大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 2月16日 白い家

2016-02-16 19:35:31 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 2月16日 白い家



 私が大学生のときに住んでいた部屋は、雰囲気が妙に悪かった。
日当たりは悪くないのに、何故かどことなく薄暗いような気がする。
いつもジメジメしていて、なんとなく気分が鬱になるような。
 当時は、

“ 建物が安普請だからかなあ・・・。”

と思っていた。
 同じ敷地内に住んでいる大家さんの息子は、心を酷く病んでいる人だった。
極度の妄想癖と病的な躁状態だった。
 彼は私が入居してから、半年後に精神病院に入院した。
さらに、一年後に退院してきたときには、見違えるほど回復していた。
すっかり常識人みたいな物腰、話すこともまともだし、15歳は若返ったみたいだった。
他人事ながら、良かったなあと思っていた。
 ところが恐ろしいことに、たった2日ほどでもとの木阿弥になってしまった。

“ 薬が切れたからだろうか・・・?”

それにしても酷い変わりようだった。
 彼は合い鍵を持っていたので、少し身の危険を感じない訳でもなかった。
夜中、彼が突然ドアを開けて入ってくることがあった。
そして、彼の“発明”についての話を、長々と聞かされたりした。
 さっさと引っ越せば良かったのに、入居しているときは何故かそこを離れてはいけない理由をいろいろ思いついて、なかなか転居することができなかった。
今思うと、それは不思議だった。
 結局、2年半そこに住み続けた。
路地の奥まった場所、そして、行き止まり。
生い茂る緑に建物はほとんど隠されていて、通行人からはほとんど見えない白い木造建築。
友人以外の不意の来客、セールスなどは、ただの一度も訪ねてくることが無かった。











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