日々の恐怖 2月3日 私を呼ぶ声
小学校2年生の冬に、家に帰ったらいつもは母がいるのに鍵が掛かっていて無人だった。
鍵は持っていたので、開けて玄関で靴を脱ごうとしたら靴のファスナーを噛み込んで手間取った。
玄関から二階に上がる階段が見えるんだけど、二階から母に呼ばれた。
見上げたら二階の襖がスーって少し開いて、手招きする手が見えた。
“ 何だ、お母さんいたんだ!”
と思って、
「 はーい、ちょっと待って、靴が脱げない!」
って返事して再び靴と格闘、その間も二階から急がすでもなく同じトーンで呼ばれ続ける。
“ もしかしてお母さん、どこか悪くて寝室で寝てるのかな・・・?”
と思い急に心配になって靴を脱ぐのは諦め、片足だけ靴を履いたまま膝で家に上がり、階段を数段登った。
その時、背後で玄関がガラッと開いて、
「 ○○子!行儀が悪い!!」
って、買い物袋下げた母がいた。
二階の声は確かに母の声だったから、パニックになって泣き叫んで、それに驚いた母が二階に様子を見に行ったが、窓も閉まっていたし誰もいなかった。
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