僖公二十四年:晋の文公、本国に帰る / 晋の文公制覇の時代
※ 亡命中の女たち:狄国から季隗(文公が秋で娶った妻〉が、晋に
おくられてきた。文公との間にできた二人の子供は、狄に止めたい
とのことである。文公は季隗を趙衰(ちょうし)にめあわせた。二
人の間に原同(げんどう)、屏括(へいかつ)、楼嬰(ろうえい:
趙同・趙括・趙嬰斉のこと。原・屏・楼はその食邑)が生まれた。
趙姫(文公の娘、趙衰の妻)は、夫の趙衰にむかって、狄に残して
ある叔隗(季隗の姉)とその子供の眉とを引きとりたいと申し出た
が、趙衰は賛成しなかった。しかし趙姫が、「新しいひとができた
からといって、むかしの誼みを忘れるようでは、人の上に立つ資格
はありません。どうあっても呼び寄せてください」と、あくまで強
く求めるので、趙衰もうなずかざるをえなかった。こうして、叔隗
と盾の二人は晋に呼び寄せられた。趙姫は盾の才能を見込み、文公
の許しをえて、嫡子に立てた。自分の生んだ三人の子供は盾の下に
おいた。また、自らは身をひいて叔隗を正夫人とした。
【RE100倶楽部:太陽光発電篇】
● “自己集積” で量子ドットの発光を自在に制御
【量子ドット工学講座 No.40】
❁ 太陽電池とLEDの効率向上と高輝度化に期待
今月9日、東北大学 元物質科学研究所の研究グループは、硫化カドミウム(CdS)量子ドット表面に液晶
性を示すデンドロンを密に修飾することで、CdS量子ドットにデンドロン由来の液晶性を付与。得られ
たデンドロン修飾量子ドットはこれまでで最も非対称性の高い液晶性立方晶構造を形成し,長周期的に
規則配列することを見出す。さら、CdS量子ドットが自己集積すると,外部の光エネルギーによりCdS量
子ドット内部に生じた励起エネルギーが周囲のデンドロンにほぼ全てエネルギー遷移することで量子ド
ットの発光強度を自在に制御できることを明らかにし、その機構を解明。このような量子ドットの発光
を制御するエネルギー遷移機構は光のエネルギーを直接電気エネルギーに変換可能性があり、高効率太
陽電池や高輝度発光ダイオード(LED)の開発につながると期待する。また外部の温度変化により発光強
度が変化することから生鮮食品の熱履歴センサーなどの開発にもつながるとのこと。
図3 量子ドット輝度・高指向性X線光解析(Grazing-Incidence Small-Angle X-ray Scattering:GISAXS法)パターン
【ネオコンバーテック工学講座 No.1】
● カーボンナノチューブを用いた塗料で電磁波遮蔽
今月12日、産業技術総合研究所の研究グループは、カーボンナノチューブを用いた塗料で電磁波遮蔽
構築し多様な基材に、過酷環境でも使える電磁波遮蔽塗布膜を実現したと公表。それによると、99.9 %
以上の電磁波遮蔽能を持つ塗布膜を、耐熱性が高く、長期安定性に優れ、曲げに強く、複雑形状部や可
動部でも使用可能カーボンナノチューブを用いた水性塗料で実現し、自動車用ワイヤーハーネスやロボ
ットなど、多様な分野での電磁波遮蔽対策への活用が期待される。さまざまな電子機器の電磁波を遮蔽
する方法として、電子機器やそれに接続する部品を金属の筐体に収納する方法が従来から用いられてい
るが、最近では電子機器の多様化や小型軽量化に伴い、樹脂やゴムの複雑な形状の筐体やそれらの材料
で覆われた部品が用いられることも多く、複雑な形状の筐体や部品を基材として電磁波遮蔽塗料を塗布
し、電磁波遮蔽能を付与する方法が注目されていたが、既存の電磁波遮蔽塗料は、基材の選択性に制限
があったり、付与できる電磁波遮蔽能が低いなどの課題があった。
今回開発したSGCNT系水性塗料は、バーコート法、スプレー法などのさまざまな塗布方法を選択できる
(上図)。❶バーコート法はバーで塗料を平面に延ばして塗布する方法で、大面積平面への塗布に適し、
❷スプレー法は吹きつけて塗布する方法で、複雑な形状への塗布に適す。このため、今回開発したSGC
NT系水性塗料は、さまざまな形状の基材に塗布し、電磁波遮蔽能を付与できる。また、この塗料は水性
塗料であるので基材の選択性も高く、その塗布膜はSGCNTの機械的特性から、屈曲性にも優れており、
基材の変形にも追随できる。またSGCNT系水性塗料は、SGCNTが水中で網目状に広がり分散し、塗布性
にも優れている(塗布性に優れる塗料とは、塗布作業時には塗料の流動性が高く(粘度が低く)、塗布
終了時には塗料の流動性が低く(粘度が高く)なる塗料を言う)。今回開発したSGCNT系水性塗料は、
粘度測定の際に流動性が高い状態を作る高速剪断から、流動性が低い状態を作る低速剪断に切り替え
ると、すぐに粘度が回復して高くなる性質を持っている(下図)。これは、塗料を高速で動かす塗布作業
時には塗料の流動性が高まり(粘度が下がり)、塗料の動きを止める塗布終了時には塗料の流動性が低
くなる(粘度が高くなる)ことを示している。そのため塗布面での塗料の液だれが生じにくく、複雑な
形状の基材にも塗布膜を形成しやすい。次に、このSGCNT系水性塗料を用いて、バーコート法およびス
プレー法で塗布膜を形成し4.5〜6 GHzの周波数領域における電磁波遮蔽能を測定した。その結果、バー
コート法、スプレー法のいずれの方法の塗布膜でも、測定領域で30 dB(99.9%)以上の電磁波遮蔽能を示
し、実用上必要な20 dB(99.0 %)以上の電磁波遮蔽能を持つ。さらにこれらの塗布膜は耐熱性にも優れ
膜厚が薄いバーコート法を用いて形成した塗布膜でも、180 ℃で24時間保持の加熱試験後も、加熱試験
前と同等の電磁波遮蔽能を維持。
● IBM、5nmナノシートで画期的成果
今月5日、IBMが、7nm(ナノメートル)プロセスチップの試作に世界で初めて成功したのは2年前。今
回、同社はさらに微細な5nmプロセスチップを実現の生産プロセス開発の成功を公表。7nmプロセスチ
ップが、指の爪先ほどの大きさに200億個のトランジスタを搭載できるのに対し、5nmプロセスチップは、
同じ大きさに300億個のトランジスタを搭載できる。トランジスタの集積密度が高いほど、チップの処理
速度が高速になる。5nmプロセスチップは、現在製品化されている10nmプロセスチップに比べて性能が
40%向上し、同一性能では75%の省電力化を実現。5nmプロセスチップの開発に当たり積層シリコ
ンナノシートを使ったナノシートトランジスタという新しいトランジスタを採用。現在のトランジスタ
構造であるFinFET構造のゲート数が3であるのに対し、ナノシートトランジスタは4。FinFETは、22
nmと14nmのチップで採用されており、7nmプロセスチップでも用いられる見通し。
IBMリサーチで半導体グループは、FinFETは、幾何学的スケーリングが限界に達している。半導体業界
では新たなアーキテクチャへの移行が進んでいるという。チップの微細化における大きな課題は、リー
ク電流増大の課題が残件していると語る。これまで10年以上に渡ってナノシートトランジスタを用い
たチップ技術の研究を行ってきた。ナノシートトランジスタの製造に、7nmプロセスチップと同じく半
導体の微細化を実現する技術の“極端紫外線リソグラフィ”を用いている。今回の研究開発をGlobalFo-
undriesやサムスンと共同で行い、京都で開催された回路技術の国際会議「2017 Symposium on VLSI Tech-
nology/Circuits」でその成果を発表。IBM自身はチップの製造を行わず、GlobalFoundriesとサムスンがラ
イセンスを受けて5nmプロセスチップを製造オプションを持つ。nmプロセスチップの量産体制は、2020
年頃に整う見通し。
現行の半導体は10nm世代で、サムスンのギャラクシーS8に搭載されているクアルコムの最新モバイルプ
ロセッサ「Snapdragon 835」は、サムスンが開発した 10nmプロセス技術を採用している。半導体業界は
インテルの共同創業者であるゴードン・ムーアが提唱した「半導体の集積密度が2年で2倍になる」と
いう「ムーアの法則」の崩壊に直面する。ムーアの法則が成り立つためには、常に大きなブレークスル
ーが求められる。新しいトランジスタによってさらなるスケーリングを実現し、ムーアが予測した経済
的価値を実現することが可能になる。一部の回路設計者は、集積密度をこれ以上高めるのではなく、新
たなアーキテクチャの開発に取り組んで大きな成果を挙げる。その良い例が、今やディープラーニング
のトレーニングに欠かせないGPU(Graphics Processing Unit)だ。また、グーグルはTPU(Tensor Processing
Unit)という独自のディープラーニング専用プロセッサを開発。ムーアの法則が成り立たなくなっている
今、半導体業界はGPUやDSP、FPGA、ASICなどを併用するヘテロジニアス・コンピューティングによっ
て新たなニーズに対応しようとしている。半導体業界を発展させる上で、チップの微細化とヘテロジニ
アス・コンピューティングは両方とも不可欠。5nmプロセスチップは、性能と効率性を飛躍的に向上す
るため業界全体にとって非常に大きな成果となると期待されている。
世界は日々デジタル渦中にあり自動化されている。今年、秋、フィンランドのヘリシンで新しい自走型
電動バス「RoboBusLine」が発足見通し。ヘルシンキ市によれば、このラインは「実験的なフェーズから
定期的に公共交通機関への移行を表明。自走車は、❶交通費を削減し、❷公共交通機関へのアクセスを
改善、❸道路利用する自動車量を減らし排気ガスの排出量を削減する。昨年年8月、フィンランドの大
都市6大都市のフィンランドの大学と輸送機関によるEUの資金調達イニシアチブであるSohjoaプロジェ
クトは、ヘルシンキで2つのEasyMile EZ10電気ミニバスを打ち上げ。報告書では、このイニシアチブは
EUの資金提供を受けているmySMARTLifeプログラムの一環であり、ヨーロッパの都市は省エネルギー
のモビリティを開発し、都市のエネルギー消費を10~15%削減奨励されている。
これまでのところ、電気ミニバスは実際の交通状況で実証実験し、今年8月までは都市部で引き続き調
査。各バスには緊急時に搭乗した運行者が乗車し、約7マイル(11km /時間)、経路を学習し、知識
蓄積され――センサ技術、ユーザーエクスペリエンス、自転車でバスを利用して公共交通サービスを補
完する方法など、さまざまな側面に焦点を当てていく。ヘルシンキのMustikkamaaレクリエーション島か
ら7月~8月にヘルシンキ動物園へ乗り継ぎするSohjoa自走バスがあるが、この実験は、RoboBusが今年
後半に発売される道を拓くものとして位置づけられている。RoboBusは日常の公共交通機関での運用をテ
ストできるようになる、自走バスと顧客行動の長期的制御研究に使用される。フィンランドは自走バス
が発進するのに理想的な場所で、国の法律上、車両に運転手同乗しなくても問題ない。自走バスはヘル
シンキの永続的な問題を解決するのに役立ち、公共交通機関停留所から定期的な乗客を自宅まで送り届
けを実現する。自動化されたリモートコントロールバスサービスは、ラストマイルサービスのコストを
大幅に削減し、公共交通機関へのアクセス改善を実現し、究極的は、公共交通機関の利用を増やし、街
から車を減らすことにある。
● 再生医療の実現を加速:ヒト肝臓発生のメカニズムを解明
今月15日、横浜市立大学の研究グループ(臓器再生医学 関根圭輔助教、武部貴則准教授、谷口英樹教
授ら)は 最先端の1細胞遺伝子発現解析技術を駆使したビッグデータ解析により、ヒトiPS細胞からミニ
肝臓*1の形成過程で生じる多細胞間の相互作用を解析し、ヒトの肝臓発生に重要かつ複雑な分子メカニ
ズムを世界で初めて明らかにたと公表。同グループが2013年に確立したミニ肝臓作製技術は、従来のヒ
ト肝細胞作製技術と比べ、血管形成促進作用を含むさまざまな性能で優れることを示唆されとのこと。
♞ Multilineage communication regulates human liver bud development from pluripotencym Nature, 14 June 2017,
DOI: 10.1038/nature22796
※ ミニ肝臓とは:
ヒトiPS細胞から分化誘導した肝内胚葉細胞と、血管内皮細胞、間葉系細胞を最適な比率で混ぜ合わせる
ことで、in vitro 培養条件下で自律的に創出した肝臓の基となる立体的な肝芽(ミニ肝臓)のこと。
さらに、この革新的な3次元培養技術(器官原基法)を他器官の作製に応用し、肝臓のみならず、膵臓、
腎臓、腸、肺、心臓、脳から分離した細胞から3次元的な器官原基を創出することを報告している。創出
された3次元器官原基は、移植後すみやかに血流を有する血管網を再構成し、機能的な組織を自律的に形
成することができる。
● 今宵も黄金色の日々(今夜も技術がてんこ盛り)
毎日、ホームページを更新して思うことではあるが、わたし(たち)が想定し行動してきたこと、極め
て私企業の仕事を通して経験を集約して、個人的な戦略として描いてきた、これまた極めて個人的な革
命的な図像が的確であったことに改めて奇跡的なことであったに驚嘆し、自慢話ではなく、慌ただしく
生きていることを実感する。革命は半ば遂げられた、と。