大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 2月8日 幻影(1)

2016-02-08 21:02:20 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 2月8日 幻影(1)



 私の父親は山好きです。
当然、山関連の友人も多く、私も山へ行く度にそうした方々と話をしました。
そして、その友人の中にKさんという方が居ます。
 私が彼と最後に話をしたのは高校生の頃です。
高校卒業後、進学の関係で地元を離れてからは一度も会っていない上、結構な年齢に達していた筈なので、今は亡くなってしまっているかも知れません。
 Kさんは県内でも山深い山村の出身で、実に色々な話を知っていました。
私にも沢山の話を教えてくれましたが、その中でも印象深い話をさせて頂こうと思います。

 Kさんが少年の頃(戦前)、罠を仕掛けては狸や狐、イタチなどの小動物を獲っては、皮を剥いで売っていたそうです。(当然、今では許されない事だと思いますが)
そんなある日の事、Kさんはいつものように仕掛けた罠を見回りに、山へと入りました。
獲らぬ狸の皮算用をしていたKさんですが、その日の収穫はゼロ。
すっかり気落ちしたKさんは、元来た道を引き返し始めました。
 ところが、通いなれた道、目を瞑ってでも帰れる、自信のある山道であった筈なのに、周囲の風景がまるで違うのです。

” どこかで道を間違えたのか?
いいや、そんな筈は無いんだが・・・。”

Kさんは見覚えのある道を探し始めました。
が、行けども行けども知らない場所ばかり。そうこうするうちに日も暮れ始めました。

“ これはいよいよマズイぞ。
下手をしたら、山で夜を明かさないといけない。”

 何とか元の道に出ようと必死になりましたが、全ては徒労に終りました。
すっかり暗くなった山の中でKさんは途方に暮れました。
 ところが、耳を澄ませると、どこからか人の話し声が聞こえる。
最初は幽霊か何かと思ったのですが、よくよく見渡せば遠くに灯かりも見える。

“ しめた!人が居る!
今日はあそこに厄介になろう。”

Kさんは灯かりを目指して歩き始めました。
 やがて、灯かりのすぐ目の前まで来たKさん。
焚き火がチロチロと燃えています。
焚き火を起した主に事情を説明しようとしたのですが、そこで言葉に詰まってしまいました。
 焚き火の前には、2人の人が居ました。
どちらも女性で、焚き火を挟んで向かい合い、何事かを話しています。
2人はとても美人で、豪華な着物を着ていました。










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