日々の恐怖 2月18日 低学年ぐらいの女の子
大学を卒業して、最初の仕事を始めて2年目のことだった。
その日、仕事が早めに終わっての帰り、マンションなんでエレベーターで自宅階に下りたら、一番奥の部屋の前で子供がしゃがんでいた。
小学校低学年ぐらいの女の子で、
“ 具合悪いのかな・・・?”
って一瞬思ったんだけれど、なんだか嫌な予感がしたので触れないで自宅に戻った。
私は、
“ 親から締め出されてたりしたら面倒だし・・・・。
それよりあの奥の部屋あんな年の子供いたっけ?”
って考えていた。
しばらくして、うちの母が帰宅して
「 廊下に子供が座ってたけど、どうしたのかな?」
って言うので、
「 その子、夕方からいるけど大丈夫かな・・・?」
って話になって、二人で見に行った。
でも、もうそこには誰もいなくて、
「 オバケだったりしてな~。」
「 そんな訳無い。」
とか言いながら家に戻った。
本当のところは帰ったか家に入れたんだろう、ぐらいで特に気にしないことにした。
数日してコンビニに行こうと外に出たとき、ふとマンションを見上げると外から見える廊下に、またしゃがんでる子供が見えた。
なんとなく階を数えたが、うちとは違う階だった。
“ あの階の子かな?
この寒いのに鍵を持ってないのかな・・・。”
と少し可哀相に思った。
でも、何故か急に寒気がして違和感を感じた。
なんだか見てはいけないものを見た気がして、さっさとコンビニに直行した。
怖かったのはそのあとのことだった。
コンビニから戻るとき、上を見たらもういなくなっていて、
“ あ、もう家に帰ったか・・・。”
と、それほど気にもせずエレベーターに乗り、自宅の階で下りた。
ポケットから鍵を出して、目線を上げて、びくっと足が止まった。
うちの家の前でその子がしゃがんでいる。
後ろを向いているので顔は見えない。
足元から恐怖が上がってくるような何ともいえない感じになって、思わずその場で硬直した。
振り向かれたら叫んでしまうと思うぐらい怖かった。
普通の子供かもしれないし声をかけようか、それとも直感を信じて逃げようかと、ぐるぐる考えていたら、背後の家の玄関が勢い良く開いて、振り返るとよく知った近所のおじさんが出てきた。
ドアの音には飛び上がったんだけれど、おじさんを見て私は一応安心した。
おじさんに、
「 あ、こんにちは!」
って普通に言われて、フッと緊張がほぐれて、
「 あの子、どうしたんでしょうかね?」
って話しかけると、おじさんは怪訝な顔をして、
「 あの子って・・・?」
それで、うちの家を見ると、もう誰もいなかった。
私は、
「 いや、子供がいたような気がして・・・。」
と誤魔化しつつ家に逃げ込んだ。
通路の奥にも階段があるので、別に普通の子供で階段で下りただけかもしれないけれど、足音はしなかった。
その後、他にも目撃者が出て来て、マンション中が一時パニックになった。
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