日々の恐怖 2月4日 ゆうべの寝言
高校時代、よく友達の家に仲のいい友人三人で泊まっていた、土曜の夜とか。
友人の六畳間に三人で雑魚寝するんだけど、いきなりおれの右側で寝てた友人が寝言を言い出した。
「 潜水艦が・・・・。」
あんまり唐突だったんで驚いたんだけど、そのときは怖いよりも面白いが先だった。
結局、友人はその夜三回、
「 潜水艦が・・・・。」
を連発!
あんまり面白かったんで、翌朝起きてからさんざんそのネタで友人をからかった。
本人は潜水艦の夢なんてまるっきり見た記憶がないという。
その次の週の土曜日。
またその友人の家に泊まりにいった。
友人のひとりは早々に眠ってしまい、深夜、例の寝言の友人とふたり、ずーっと話をしてた。
そしたら、ふいにそいつが黙り込むの。
「 なんだよ?」
って聞いてもずーっと黙ってる。
それから、ぼそっと、
「 なぁ・・・・。」
「 なんだよ?」
「 あのなぁ、おれと今夜いっぱい話しただろ。」
「 うん。」
「 これが、ぜんぶ寝言だったらどうする?」
そのときの友人の声は、抑揚の無い感情の欠片も感じさせない淡々とした声だった。
思わずぞーっとしてしまい、それっきり一言もかわさず、布団をかぶって寝てしまいました。
翌朝、さすがに怖くて聞けなかったです。
「 ゆうべの寝言覚えてる?」
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