6月11日で、東日本大震災より3カ月経過いたしました。
菅首相も被災地を訪れています。
謹んで東日本大震災の被災地の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復興を心から祈念いたします。
さて今回は、寄付金の税務上の取り扱いについて所得税・住民税についてお話をしてゆきたい思います。
今回、3月11日以降のテレビ・新聞の報道を目の当たりにして、支援等に動いておられる皆様も多いかと思います。
特に義援金をされた方はたくさんいらっしゃるかと思います。
その義援金につきましては一定の要件を満たせば、所得税の寄付金控除の対象となります。
まず、税務上の取り扱い・条件をお話する前に寄付金の考え方についてお話を進めてゆきたいと思います。
個人でお店を経営されている方、医院を開業されていらっしゃる先生、そしてサラリーマンの方などさまざまなお仕事をされて、生活をされていらっしゃいます。
その生活をしていく上で、あまり利益はでませんが、みんなのために必要なお仕事があります。たとえば道路を作ったり、鉄道を通したりすることです。実はそのような仕事は、金額も一人ではできない大きな金額が必要な場合が多いです。
そこで、みなさまが、収入に応じて負担しあってそのお仕事を進めるための事業資金を国・お住まいの県・市町村へ提供するのが税金です。
しかしながら、その使い道は個人個人の希望は通りません。
今回のような大震災で被災された方や海外で満足な医療を受けられない人のためにお金を使ってほしいという希望があっても、税金から優先的に回すことはできないのです。
そこで、使用目的が明確で、その希望とおりにお金が使われる方法として寄付金があります。
国や都道府県・市町村も、その目的が税金の使い道と同じ種類と考えられるものについては、税金を納めるのと同等と考えて、本来支払うべき税金を減額するようにしています。
今回、東日本大震災では、たくさんの業界団体・コンビニエンスストアなどの店舗、そして街頭の募金箱などで義援金を募集しています。
みなさまもいろいろ義援金をされていらっしゃるかと思います。
その寄付金控除については、以下の通りとなります。
所得税
震災関連寄付金以外の寄附金の額(所得金額の40%が限度)+震災関連寄附金の額=寄附金の額(所得金額の80%が限度)
寄附金の額-2,000円=寄附金控除額
個人住民税
① (地方公共団体への寄附金額(所得金額の30%が限度)-5,000円)×10%
② (地方公共団体への寄附金額(所得金額の30%が限度)-5,000円)×(90%-(0~40%))
①と②の合計額
本来、日本赤十字社や各都道府県共同募金会への寄附の場合が多いですが、今回は各業界団体やテレビ・ラジオ等の報道機関を通じての義援金も多いため、3月15日に国税庁より確認手続きについての文書が公表されております。
その中では、報道機関や募金団体への義援金が新聞報道等にて地方公共団体への寄付金であることを税務署が確認できれば、寄付金として取り扱われるという内容のものです。
今回、義援金をされたみなさまで確定申告にて控除を受けるためには、支払が証明できるような領収書や振込明細書が必要になります。またその業界団体がその要件に該当するかの確認をする必要があります。詳細につきましては、国税庁のHP等にてご確認をいただければと思います。
鈴木 明