者が発症する誤嚥性肺炎について予防も期待できることからも注目されています。
 このようなメリットから、歯科部門を持たない中小病院が地域の歯科診療所と連携して入院患者に歯科医療を提供したり、自前で歯科部門を開設する事例が登場し始めていると言われています。


 
③歯科と全身疾患との関係に注目した「医科歯科連携」(歯周病と糖尿病など)

 歯周病は糖尿病の合併症の1つだと言われてきましたが、最近では歯周病になると糖尿病の症状が悪化するという、糖尿病と歯周病の双方向性が言われるようになりました。
 
千葉県の医師と歯科医師が連携し、医科歯科連携のためのツールとして「糖尿病・歯周病医科歯科連携手帳」(発行:千葉県保険医協会)を共同で開発されたそうです。
 同手帳は両開きになっており、表表紙には医科の医療機関において糖尿病患者の歯周病スクリーニングを実施するための「歯周病リスクチェック表」が、裏表紙には歯科の医療機関において歯周病患者の糖尿病スクリーニングを行うための「糖尿病リスクチェック表」が掲載されていて、それぞれチェックしてリスクが高いと判定された患者を、互いに紹介し合うという仕組みになっています。
 この手帳を導入した効果として、①患者の意識向上、②医療スタッフの取り組みの変化などが現れています。
 
この「糖尿病・歯周病医科歯科連携手帳」だけでなく、その他の医科と歯科が連携して行う共同治療は、ある歯科医師によると、普及をするのには時間を要すると言われています。また、上述の口腔管理料を算定できる医療機関は、ごく一部に限られており、歯科の視点からみると医科歯科連携を行ったからといって目に見えて収入が増えるわけではありません。 
ただ一方で、医科診療所にとっては歯科からの紹介によって患者が増える可能性があり、歯科との連携はメリットになるとも指摘されています。


このような状況の中で、「自院はどの方向に進む方が良いのか?」を改めて考える必要がありそうです。

平野悠一