彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
✳️ 回収カーボンの炭化水素製造技術 ⓷
資源エネルギー庁
赤外光を局在表面プラズモン共鳴(LSPR)材料に当
てるとエネルギーを持った電子e-(熱電子)が生まれる
(大阪大学産業科学研究所の坂本雅典教授提供)
✳️ 見えない光でナノ粒子から電子を取り出す
太陽電池の基本構造には、光を吸収する層や電子を取り出す層、電子を受
け取る層があり、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
現在一番普及しているのは、シリコン半導体を用いたシリコン系太陽電池。
可視光から電気を生み出す。光から電子を取り出す変換効率は20%を超え
るものが市販されている。大規模に黒い大型パネルを並べている発電所を
見かけることも多い。シリコン系太陽電池に代わりうるとして開発が急速
に進むのが、ペロブスカイト太陽電池。材料をフィルムなどに塗布・印刷
して作ることができ、低コストでの製造が期待されている。ほかにも、低
環境負荷、低コスト化が期待できるものとして、有機半導体の薄膜を発電
層として用いた有機薄膜太陽電池があり、柔軟性や半透明性が生かせるも
のとして色素増感太陽電池も開発が進んでいる。
一方、ナノ粒子に光を当てると粒子中の電子が集団で振動する「局在表面
プラズモン共鳴(LSPR)」を利用した太陽電池。可視光より波長が長く目
に見えない赤外光を、特殊なドーピングを施した半導体ナノ粒子に当てて
電子を取り出す。
⏹️ 単層WSを用いた近傍不可視太陽電池 東北大
(a) (i) 設計パターン太陽電池イメージ (Des-P)、(ii) 設計パターン構造図、(iii) 単純パターン太陽
電池イメージ (Sim-P)、(iv) 単純パターン構造図(b) PのプロットTSim-PまたはDes-Pの異なる領
域を持つ太陽電池の場合。(c) 高透明太陽電池の光学像 (d) Iダッシー-Vダッシー暗闇またはソーラー
シミュレータ下での透明度の高い太陽電池の曲線。(e) WSとの比較によるNISCの伝送2石英上、
石英上の電極、および純粋な石英。
【関連情報】
・https://www.nature.com/articles/s41598-022-15352-x
⏹️ 世界最高効率の光触媒から転用
坂本教授は、京都大学化学研究所に着任した2012年から赤外線のエネルギ
ー変換を研究。赤外光は太陽から降り注ぐ光の42~46%を占め、エネルギ
ー資源としての潜在能力は高い。熱線として地球温暖化の原因になるため、
「利用すること自体が温暖化防止につながる」。「見えないというのは透
明ということ。発見した光触媒を太陽電池に転用したら(黒い)シリコン
系の太陽電池と差別化できる」と考え、2019年、同じくLSPRを示すスズ
をドープした酸化インジウムナノ粒子を光吸収材に応用すると透明な太陽
電池をつくることができることを公表。
⏹️ 熱線遮蔽シートを今夏にも先行発売へ OPTMASS
スズドープ酸化インジウムナノ粒子を含む溶液(左)と透過型電子顕微鏡画像(大阪大学坂本
雅典教授提供)
LSPR材料による透明な太陽電池を実用化、坂本教授らは2021年に京都大
学発ベンチャー企業「OPTMASS」(京都府宇治市)を創業。変換効率は、
カドミウムと硫黄、あるいは銅と硫黄を含むナノ粒子をLSPR材料として使
うと1.1マイクロメートルの赤外光を当てた際に4.4%まで上がることを20
22年に発表。現在、材料などを改良し、変換効率は6%ほどまで上がって
きている。ただ、可視光や紫外線も含む太陽光を当てたときには1%程度ま
で下がってしまうため、改良の余地は大きい。また、実用化には窓ガラス
サイズなど、大面積の太陽電池にすることが求められる。一部でもピンホ
ールがあると、発電量が大幅に低下するため、太陽電池の大面積化には、
材料であるナノ粒子を広く均一に伸ばす技術も求められる。LSPR材料には
戸外から室内に入る熱線を遮蔽する効果もある。OPTMASSはLSPR材料に
よる熱線遮蔽シートを今夏にも先行発売するべく、開発を進める。試作品
を見ると、シートは透き通っているが少し緑色かがっていた。OPTMASS
が掲げる「街を森に変える」という目標を感じさせる緑色。
【最新関連特許】
1.特開2024-164966 太陽電池及びそれに用いる光学素子を備えるバリア
構造体 マクセル株式会社
【要約】下図図21のごとく、本発明の太陽電池は高効率で、印刷工程で
安価な太陽電池が実現できる有機無機ペロブスカイト型太陽電池の課題で
ある水分・空気のバリア性が高いガラス同等のバリア層を有しその表面に
超微細または微細光学素子を設け反射防止と集光作用を備え光電変換層
(光吸収層)平面内に光の疎密を作ることで一層の高効率化を実現する。】
光電変換効率が高く設置性が良く信頼性の高い太陽電池を製造すること。
また太陽電池を構成するバリア部材に、水分や空気の侵入を遮断した信頼
性の高い太陽電池を提供することにある。
図21 本発明の一実施例に係るバリアシート又はバリア層表面に設けた
第三の実施例である微細光学素子の形状と作用を説明する模式図
【符号の説明】M…金属原子 R…有機分子 X…ハロゲン原子又はカルコ
ゲン原子 1…基材 2…絶縁層からなる外枠 3…光電変換層 4…透明
電極 5…引出し配線 5´…端部(取出し部) 6…平坦化層 7…(第一
)バリア層(膜) 8…取出し電極 9…更なる配線 10…(第二)バリ
ア層(膜) L…引出し配線の端部からバリア層の端部までの距離 20…
太陽電池セル(ユニット) 100…太陽電池素子 200…太陽電池素子
101…基材 102、102A、102B、102C…光電変換層(光吸
収層) L102A、L102B、L102C…光電変換層(光吸収層)の
焦点(線)103…第一電極 104…第二電極 105…電子輸送層
106…正孔輸送層 107…引出し配線 110A…超微細光学素子
110…バリア層(膜) 200…微細光学素子 201…(第二)バリ
ア層(膜)202…第一の光吸収層(光電変換層)203…第二の光吸収
層(光電変換層)204…第三の光吸収層(光電変換層)210…微細光
学素子
【発明の効果】 本発明で開示された太陽電池(セル)によれば、基本構
成の外表部を覆うバリア層により空気や水分を遮蔽し、バリア層の表面に
設けた極微細形状の光学素子の作用によって光電変換効率を大幅に向上で
きる。 上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により
明らかにされる。 なお、以下に説明する太陽電池を構成する素材や素材が
成す特定の機能を有する複数の層の厚さや製造法について本願と直接関連
しない部分についての記載内容は、本願執筆時に公知となった先行出願さ
れた特許から抜粋し本願発明がより明確になるように工夫して記載した。
2. 特開2023-17917 透明導電性フィルムおよび透明導電性フィルムの製
造方法 日東電工株式会社
3.特許第7572731号 光熱変換素子および、その製造方法、光熱発電装置
ならびに微小物体の集積システム 公立大学法人大阪
✳️ 研磨不要のAu薄膜表面平滑化技術
1月28日、東北大学,産業技術総合研究所,関東化学は,表面が粗いAuめ
っき膜を平滑なAu薄膜に重ねる付加的な平滑化手法を新たに開発。次世代
小型電子デバイスの実装工程には,熱によるダメージや残留応力を避ける
ため,低温での接合技術が求められる。Auめっき膜を介した接合は,電気
的接続や封止などに広く用いられているが,素子への負荷を軽減するため
に,接合プロセスの温度を可能な限り低く抑える必要があるが,一般的に
接合面の平滑度が低いと隙間が生じやすく,密着性を上げるために,より
高い温度や圧力が必要となり,矛盾が生じてしまう。接合面の平滑化には
除去加工の研磨が用いられ,小さな面や複雑な形状を平滑化するのが難し。
この研究では,表面活性化接合とテンプレートストリッピング技術を組み
合わせ,粗いAuめっき膜に平滑なAu薄膜を転写し,付加加工によって平
滑化する新たな技術を開発。
図1. 本研究で開発した、表面活性化接合とテンプレートストリッピングを
組み合わせた技術に基づく平滑化プロセス
これは、表面活性化接合によって,別途テンプレート上に形成したAu薄膜
を粗いAuめっき膜に転写する技術。これにより,もともと粗かったAuめ
っき膜の表面に,Au薄膜を繰り返し転写することで,表面が平滑化できる
ことがわかった。これは,ポリイミド製テンプレートのナノレベルの変形
とAuの原子拡散により,Auめっき膜の凹凸が吸収されるため。十分に平
滑化されたAuめっき膜は,熱を加えなくとも常温で強固な接合を達成でき
ることを実証した。また,平滑化したAuめっき膜にシリコン(Si)チップ
を常温接合した試料のせん断強度測定試験では,転写したAu薄膜から破断
するわけではなくSiチップが先に破壊されてしまうほど強固に常温接合さ
れていることがわかった。
【論文情報】
タイトル:Room temperatu bonding of Au plating through surface smoothing using polyimide
template stripping
著者:Kai Takeuchi, Shogo Koseki, Le Hac Huong Thu, Takashi Matsumae, Hideki Takagi, Yuichi
Kurashima, Takahiro Tsuda, Tomoaki Tokuhisa, Toshikazu Shimizu, Eiji Higurashi*
掲載誌:Sensors and Actuators A: Physical
DOI:10.1016/j.sna.2025.116211
✳️ 代高性能蓄電池の「極小ナノ粒子」を短時間合成
海道大学や東北大学らの研究グループは、アルファ型二酸化マンガンの極
小ナノ粒子を短時間で合成する手法「アルコール溶液法」を開発した。合
成した極小ナノ粒子は、多価イオン電池の正極や酸化反応触媒の高特化に
成功(EE Times Japan)
図. 開発したアルコール溶液法で合成した二酸化マンガン極小ナノ粒子
今回の研究で得られたα-MnO2極小ナノ粒子は、バンドル全体の幅は約4
nm、トンネルの長さは約8 nmと、水熱法で得られた粒子と比べて粒子形
状のアスペクト比が1/10まで小さくなっていることが分かつた(図1)。
粒子の形も棒の長さが短くなり、球状に近い形をしていることが分かりま
す。さらに、極小ナノ領域まで粒子サイズが小さくなると、等方的に粒子
が小さくなるのではなく、長軸方向が選択的に短くなり形態が球状粒子に
近づくことを見出した。また、得られた粒子粉末の比表面積は2~3倍に増
大しており、多孔質であることも分かった。 本材料の応用として、多価イ
オン電池正極と酸化反応触媒としての特性を評価したところ、いずれも従
来材料よりも高い特性を示しました。多価イオン電池正極では、マグネシ
ウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオンの室温での電気化学的な高速
脱離挿入が可能であり、特にカルシウムイオン電池の正極として優れるこ
とを見出しました(図2)。極小ナノ粒子は粒子が小さすぎるため、その
ままでは粒子同士が凝集し十分な正極特性が得られませんでしたが、グラ
フェンに分散させた複合体を作製することで粒子凝集が抑制され、過電圧
が小さくエネルギー損失の小さい充放電を達成した。酸素を使った触媒的
酸化反応では、1-フェニルエタノールなどの有機化合物の酸化反応触媒と
して高い活性を示した(図2)。従来のα-MnO2との触媒活性との差は比
表面積(多孔質性)の違いだけでは説明できず、極小ナノ粒子化によって
触媒活性の高いエッジ面が多く露出したことが理由と考えられる。
図2. (左)次世代カルシウム電池としての室温での正極特性。可逆容量が
増大し、過電圧も低減された。(右)酸素を用いたフェニルエタノールの
酸化反応における時間変化。触媒活性が大きく向上し2 時間で反応が完了
した。
【展望】MnO2 は電池や触媒、吸着剤など様々な用途へ応用できることか
ら、本材料のさらなる開発により現行産業技術を革新できるす。今回開発
した合成法は、⓵α-MnO2以外の様々なMnO2の極小ナノ粒子化や⓶低ア
スペクト比化に適用可能です。この技術により、構造の違いによる特性の
差を活かした応用展開が期待され、低炭素化社会、地球温暖化対策に有用。
【掲載論文】
Title: Ultrasmall α-MnO2 with Low Aspect Ratio: Applications to Electrochemical
Multivalent-Ion Intercalation Hosts and Aerobic Oxidation Catalysts
First published: 16 January 2025
https://doi.org/10.1002/smll.202411493
『デジタル生存競争争—誰が生き残るのか』
著者/翻訳者:ダグラス・ラシュコフ/堺屋七左衛門
【概要】何のための、誰のための、デジタルなのか?
環境破壊、社会不安、まん延するウィルス、すべてを停止させるコンピュ
ーター侵入。世界の億万長者は、自分で起こした現実からひたすら逃れる
ことを考える。技術開発は、集団的な繁栄を目指すものでしたが、富の蓄
積は個人的な生き残りを図るものになった。批判的であるはずのメディア
は、市場感覚に圧倒されて屈服している。自分だけが生き残る十分な資金
を稼ぐ......うまく稼げたら勝利か? それは自分の排ガスから逃れるために高
速で走る自動車をつくっているようなもの。このような勝手な考え・思い
こみを『マインドセット』という。闘わなければならない。どうすればい
いのか? 何もわからないほどに、私たちはデジタルにまみれ、自分自身を
失っている。ダグラス・ラシュコフは語ります--利己的な世界を超えて、
コミュニティ、人間の相互扶助を取り戻せ、と。この本を読み、今の自分
と比較する。すべて消耗品とされた私たち自身の防御がそこから始まって
いる。
【目次】
はじめに マインドセットとの出会い
1.隔離の方程式 億万長者の防空壕戦略
2.合併と買収 彼らは出口戦略を必要としている
3.母の子宮に戻りたい テクノバブルに包まれた安全
4.ダムウェイター効果 見えないものは忘れられる
5.利己的な遺伝子 道徳よりも科学主義
6.全速力で前進 非人間化と支配と収奪
7.指数関数的成長 行き詰まれば別次元のメタへ
8.説得的技術 ボタン1つで彼らを消せるなら
9.バーニングマン からの展望 私たちは神のように
10.グレートリセット 世界を救うために資本主義を救う
11.鏡に映ったマインドセット 抵抗してもムダだ
12.コンピューター的因果応報 自業自得
13.パターン認識 全ては元に戻る
【著者】
ダグラス・ラシュコフ:1961年生まれ。米国ニューヨーク州在住。
第1回「公共的な知的活動における貢献に対するニール・ポストマン賞」
を受賞。『Cyberia』/『サイベリア』、『MEDIA VIRUS!』/『ブレイ
ク・ウイルスが来た!!』、『Throwing Rocks at the Google Bus』(グー
グルバスに石を投げろ)、『Program or be Programmed』/『ネット社
会を生きる10ヵ条』、『チームヒューマン』など多数執筆。『「デジタル
分散主義」の時代へ』という論考が翻訳されている。
堺屋七左衛門:大阪市生まれ、神戸市在住。大阪大学大学院工学研究科電
子工学専攻博士前期課程修了。日本翻訳者協会(JAT)会員、HON.jp(
日本独立作家同盟)正会員。訳書『リスクコミュニケーション 標準マニュ
アル』(福村出版)、『チームヒューマン』『ネット社会を生きる10ヵ条
』(ボイジャー)、『ケヴィン・ケリー著作選集 1』(ポット出版、達人
出版会)、『マニフェスト 本の未来』共訳(ボイジャー)など。
心に響く歌曲 『明日を忘れて(Le’t Forget Domani)/
コニ―・フランシス』
作曲:オルトラーニ/作詞:ノーマン・ニューウェル
1965年10月
● 今日の言葉:昨日の言葉は、言い換えれば『この世の終わりを避ける』
チャンスが残ったと言い換えると分かりがいいかな。
春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
春だというのに自然は沈黙している。
レイチェル・カーソン 『沈黙の春』
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