彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」。
【ポストエネルギー革命序論 397: アフターコロナ時代 207】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
✺ 人工光合成用光エネルギー利用短波長化材料開発
人工光合成の高効率化によりCO2の排出削減を目指す
1月20日、日産自動車株式会社らの研究グループは、共同で、人工
光合成の効率を向上させる高性能な光の短波長化材料(固体フォトン
アップコンバージョン材料:以下、UC材)を開発した。本UC材は安定
な固体で、高い波長変換効率を持ち、光触媒と組み合わせることで、
人工光合成に利用可能な光エネルギー量を増大させる。この技術によ
り、排出されたCO2を原材料として利用、樹脂製造等における 化石燃
料への依存低減を実現できる。日産は、2050年までにクルマのライフ
サイクル全体でのカーボンニュートラルの実現を目指す。今回、同社
はそのライフサイクルの一部である部品製造時のCO2 排出量を削減す
るため、CO2を再資源化する人工光合成の技術に着目。人工光合成は、
エネルギーを光触媒に与えることで、水を酸素と水素に分解し、その
水素とCO2を 反応させて、樹脂の原料となるオレフィン等を合成する
ことが可能になる。
【概要】
トリプレット増感フォトンアップコンバージョン(UC)は、幅広いア
プリケーションに提案されている。しかし、優れた固体材料の探求は、
結晶化度の低さ、結晶ドメインの小ささ、および三重項増感剤の凝集
によって引き起こされることが多い励起子輸送の悪さによって挑戦さ
れてきた。ここでは、ファンデルワールス固溶体の概念が並外れた性
能を備えた分子結晶を生成するという実質的な利点を示す。 0.001%
次のポルフィリン増感剤は、再結晶中に溶解し、青色蛍光炭化水素消
滅剤である9-(2-ナフチル)-10- [4-(1-ナフタ)フェニル]アント
ラセン(ANNP)の分子結晶になります。かさばるサイドグループ。こ
の試みにより、ミリメートルサイズの均一に着色された透明な固溶体
結晶が得られ、これにより、増感剤の凝集という長年の問題が解決さ
れる。アニーリング後、結晶は空気中で前例のないUC性能(定義上最
大50%のうち16%に達するUC量子収率、0.175太陽の励起強度閾値、
および15万秒以上の高い光安定性)を示す。これは、この概念が証明
されている。優れたUC固体材料の探求に非常に効果的である。
図1(a)TTA-UCを示す概略エネルギー図。アニヒレーター内の三重項
励起子は、TTAまたは非放射性崩壊を経て基底状態になるまで拡散的に
移動する。 (b)相互溶解度が制限された2成分系の概略状態図。こ
こで、αとβは固溶体を表す。この研究のコンセプトは、少量の増感
剤が消滅剤の結晶に溶解している分散力ベースのα固溶体を選択的に
生成することです。(c)PtOEP、ANNP、およびDPAの分子構造。(d)
サンプル準備の概略図とスクリューキャップガラスバイアルで3日間
結晶成長した後に撮影された典型的な写真。底に透明な結晶が見られ
る。
図2 UC結晶の形態的および光的吸収特性。 (a)結晶のデジタル写
真。 (b)典型的な結晶の顕微鏡写真および偏光顕微鏡下での対応す
る画像。 それらの厚さは56μm(左)と118μm(右)。 (c)UC結晶
(青、結晶厚:242μm)、PtOEPの希薄トルエン溶液(黒の破線、6×
10-5 M)、およびPtOEPの過飽和トルエン懸濁液(オレンジ、 2×10-3
Mより大きい)。 ここでは、溶液のピーク吸光度値をUC結晶のピーク
吸光度値に正規化した。 アスタリスクと矢印は、それぞれPtOEPの凝
集体の吸収特性と励起波長(542 nm)を示す。
図3 空気中で測定された光電子放出特性。 (a)アニーリングの前
後にUC結晶から取得された典型的な発光スペクトル。比較のために、
DPAで作成した参照結晶の結果(図S5、ESI†)を示す。この結果から、
UCの放出は観察されず。挿入図は、625~675nmの範囲の3000倍の倍率
を示す。 (b)アニーリング前後の場合の10個の結晶から得られた
542nmでの励起強度に対するΦUCの依存性。合計20個の結晶のデータ
セット全体については、表S1(ESI†)を参照。 (c)表S1(ESI†)
のサンプル#A7および#B2から取得した542 nmでの励起強度に対する
UC発光強度の依存性(図S6およびS7、ESI†も参照)。理論関数(参
照53)により曲線を近似し、そこからIthの値を取得した。(d)時間
分解UC発光強度減衰曲線(励起:540 nm、モニター:455 nm)アンサ
ンブルから取得。アニーリング前後の10個のUC結晶。トリプレット寿
命τTは、UC発光強度の減衰時定数の2倍であることに要注意。
約のアンサンブルから取得した時間分解UC発光強度減衰曲線(励起:
540 nm、モニター:455 nm)。アニーリング前後の10個のUC結晶。ト
リプレット寿命τTは、UC発光強度の減衰時定数の2倍であることに注
意。 (e)UC結晶のアンサンブル(3.2 mg)に対する太陽(⊙)の 単
位でシミュレートされた太陽光放射照度に対するUC発光強度の依存性。
詳細については、実験のセクションを参照。挿入図は、510 nmのロン
グパスフィルターを通過した後、1⊙の放射照度で取得された発光スペ
クトルを示しています。ここには、供給されたままのANNP粉末(3.2
mg)で得られた結果も示されている。 (f)542 nmのレーザー光(強
度:20 mW cm-2)を約2mmのアンサンブルに連続照射した場合の光安定
性試験。ノッチフィルターを通して取得された挿入写真によって示さ
れるように、スライドガラス上の10個のUC結晶。測定中の励起レーザ
ー出力の変動を補正しました(図S14、ESI†を参照)。パネル(c)、
(e)では、まず励起光パワーを上げて白抜きのデータを取得し、次
に黒塗りのデータを取得して定量的な再現性を確認。
図4 単結晶X線回折データから決定された結晶構造。 (a)供給さ
れたままのANNPおよび(b)アニーリング後のUC結晶。 ここで、ANNP
の側基は、両方の場合に共存する2つの異なるコンフォメーション(
水色とオレンジ色の4-(1-ナフチル)フェニル基、および緑と淡いピ
ンク色の2-ナフチル基)を持っている。 パネル(b)では、エタノー
ル分子がマゼンタ色で示されている。 すべての場合の結晶学的デー
タについては、表S3(ESI†)を参照。 CCDC堆積番号2109297および
2109300には、それぞれパネル(a)および (b)の補足的な結晶学的
データが含まれている。
図5 励起一重項消滅器1A *から基底状態増感剤SまでのBETの調査。
(a)BETの概略エネルギー図。ここで、k 1A(rad)およびk 1A(nonrad)
は、 それぞれ1A*であり、k1A(BET)は ForsterメカニズムによるBET
の割合を示す。 (b)UC結晶(青)およびPtOEPなしで調製された参
照結晶(ピンク)の時間分解蛍光強度減衰曲線(励起:405 nm、モニ
ター:455 nm)。 これらの曲線は、それぞれの場合に 10個の結晶か
ら取得した曲線を平均することによって生成された。 「UC結晶」の
データに1.21を掛けて、時間= 0でのこれらの曲線の高さに一致させ
た。
【考察】
α相のみからなるファンデルワールス固溶体結晶----分子間力の一種
であるファンデルワールス力によって形成される結晶----を明示的に
利用し、増感剤の偏析----凝固体の内部で,溶質濃度が不均質になる
こと----という長年の問題を解決し、優れたUC(固体フォトンアップ
コンバージョン材料)性能を備えた材料を実現するというコンセプト
を実証。速度論的に制御された高速凝固条件を使用するという既存の
概念と比較して、本アプローチには、(i)(ほぼ)平衡状態に依存
するために熱力学的安定性が高く、(ii)同時達成によりUC性能が高
いという利点がある。長い三重項励起子拡散長の計算と1A *状態から
の有害なBETの抑制。 (ii)の要因は、それぞれ、結晶化度が高く、
増感剤の濃度が著しく低い大きな単結晶ドメインによって引き起こさ
る。結晶性固体溶液を形成に、DPAで調製された参照結晶との比較に
より裏付けられ、ANNPのかさばる可動側基によって作成された格子間
サイトが重要な要因であることがわかりました。解明された高いΦUC、
低いIth、および空気中の高い光安定性は、アプリケーションに有望。
特に、シミュレートされた太陽光を使用して示された非常に低いIth
は、地上の太陽光を効率的にアップコンバージョンするために太陽集
光光学系が不要であることを示す。おそらく、この概念の最も重要な
利点は、広範なファンデルワールス力と炭化水素消滅剤に依存性にあ
る全体として、ここでの概念実証は、将来的に多様なフォトニクス技
術を切り開く高性能UC固体の探求における大きな技術的飛躍である。
【関連論文】
❏ an der Waals solid solution crystals for highly efficient
in-air photon upconversion under subsolar irradiance, https://
doi.org/10.1039/D1MH01542G.(Supplementary files)
✔ 色素増感太陽電池の開発に手を染め、九州大学などを中心とした
アップバージョン型光励起素子研究を経て17年、よくぞここまで到達
したかと感嘆。"一粒で300メートル"の「グリコーゲン」でないが太
陽光と二酸化炭素(再資源化)、光触媒で効率よくオレフィンを合成
する。「触媒」のロング・ライフ化が担保できれば夢は叶う。
□ ダイヤモンドで高移動度トランジスタを実現
【ウイルス解体新書 104】
序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第1節 免疫とはなにか
1-5-1 特許事例:免疫応答を高める方法
第2節
第3節 水際検査体制(未然感染防止)
第4節 自国のワクチン及び治療薬開発体制
4-1 国産ワクチン開発:新型コロナウイルス
4-1-1 予算も研究開発活動も限定的
コロナワクチンの開発で日本が出遅れた背景
4-1-2 国産ワクチン実用化の壁
4-1-2-2 規制の弾力的運用を
第5節 感染パンデミック監視体制
5-1 WEB特集 ワクチン接種 なぜ日本は遅い
5-2 新型コロナウイルス国産ワクチン開発生産体制構築の遅れ
5-3 新型コロナ感染者もワクチンを接種した方がいい
目標は感染防止ではなく重症化の阻止
第6節 エマージェンシーウイルス
第7節 新型コロナウイルス
7-1 新型コロナウイルスのライフサイクル
7-2 変異ウイルス
7-2-1 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コ
ロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について(第9報)
7-2-2 オミクロン株の特徴
1.ワクチンを追加接種しないとオミクロン株に有効な中和抗体が
十分に得られない
2.オミクロンはマウスで変異し人に感染したことが判明
3.モデルナワクチンのブースター接種で抗体が「83倍」に、オミ
クロン株の予防効果も確認される
4.ブースター接種後のさらなる追加接種で合計4回打ってもオミク
ロン株対策には不十分
5.アルファの突然変異はオミクロンの洞察を提供する
6.オミクロン・スパイクタンパク質-ACE2複合体の抗体回避とクラ
イオEM構造
▶2022.1.20, SCIENCE, DOI: 10.1126/science.abn7760
【概要】
新たに報告されたオミクロンの亜種は、世界中で最も普及している
SARS-CoV-2の亜種としてデルタに取って代わる準備ができている。ヒ
トACE2と複合体を形成したオミクロンバリアントスパイクタンパク質
の低温電子顕微鏡構造解析により、ACE2を使用したRBDの変異残基R493、
S496、およびR498によって形成された新しい塩橋と水素結合が明らか
になる。これらの相互作用は、ACE2結合親和性を低下させることが知
られているK417Nなどの他のオミクロン変異を補償するようであり、
デルタおよびオミクロン変異体に対する同様の生化学的ACE2結合親和
性をもたらす。中和アッセイは、オミクロンスパイクタンパク質を表
示するシュードウイルスが抗体回避の増加を示唆。したがって、抗体
回避の増加は、ACE2インターフェースでの強い相互作用の保持ととも
に、オミクロン変異体の急速な拡散に寄与する可能性のある重要な分
子的特徴をもつ。2021年11月に最初に報告されたSARS-CoV-2のオミク
ロン(B.1.1.529)変異株は、世界中に急速に広がる可能性のある懸
念の変異株としてすぐに特定された。この懸念は、オミクロンの亜種
が現在、二重にワクチン接種された個人の間でも循環しているために
高まっている。SARS-CoV-2は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)
受容体の認識を介した宿主細胞への侵入を三量体スパイクタンパク質
に依存。オミクロンバリアントスパイクタンパク質には、ガンマバリ
アントの12の変異と比較して、37の変異がある。これは、オミクロン
の前に出現する最も変異したバリアントである)。ACE2受容体結合お
よび中和抗体回避に対するこれらの変異の結果を理解することは、オ
ミクロンおよび関連する変異体の拡散を制限するための効果的な治療
法の開発を導く上で重要である。スパイクタンパク質は、受容体結合
ドメイン(RBD)を含むS1ドメインと、膜融合に関与する S2ドメイン
の2つのドメインで構成される。オミクロン変異体は、 最初の武漢-
Hu-1株と比較してスパイクタンパク質に 37の変異( 図1A )があり、
そのうちの15は受容体結合ドメイン(RBD)に存在する。RBDは、ACE2
受容体を介してヒト細胞への付着を仲介し、中和抗体の主要な標的で
ある。オミクロンが出現するまで主なSARS-CoV-2系統であったデルタ
変異体は、 武漢-Hu-1株と比較してスパイクタンパク質に7つの変異
があり、2つの変異がRBD内にある。デルタスパイク変異のうち 2つ
(RBDのT478KとS1のC末端のD614G)はオミクロン株と共有されている。
オミクロンゲノムの配列の分析は、それが現在循環している変異体
のいずれにも由来しておらず、異なる起源を持っている可能性があ
ることを示唆する。
図1.オミクロンスパイクタンパク質の低温電子顕微鏡構造
(A)スパイクタンパク質のドメイン配置を示す概略図。 オミクロン
バリアントスパイクタンパク質に存在する変異はラベル付けされてい
る。(B)2.79Aの分解能でのオミクロンスパイクタンパク質の低温電
子顕微鏡マップ。プロトマーはさまざまな紫の色合いで着色されてい
る。(C)1つのプロトマー上のモデル化された変異の位置を示すオミ
クロンスパイクタンパク質の低温電子顕微鏡構造。 (D)オミクロン
スパイク受容体結合ドメイン(RBD)は、 2つの直交する方向で示さ
れ、変異した残基のCα位置は赤い球で示す。 オミクロンスパイクタ
ンパク質外部ドメインの低温電子顕微鏡構造分析は、三量体の全体的
な構成が、祖先株(5~7)および 以前のすべての変異体(8~10)で
観察されたものと類似していることを示す(図1Bおよび表S1)。プロ
トマーの1つ(プロトマー1)の RBDは十分に分解され、「下」の位置
にあるが、他の2つのRBDは、スパイクタンパク質ポリペプチドの残り
の部分に比べて柔軟性があるため、あまり分解されない。同様に、ア
ミノ末端ドメイン(NTD)は、 このドメインの動的で柔軟な性質を反
映し、十分に解決されていない。オミクロンバリアントスパイクタン
パク質の変異は、 NTDおよび RBD領域を含むスパイクタンパク質の表
面と内部の両方に分布する(図1C)。RBDの変異は、 主にドメインの
片面に分布しており(図1D)、ACE2に結合する領域と、多数の中和抗
体のエピトープを形成する領域にまたがる(11)。 オミクロン変異株
は、以前の懸念変異株(K417N、T478K、および N501Y)と共通の RBD
変異を共有。N501YおよびK417N変異は、それぞれACE2結合親和性の増
加および減少をもたらす (8、12~16)。これらの変異効果は、単独
で、または 他のRBD変異と組み合わせて存在する場合、ACE2親和性に
対する同じ一般的な影響を維持(12)。ただし、オミクロンRBD には
追加の変異が含まれており、 G339D、N440K、S447N、および Q498R
(17、18)を除いて、その大部分がハイスループットアッセイで受容
体結合を低下させることが示されている(表S2)(17)。 ヒトACE2
結合親和性に対するオミクロンスパイクタンパク質変異の影響を測定
するために、表面プラズモン共鳴研究を実施し、得られた見かけの結
合親和性(K D、app)を野生型およびデルタスパイクと比較した(図
2)。この作業では、野生型(WT)を使用して、D614G変異が追加され
た祖先の武漢-Hu-1株を指す。オミクロンスパイクタンパク質は、 野
生型スパイクと比較してACE2に対する見かけの親和性の測定可能な増
加を示すが(最近のプレプリント(19)と一致)、見かけのACE2親和
性はデルタおよびオミクロン変異体で類似(図2D)。ACE2結合を減少
させるいくつかのRBD変異を抱えているにもかかわらず(図S2)(12、
16、17 )、オミクロンスパイクタンパク質に対する全体的なACE2 結
合親和性の維持は、ACE2に対するより高い親和性を回復する代償性変
異があることを示唆す。このような変異効果は、スパイクタンパク質-
ACE2複合体の高解像度構造で視覚化できるはず。
図2.ヒトACE2に対する野生型、 デルタ、およびオミクロンスパイ
クタンパク質の親和性のSPR分析
(A~C)Sタンパク質-ACE2結合の単一サイクル速度論的分析の代表的
なトレース。生データ(黒)は、見かけの解離定数が導き出された
1:1 結合化学量論を使用してモデルに適合(赤)される。曲線は、
6.25、31.25、62.5、125、250nMの 各スパイクタンパク質を連続サイ
クルで注入することによって得られました。(RU:応答ユニット)。
(D)野生型、デルタ、およびオミクロンSタンパク質-ACE2 相互作用
の見かけの解離定数(K D、app)の定量化。少なくとも3つの技術的
複製から得られた標準偏差が示される。このアッセイの範囲を示すた
めに、K417N(上)またはN501Y + E484K(下)変異のみを保有する変
異体について水平の点線がプロットされています(結合データについ
ては図S2を参照)。テューキーの多重比較検定は、野生型、デルタ、
およびオミクロンの結合親和性で実行されました(*P~0.05、ns =
有意ではない)。WTと比較したデルタおよびオミクロンSタンパク質-
ACE2相互作用のKD 、appの倍率変化を強調した表を示す。
ヒトACE2-オミクロンスパイクタンパク質複合体の低温電子顕微鏡構造
分析は、「上」位置にあるプロトマーの1つのRBDに結合したACE2の強
い密度を示す(図3Aおよび表S1)。2番目に結合したACE2の密度は 弱
く、実験条件下で2番目のRBDが部分的に占有されていることを示す。
最も強く結合したACE2分子のACE2スパイクタンパク質インターフェー
スの構造に焦点を当る。RBD-ACE2領域の焦点を絞った改良により、ス
パイクタンパク質-ACE2界面で2.66Aの分解能の密度マップが得られ(
図3B)、界面に関与する側鎖の可視化が可能になりました(図3C)。
図3のDからFでは 、オミクロンバリアントのこのインターフェースで
の主要な相互作用を、デルタバリアントについて最近報告した対応す
る相互作用と比較(20)。デルタ変異体-ACE2複合体では、 スパイク
タンパク質の残基Q493とQ498によって形成された水素結合があり、AC
E2の残基E35とQ42がそれぞれ存在(図3D)。オミクロン変異体では、
このストレッチで3つの変異が観察される:Q493R、G496S、Q498R。残
基R493は、ACE2残基E35への水素結合を新しい塩橋で置き換える。一
方、残基R498は、ACE2残基Q42との水素結合相互作用を維持しながら、
ACE2残基D38と新しい塩橋を形成。RBD残基S496は、ACE2残基K353と水
素結合を形成することで、界面に新しい相互作用を追加(図3D)。さ
らに、オミクロンRBDの変異残基Y501は、アルファ(B.1.1.7)、ベー
タ(B.1.351)、およびガンマ(P.1)バリアントで以前に見られたよ
うに、ACE2のY41とパイスタッキング相互作用を行う(8、12)、変異
した残基H505はACE2のE37に水素結合していないが、 Y505残基につい
て以前に報告したものとは対照的(図3E)。
図3 オミクロンスパイクタンパク質-ACE2複合体の低温電子顕微鏡
構造 (A)グローバルリファイン後の2.45A分解能でのヒトACE2と複
合体を形成したオミクロンスパイクタンパク質の低温電子顕微鏡マッ
プ。3つのプロトマーは異なる 紫の色合いで着色され、 結合された
ACE2の密度は青で着色。(B)焦点を絞った改良後の2.66Aの分解能で
のACE2と複合体を形成したオミクロンスパイクRBDの 低温電子顕微鏡
マップ。挿入ボックスは、(C)で強調表示されている領域を示す。
(C)オミクロンスパイク RBD-ACE2界面での低温電子顕微鏡密度メッ
シュ、適合原子モデル。黄色と赤の破線は、それぞれ新しい水素結合
とイオン相互作用を表す。(Dから F)オミクロン(上)とデルタ下)
のバリアント間のRBD-ACE2インターフェースの比較。デルタ変異体と
比較して、新しい相互作用は、変異Q493R、G496S、および Q498R(D)
およびオミクロン変異体に存在するN501Yおよび Y505H変異(E)によ
る局所構造変化の結果として形成される。デルタRBDK417とACE2D30の
間の塩橋は、デルタバリアントスパイクタンパク質には存在するが、
オミクロンバリアントでは失われる(F)で 強調表示され、黄色と赤
の破線は、それぞれ水素結合とイオン相互作用を表す。
これらの新しい相互作用は、スパイクタンパク質残基K417とデルタ変
異体に存在するACE2残基D30の間の重要な塩橋の喪失によって 相殺さ
れる(図3F)。単独で、K417N変異体は ACE2結合親和性の低下を示す
が(12、16)、この発見は、オミクロン界面の新しい変異がACE2結合
の強度に代償効果を及ぼし、観察された同様のACE2結合親和性の説明
を提供を示唆(図2)。次に、(i)モノクローナル抗体の選択、(ii)
COVID-19感染の既往歴のない30人の二重ワクチン接種者から得られた
血清、および(iii)68のセットから得られた血清によって、 中和に
対するオミクロン変異の影響を調査。アルファ、ガンマ、またはデル
タのいずれかの変異による感染から回復したワクチン未接種の回復期
の患者(患者の人口統計の要約は表S3にある)。野生型、デルタ、ま
たはオミクロンバリアントSタンパク質を 組み込んだ疑似ウイルスを
使用して中和実験を行い、これらの疑似ウイルスが抗体を回避する能
力を比較した。オミクロン変異体が世界的な流行でデルタ変異体に急
速に取って代わっていることを考えると、デルタ変異体と比較して回
避を比較し、現在のSARS-CoV-2ワクチン免疫原の大部分がこれに基づ
いていることを考えるとシーケンス(21)の野生型SARS-CoV-2と比較。
RBDに向けられた抗体を含む中和モノクローナル抗体のパネルを使用
[ab1、ab8、S309、S2M11; (22~25)]および2つのNTD指向抗体[4-8
および4A8;(26、27 )] モノクローナル抗体の 逃避に対するオミク
ロンRBDおよびNTD変異の影響を調査する。野生型とは対照的に、SARS-
CoV-2のアルファ(B.1.1.7)、ガンマ(P.1)、カッパ(B.1.617.1)、
および デルタ(B.1.617.2)バリアント、オミクロン変異体は、テス
トされた6つの抗体のうち5つ(図4Aおよび図S4)の 最大濃度では完
全に中和できない(20、28)。オミクロンに対する両方の NTD指向性
抗体(4-8および4A8)の中和活性の喪失は、これらの抗体の両方のフ
ットプリント内にあるΔ144-145の欠失が原因である可能性がある(
図4B)。RBDに向けられた抗体S2M11、ab8およびab1からの脱出は、そ
れぞれのフットプリント内にある多数のオミクロン変異による可能性
があります(図4B)。対照的に、S309(COVID-19患者を治療するため
の臨床試験で評価中の抗体)は、オミクロン変異体を完全に中和する
ことができ。これは、効力がわずかに低下したにもかかわらず、S309
の中和能力が保持されていることを示す以前の報告と一致している(
19、29~31)。したがって、オミクロン変異体スパイクタンパク質の
異常に多数の変異は、SARS-CoV-2の以前に出現した変異体と比較して
幅広い抗体エスケープを与えるようであり、新たな報告と一致してい
る(19)。
図4.モノクローナル抗体とワクチン接種および回復期の患者由来
の血清は、オミクロン中和能の低下を示す。
(A)野生型およびオミクロン偽ウイルスに対する示された モノクロ
ーナル抗体によって達成された最大の中和(n = 3技術的複製)。 エ
ラーバーは、平均の標準偏差を示します。 (B)この研究でテストさ
れたモノクローナル抗体の抗体結合フットプリント。各抗体フットプ
リント内にあるオミクロンスパイクタンパク質変異はラベル付けされ
ています。(C)野生型(WT)対オミクロン変異型偽ウイルス(上)
またはデルタおよびオミクロン変異型偽ウイルス(下)のいずれかに
対するワクチン接種および回復期の患者血清の対数倍EC50希釈。(D)
(C)と同様に、回復期の患者を、懸念されるデルタ、アルファ、お
よびガンマ変異株による以前の感染に分類する。ペアワイズ統計的有
意性検定は、ウィルコクソンのマッチドペア検定を使用して実行され
た (*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001)。2つのグル
ープ間の幾何平均の倍率変化は、各プロットの上部に赤いテキストで
示される。
SARS-CoV-2(パンデミック前)に曝露されていない患者から得られた
血清は、野生型SARS-CoV-2およびデルタとオミクロンの両方の変異体
に対してごくわずかな中和活性を示す(図S5)。ワクチン接種または
回復期の患者の血清は、野生型偽ウイルスの強力な中和を示した(図
S6からS9)。回復期の患者からの血清は、野生型と比較して、オミク
ロン変異体を中和する能力の平均6.3分の1の減少を示した(図4C、上
)。ワクチン接種されたコホートからの血清はまた、中和能力の低下
(平均で4.4倍の減少)を示し、 オミクロンに対する中和能力のより
大きな喪失を示した一部の個人によって引き起こされたより広い変動
を示した。デルタ変異体とオミクロン変異体の間の中和能の変化の比
較は、デルタ変異体の以前の世界的な優位性を考えると、おそらくよ
り適切である。回復期の患者からの血清は、デルタ変異体と比較して
中和効力のさらに大きな低下を示し(8.2倍の減少)、ワクチン接種群
も効力の低下を示したが、程度は低い(3.4倍の減少)(図4C、下)。
デルタ、アルファ、またはガンマ変異体のいずれかによる感染から回
復した人々に層別化されたワクチン未接種の回復期コホートのより詳
細な分析( 図4D)は、すべての集団、特にデルタ変異体と比較して、
オミクロン変異体に対する中和効力の低下を強調する以前のアルファ
およびデルタ変異体からの感染から回復した患者のための印象的な低
下。ここで報告する調査結果は、他のいくつかの最近の報告(19、32
~34)と一致しており 、 オミクロンの亜種は、以前の亜種による以
前の感染またはワクチン接種に依存する中和に対して、COVID-19パン
デミックの過程で。出現した他の懸念のある亜種よりも耐性が高いと
いう発見を支持する。
免疫優勢RBD(図1) を含む スパイクタンパク質の表面の多数の変異
は、 ワクチン接種 または以前の感染によって誘発された抗体をウイ
ルスが逃れるのを助けると予想されます。オミクロン変異体が、これ
らの広範な変異にもかかわらず、ACE2に効率的に結合する能力を保持
するように進化したことは興味深いことである。スパイクタンパク質-
ACE2複合体のクライオEM構造は、これがどのように達成されるかにつ
いての構造的根拠を提供する。残基493、496、498、および501でのオ
ミクロン変異体の新しい変異を含む相互作用は、ACE2結合効率を回復
するように見える。 K417Nなどの他の突然変異のために失われた。し
たがって、オミクロン変異体は、中和からの脱出の増加とACE2と効率
的に相互作用する能力とのバランスを選択的にとるように進化したよ
うである。したがって、抗体回避増加とACE2インターフェースでの強
い相互作用の保持は、オミクロン変異体の伝染性の増加に寄与する可
能性が高い要因である。
【論文】
❏ SARS-CoV-2 Omicron variant: Antibody evasion and cryo-EM structure
of spike protein–ACE2 complex,SCIENC : 20Jun 2022.
DOI: 10.1126/science.abn7760
第8節 感染リスク
1.感染力2.致死率・重症化
8-1 予後
8-1-1 死亡リスク
8-1-1-1 新型コロナ生存者の死亡リスク
8-1-1-2.生存者の死亡リスク
8-2-1 脳損傷
8-2-1-1 新型肺炎と脳の関係
8-2-2 後遺症
8-2-2-1.嗅覚障害
8-2-2-2 後遺症の未来
8-2-2-3 新型コロナウイルス感染症の後遺症による認知能力
8-2-2-4 コロナ後遺症のメカニズム一部解明 倦怠感
8-2-2-4 回復後も疲労や認知機能の低下が続く「ロングCOVID」
第9節 感染予防・検査・治療
9-1 検査方法・装置設備
9-1-1 新型コロナウイルス感染症に関する検査
1.新型コロナウイルス抗体の種類と量を30分で測定
9-3 新型コロナ治療薬
1.国内で使用されている主な薬剤
9-3-1 細胞に侵入するのを防ぐ
1.ソトロビマブル) 抗体カクテル療法
9-3-2 増殖を防ぐ
1 レムデシビル:Remdesivir
2.モルヌビラピル:Molnupiravir
3.ニルマトレルビル:Nirmatrelvir
4.リトナビルリトナビル: Ritonavir
5.ニルマトレルビル:Nirmatrelvir
6.リトナビル:Ritonavir
7.パクスロビド(ニルマトレルビル+リトナビル):
8.核酸代替拮抗薬発見 北海道大学
9-3-3 炎症を防ぐ 第10節 ウイルスとともに生きる
10-1 バイオハザード対策の発展史
10-2 高度隔離施設の現場へ
10-3 病原体の管理基準
10-4 根絶の時代から共生時代
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第1節 各国の動向と対策の特徴1.米国
1-1 COVID-19委員会の創設を提案
第2節 謎のCOVID-19起源
2-1 消えぬ武漢研究所人為的発生説
第3節 新型コロナウイルスで分かったこと
3-1 人体の免疫システムからの逃避機構
3-2-1
3-3 ファクターX”は日本人の免疫細胞か
第4節 いつまで続く「コロナ禍」は?!
4-1 適切な専門家に聞く「新型コロナ」の読み解き方
4-1-2 人工ウイルス説はなぜ登場し、そして否定できるのか
4-1-3 SARS-CoV-2とはどんなウイルスなのか
終 章 ウイルス感染症と戦略『後手の先』
Source: Bloomberg
米軍、8500人派兵待機 ウクライナ巡りNATOへ
▶2022.1.25 6:53 共同通信
バイデン米大統領は、ロシアが軍事圧力を強めるウクライナ情勢に対
処する「北大西洋条約機構(NATO)即応部隊」に米軍約8500人を短期
間で派兵できる態勢を整えるように命じた。バイデン氏は24日、欧州
諸国首脳らとテレビ電話会議を開き、問題の外交解決を目指す方針で
一致し、結束を確認した。米政府などが発表した。欧米諸国は、ウク
ライナやベラルーシの国境に展開するロシア軍が「部隊を増強し続け
ており、規模は大きくなっている」(カービー米国防総省報道官)と
みており、緊迫がさらに高まっている。軍事的な対応と同時に外交解
決の道を模索している。
□ トンガ噴火は「桁外れに奇妙」
予想よりはるかに複雑な歴史が明らかになるも、深まる謎
1分あたり5000~6000回という記録的な頻度で火山雷が発生した1
月14日の様子 Source;ナショナルジオグラフィック日本版サイト
風蕭々と碧い時代
曲名:君のひとみは10000ボルト(19782.8)
唄 :堀内孝雄 ニューミュジック
作詞・作曲: 谷村新司, 堀内孝雄
鳶色のひとみに 誘惑のかげり
金木犀の 咲く道を
銀色の翼の馬で 駈けてくる
二十世紀の ジャンヌ・ダークよ
君のひとみは 10000ボルト
地上に降りた 最後の天使
君のひとみは 10000ボルト
地上に降りた 最後の天使
まぶしすぎる朝に 出会った時の
そんな心の ときめきを
知らぬ間にふりまき 消えていった
季節はずれの ミストレル
君のひとみは 10000ボルト
地上に降りた 最後の天使
君のひとみは 10000ボルト
地上に降りた 最後の天使・・・・・・
「君のひとみは10000ボルト」は1978年8月にアリスの堀内孝雄がソロ
としてリリースしたシングル。
1978年の年間第4位に輝くなど、90万枚を越す大ヒットとなる。作詞
は谷村新司、作曲は堀内孝雄。1978年の「資生堂化粧品」秋のキャン
ペーンソング。リリースされて約1ヶ月でオリコン・シングルチャー
トの3位に初登場し、翌週には1位を獲得。この曲は始めから資生堂
のCMソング前提として作られた曲であり、タイトルも資生堂が決めた
ものである。資生堂本社での打ち合わせの席で担当者が「テーマをお
伝えします」と切り出し、競合他社があるため他言無用としながら「
君のひとみは10000ボルト」とのみ書かれた紙を封筒から出して見せ、
堀内が記憶したことを確認するとすぐに封筒に戻してしているが、資
生堂からはそれ以上の説明はなかった。 via Wikipedia
● 今夜の寸評:沸騰する欲望と対峙する知恵