極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

街づくりハーブガーデン設計事業

2021年05月11日 | 開発企画



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫”と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
成のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

    
                                      

17 陽 貨  よ う か
--------------------------------------------------------------
「性、相近し、習、相達し」(2)
「鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん」(4)
「道に聴きて塗に説くは、徳をこれ棄つるなり」(14)
「ただ、女子と小人とは養い難しとなす」(25)
「年四十にして悪まるるは、それ終わらんのみ」(26)
--------------------------------------------------------------
24.子貢しこうが孔子にたずねた。
「先生でも人を憎むことがありますか」
「あるとも。他人の失敗を喜ぶ者、下僚として上司のかげ口をたたく
者、ただの乱暴を勇気とはきちがえている者、独断を決断と感違いし
ている者。わたしはこんな連中を憎むが、おまえは?」
「はい。他人の知恵を盗んで知恵者ぷる者、出しゃばりが勇敢だと思
いこんでいる者、他人の秘密をあばいて廉直づらをする者、こういう
連中をわたしは憎みます」

子貢問曰、君子亦有惡乎。子曰、有惡、惡称人之惡者、惡居下流而謗
上者、惡勇而無禮者、惡果敢而窒者。曰、賜也亦有惡乎、惡徼以爲
知者、惡不孫以爲勇者、惡訐以爲直者。

Zi Lu asked, "Does a gentleman value courage?" Confucius replied,
"A gentleman value justice than courage. A courageous gentleman
without a sense of justice will sow the seeds of discord.
A courageous worthless man without a sense of justice will be
a thief."



 街づくり緑化事業論:道路法面緑化Ⅰ



「緑の募金」をきっかけとしてまずは、家庭で行っている園芸を街づ
くりの緑化の実践をおこなうことに、設計にはいろいろあるが、植栽
丈を10~80センチメートルとして四季通年色彩豊かなグリーン・
ゾーニング(園芸)を基本骨子としたハーブ中心の花木構成とする。

通年の花木といえば、次のようなイメージとなる。
2月、3月:①プリムラ・ジュリアン、②プリムラ・イブニングスタ
早春の頃、可憐に咲いているのは①水仙ティタティタ。②クリスマス
ローズと③ミニミニアイリス。③パンジー、④ビオラ、⑤ワスレナグ
サ、⑥ネモフィラ、⑦ルピナス・ピクシィデライト、⑧アネモネ、
4月,5月:①ルピナス・ピクシィデライト
5月のエントランスガーデンは、①銅葉のテマリシモツケの花が咲き、
②メギなどの植物たちとのグリーンの対比も綺麗。一番奥には③アカ
ンサスの花芽がたっている。
ハナミズキが咲く時期には①チューリップ。②ジューンベリーが咲く。
6月、7月:①ジニアン(百日草)、②ペチュニア、③サフィニア、
④カリブラコア、⑤サルビア
8月、9月:①センニチコウ、②エキナセア、③バイラディア、④チ
ェリーセージ、⑤ルドベキア、⑥ガウラ、⑦フロックス、⑧バーベナ
⑨ひまわり、⑩マリーゴールド、⑪オレガノ・ケントビューティー
10月、11月:①アナベル。②千日紅、③ケイトウ
12~3月:①アリッサム、②パンジー・ビオラ、③宿根ネメシア、
④ガーデンシクラメン、⑤キンセンカ



ハーブ類:①グレビレア、②カレックス、③ユーカリ、④ブルーベリ
ー、⑤ミント、⑥紫蘇、⑦ルッコラ、⑧スイスチャード、⑨イタリア
ンハーブ、⑩バジル、⑪レモングラス、⑫ジャーマンカモミール、⑬
コリアンダー、⑬タイム、⑭ローズマリー、⑮ラベンダー、
山野草類:① エビネ(海老根)、②サクラソウ(日本桜草)、③すず
らん(鈴蘭)、④リンドウ(竜胆)、⑤桔梗(キキョウ)、⑥ホタル
ブクロ(蛍袋)、⑦スミレ(菫)、⑧ホトトギス、⑨雪割草(ミスミ
ソ0ウ)、⑩10.富貴蘭 (風蘭)







今日はこれから、雑草刈りを充電式電動バリカンででおこなう(雨天
順延)。すでに、玉竜、ローズマリー、久留米躑躅など植栽済。



 

長期保存可能な無菌充てん豆腐革命

新型コロナウイルス感染拡大に伴う「巣ごもり需要」で、保存性に優
れた食品の需要が高まっている。豆腐では、長期保存できる無菌充て
ん豆腐の認知度向上につながっている。森永乳業は、18年に豆腐の規
格基準、食品表示基準が改正され、無菌充てん豆腐の常温販売が解禁
されたことを受け、宅配専用の「森永とうふ」シリーズを、19年1月に
常温保存可能品として展開を開始した。賞味期限は195日。「お料理向
き 森永とうふ」「森永 絹ごしとうふ」の2種類をそろえる。 牛乳の
無菌充てん包装を応用したロングライフ技術と、バリア性の高い6層構
造の紙パックの採用で、保存料や防腐剤を使用せずに長期保存を可能
としている。同社担当者によれば、なるべく外出の回数を減らすため、
同シリーズに興味を持つ消費者が増えている。
また、さとの雪食品は、空気や光を通さない特殊な紙容器と、独自の
豆乳殺菌法により、保存料を使用せず長期間(180日間)おいしく食べら
れる「四季とうふ」などを展開している。「開けたときが、できたて
の味」を実現。同社によれば、「『四季とうふ』は、2020年4月7日に
政府から緊急事態宣言が発令された際、いくつかの量販店で引合いが
あり、その量販店からは、通常の約5倍の発注があった」という。生活
に欠かせない食料品の買い物は通常通りできるため、その後は商品動
向に目立った動きは無かったとするが、「今後、買い頻度をもっと控
えるなど大きな動きがあった場合は、商品の動きに変化が出てくるか
もしれない」と見ている。2021年5月1日から、常温で賞味期間120日間
の「ずっとおいしい豆腐」(税込171円)を全国の食品スーパーなどで販
売開始する。「ずっとおいしい豆腐」は、原料は「国産大豆・にがり・
水」のみで、四国化工機グループの三事業(機械・包装資材・食品)それ
ぞれが長年培った特殊技術により、おいしさはそのままに常温で長期
保存を実現。無菌充填技術、豆腐の風味を損なう原因の酸素と光をブ
ロックする特殊紙容器を採用し、常温流通のうえで障壁となっていた
大豆由来の菌の殺菌条件を導き出し、豆乳の無菌化に成功している。
経由:品産業新聞社ニュースWEB、2021.4.22)
✔ 大豆は代替肉としても有望!開発課題は多いが、実現までの変な
 自信だけはある。後は時間だけだ。豆腐に関しては、酸素・紫外線
 の無菌シールド加工技術(ネオコンバーテック事業)に包含される
 ので詳細考察は割愛。
 



【ウイルス解体新書 ㉒】



序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第1節 免疫とはなにか

第6節 エマージェンシーウイルスの系譜
6-1 人獣共通感染症とエマージング感染症
6-1-1 動物由来感染症
6-2 マールブルグ病
6-2-1 ミドリザルからの感染
6-2-2 メディアが描写したウイルス像
6-2-3 限られた設備でのウイルス分離
6-2-4 自然宿主の解明
6-2-5 最大の致死率を示したマールブルグ病の発生

6-3 ラッサ熱

6-4 エボラ出血熱

6-5 ハンタウイルス病
6-6 ヘンドラウイルス病
6-7 ニパウイルス脳炎
6-8 ウエストナイル熱
6-9 エマージング感染症はなぜ繰り返し現れるのか
6-9-1 エマージングウイルス出現の背景
6-9-1-1 生態系の変化と農業発展
6-9-1-2 人口動態と行動の変化
6-9-1-3 国際交流と貿易
6-9-1-4 技術と工業
第7節 嗅覚障害
7-1 新型コロナウイルスと嗅覚障害位Ⅰ
7-2 新型コロナウイルスと嗅覚障害位Ⅱ
7-2-1 降圧剤はCOVID-19を重症化しない
7-3 新型コロナウイルスと嗅覚回復
7-3-1 4種のアロマを1日2回嗅ぐことで嗅覚回復
第8節 新型コロナウイルス
8-1 コロナウイルスの特徴
8-2 最初のコロナウイルスの発見
8-3 重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス
8-4 中東呼吸器症候群(MERS)ウイルス
8-5 「次の新型コロナウイルス」に備える
8-6 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の出現
8-6-1 コロナウイルスの変異を理解する
論文の主張は多くの科学者を不安にさせた。D614G系統のウイルスが
他の系統のウイルスよりも感染性が高いことが分かったわけでも、そ
の比率の高まりが何らかの異常事態の兆候であることが明らかになっ
たわけでもないのに、論文の警告はマスコミによって急速に広まる。
多くのニュース記事には研究者らのただし書きが添えられていたが、
ウイルスが変異して危険性を増したと断定する見出しもあった。
Montefioriらは今、このバリアントの増加を「alarming(驚くべき、
憂慮すべき)」という言葉で表現したことを後悔する。実際、査読を
経て2020年7月にCellに掲載されたこの論文からは、この言葉は削除。
(出典:コロナウイルスの変異を理解する、Nature ダイジェスト、
Nature Portfoliok;Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 12、doi :
10.1038/ndigest.2020.201226、原文: (2020-09-10), doi: 10.1038/
d41586-020-02544-6)

彼らの研究をきっかけに、人々はD614Gに強い関心を寄せるようにな
った。この変異がウイルスの特性を変えたという見方に懐疑的な人々
でさえ、短期間で優勢になり、至る所で出合うようになったこのバリ
アントに興味をそそられていることを認める。数カ月前から、この系
統は配列決定されたほとんど全てのSARS-CoV-2検体から発見される。
エール大学公衆衛生大学院(米国コネチカット州ニューヘイブン)の
ウイルス疫学者Nathan Grubaughと2人の同僚は、KorberとMontefiori
の発見に関するエッセイをCell に寄稿した。その中で「現在、この
バリアントはパンデミックになっている。従って、その特性は重要で
ある」と記載する。



世界的な広がり
D614G変異は2020年6月末までに全世界のSARS-CoV-2検体のほとんど全
てで見られるようになった。
現時点では、この研究の結末は、MontefioriとKorberのプレプリント
論文の示唆ほど明確でない。いくつかの実験では、このバリアントを
持つウイルスの方が細胞に感染しやすいことが示唆されている。別の
研究では、このバリアントのおかげでワクチンはSARS-CoV-2を標的に
しやすくなるとこ言われ、喜ばしい結果が出ているが、多くの科学者
は、D614Gがウイルスの広がりに大きな影響を与えることやバリアン
トが優勢になった理由が自然選択の説明を裏付ける確かな証拠はない
とされている。ノースカロライナ大学チャペルヒル校(米国)のコロ
ナウイルス研究者Timothy Sheahanは「この変異に意味があるのかない
のか、まだ結論は出ていと言われていた。

8-6-1-1 遅い変化
中国でSARS-CoV-2が検出されて間もなく、研究者たちはウイルス検体
を分析して塩基配列をネット上に公開し始める。異なる感染者から採
取したウイルス間の相違の大半は1塩基の変異だった。研究者らはこう
した変異を利用して密接に関連したウイルス同士を結び付けることで
ウイルスの広がりを追跡し、SARS-CoV-2がヒトに感染するようになっ
た時期を推定できたという。SARS-CoV-2やHIV、インフルエンザウイル
スなどのRNAからなるゲノムを持つウイルスは、RNAを複製する酵素が
複製ミスを起こしやすい、宿主の中で複製されるとすぐに変異する傾
向があり、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスは、ヒトの間で広
がり始めてから欠失と呼ばれるタイプの変異を起こしたことで、広が
るペースが遅くなった可能性があが、コロナウイルスの塩基配列デー
タは、その変化のペースが他のほとんどのRNAウイルスよりも遅いこと
を示唆する。これはおそらく、致命的な複製ミスを修正する「校正」
酵素の働きによるものであり、バーゼル大学(スイス)の分子疫学者
Emma Hodcroftは、典型的なSARS-CoV-2のゲノムでは1カ月に1塩基置
換が2個しか蓄積しないが、この変化ペースはインフルエンザウイル
スの約半分、HIVの約4分の1とされ。SARS-CoV-2の安定性は、他のゲ
ノムデータでも目立っている。これでに9万以上のウイルス検体の塩
基配列が決定され、公開されているが(www.gisaid.org参照)、2つ
のSARS-CoV-2ウイルスを比較すると、採取された場所を問わず、RNA
の万9903文字のうちの平均10文字程度の違いしかないという。ウイル
スの変異のペースは遅いものの、研究者がSARS-CoV-2ゲノムに見つけ
た変異は1万2000以上に上る。とはいえ、変異を見つけても、理解で
きるまでには時間がかかる。多くの変異はタンパク質の形を変えない
ため、ウイルスの伝染性や病原性には影響を与えない。これに対して、
タンパク質を変化させるような変異は、ウイルスにとって役に立つよ
りも害をなす可能性の方が高い(「コロナウイルスの変異のカタログ
」参照)。SARS-CoV-2のゲノムをリアルタイムで解析するNextstrain
というプロジェクト(nextstrain.org)のメンバーであるHodcroftは、
「何かを壊すことは、直すことよりはるかに簡単なのです」と言う。


図 コロナウイルスの変異のカタログ
SARS-CoV-2 ゲノムでは、最も多いD614G変異をはじめ、さまざまな変
異が検出されている。このRNAウイルスの遺伝暗号は3万塩基(文字)
よりやや少なく、少なくとも29個の遺伝子をコードしている。最も一
般的な変異は1塩基置換である。
ところで、変異がウイルスの広がりを速めるのに役立ったとすれば、
おそらく初期の段階、例えば、ウイルスが別の種からヒトに初めて感
染したときや、ヒトからヒトへ効率よく伝播できるようになったとき
ではないかと考えている。地球上のほとんど全ての人類がウイルスに
感染する可能性がある現代において、ウイルスの伝播効率を良くする
進化圧はほとんどない、潜在的に有益な変異であっても広まらない可
能性があるが、ウイルスにとっては、出会う人全員が格好の餌となる。
これ以上うまくやるための選択は考えられない。

 Bette Korber

8-6-1-2 伝播が加速か
D614G変異の急速な広がりを目にしたとき、意味のある自然選択の例
を発見したのではないかと考えられた。この変異が、スパイクタンパ
ク質中の位置のせいだった。ウイルスに結合して活性を失わせる抗体
は「中和」抗体と呼ばれるが、スパイクタンパク質は中和抗体の主要
な標的。そして、スパイクタンパク質にD614G変異を持つウイルスの
頻度は、世界の複数の地域で増加していく。 D614G変異は、2020年1
月下旬に中国とドイツで採取されたウイルスで最初に見つかったが、
ほとんどの科学者は、中国で生じたものだ。現在では、D614G変異を
持つSARS-CoV-2は必ずといってよいほどゲノムの他の部位に3つの変
異がある。つまり、この変異を持つほとんどのウイルスが、1つの共
通祖先に由来していることを示している可能性がある。欧州でのD614G
変異の急激な増加に注目された。欧州大陸の大部分がロックダウンに
入る2020年3月より前には、変異していない「D型」ウイルスと、変異
した「G型」ウイルスの両方が存在していて、遺伝学者たちが当時検体
を採取した西欧のほとんどの国ではD型ウイルスが優勢であったが、3
月になると欧州大陸全体でG型ウイルスの頻度が上昇し、4月にはG型
ウイルスが支配的になっている。しかし、G型ウイルスが生き残りや
すい理由は、自然選択でのみ説明できるわけでも、その説明が最有力
というわけでもない。G型バリアントが欧州で優勢になったのは単なる
偶然である可能性もある。例えば、欧州に入ってきたウイルスでは、
たまたまこの変異がわずかに多かったのかもしれない。ウイルスが広
がる場合の多くは、感染源は少数の人々と見られることから、初期に
G型ウイルスが偶然多めに存在していれば、この系統が現在優勢になっ
ている理由を説明できるのかもしれない。このような「創始者効果
はウイルスが野放しに広がる場合によく見られる。SARS-CoV-2につい
ては、2020年3月中旬〜下旬における欧州の多くの地域が、まさにそ
んな状況だった。4月のプレプリント論文で、カナダやオーストラリ
ア、および米国の一部でD614G変異が短期間のうちに優勢になったこと
を示し、創始者効果の可能性を除外しようとした(例外はアイスラン
ドで、発生初期に存在していたG型ウイルスがD型ウイルスに取って代
わられた)。Bette Korberらの研究チームが英国シェフィールドの入
院患者のデータを分析したところ、この変異のあるウイルスに感染し
た患者の方が症状が重くなったことを示す証拠は見つからなかった。
しかし、G型ウイルスに感染した人々の鼻や口のウイルスRNA濃度は、
D型ウイルスに感染した人々に比べてわずかに高いように見えた。
D614G変異の増加が注目に値するものであったのか、パンデミックと
関係があったのかについては、多くの科学者が確信を持てずにいる。
 Montefioriは、D614G変異に関する自身とKorberの見解は、HIV研究
によって形作られた。彼らのHIV研究は、一見重要でなさそうな変異
であっても、免疫系によるウイルスの認識に大きな影響を及ぼす可能
性があることを明らかにした。この点を警戒し、この変異がワクチン
に影響を及ぼさないかどうか、確認する必要がありますと彼は言う。
注1.Korber, B. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/10
.1101/2020.04.29.069054
(2020).
注2.Korber, B. et al. Cell 182, 812–827 (2020). 

8-6-1-3 研究ラッシュ
D614G変異がウイルスの感染力を高めたかどうかをさらに検証に
彼は、
実験室条件下でその効果を測定。研究室では天然のSARS-CoV-2ウイル
スを研究することはできなかった。研究にはバイオセーフティーレベ
ル3の封じ込め実験室が必要。そこで彼は、SARS-CoV-2のスパイクタン
パク質を使って細胞に感染するようにした遺伝子改変HIVを作製し、そ
の挙動を調べた。こうした「偽ウイルス(pseudovirus)」粒子は、ウ
イルス学研究室で大いに役に立っている。エボラウイルスのような致
命的な病原体を安全に研究することができ、また、変異の影響の検証
が容易になるからだ。 偽ウイルスを使ったD614G変異に関する実験に
ついて最初に報告したのはスクリプス研究所(米国カリフォルニア州
ラホヤ)のウイルス学者Hyeryun ChoeとMichael Farzanが率いるチー
ムで、2020年6月(Plante, K. et al. Preprint at bioRxiv https:/
/doi.org/10.1101/2020.09.01.278689
.。他にもいくつかのチームが
同様の研究をbioRxivに投稿している(Montefioriの実験や、も1人
の共同研究者の実験については、Cell で報告されている。これらの
チームは異なる偽ウイルス系を使用し、さまざまな種類の細胞で検証
を行ったが、実験の結論は同じであった。G型ウイルスはD型ウイルス
よりも、はるかによく細胞に感染し、場合によっては10倍も効率が良
かった。 マサチューセッツ大学医学系大学院(米国ウースター)のウ
イルス学者Jeremy Lubanは、実験室での検証では、「D型からG型への
変異はウイルス粒子の感染力を高めるということで、全員の意見が一
致しています」と言う。しかし、これらの研究には多くのただし書き
が付いている上、ヒトへの感染にどこまで当てはまるかは不明である。
「厄介なのは、よく制御された環境で得られた結果をもって、現実の
パンデミックについて意味があると主張する人々です」とGrubaughは
言う。ほとんどの場合、偽ウイルスはコロナウイルスのスパイクタン
パク質しか持っていないため、実験で測定できるのはこれらの粒子が
細胞内に侵入する能力だけで、細胞内や臓器に及ぼす各種の影響は測
定できない。その上、ほとんど全てのD614G変異ウイルスにある他の
3つの変異もない。つまり、これらは問題のウイルスとは別物である。
現在、一部の研究室では、アミノ酸が1つだけ異なる、感染力のある
SARS-CoV-2を調べている。これらのウイルスの検証は、ヒトの肺や気
道の細胞を実験室で培養したものや、フェレットやハムスターなどの
実験動物を使って行われている。ウイルス操作の経験とバイオセーフ
ティー基準を満たす施設を持つ研究室にとっては朝飯前の仕事である
研究者は話す。これらの研究の最初のものはテキサス大学医学部ガル
ベストン校(米国)の研究者が主導したもので、2020年9月2日にプレ
プリント論文として報告された。
注3.Grubaugh, N., Hanage, W. & Rasmussen, A. Cell 182, 794–
795 (2020).

この研究から、ヒトの肺細胞株と気道組織ではD型よりも変異したG型
のウイルスの方が感染力が高いことや、感染したハムスターの上気道
ではG型のウイルス量の方が多いことが明らかになった。 これらの実
験からも確実な答えは出ないかもしれない。アイオワ大学(米国アイ
オワシティー)のコロナウイルス学者Stanley Perlmanによると、い
くつかの研究から、中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスのスパイクタ
ンパク質に生じたある変異は、マウスにおいてより重篤な疾患を引き
起こす可能性があるが、別の変異は、ヒトやラクダ(ヒトに伝播した
MERSウイルスの保有宿主である可能性が高い)にはほとんど影響を及
ぼさないことが示されているという。 D614G変異がヒトでのSARS-CoV
-2の広がりに影響を及ぼすことを示す最も明確な兆候は、約2万5000の
ウイルス検体のゲノムを分析したCOVID-19ゲノミクスUKコンソーシア
ム(英国)の野心的な取り組みから得られた。研究者たちはこれらの
データから、ウイルスが英国に入って広がっていった事例を、D型お
よびG型ウイルスの例を含めて1300件以上特定した。 エディンバラ大
学(英国)の進化生物学者Andrew Rambaut、ロンドン大学インペリア
ルカレッジ(英国)の疫学者Erik Volz、およびカーディフ大学(英国)
の生物学者Thomas Connorが率いるチームは、英国でのD型ウイルスに
よる62のCOVID-19クラスターと、G型ウイルスによる245のクラスター
の広がりを調べた7。研究者らは、どちらのウイルスに感染した人も臨
床的には差がないことを発見したが、G型ウイルスは変異のない系統よ
りもわずかに速く伝播し、より大きなクラスターを形成する傾向があ
った。彼らが見積もった感染率の差は20%程度だったが、真の値はも
う少し高いか低いかもしれないという。絶対的に見れば、大きな影響
はないと証言するが、D614G変異は、ウイルスが細胞に感染したり、こ
の変異を持たないウイルスと競争したりするのを助ける適応であり、
SARS-CoV-2がヒトからヒトへ、あるいは集団内で広がる方法はほとん
ど変えないのかもしれない。ヒトや一部のヒト細胞に文字通り『適応
』したのかもしれないが、何かが変わるわけではなく、適応したから
といって、感染力が高くなる必要はないと言う。D614G変異は科学者の
注目を集め過ぎたと考えている。よく目立つ論文が集まったことも理
由の1つ、科学者たちはD614G変異に夢中になりすぎだとしても、また
D614G変異のことを、遺伝的多様性に乏しいウイルスについて学ぶ切
り口の1つとし、D614G変異を見て、これを研究するのは非常に面白く
不思議の国のアリスのようにウサギ穴がたくさんあると表現する。さて、
D614G変異を集中的に調べることは、SARS-CoV-2が細胞と融合する仕組

みの解明に役立ち、このプロセスは、薬物による阻害やワクチンの標
的になる可能性がある。2020年7月16日にbioRxivに投稿した新しい偽
ウイルス実験----Yurkovetskiy, L. et al. Preprint at bioRxiv htt
ps://doi.org/10.1101/2020.07.04.187757
)では、クライオ(低温)
電子顕微鏡法を用いて、D614G変異を持つスパイクタンパク質の構造を
解析する。1つのスパイクタンパク質は3つの同一のペプチドからな
り、それぞれに「開いた」向きと「閉じた」向きがある。これまでの
研究から、ウイルス粒子が細胞膜と融合するためには、3つのペプチ
ドのうち少なくとも2つが開いた向きになっている必要があることが
示唆されていた9。Lubanのチームは、G型のスパイクタンパク質を持つ
ウイルスが、この状態に非常になりやすいことを発見した(「スパイ
クタンパク質を緩める変異」参照)。KorberのLANLでの同僚である
Sandrasegaram Gnanakaranが主導したMontefioriとKorberによる計算
モデル研究も同じ結論に達した。この分子マシンはD型とは違った動き
をするようにできていると思われている。
注4.Muth, D. et al. Sci. Rep. 8, 15177 (2018). 
注5.Zhang, L. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/10.1
101/2020.06.12.148726
(2020).
注6.Plante, K. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/10.
1101/2020.09.01.278689
(2020).
注7.Volz, E. M. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/10.
1101/2020.07.31.20166082
(2020).
注8.Yurkovetskiy, L. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.
org/10.1101/2020.07.04.187757
(2020).
注9.Wrapp, D. et al. Science 367, 1260–1263 (2020). 
注10.Mansbach, R. A. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.
org/10.1101/2020.07.26.219741
(2020).

図 スパイクタンパク質を緩める変異
SARS-CoV-2上のスパイクタンパク質は、ヒト細胞上の受容体に結合し
てウイルスが細胞内に侵入するのを助ける。1個のスパイクタンパク
質は、3個の小さなペプチドからなる。それぞれのペプチドには「開
いた」向きと「閉じた」向きがあり、開いた向きのペプチドの数が多
いほど受容体に結合しやすくなる。ウイルスRNAの遺伝暗号が1文字だ
け置き換わったD614G変異は、このペプチド間の結合を緩めるようだ。
これによりスパイクタンパク質は開いた立体構造をとりやすくなり、
感染の可能性が高まるのかもしれない。

8-6-1-4 抗体から逃れられない、今のところは
Montefioriは、D614G変異によって免疫系の中和抗体がSARS-CoV-2を
認識できなくなることを心配していたが現時点で入手可能な証拠の
ほとんどは、そのような事態にはなっていないことを示唆している。
これは、D614G変異の場所が多くの中和抗体が標的とするスパイクタ
ンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)とは別の場所だからかもしれ
ない。RBDは細胞表面の受容体タンパク質ACE2に結合し、これはウイ
ルスが細胞内に侵入するための主要な段階になっている。
しかし、D614G以外の変異については、ウイルスがある種の抗体から
逃れるのに役立っていることを示唆する証拠が出てきている。ロック
フェラー大学(米国ニューヨーク)のウイルス学者Theodora Hatzii-
oannouとPaul Bieniaszが率いるチームは、家畜の病原体である水疱性
口内炎ウイルスの遺伝子を改変して、SARS-CoV-2のスパイクタンパク
質を使って細胞に感染するようにし、中和抗体の存在下で増殖させた。
彼らの目標は、スパイクタンパク質が抗体に認識されないようにする
変異を選択することにあった。この実験で、COVID-19から回復した人
々の血液から抽出した抗体や、治療薬にするための開発が進められて
いる強力な「モノクローナル」抗体に対して耐性を持つ、変異スパイ
クタンパク質が作り出された。HatziioannouとBieniaszらのチームは、
スパイクタンパク質に生じたこれらの変異は全て、患者から単離され
たウイルスの塩基配列の中で実際に見つかったと報告しているが、そ
の頻度は非常に低く、正の自然選択による変異が一般的になるには至
っていないようである。
注11.Weisblum, Y. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.or
g/10.1101/2020.07.21.214759
(2020).

どの変異が重要であるかを予測することで、SARS-CoV-2の進化を先回
りしようとする科学者もいる。フレッド・ハッチンソンがん研究セン
タ(米国ワシントン州シアトル)の進化ウイルス学者のJesse Bloomが
率いる研究チームは、スパイクタンパク質のRBDの変異版を4000種類近
く作成し、その変化がスパイクタンパク質の発現とACE2との結合能力
に及ぼす影響を測定した。ほとんどの変異はこれらの特性に何の影響
も及ぼさないか特性を阻害していたが、特性を改善する変異も少数な
がらあった。これらの変異のいくつかはCOVID-19患者で確認されて
いるが、Bloomのチームは、いずれのバリアントについても自然選択を
受けた兆候は見いだせなかった。「おそらく現状のウイルスは、必要
なだけACE2に結合しているのでしょう」と彼は言う。 研究者たちは、
ウイルスのこうした変異のいずれかが抗体の作用を弱めるかどうかの
検証は行わなかったが、彼のチームが得た結果は、抗体の作用を弱め
る変化が起こり得ることを示唆している。「ウイルスが抗体や免疫に
対する感受性を変化させるような変異を獲得する可能性はありますが
、確実にそうなるわけではありません」とBloomは言う。 他のコロナ
ウイルスの経験からいえば、それには何年もかかるかもしれない。複
数のシーズンにわたって採取された風邪コロナウイルスの研究では、
免疫に反応して進化した兆候がいくつか確認されている。しかし、ベ
ルン大学ウイルス学・免疫学研究所(スイス)のRNAウイルス学者は、
変化のペースは遅い、これらの株は、多かれ少なかれ一定のままで、
 世界のほとんどの地域の人々がまだSARS-CoV-2に感染し得る状態に
あるため、現時点で免疫がウイルス進化の要因になっているとは考え
にくい。しかし、感染やワクチン接種により集団全体の免疫が高まっ
ていけば、免疫から逃れる変異を少しずつ起こすことが、SARS-CoV-2
の永続的な定着を助ける可能性がある、とSheahanは言う。その場合、
過去に感染したりワクチン接種を受けたりして残存免疫がある人がウ
イルスに感染しても、基本的に軽症で済む。このウイルスが、より一
般的な風邪の原因となるコロナウイルスとして残ることになったとし
ても、驚くべきことではない。しかしまた、SARS-CoV-2を含むコロナ
ウイルスの感染に対する私たちの免疫反応は、ウイルス株の大きな変
化につながるような選択圧を生じるほど強くもなく長続きもしない可
能性もある。 抗体療法は、賢く利用しなければ厄介な変異を広げてし
まう恐れもある。例えば、COVID-19患者に1種類の抗体だけを投与する
場合、その抗体はウイルスのたった1つの変異によって効力を失う可
能性がある。

研究者たちは、それぞれがスパイクタンパク質の複数の領域を認識で
きるモノクローナル抗体を混合したものなら、そうした変異が自然選
択によって有利になる可能性を抑えられるかもしれない。一方、ワク
チンは、この点についてはあまり心配されていない。体の自然免疫反
応と同様、ワクチンは複数の種類の抗体を誘導する傾向がある。
Montefioriのチームは2020年7月にbioRxivに投稿した論文で、D614
G変異を生じたウイルスはワクチンの標的になりやすくなる可能性さえ
あることを明らかにした13。製薬会社ファイザー(Pfizer;米国ニュ
ーヨーク市)が開発中のものを含むいくつかの実験的なRNAワクチン
の1つを投与されたマウス、サル、ヒトが産生した抗体は、D型ウイ
ルスよりもG型ウイルスをよりよく阻害することが確認されている。
現在、G型ウイルスは広く存在し、この発見は「良いニュース」だと
Montefioriは話すが、HIVが変異し、これに対して開発された多くのワ
クチンから逃れるのを見てきた科学者として、彼はSARS-CoV-2が私た
ちの免疫反応をすり抜ける可能性を警戒しする。さらなる変化に目を
光らせておく必要があるという。
注12.Starr, T. N. et al. Cell 182, 1295–1310 (2020).
注13.Weissmann, D. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.o
rg/10.1101/2020.07.22.20159905
(2020).

8-6-2 変異株N440K型ウイルス
のいくつかの亜種が世界中で出現しており、COVID-19パンデミックを
終わらせる努力を脅かし続けている。最近のデータは、パンデミック
の第2波にある、インドのいくつかの地域で N440Kスパイク置換を伴
変異体の有病率を示す。ここでは、最初にインドから提出されたシー
ケンス内のN440Kバリアントの有病率を分析し、さまざまなクラスター
にまたがるその広がりの上昇傾向を特定。次に、このバリアントのプ
ロトタイプの複製適合性と感染力を、以前に流行していた他の2つの
株と比較する。N440Kバリアントは、一般的なA2a株よりも10倍高い感
染性ウイルス力価を生成し、Caco2細胞でははるかに一般的ではないA
3i株のプロトタイプよりも1000倍以上高い力価を生成。
同様の結果がCalu-3細胞でも検出され、N440K変異体の効力の増加が確
認されている。興味深いことに、A3i株は最高のウイルスRNAレベルを
示したが、培養上清中の感染力価は最低であり、RNA含有量とサンプル
の感染力の間に相関関係がないことを示す。N440K変異は、インド全土
のいくつかのウイルス配列で報告されており、N440K変異体により達
成されるより高い感染力価は、そのより高い感染率につながる可能性
があると予測している。近い将来、より多くのシーケンスデータが利
用可能になると、このバリアントの潜在的な広がりをより詳細に理解
するのに役立つ。出典:N440K variant of SARS-CoV-2 has Higher
Infectious Fitness、doi:https://doi.org/10.1101/2021.04.30.
441434、April 30, 2021.

第9節 人類はどのような手段を持っているのか
9-1 検査方法
9-2 ワクチン
9-3 治療薬
9-4 公衆衛生対策
9-5 「ワンヘルス」にもとづく発生監視
第10節 ウイルスとともに生きる
10-1 バイオハザード対策の発展史
10-2 高度隔離施設の現場へ
10-3 病原体の管理基準
10-4 根絶の時代から共生時代

                         この項つづく

✔ 事実追認におわれ、『構想の仮構』と『再構築と考察提案』の全
 貌が見通せずとほほほホ ^^;。



風蕭々と碧い時代:

● 今夜の寸評:


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