大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 2月9日 幻影(2)

2016-02-09 19:34:50 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 2月9日 幻影(2)



“ 綺麗なのは大変結構なんだが・・・。
でも、どうしてこんな山の奥に、女性が2人きりで居るんだろう?”

何も話せずに突っ立ってるKさんに、片方の女性が、

「 そこでは寒いでしょう、近くで当たりなさい。」

と、優しく声を掛けてくれました。
 Kさんは無言で火の近くに行くと座りました。
2人は相変わらず話を続けています。
 そこで、Kさんは変な事に気付きました。
目の前の焚き火なのですが、確かに燃えている。
燃えてはいるが、薪が無い。
また、音も全然無い。
ただ、地面の上で火が燃えてるだけなのです。

“ こんな火などあるものか。
きっと、この2人は人ではない。
狐か狸か知らんが、きっと化かされているのだ。
これは大変な所へ迷い込んだものだ。
せめて、怒らせないように気を付けないと・・・。”

さっきまでは人が居て助かったと思っていたKさんは、急に心細くなりました。

“ 兎に角、目の前の2人は人でない事は確かだ。
下手をすれば、命まで取られかねない。”

すると突然、

「 お前は、○○の所のKでしょう?」

声を掛けられました。
先程声を掛けてきた女性が、いきなり話し掛けてきたのです。

“ 何で俺の事を知っているのだ?”

内心ビクビクしながら、正直に答えようかどうか迷いました。

“ 正直に答えたら、喰われてしまうかも知れん。
何せ、今まで俺は結構な数の狸だの狐の皮を剥いでるんだ。
こんな所で仲間の敵討ちなどされたら、逃げようが無いじゃないか・・・。”

声を掛けた女性が続けます。

「 隠さなくても良い、こちらはお前の事をよく知っている。
お前の父や母の事も、よく知っている。」

Kさんは何を言われているのか全然分かりませんでした。

“ 俺の父親や母親を知っているってどういう事だ・・・。”

もう1人の女性が、答えに詰まっているKさんを見かねてか、

「 あまり子供を驚かせるものじゃない。
見なさい、怖がってるでないの。」

と、助け舟を出してくれました。
 彼女は続けて話します。

「 私達に化かされていると思ってるみたいだけど、決してそんな事はしないから安心しなさい。
明るくなってきたらね、道を1つ越えて更にずっと下りなさい。
そうすれば、村への道に出られるから。」

何とかKさんは声を出しました。

「 何で俺の事を知ってるんですか?
二人は誰?」











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