日本は大量の再生可能エネルギーを導入できる機会が目の前にある。石炭火力発
電所の新設への投資規制を進めている、ほかのG7諸国に歩調を合わせるべきだ。
国際NGO「E3G」企画主任 クリス・リトルコット
● 未来の靴Nike Magが話題沸騰
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー パート2』に登場する未来の靴「Nike Mag」がついに実現。
米ナイキが、同作で主人公マーティやドクが訪れる「未来」と重なる現地時間15年10月21日に
発表した。「Nike Mag」には、映画通りの自動で靴ひもを調節する「パワーレース」機能が付属、着
用者の動きに合わせて反応する。同社の最高責任者(マーク・パーカー)は、「フィクションのモノ
作り始め、それを現実のものへと変えた。全てのアスリートのためになる新技術を開発した」とコメ
ント。記念すべき製品第1号は、マーティを演じたマイケル・J・フォックスに贈られている。ナイキ
は今後も「Nike Mag」の開発を続ける。また今回発表された同靴は、オークションにかけられ限定数
販売――詳細については16年春に発表予定。また、オークションで得た収益はパーキンソン病治療
の研究と広報にマイケル・J・フォックス財団に寄付されるとのこと。これだけではない、「HENDO
ホバーボード」(170万円税込み)も今月出荷される。さすが、映画の国、実に面白い。
ドイツの研究所であるFraunhofer Institute for Solar Energy Systems(Fraunhofer ISE)と、同研究所が15
年4月設立のベンチャー企業のNexWafe社は、単結晶シリコン系太陽電池向けウエハーを従来の約1
/2のコストで製造する技術を開発(上図クリック)。太陽電池モジュールの製造コストを20%低
減につながる。
従来法は、多大な電力と無駄の多い工程で製造されていたが、HSiCl3などのクロロシラン化合物から
成るガスを水素(H2)などで還元し、多結晶シリコンを製造。それを1450℃の高温で溶融し単結
晶シリコンのインゴッドにし、ダイヤモンドワイヤーソーで薄く切断し製造。この切断時に、多くの
切りくずが発生。単結晶シリコンの約1/2超が切りくずになる。現在、インゴッドの価格は約2千
円/キログラムだが、そのうち半分が切りくず代となる。
新しい方法では、トリクロロシランに水素を混合させるところまで従来法と同じだが、その後、表面
を多孔質化する処理を施したシリコン基板上で化学的気相成長法(CVD)を用いて結晶成長(エピタ
キシャル)する。膜がウエハーとして十分な厚さになった後は、土台となるシリコン基板を機械的に
剥離――基板は数十回は再利用する。このことで(1)ウエハーの製造コストが半減、(2)多結晶
シリコンの溶融などで必要な電力を80%を削減。太陽電池モジュールとしては20%の製造コスト
削減になる。
これだけでなく、ダイヤモンドワイヤーソーでは切りくずが増え150ミクロン厚み以下のウエハー
の製造も可能となり、単結晶シリコン系の薄膜太陽電池を実現可能する。既にNexWafe社は、このウ
エハー(EpiWafer)を用い太陽電池を試作し、変換効率20%という高い値を得られることを確認し
ている。パイロットプラントを17年初頭に稼働させ、17年後半には年産250メガワット以下の
規模で量産するという。ここは丸っぽ、デジタル革命基本則がはたらく。
● ネットメータリング制度を利用し3千5百万ドル削減
米国の太陽光発電関連事業者であるSolarCity 社は10月6日、米国カリフォルニア州の統合学区である
Temecula Valley Unified School District(TVUSD)に、合計出力6メガワットの太陽光発電システムや、
エネルギー貯蔵システムを設置し電力を供給すると発表。それによると19の学校と地区事務所に導
入する。エネルギー貯蔵システムは、5カ所に設置。同学区は現在、地域の電力会社から電力を購入
している。SolarCity社のサービスにより、電力使用料が減ることから、同社と電力購入契約を結んだ。
同統合学区は、米Sage Renewable Energy Consulting 社のコンサルティングを受け、今回の手法を選定。
太陽光発電システムの発電量から、学区内における消費電力を差し引いて電力料金を支払ったり、そ
れでも余った発電電力を次の月に繰り越して相殺できる「ネットメータリング」制度の恩恵も受ける。
同学区側の初期投資は不要とする。公共向けの割引価格で電力を供給するため、初年度で52万米ド
ル、25年間以上にわたり合計3千5百万米ドルの電力コストの低減効果がある。
ところで、米国の RPS(Renewable Portfolio Standard)制度は、電力供給事業者が供給電力の内、再生
可能エネルギー由来のものが占める比率の目標を設定し達成することを義務づける規制。米国の場合、
国内の再生可能エネルギーの導入を促進する目的で78年に制定された連邦法 PURPA(公益事業規
制政策法)により生まれたが、制度化するかも含めてその内容は各州の裁量に任され、米国全体を対
象にしたものででなく、米国各州で制定されているRPSは一つとして同じものはく、目標数値も規制
の方法も多様である。
環境意識が高いカリフォルニア州の同制度は、現時点では20年に33%にするとされており、主に
州内の大手民営電力供給事業者にこの目標達成を義務づけている。この目標は全米で最も高く、次ぎ
にニューヨーク州の設定する15年に29%、コロラド州の20年に30%などがある。この制度達
成する施策の―つが、ネットメータリング(NM : Net Metering )制度。主として住宅などの屋根に設
置された太陽光発電など小規模分散型の設備普及を促進に行われているが、再生可能エネルギー設備
として認定を受けると、これで発電された電力が自家消費を上回る時には、配電系統に逆流させて電
気メーターを逆転させることを認めるというもの。月間、あるいは年間の総発電量が自家消費を上回
る場合は、その超過分はクレジットとして繰り越しされたり、電力事業者が所定の価格で買い取る。
カリフオルニアは、電力消費者が所有する1~千キロワットの再生可能エネルギーを対象、96年に
導入されて以来、環境負荷を下げるエネルギーとして市民に普及してきるが、同制度の17年の期限
がくるが、最近の太陽電池パネル価格の急激な低下で、屋根設置の太陽光発電設備の件数が急増、電
力事業者は配電線の末端にある建物の屋根に太陽光発電設備が増えると、電力供給の安定性を維持す
るために配電系統の増強をしたり制御の方式を変えたりしなければならず、それに要するコストが急
増するため消極的。また、公平性を重視する消費者団体は、裕福な人しか取り付けできない太陽光発
電は、電力事業者の売上げ減や系統への投資のために電気料金が上がることになり、設備を取り付け
られない低所得者がコスト負担させられるとして反対。この両者は、州議会の議員に対して同制度に反
対するロビー活動を行っている背景がある。
さて、同学区側の初期投資は不要。公共向けの割引価格で電力を供給に、初年度で52万米ドル、2
5年間以上にわたり合計3千5百万米ドルの電力コストの低減効果があるとする。他の地域の多くの
統合学区と同じように、Temecula Valleyの統合学区においても、運用費の増大が課題になっていた。
今回、SolarCity 社が統合学区の電力使用料削減手法を開発したことで、同学区では、節約した費用を、
学生の教育プログラムやカリキュラムの充実に振り向けることができる。
また、太陽光発電システムは、18カ所のカーポート上、2カ所の地上に設置する。カーポートは、
同社の太陽光発電システム付きカーポート「ZS Beam」を採用し、迅速かつ簡単に、低コストで設置
できる。カーポートは、昼食時など屋外での休憩向けに、適度な日陰になる利点もある。同社は、産
業向けエネルギー貯蔵システム「DemandLogic」を同学区に導入。2千6百キロワット時の容量を持
ち、電力需要が少ない時間帯に貯めた電気を、電力需要のピーク時に放電し、使う運用を可能とする。
これにより、学区内の電力使用料が低減。さらに、今回導入する仕組みは、学生にとって、太陽光発
電と蓄電を直に学ぶ機会にもなる。例えば、同社の太陽光発電監視システム「PowerGuide」により発
電量を知ることができる。
デジタル革命がデフレファクタの最大要因である。とは、わたしが現場の最前線で感じ取った"未研
究な理論"であったが、その後、科学技術の"カンブリア期"、ロスト・スコア、デフレ不況、格差拡
大と次々と螺旋連鎖していく。経済的にはマルクスの「資本論」の「W-G-W'」のマージナル領
域での産業(保険・金融などの信用的側面)はデフレ不況期でも、近似ゼロはあり得ても、マイナス
(産業自体存立しえず)になることはありず、従って、デフレ進行すればするほど、逆比例し格差が
拡大し、これらに関連する組織・個人は――たとえば、個人向けクレジット会社は法外の金利を取り
続け――自動的に所得が増え、あるいは財務省などの国家官僚の権力が肥大化していくものと予測し
ていた。エネルギー産業もそうである。電力の自由化、半導体をベースにしたデジタルエネルギー(
太陽光発電)は、電力費の逓減・分散化・地産地消を促進させものとも考えた。それから20数年を
経た現在はどうか?人為的地球温暖化や福島第一原発事故はそのターニングポイントでもあったが予
測通りに当て嵌まった。この「ネットメータリング制度」の継続議論もその一つの現れだと考える。
あらためて、"継続は力なり"を再確認。