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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

革命的な風力タービンⅣ

2017年02月12日 | 環境工学システム論

  

    22  文明と退廃  /  山火賁(さんかひ)


                                

    ※ 賁とは飾り、装飾のこと。美しい装飾は人の心を喜ばせ。躾とは身
      を美しくすることであ
り、それは礼となって社会秩序をととのえる。
      卦の形は、山を意味する(艮)の下に太陽を意味する
(離)があり、
      ダ映えが、山の草本を美しくいろどっていることを示している。し
      かしそれは同時に
没落寸前の輝きをも暗示する。文明が過度に准む
      と、退廃美が好まれるようになり、やがて素朴な生命力失う
に至る。
      個人にあてはめれば、外面ばかりを飾って、内面的な、深みを失っ
      てしまうのであ
る。何事にも外見の華美盛大につりこまれることな
      く慎重に内容を検討すべきである。

 

 Pasta del granchio blu

昨日は、今日と同じく早朝から除雪で、記憶が曖昧なのだが、作業を終えて、いつもの
作業をテレビを見ながら行っていると、福島区の新梅田シティそばにあるガラス張りの
ピザハウス「ガレリア」(アーケードとの意)は梅田店の紹介があったので録画してお
き今夜再生する。この店は昨年6月にオープン。もちもちっとした食感が楽しめるピザ
は、店のオーナーであり、
ピザ職人の池田浩晃さんが、生地に使う小麦粉にこだわり、
トッピングの野菜は店内で自家栽培し“自家製主義”の新作ピザ作りの特集である。

幻の国産小麦と店内で自家栽培した野菜で仕上げるもちもちピザが評判の謎は、北海道
の希少な国産小麦「はるゆたか」。はるゆたかはきめが細かく、絹のように滑らかで、
こねて焼くともちもちとする。はるゆたか百パーセント(そばでいえば十割そば)を使
うと、水加減も焼き加減も難しい。オーナーシェフの池田さんのピザへのこだわりは野
菜にも注がれ、店内では野菜をLEDライト水耕栽培するというこだわりようである。
天井から釣られたプランターではバジルを栽培。富田林にある1号店でも同様とか。

 ガレリア梅田

テレビの中では、北海道江別市ではるゆたかを生産する富永政博さん――仕入れルート
を作ってくれた恩人――からその種を譲り受け、
「ガレリア」の個室を改修し、緑いっ
ぱいの個室テーブルの中央から「はるゆたか」が芽を出し、壁の水耕栽培レタスも育っ
ている部屋を撮影する。

以前から「シーザーサラダのようなピザ」を作ってみたかったという池田オーナーシェ
フは、どの店にもない植物工場レタスとオリーブオイル、パルメザンチーズ、黒胡椒で
新しいサラダのはるゆたかピザを焼いて、恩人の富永さんに新作ピザ「植物工場レタス
のビアンカ」をお披露目する(下写真)。

 Flora Bianco fabbrica lattuga Pizza

それにしても、ピザ、パスタは、小麦-オリーブオイル-ガーリックの三昧一体の絶妙
なピザ、そこに、チーズや生ミルクが入ればビアンカ。これがトマトが入れば、ロッサ
となる。特に冬のワタリガニのパスタ(リングイネ)は美味い。

 Pasta del granchio blu

 

 

 

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 23】

● 事例研究:特開2017-031920 垂直型風力発電システム、
       及び垂直型風力発電システムにおける制御方法
 

【実施形態】

● 第1の態様

複数の直線翼から構成される①垂直型ブレードと、②垂直型ブレードまたは直線翼を保
持するアームと、③アームと固定されアームの回転を支持するシャフトユニットと、④
シャフトユニットと連動し、垂直型ブレードの回転エネルギーを電気エネルギーに変換
する発電機と、⑤垂直型ブレードとアームとシャフトユニットを保持するポールと、ベ
アリング等から構成されシャフトユニットをポールに回動軸支するシャフトユニット保
持部と、、⑥垂直型ブレードの回転面内においてアームに対する直線翼の相対角度をそ
れぞれ独立して回動させる回動手段と、⑦回動手段により相対角度を調整する回転角制
御手段と、⑧垂直型ブレードの回転中心を基準とした平面座標系における基準角度から
の垂直型ブレードまたは個々の直線翼のブレード回転角度と、ブレード回転角度から演
算した相対角度の回転角度テーブルとを有し、回転角度テーブルをもとに回転角制御手
とを備え、ブレード回転角度に応じて直線翼の相対角度を可変とする構成としている。

● 第2の態様

第2の態様の垂直型風力発電システムは、第1の態様に係る垂直型風力発電システムの
構成
において、直線翼の翼型断面形状は、いわゆる対称翼または非対称翼を備えている
構成により、比較的優れた揚力特性および抗力特性を有する対称翼または非対称翼の翼
型断面の翼型を直線翼として搭載することにより、翼型断面による揚力係数および抗力
係数
の特性において、回転エネルギー変換効率および発電効率の向上に適した翼型を搭
載することで、垂直型風力発電システムの発電効率の向上を実現することが可能となる
という優れた効果を奏する。さらに、ブレード回転角度に応じて相対角度を変化させる
ことで大幅に回転エネルギー変換効率を向上させた垂直型風力発電システムを実現する
ことができる。

● 第3の態様

第3の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1または第2の態様に係る垂直型風力
発電システムの構成において、回転角度テーブルは、予め演算した値もしくは、一部ま
たはすべてをリアルタイムで演算した値を用いる構成としている。この構成により、回
転角度テーブルをあらかじめ演算しておきメモリに保存して必要な時に取り出す構成と
することにより、相対角度の調整時には演算時間が不要となるとともに、その都度演算
するエネルギーや時間が不要となり、制御時間遅れがなく、且つエネルギー効率の高い
垂直型風力発電システムを実現することができる。一方、リアルタイムで計算する構成
では、回転角度テーブルを保存するメモリ等のシステムが不要となるため、比較的低コ
ストかつ小型の垂直型風力発電システムを実
現することが可能となる。

● 第4の態様

第4の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第3の態様に係る垂直型風力発電
システムの構成において、①風速と②垂直型ブレードの回転速度である周速に対する
周速
との合成となる相対風速と、②直線翼の前縁と後縁とを結んだ線分となる翼弦との
なす
である、③いわゆる迎角において、接線方向の回転力が大きくなるような迎角
にするために相対角度を変化させることを目的として、相対角度は翼弦とアームとの角

または翼弦直線翼保持位置における接線方向との角度とした構成としている。この
時、相対角度が翼弦とアームとの角度の場合は、相対角度から90度引いた値をピッチ
角度と定義する。ここで、相対角度は、①迎角と、②風速、③周速、④ブレード回転角
度から演算が可能である。翼型特性を表す①揚力係数および②抗力係数は、③迎角との
関係で示しており、回転角度テーブルを演算する基となる翼型特性を精度よく取り入れ
ることが可能となるため、精度の優れた①回転角度テーブルおよび②相対角度を導きだ
すことが可能となり、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電
システムを実現することが可能となる。

● 第5の態様

第5の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第4の態様に係る垂直型風力発電
システムの構成において、①平面座標系において垂直型ブレードに流入する風の風速ま
たは垂直型ブレードの周辺の風速を検出する風速検出手段と、②垂直型ブレードの回転
数を検出する回転数検出手段とを有し、③回転角度テーブルは、風速、垂直型ブレード
翼直径翼型の風速またはレイノルズ数および迎角に対する揚力特性および抗力から
なる翼型特性回転数または周速比、翼弦の長さとなる翼弦長、垂直型ブレードの全長
となる翼長、直線翼の翼枚数および垂直型ブレードの翼直径から演算されたソリディテ
、およびブレード回転角度のすべての数値またはいずれか一つ以上の数値から演算
したブレード回転角度と相対角度の関係を表す回転角度テーブルとを有した構成として
いる。

この構成により、風速またはレイノルズ数、垂直型ブレードの翼直径、回転数または周
速比、ソリディティー、ブレード回転角度、翼型およびその翼型特性など、回転エネル
ギー変換効率を向上させるために必要な要素をすべて考慮し、最適かつより精度の高い
相対角度および回転角度テーブルを算出することが可能となり、回転エネルギー変換効
率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。

● 第6の態様

第6の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第5の態様に係る垂直型風力発電
システムの構成において、回転角度テーブルは、迎角または相対角度、ブレード回転角
度、周速比および風速との関係を表したもので、①一方の軸をブレード回転角度、②も
う一方の軸を相対角度、ピッチ角度または迎角として、③周速比および/または風速毎
複数の情報を有したデータの構成としている。

この構成により、回転エネルギー変換効率を高めるためのブレード回転角度、風速、回
転数または周速比に応じた迎角または相対角度の情報を簡素に取り出すことが可能とな
り、精度の高い回転角度テーブル、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂
直型風力発電システムを実現することが可能となる。

● 第7の態様

また、第7の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第6の態様に係る垂直型風
力発電システムの構成において、回転角度テーブル風速は0m/sから最大100m
/sの範囲とし、相対角度は±180度とした構成としている。この構成により、風速
は微風から強風域をカバーし、相対角度は±180度全域を調整範囲としているため、
あらゆる風況および構成仕様を想定した上で、最適な相対角度を選択することができ、
優れた回転エネルギー変換効率および発電効率を実現した垂直型風力発電システムが可
能となる。

 ● 第8の態様

また、第8の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第7の態様に係る垂直型風
力発電システムの構成において、平面座標系における風向角度を検出する風向検出手段
を有し、相対角度は、回転角度テーブルより、風速、回転数または周速比、およびブレ
ード回転角度をもとに参照した相対角度に、風向検知手段より検出した風向角度を加算
した風向加算相対角度とする構成としている。

この構成により、①あらゆる風向に対応した回転角度テーブルおよび相対角度を実現す
ることができ、一層精度の高い回転角度テーブルおよび相対角度と、回転エネルギー変
換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
②さらに、回転角度テーブルを事前に算出し、リアルタイムで風向を加算する構成とす
ることで、演算時間を大幅に短縮できるとともに、事前に算出する回転角度テーブルの
演算に十分時間を費やすことができるため、より高精度な回転角度テーブルを実現する
ことができ、より精度の高い回転角度テーブルおよび相対角度と、回転エネルギー変換
効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。

● 第9の態様

また、第9の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第8の態様に係る垂直型風
力発電システムの構成において、風速に応じて発生する垂直型ブレードの回転エネルギ
ーによる回転トルクと、発電機の負荷による回転抑止トルク釣り合わせることにより、
垂直型ブレードの回転数を一定回転数に制御する①垂直型ブレードの回転数制御手段
有し、回転数制御手段は発電機の回転数に応じて発生する回転抑止トルクに対して、②
発電機の回転数に応じて発生する電力、電圧、電流または発電機に付加する抵抗値を変
化させる回転抑止トルク可変手段を有した構成としている。

この構成により、相対角度の可変により制御した回転エネルギーと発電機側の回転抑止
トルクを精度よく釣合わせることが可能となり、垂直型ブレードの回転数を精度よく制
御することができる。特に、回転数を回転エネルギー変換効率のピーク付近で一定とす
ることで回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実
現することが可能となる。

● 第10の態様

また、第10の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第9の態様に係る垂直型
風力発電システムの構成において、回転角度テーブルは回転エネルギー変換効率を向上
させることを目的として、風速の風速レベルにより、相対角度を変化させた値とし、①
風速レベルが微風の時は直線翼から発生する力のうち比較的抗力による接線方向の回転
トルクが大きくなる相対角度または回転エネルギー変換効率が大きくなる相対角度とし、
②風速レベルが微風の領域を超えた場合は、直線翼から発生する力のうち比較的揚力に
よる接線方向の回転トルクが大きくなる相対角度、揚力と抗力の比となる揚抗比が比較
的大きくなる相対角度、または回転エネルギー変換効率が大きくなる相対角度としとし
た構成としている。
この構成により、風速に応じた最適な相対角度を選択することが可
能となり、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを
実現することが可能となる。

● 第11の態様

また、第11の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第10の態様に係る垂直
型風力発電システムの構成において、風速レベルは、4m/s以下の風速を微風とし、
8m/sを超える風速を強風とする構成としている。
この構成により、回転角度テーブ
ルより、風速に応じた相対角度を選択することが可能となり、精度の高い回転エネルギ
ーへの変換ができ、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電シ
ステムを実現することが可能となる。

● 第12の態様

また、第12の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第11の態様に係る垂直
型風力発電システムの構成において、回転角度テーブルは、回転エネルギー変換効率を
向上させることを目的として、垂直型ブレードの周速比の周速比レベルにより相対角度
を変化させた値とし、周速比レベルが低速の時は直線翼から発生する力のうち比較的抗
力による接線方向の力が大きくなる相対角度とし、周速比レベルが低速の領域を超えた
場合は、直線翼から発生する力のうち比較的揚力による接線方向の力が大きくなる相対
角度または前記揚力と抗力の比となる揚抗比が比較的大きくなる相対角度とした構成と
している。
この構成により、周速比に応じた最適な相対角度を選択することが可能とな
り、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現す
ることが可能となる。

● 第13の態様

また、第13の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第12の態様に係る垂直
型風力発電システムの構成において、周速比レベルは、①周速比が1以下の回転数は低
速とし、②周速比が1を超える回転数は高速とする構成としている。
この構成により、
回転角度テーブルより、周速比に応じた相対角度を選択することが可能となり、精度の
高い回転エネルギーへの変換ができ、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた
垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。

● 第14の態様

また、第14の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1~第13の態様に係る垂直
型風力発電システムの構成において、回転角度テーブルは、エネルギー変換効率を向上
させることを目的として、風速および周速比により相対角度を導いた値とし、風速レベ
ルが①微風でかつ周速比レベルが低速の場合は直線翼から発生する力のうち比較的抗力
による接線方向の力が大きくなる相対角度とし、②風速レベルが強風でかつ周速比レベ
ルが高速の場合は、直線翼から発生する力のうち比較的揚力による接線方向の力が大き
くなる相対角度または揚抗比が比較的大きくなる相対角度とし、③風速レベルが強風で
かつ周速比レベルが低速の場合は、直線翼から発生する力のうち比較的抗力による接線
方向の力が大きくなる相対角度とし、風速レベルが微風でかつ周速比レベルが高速の場
合は直線翼から発生する力のうち比較的揚力による接線方向の力が大きくなる相対角度
または揚抗比が比較的大きくなる相対角度とし、それ以外の風速レベルおよび周速比レ
ベルの領域では揚抗比が大きくなる相対角度とした構成としている。

この構成により、回転角度テーブルから、風速および周速比に応じた相対角度を選択す
ることが可能となり、精度の高い回転エネルギーへの変換ができ、回転エネルギー変換
率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。

さらに、態様項数がつづくので、今夜はこの辺までとして、残りは次回に持ち越す。

                                この項つづく
 

  ● 今夜の一曲 

ヤナーチェク: 弦楽四重奏曲 String Quartet No.1
「クロイツェルソナタに霊感を受けて」

弦楽四重奏曲 第1番ホ短調『クロイツェル・ソナタ』は、レオシュ・ヤナーチェクが
1923年10月30日から11月7日にかけて作曲した弦楽四重奏曲。1924年10月17日にプラハ
にて初演。
『クロイツェル・ソナタ』という副題は、レフ・トルストイの同名の小説に
触発されたことを暗示し、ベートーヴェンの「ヴァイオリンソナタ第9番」とは直接的
な関連はない。かつてヤナーチェクは、この小説に霊感を得て弦楽三重奏曲(1904年)
とピアノ三重奏曲(1908年-1909年)の2曲を出発点としているが、この2つは現在散
逸。
この弦楽四重奏曲は以下の4つの楽章からなる。全曲を通し演奏で15分程度と短
い。それぞれの楽章は、順を追って物語を展開させ、主人公が妻の不倫を知って苦悩す
る場面から開始楽章が始まり、終楽章で妻の殺害に至る。

【楽曲構成】
 

  1. Adagio
  2. Con moto
  3. Con moto – vivo – andante
  4. Con moto (adagio) – più mosso

  

 

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革命的な風力タービンⅢ

2017年02月11日 | 環境工学システム論

 

  

      連帯を阻むもの / 火雷噬嗑(からいぜいこう)


                                

    ※ 噬嗑とは噛み合わせること。卦の形を見ると、上と下の陽爻(-)
      はあご、陰爻(--)は歯と歯の間に物があって上下が噛みあうこ
      とを妨げている状態である。邪魔者を噛み砕けば上下が合する。
      また、上爻の離(り)は太陽、電光、下卦の震(しん)は活動、.
      震動、雷鳴であり、いずれも盛んな活動力を象徴する。旺盛な生
      活力と積極性で、障害物をはねとばしてゆけば、大きな成果があ
      ることを示している。しかし障害物は剛陽であり、甘く
考えてい
      ると思わぬ抵抗に遇うことになる。中途半端な妥協や姑
息な手段
      を弄することなく、全力を傾けて真正面からぶつかって
行くこと
      が肝心
である。

 

● ZW倶楽部:核のごみの無毒化・減容化・有用化に挑戦!

理化学研究所は、原発から出る放射性廃棄物(核のごみ)に含まれる長寿命の放射性物
質を、生活に役立つ貴金属に変える実証実験に2018年度から着手する。理論上は可
能とされるがこれまで実用化には至らず、「現代の錬金術」とも言われるが、実現でき
れば、処分に困る「核のごみ」の減量や有効活用にもつながるという(毎日新聞 2017.
02.11)。 

記事によれば「核のごみ」は放射線量が高く、専用容器に密封して地中深く隔離する方
法が現在検討されている。核変換が実用化すれば、ごみの減量や有効利用の可能性があ
る。一方で、理論通り実現するか、低コストで実用化できるかは未知数だ。国内では、
燃料のウランが原子炉内で中性子を吸収して質量数が大きくなった「重いごみ」(マイ
ナーアクチノイド)では、高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)で核変換の実験をした
ことがあるが、パラジウムと同様に核分裂してできた「軽いごみ」(核分裂生成物)で
は前例がない。

しかし、目論見通り行くのか?と疑問に思うのだが、実験は、内閣府が主導する革新的
研究開発推進プログラム「ImPACT(インパクト)」の一環。まずは、核のごみに含ま
れ、放射線量が半減するのに650万年かかる放射性物質「パラジウム107」を、宝
飾品や歯科治療、車の排ガス浄化用触媒などに使われる無害な貴金属「パラジウム10
」に変える。理研仁科加速器研究センター(埼玉県和光市)の加速器で、「重陽子

(陽子と中性子各1個で構成)のビームをパラジウム107に当て、原子核の中性子が
1個少ないパラジウム106に変える「核変換」の実現を目指す。勿論、成功するれば
パラジウムの核変換実験は世界初となる。実験で核変換される割合などを確認し18年
秋にも結果をまとめるということだが、研究担当者は、まだ実験段階で、実験データー
がとれれば一歩前進とのことだが、うまく行けば「核のZW」にひとつの道筋がしめさ
れる。


 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 22】

● 風力タービンの軸受の開発による性能アップ

前回は、「風力発電システムにおける転がり技術の適用に関する研究」(浅生利之、足
利工業大学 2015.07.25)を通し、垂直型風力タービンの回転軸受――アンギュラ玉軸
受の内輪と主軸の一体化で、部品点数が削減すると共に、大形ロックナットを不要にし、
風車の軽量化と製造コストの削減を実現―――
に絞り、➀始動トル
の改善(既製品比較
で60%ダウン)、➁風車始動風速が2.9m/sから1.8m/sに改善
(38%ダウン)。
➂回転中の機械的な動力損失が低減されて発電効率が約3ポイント改
善。➃軸受の基本
定格寿命5倍以上の耐久性を実証できている。この成果ポイントは、従来の軸受では、
変動するモーメント荷重が作用すると、内輪と軸の嵌め合い部でフレッチング等の破損
が生じるが、内輪と主軸が一体化することで解決できたことにある。いわば、「軸受の
剛性・弾性・共振性の改良」に絞り込んだ達成事例である。


特開2014-152729 垂直軸型流体発電装置 JP 2014-152729 A 2014.8.25


特開2014-138535 風力発電装置 2014.07.28 


● 事例研究:特開2017-031920 垂直型風力発電システム、
       及び垂直型風力発電システムにおける制御方法
 

以上の実証実験では既存の垂直型風力発電装置での軸受の比較であり、垂直型風力発電
ステム全体設計でなかった。今回は、バンテイジ・ポイント(vantage point)がえられ
る事例を調べることに。前回の事例はベアリング(軸受)からのアプローチだったのだ
が、ここで風況からのアプローチから考える、例えば、風速は、毎秒0.5メートルか
ら30メートル、そして絶え間ない変動を伴う。さらには、作動流体の空気は、雨、雪、
氷などが含まれ、気温は氷点下から40℃を超える、炎天下では、紫外線、嵐には、落
雷、竜巻、雹、霰、飛散物の襲来という過酷な条件を踏まえ、「特開2017-031920 垂直
型風力発電システム、及び垂直型風力発電システムにおける制御方法」で下記のように
課題を掲げる。
 

  1. ここまで、どのような条件にすれば、①回転トルクが大きくなるのか、②周速比
    や③翼性能および④レイノルズ数がどのように関係してくるのか、翼型が変われ
    ばどうなるのか等といった最も本質となるところの考察がない。したがって、⑤
    どのような相対角度にすれば、⑥どの程度回転トルクまたは、⑦発電効率が上が
    るのかが不明である。また、⑧空気力学的な最適解には至っていないため、2m
    /s程度の微風時にはブレードの回転トルクをほとんど得ることができず、ブレ
    ードが回転するにはさらに大きな風速が必要となる。⑨また、出現頻度が最も高
    い平均風速(たとえば6m/sあたり)付近では、逆に⑩ブレードの翼型の影響
    および⑪揚力が最大となる最適な迎角のずれにより発電効率が低下する。したが
    って、発電効率の高い垂直型風力発電システムを提供することが困難となる。
  2. ⑫さらには、強風時の過大風力への対応としてもわずかにブレードの回転トルク
    を低減できる程度であり、実際の強風に対して精度よくブレードの回転制御を行
    うことは困難であり、⑬強度的に長時間の運転には適さないという問題が発生し、
    ⑭垂直型風力発電システムの寿命や⑮信頼性が大きな課題となる。
  3. また、⑯カムやリンクでは、特定の風向きしか効果が無く、⑰風向きが変わった
    場合は逆に回転エネルギー変換効率が悪化してしまう点や、⑱調整範囲が狭い、
    ⑲さらにはどういう角度調整を行うか、またその効果がどの程度あるのかという
    点が全く考慮されていないなどの課題を有す。
  4. ⑳特許第4514502号の後縁部に切欠部22については、起動特性はわずかには改善
    されるものの、起動時にマイナストルクを発生している要因を改善しない限り大
    きな起動性の改善は見込めないし、(21)切り欠きにより、逆に本来の翼特性が
    失われ揚力の大幅な減少により通常回転時の発電量が大幅に低下するという課題
    がある。
  5. このように、先行文献に開示されている垂直型風力発電システムでは、(22)微風
    時におけるブレードの回転起動ができない、(23)平均風速での発電効率が低下す
    る、(24)強風時の回転数の制御が困難であり、(25)長時間の運転に適さないとい
    う問題がある。
  6. また、風速、風向およびブレードの回転数(周速比)に応じた効率的な発電効率
    の改善には至っていないため、実際の風況下における発電効率の向上にはほとん
    ど貢献していない状況となっている。
  7. 発電効率を向上させるためには、風の運動エネルギーをブレードの回転エネルギ
    ーに変換する回転エネルギー変換効率(Cpを向上させるとともに、回転エネル
    ギーを電気エネルギーに変換する電気エネルギー変換において、様々な風況にお
    いて可能な限り常時電気エネルギー変換を行うことが重要となる。したがって、
    できる限り風速の大きな状況でも風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し
    発電することが望ましい。
  8. 従って、発電効率の高い垂直型風力発電システムの課題は、①低風速(微風)時
    からのブレードの起動性と、②低風速時から強風時の風況における回転エネルギ
    ー変換効率の大幅な向上と、③強風時の過大な風のエネルギーの条件下での発電
    である。
  9. ブレードの起動に関しては、ブレードの枚数を増やす(ソリディティーを上げる)、
    切り欠きを入れる、スタータを設けるなどの手段があるが、いずれも微風時から
    効率的に回転し効率的な発電をするような自己起動性を満足するには至っていな
    い。
  10. また、低風速時から強風時の風況における回転エネルギー変換効率の向上に対し
    て、出現頻度の高い風況化でできる限り発電効率を高める狙いがあり、様々な翼
    型や翼構成の垂直型風力発電システムが提案されているが、空力特性の本質的な
    課題の解決には至っておらず、いずれも一定の割合の回転エネルギー変換効率を
    超えるのは困難な状況となっている。
  11. さらに、強風時の過大な風のエネルギー条件下での発電を行うには、ブレードの
    回転数が上昇することで、①ブレードを含む回転体の遠心力への強度的な対策が
    必要となるとともに、②回転エネルギーが増大するに従い、発電機への負荷が重
    くなってしまい、発電機のサイズ、重量、信頼性などへの影響が懸念される。
  12. 特に、ブレードおよびブレードを支持するアーム、アームを支持するシャフトユ
    ニットおよび発電機の回転部などは、回転数が増加するに従い遠心力が増大し、
    許容応力を超えてしまう。回転部分の信頼性を確保するためには補強する必要が
    生じるが、大きくかつ重くなるため、益々遠心力が増加してしまう。
  13. また、発電機の電気的特性においても、発電機出力は回転数に応じ所定の電力が
    出力されるが、回転数が増加すると、耐圧仕様の大幅な改善や負荷変動時の発熱
    を含めたサイズアップが必要となり、大きくかつ重くなるとともに、コスト大幅
    に増加してしまうなどの課題がある。

と、課題を述べ、発電効率の高い垂直型風力発電システムの実現には、①垂直型ブレー
ドの空力特性の本質的な課題の解明や②回転エネルギー変換効率(Cp)を大幅に向上
させる方式の探索、③ブレードの回転エネルギーを効果的に低減する方式、④過度な回
転を抑制する垂直型風力発電システムの構築が必須となるとし、次のような解決方法を
提案する。

 本発明に係る垂直型風力発電システムは、上記した課題を解決するために、複数の
 直線翼から構成される垂直型ブレードと、垂直型ブレードまたは直線翼を保持する
 アームと、このアームと固定されアームの回転を支持するシャフトユニットと、シ
 ャフトユニットと連動し、垂直型ブレードの回転エネルギーを電気エネルギーに変
 換する発電機と、素直型ブレードと前記アームとシャフトユニットを保持するポー
 ルと、ベアリング等から構成されシャフトユニットをポールに回動固定するシャフ
 トユニット保持部と、垂直型ブレードの回転面内において、アームに対する直線翼
 の相対角度をそれぞれ独立して回動させる回動手段と、回動手段により相対角度を
 調整する回転角制御手段と、垂直型ブレードの回転中心を基準にした平面座標系に
 おける基準角度からの垂直型ブレードまたは個々の直線翼のブレード回転角度と、
 ブレード回転角度から演算した相対角度の回転角度テーブルとを有し、回転角度テ
 ーブルをもとに回転角制御手段を用い、ブレード回転角度に応じて直線翼の相対角
 度を可変とする構成を備えている。
 

ここで、前術の課題の第8項目の考え方――発電効率の高い垂直型風力発電システムの
課題は、①低風速(微風)時
からのブレードの起動性と、②低風速時から強風時の風況
における回転エネルギ
ー変換効率の大幅な向上と、③強風時の過大な風のエネルギーの
条件下での発電
であると、3つのステージに切り分け整頓していることに注目する。

------------------------------------------------------------------------------


JP 2017-31920 A 2017.2.9 

【要約】 

垂直型風力発電システム15は、垂直型ブレード1、直線翼2、アーム3、シャフトユ
ニット4、発
電機5、ポール6、シャフトユニット保持部7、相対角度8、回動手段9、
回転角制御手段10、
平面座標系11、基準角度12、ブレード回転角度13、回転角
度テーブル14、垂直型風力発
電システム15、風速16、風速検出手段17、回転数
検出手段18、風向検出手段19、回転ト
ルク20、回転抑止トルク可変手段21、発
電機コントローラ(回転数制御手段)、パワーコント
ローラ23、結合部24、取付け
部27、風向27とを備えることで、微風から強風までの広
範囲の風速に対応し、回転
エネルギーへの変換効率高い垂直型風力発電システムを提供する。

------------------------------------------------------------------------------

● 実施形態

垂直型ブレードの発生する揚力および抗力において、回転トルクに対して正の力のみを
検討しており、特に微風時に支配的な負の回転トルクについての検討がなされていない。
さらに、推測や概念のみの試みが多く、回転エネルギー変換効率の改善量(ΔCp)と迎
角との関係が全く検討されていないし、示されていない。
また、もっとも重要な、ブレ
ードの回転数(周速比)と迎角との関係についてはその関係について見出していないし、
検討もなされていないなどの多くの問題があり、実際の垂直型風力発電システムの回転
エネルギー変換効率の改善には効果が不明であり、効果を検証しようとしてもほとんど
発電効率の向上という効果を得ることができないという大きな課題に直面した。

そこで、この問題点に関し、垂直型ブレードの翼型、揚力や抗力と迎角とレイノルズ数
との関係を示す翼型特性、直径やソリディティーなどの構成、垂直型ブレードの回転速
度などの構成条件や、風速や風向などの環境変化に応じて回転エネルギー変換効率が最
大となる相対角度を詳細に検証し、それぞれの構成条件や環境条件で回転エネルギー変
換効率が規則的かつ大きく変化する相対角度があることを見出している。

さらに、回転エネルギー変換効率の改善において、特定の角度で大きな改善効果(ΔCp
を見出すとともに、特定の角度変化のパターンで効果的に回転エネルギー変換効率を改
善することを見出した。特に、周速比(ブレードの回転数)と最適な相対角度との緻密
な関係および規則性の発見に至ったことで、回転エネルギー変換効率(Cp)の大幅改善
を実現する制御方法を見出し本発明に至ったとして、以下に示す態様の提案を行ってい
る。

                                                  この項つづく

 

  ● 今夜の一曲

 

スメタナ: 弦楽四重奏曲 String Quartet No.1我が生涯より」, in e    

弦楽四重奏曲第1番 ホ短調「わが生涯より(チェコ語:Z mého života)」は、ベドルジ
ハ・スメタナが1876年の10月から12月にかけて作曲した弦楽四重奏曲。
作曲者自身の生
涯を象徴する半自叙伝的な内容をもち、この副題が付けられている。第1楽章の開始に
おいてヴィオラが高音域で主旋律を奏でることや、終楽章において第1ヴァイオリンが
ハーモニクスでホ音の保続音(スメタナに聞こえていたという幻聴の象徴。実際にはイ
長調の主和音が聞こえていたという)を奏でることで名高い。
 

聴力を失ったスメタナが、プラハからヤブケニツェへと隠遁して間もない1876年10月頃
から作曲が開始され、同年末頃に完成。しかし、第3楽章が技術的に困難であるとされ
たことや、様式的に欠陥があると指摘され、初演の引き受け手がなかなか見つからなか
った。完成から2年が経過した1879年3月26日に、スメタナの友人であるスルブ=デブ
ルノフの家で初演され、このときヴィオラ奏者を務めたのがアントニン・ドヴォルザー
クである。公開初演はスルブ=デブルノフ家での試演から3日後の、1879年3月29日に
フェルディナント・ラハナーやアロイス・ネルーダ、ヤン・ペリカーン、ヨゼフ・クレ
ハンの4名による演奏でプラハで行われる。初演を引き受けた4名は、スメタナが隠遁
する前に指揮者として活動していた仮劇場のオーケストラの中心メンバーで、また、こ
の曲はフランツ・リストの前でも演奏しており、彼はこの演奏に熱狂する。

 



● 彦根に新しいランドマーク誕生!
     平和堂新社屋屋上に太陽光パネル設置
 

8日、平和堂は、滋賀県彦根市の本社社屋の建て替えが完成したと発表。13日に移転。
研修用の宿泊施設や間仕切りがないオフィススペースを設けており、社員同士のコミュ
ニケーションの円滑化を図る。投資額は58億円。
今年3月に迎える創業60周年を記
念するとともに、1972年に建設した旧社屋の老朽化に対応。
新社屋は旧社屋の南西
300メートルに建設した。鉄骨3階建て延べ1万4300平方メートル。3階を主に
社員交流スペースとし、宿泊用の部屋17室のほか、行事や懇親会に使えるラウンジと
和室の大広間を設けた。社史を学ぶ展示室や研修室もある。


オフィスは部門間の間仕切りをなくし、会議室の壁をガラス張りにして開放的な空間に
しつらえた。店舗指導などで出張が多い社員を対象に、自席を固定しないフリーアドレ
ス制度を導入した。
同社は「新社屋では部門間の壁をなくし、業務の効率化と生産性の
向上を目指す」としている。また、新社屋に入る本部の愛称は、「HeadOffice(本部)
And Training(トレーニング)Omotenashi(おもてなし)Communiction(コミュニケーシ
ョン)の意味と、ハトのマークにちなんで「HATOC(ハトック)。平和堂広報課で
は「単なる本部ではなく、研修の場であり、お客様や店舗の要望をしっかり聞いて、情
報や意志を伝える場であるという意味を込めた」としている。創業者の歴史や理念など
を学ぶ展示室を設けている。屋上には太陽光発電の設備も設置している。
  


 

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革命的な風力タービンⅡ

2017年02月09日 | 環境工学システム論

  

       ものの見方について / 風地観(ふうちかん)

                                


    ※ 観は凝視すること、ただ漠然と見るのではなく、よくよく見つめ
      る。奥底まで見抜くことである。この卦の形は、陰の勢力(╌)が
      上の陽(-)を押しのけんばかりの勢いを見せており、また地上
      (乾)に風(巽)が吹き荒れているさまを表わしていろ。君子道
      が衰え、利欲がせめぎあってまさに秩序崩壊のときである。しか
      し、こういう時こそ静思して現象の奥底まで見抜かなければなら
      ない。そういう態度が本当に身につけば、徳となりて人々を感化
      することができる。行動よりも静思の段階であるから指導的な地
      位にある人、教育者、学者、研究者にとってはよい卦である。

 ● 今夜の一品

「カレ ジャポネ」(Carrée Japonais) ――7日、「あさイチ」でベルギーが誇るカカ
オ豆からチョコレートまで製造の工程を一貫して行う「ビーン・トゥー・バー」を追求
し今のチョコレート界に新潮流を生み出す世界的ジェンドのショコラティエ・ピエール
マルコリーニがスタジオに生出演で創作提供していた。「カレ ジャポネ」はフランス
語で「日本風の四角いチョコレート」という意味。日本酒でチョコレートに深みを加え
るのがポイント。クリスピーな黒ごまと、さわやかなシソ(紫蘇)がアクセントである。
たまたまみていたのでラッキー・モーニング!ところで、最近、お気に入りのティーカ
ップに牛乳を入れ砂糖を少し加え、チョコラ・カレを1つ放り込み、電子レンジで加熱
し飲み身体を温め飲む。ここに、ウイスキーなどのお酒を加え、寝る前に一杯頂き熟睡
する。

 

【今夜も技術が天こ盛り】

Jan. 31, 2017

● 個人の思考を読み取る「脳ハッキング」

ごく短い時間だけ表示されるサブリミナル画像への脳神経反応を調べることで、個人の
宗教的信念や政治的傾向などを調べることができるという実験結果が発表された(「個
人の思考を読み取る「脳ハッキング」に成功:米大学実験」WIRED.jp 2017.02.03)。そ
れによると、ワシントン大学のタマラ・ボナチは、1月31日(米国時間)、セキュリ
ティーカンファレンス「Enigma」で、ある実験について説明した。単純なビデオゲーム
を利用して、一定のテンポで表示されるサブリミナル画像への神経反応を収集できる方
法を示したものだという。実験では、被験者に「Flappy Whale」というゲームをしても
らい、ファストフード店や自動車のロゴのような比較的当たり障りのないイメージに対
する反応を調べた。ボナチによると、同じ要領で、被験者の宗教的信念や政治的傾向、
医学的な状態、偏見など、もっとセンシティヴな情報も引き出せる。

実験には、脳に接続されるインターフェース(BCI:brain-connected interface)が利用され、
7つの電極をプレイヤーの頭に取り付け、脳波信号がリアルタイムで測定。イメージが
表示されるのは1回につき数ミリ秒間で、被験者が意識的に気づかないほど短時間。画
像が表示された瞬間に脳信号を測定することで、研究チームは、イメージに関するプレ
イヤーの考えや感情を知る手がかりを収集できたという。こうした「脳ハッキング」が
これま
でに現実世界で行われたという証拠はない。だが、仮想現実(VR)ヘッドギアや、
体に接続するフィットネスアプリなどを製造するメーカーにとっては、多くの生理的反
応を密かに調べるシステムを開発することは難しいことではないと前出のボナチは語る。
ボナチは、脳が生成する電気信号は、個人を特定できる情報に分類し、名前や住所、年
齢と同様に保護されるべきだと述べている。

 Feb. 6, 2017

● 食物連鎖で下水道の汚泥排出量をダウンサイジング

6日、国土交通省国土技術政策総合研究所は、辰野水処理センターにおいて微生物の食
物連鎖を利用した水処理実証施設が稼働を開始すると発表。下水道革新的技術実証事業
B-DASHプロジェクト)の2016年度採択技術「特殊繊維担体を用いた余剰汚泥削減型
水処理技術」は、「反応タンクの多段化」と「特殊繊維担体」を組み合わせ、反応タンク内
に微生物の棲み分けが生じる環境を形成することにより食物連鎖を生じさせ、発生する
汚泥量を大幅に削減する技術で、(株)IHI環境エンジニアリング・帝人(株)・日本
下水道事業団・辰野町が共同で研究に取り組んでいる。今回完成した実証施設では、同
技術について、汚泥削減効果やライフサイクルコスト縮減効果等を実証する。汚泥処理
設備を縮小化することにより下水処理施設のライフサイクルコスト(LCC)を低減し、
下水道経営の改善、持続的な経営に貢献が期待できる。

 Feb. 8,, 2017

● 現場に持ち込み、細菌やウイルスを約10分で検出

8日、日本板硝子株式会社、産業技術総合研究所などの研究グループは「モバイル遺伝
子検査機」(小型・軽量リアルタイムPCR(Polymerase Chain Reaction)装置)――ポリメ
ラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)による標的DNAの増幅を経時的(リアルタ
イム)に測定し、その結果からDNAの定量を行う装置。試料を、高温・低温の2温度(
もしくは3温度)域を往復させることでDNAの特定の部分が、1サイクルごとに同部が
2倍、4倍・・・と指数関数的に増幅する。(例えば、理論上40サイクルで約1012倍に
増幅) 微量のDNAからでも増幅でき、遺伝子工学研究では必要不可欠な技術――の開
発の成功を公表。



従来の細菌やウイルスなどの遺伝子検査は高精度で有用な一方、装置は大きく高価で検
査にかかる時間も長いため、専門施設でしか利用できなかった。感染の拡大を抑えるに
は早急に有効な対策が必要、そのためには現場で原因となる細菌やウイルスなどを迅速
に特定できる遺伝子検査機が求められてきた。



開発したモバイル遺伝子検査機は、従来の装置に比べ片手で持ち運べるほど小型・軽量
(約200mm×100mm×50mm、重量約500g)で、従来は約1時間かかっていた検査時間)を
約10分に短縮しました。また、小型化により低コスト化を実現し、バッテリー駆動も可
能である。
この成果により、これまで専門施設内に限られていた高精度の遺伝子検査が
場所を問わず実施でき、インフルエンザやノロなどのウイルスや細菌を現場で素早く特
定できるため、医療現場だけでなく工場などの食品衛生、環境汚染調査のほか空港や港
湾で感染症予防の水際対策での使用など、幅広い分野での活用が期待できる。このモバ
イル遺伝子検査機は、日本板硝子より年内発売を目標に開発を進めという。

さすがですね、このブログでもこのテーマを取り上げてきたが実現に一歩近いづいたと
いうことです。欲を言えば検査時間は、1分程度に短縮できればと思いますが、これは
実に面白い。

 

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 21】

● 垂直軸風車の転がり技術実験Ⅰ


垂直軸風車は、一般的に「ロータ回転軸が風向に対して垂直な風車」と定義、プロペラ
形の水平軸風車と比較すると発電効率はやや低くなるが、全方向の風を受けられるため、
水平軸風車のようにロータを風向に正対させる必要がなく、単純な構造にできる利点が
あることは知られている(上図参照、出典:「風力発電システムにおける転がり技術の
適用に関する研究」浅生利之著 足利工業大学 2015.07.25)。

垂直軸風車は主にブレード、主軸、主軸受、発電機等から構成、ロータが無指向性で単
純構成
がその特徴で、主軸と主軸受は、ブレードを取付けてロータとなる支柱部品、動
力を伝達する機
構部品の役割を持ち、過酷な風況条件に対する、①十分な強度、②耐久
性と、③効率のよい動力伝達が求められている。④特に主軸受は、発電機のコギングト
ルク等を除けば、風車の始動トルクや風車回転時の機械効率を決定する重要な要素とな
る。

垂直軸風車は、風向変化の激しい地域,例えば市街地や公園、遊園地、駐車場など建造
物が風向を大きく変えてしまう地域、あるいは複雑地形の地域などに設置されることが
多い、作り出された電気は、系統連係されることもあるが、街灯照明や非常用電源など
の独立電源で使用されることが多い。市民の生活ゾーンに設置する場合、風況の良い場
所を選び設置することは事実上不可を前提とし、低風速でも回り続けることが条件とな
る。また、風車が大型化は避け、ダウンサイジングし、さらに、人を傷つけず安全性を
確保が設計条件となる。前記「風力発電システムにおける転がり技術の適用に関する研
究」では異常のことを踏まえ、垂直軸風車主軸受の形状パラメータ最適化することで、
①十分な強度と②耐久性を確保しながら、③軸受のトルク抵抗を低減し、実証実験を行
って下記結論を得る。

  1. 従来の既存軸受と比較し、開発軸受の始動トルクは約60%以上小さくなった。
  2. 開発軸受と従来の既存軸受を同じ風車に搭載し、フィールド実験にて比較した結
    果、風車の始動風速が従来品2.9m/sから研究品1.8m/sに改善した。
  3. 開発軸受と従来の既存軸受を同じ風車に搭載し、フィールド実験にて比較した結
    果、回転中の機械的な動力損失が低減されて発電効率が約3ポイント改善できた。
  4. 開発軸受は、1)~3)を達成しながらも、IEC61400-2 の安全基準にのっとり、十分
    な強度を持つ基本静定格荷重を満足できた。
  5. この軸受は、1)~3)を達成しながらも、IEC61400-2 の安全基準にのっとり、設計
    寿命220年に対して信頼度95%以上を確保する基本動定格荷重を満足した。
  6. この軸受はJIS 規格外となる溝適合度60%の新しい軸受であるが、軸受単体の
    寿命耐久試験により、軸受の基本定格寿命(L10寿命=1,000,000rev.)に対しL10 寿
    命=40,110,000
    となり、90%以上の信頼度において5倍以上の耐久性を有してい
    ることを実証。
  7. この軸受はアンギュラ玉軸受の内輪と主軸の一体化で、部品点数が削減すると共
    に、大形ロックナットを不要にすることで、風車の軽量化と製造コストの削減を
    実現。
  8. 従来の軸受では、変動するモーメント荷重が作用すると、内輪と軸の嵌め合い部
    フレッチング等の破損が生じるリスクを抱えるが、この構造では内輪と主軸が
    一体化することでリスク解消を実現する。

※ フレッチングとは、軸受が回転しない状態で振動を受けたり、小さい振動を受けたときに
   生じる一種の摩耗現象のこと。

● 実験垂直軸風力タービン仕様



※ Tip Speed ratio(チップ速度比)とは、ブレード先端速度(例えば、12.5m/s)を
  風速(例えば、5.0m/s)で割った値2.5)。

● ブレード性能計算条件

次回はこの実証実験結果をもう少し詳しく見ていこう。

                                 この項つづく


  ● 今夜の一曲

ハイドン: 弦楽四重奏曲 String Quartet No.76「五度」, in d, Op.76-2 

弦楽四重奏曲第61番ニ短調 Op.76-2は、オーストリアの作曲家、フランツ・ヨーゼフ・
ハイドンによって、1797年に作曲された弦楽四重奏曲。第1楽章冒頭の主題から「五度」
という副題で呼ばれる。また、この楽曲エルデーディ四重奏曲 作品76(全6曲)と呼ば
れ、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作曲した弦楽四重奏曲のなかでも最もよく演奏さ
れる作品のひとつ。6曲中4曲に呼び名(『五度』、『皇帝』、『日の出』、『ラルゴ』)
があるが、エルデーディ伯爵の依頼で作られ、同伯爵に献呈されたため「エルデーディ
四重奏曲」と呼ばれる。この曲集は、ハイドンが1791-92年、1794-95年の2度にわたるイ
ギリス旅行から、ウィーンに帰ってから最初に書かれた主要な作品で、当時ハイドンは
64歳、すでに作曲家として揺るぎない評価を得ていたが、まだまだ創作意欲に溢れて
おり、この作品76の6曲の弦楽四重奏曲を世に出すことになる。さらに高度な書法で書
かれた6つの四重奏曲は、直前に書かれた作品71、74の6曲の弦楽四重奏曲(第1アポ
ーニー四重奏曲、第2アポーニー四重奏曲)を上回る評価を得て、当時の作曲家たちに
多大な影響を与える。

【ルームトレーニング奮戦記:腹筋強化(腹直筋)】

殿筋背筋強化とつま先立ちによる姿勢矯正に、腹直筋強化をさらに加えたのはいいが、
腹筋強化を入れるときつくなり、1パッケージ×3ユニット/日がさらにきつくなる。
室内ウォーキングだけ1ユニットにダウン。それでも朝は大変。「継続は力なり」と
言い聞かせ今夜も頑張る。
 

 

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革命的な風力タービン

2017年02月06日 | 環境工学システム論

  

       世に臨む / 地沢臨(ちたくりん)

                                

    ※ 臨とは、上から下のものをほおろすこと、転じて上から支配と保
      護を及ぼすことである(君臨)。支配の仕方はさまざまだが、こ
      の卦は、上下親しみあう状態を表わす。また下に二つの陽(=)
      があり、運気が次第に隆盛に向かうときである。しかしこの場合
      は短期決戦、急速に盛んになってたちまち衰える傾向かあり、時
      機を見ること敏なるを要する。また熱中するかと思えば、すぐに
      忘れてしまう人間類型を示すものであるから、よほど心を引きし
      めてかからないと、一生悔いか残すことになりかねない。

 

【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 20】

● システム仕様  

  1. タイプ:垂直翼揚力型風車(または、縦渦リニアドライブ型垂直風車
  2. ブレード数:垂直翼揚力型または、縦渦リニアドライブ型垂直風車):□翼数(
    最適設計)
  3. 最大瞬間出力:300W超(12m/s超)
  4. 最大出力回転数:300rpm超(12m/s超)
  5. 回転開始速度:1m/s以下
  6. カットイン風速速度:2.5m/s以下
  7. カットアウト風速速度:20m/s以上
  8. エネルギー変換効率:23%以上
  9. 外形寸法:□m×□m×□m(回転翼+内蔵機関一体外形)
  10. 直径:1200㎜以下(=ブレード長)
  11. 質量:80kg以下
  12. 取付フランジ:260Φmm以下
  13. ブレード材質:特殊強化プラスチックなど
  14. ボディ素材:鉄、ステンレス、アルミニウム、プラスチック
  15. 塗装:□処理□塗装
  16. 発電タイプ:三相コアレス発電機、誘導発電機、同期発電機
  17. コントロールシステム:SWT仕様
  18. パワーアシスト:無
  19. 通信機能:有
  20. ブレーキ・ロック方式:回生電磁ブレーキ方式内臓、磁気及び機械式ブレーキ
  21. オプション:出力インバーター/バッテリー/表示器ユニット/
  22. 標準価格:□万円_□人家族/世帯(□kw/d)
  23. 雷サージ対策:殊強化プラスチックに銅メッシュ層を挿入(オプション)

 

今夜は、システム仕様の「3.最大瞬間出力」と「4.最大出力回転数」と国内市場に
おける小型風力発電の開発背景についてふれてみよう。
 

風力発電で使われる風車は、定格出力1.5メガワット(1時間で最大1500キロワ
ットの出力が可能)や最大で6メガワット(同6000キロワット)が世界的に見ても
標準にあり、1980年代初頭では50キロワットの風車が最大級で、最大瞬間出力が
120倍の規模で増強している。
風車の出力は風車の受風面積(ブレードの回転する円
の面積)に比例するので、風車を大きくすればそれだけ多くの電力を得ることが出来る。

● 最大瞬間出力

現在、世界で最大の風車は定格出力6メガワットは翼直径126メートルにもなり、5

0キロワットの風車の直径は15メートル。風力発電の普及は、設備の大型化によるコ
ストダウンによるものだとも言われている。そこで、例えば風力発電の出力が2メガワ
ットと書かれている場合、最大瞬間出力が2メガワットだが、風況により、2メガワッ
ト以下のことも多々あるため、最適の風が吹いた時に2メガワットの発電が出来ること
意味するが、風が弱い時は当然2メガワット以下の発電となる。台風のように強すぎる
時は翼などが損傷する発電はやめてゼロとなる。従って、年平均すれば最大出力の25
%~30%程度の発電しか出力されていないのが国内事情と言われている。


例えば、定格2.5メガワット1基から生まれる電気は1回転で約1000ワットの電
気を生みだすので、上図のように、1年間で約6メガワット(6百万キロワット)発電
し、一般家庭の年間消費伝力の約1,600世帯分に相当。1世帯あたり2.3人として、
約3,700人の1年間の使用電力をまかなえる。これは二酸化炭素排出量に換算する
と2,268トンで樹木換算では、太さ10センチメートル×高さ4~5メートルの落
葉広葉樹9.072本が行う光合成量に相当し、その広さは(約9,000本の植樹面積は、
2ヘクタール(20,000平方メートル)の土地に相当。さらに原油換算すると、ド
ラム缶7,620本分となる。

● 航空力学の翼理論と風車の性能評価

風車の揚力(回転力)は、エネルギー保存の法則によって、圧力と流速の関係が決まる
この関係を利用し発生させようとしたのが航空力学の考え方、つまり航空力学の翼理論
をもとに計算される。風速(秒速)をV[m/s]、翼の受風面積をA[m2]、空気密度をρ[kg/m3]、
風車のパワー係数をCpとすると、風車から得られるパワーP[W]は 

            P= Cp×(1/2)×ρ×A×V3

の計算式で求められる。 ベッツの法則では風から取り出せるパワー係数Cpは最大で
16/27(ベッツ係数)とする。 風の持っているパワーの0.593までは理論的には取り
出せることを示す。Cpが大き くなるほど風車の発電出力性能が高くなり、上記の計算
式から風車のパワーは受風面積 と風速の3乗に比例する。また風車のパワー Pはトル
[N-m]×回転角速度[rad/s] でも表される。これは風車の動力から発電機によって電
気変換したパワーを表す。風車 のシャフトに与える力を大きくし回転数が上がれば、
風車から取り出せる発電出力は大 きくなる。一般的な大型プロペラ風車は抗力になり
うる翼面積を減らし、回転数(周速) を上げることで発電効率を高める。ベルシオン
式風車では揚力を引き出す翼面積を広げ、 かつ最適な回転数まで上げて発電効率を高
めるよう工夫されている。

一般的に風車の性能を評価する場合、パワー係数、周速比、ソリディティなどの特性係
数を利用して性能評価する。パワー係数とは風車の受風面積から得られる風のパワーを
基準にして、風車から取り出せるパワーとの割合を示しています。実際の風車では揚力
形の高性能プロペラ型大型風車で0.4、抗力形のサボニウス風車では0.15程度。周
速比とは風車翼の先端速度と風速の比を表しています。揚力形の風車では翼先端は風速
よりも早く回転でき、抗力形の風車では風速以下でしか回転できない。

ソリディティとは風車の受風面積に対する風車翼の全投影面積の比をとして定義。 A.
ベッツはどのような風車でも最大のパワーを取り出す場合のソリディティと周速比には
一定の法則があるとし、曲線と曲線の範囲内(影部分)に 入るとする。

※  Effects of solidity for a small straight-bladed vertical-axis wind turbine (Torque and power
   characteristics and torque variation), Seiji YAMADA et.al , 2000.11.25

ところで、 現在、日本では出力20キロワット(kW)未満の風力発電を小型と定義されて
いるが、
今、この小型風力発電の設置がブームになりつつある。後押ししているのは太
陽光発電に比
べ、2倍以上の高値で売電できる再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度
(FIT)のため。その根拠は、小型風力は1kW時当たりの買い取り価格が55円。対する太陽光
は昨年7月に引き下げられ27円(10kW以上)となった。  太陽光の導入が急増したことなどから、
経済産業省は価格を是正。そのため、「太陽光の導入を検討していた個人や企業が、小型風
力に関心を示すようになった」と各メーカーの担当者は口をそろえる。また、世界風力エネルギ
ー協会によれば、小型風力の発電容量は、世界的に見ても最近5年間で年率20%前後伸びて
いる。

小型風力の普及の背景には大型風力と比べた際の導入の手軽さがある。風力エネルギー
受風面積に比例するため、風車の羽根であるブレードが長いほど出力が高くなる。小
型に比べ
大型の方が出力効率は高く、コストパフォーマンスの面でも有利だ。だが、大
型の設置には広
大な面積が必要とし、一般的に、ブレードが長くなるほど発生する①騒
音や②低周波音が増え
る。最大でも高さ25m程度の小型に比べ、100m以上にもなる大型
風車は景観への配慮も必要だ。設置を巡って訴訟に発展し、計画を中断した例もある。
現状、小型と大型とでは出力が桁違いのため代替エネルギー源にはなり得ない。だが、
設置数が増えれば小型も日本の再生可能エネルギーの一翼を担う可能性がある。

現状、小型と大型とでは出力が桁違いのため代替エネルギー源にはなり得ない。だが、
設置数が増えれば小型も日本の再生可能エネルギーの一翼を担う可能性がある。小型風
力発電には大きく分けて水平軸と垂直軸の2つのタイプがある。水平軸型は、大型風力
発電でも多く使われる3枚ブレードのプロペラ型が代表例。回転軸が地面に対して水平
で、風向きに追随して風車が動く。垂直軸型に比べ、発電効率は高いとされる。

一方、垂直軸型は回転軸が地面に対して垂直に固定されており、風を全方向から捉えら
れるのが特徴だ。現在、型式認証を得ているのは台湾Hi-VAWTテクノロジーの製品のみ。

垂直軸型には、出力は低いが風速が低くても回転するサボニウス型と、高出力を得られ
るが風速が高くないと回転を始めないダリウス型がある。Hi-VAWTはこの両方を組み
合わせ1つの風車に搭載している。両方式の利点を生かし、低速でも回転を始め、高速
になれば高出力を得られる。この垂直軸型のHi-VAWT製品と水平軸プロペラ型のスペイ
ン・エネラの製品の双方を販売する自然風力発電社は、海岸沿いなど水平に一定の風が
吹く場所は水平軸型、段差がある高台など風が吹き上げる場所には垂直軸型が向くと言
われる。また、
垂直軸型はベアリング大手のNTNも開発に乗り出している。浜松市のベ
ンチャー、グローバルエナジーが開発した羽根の特許使用権を取得し、来年中に型式認
証を得て発売を目指している。


● 高風速時に風車を止めない

風力は風速の3乗に比例する。プロペラ型の多くの機種では風速毎秒3mくらいから出力し始め、
9m程度で最高出力に達する。だが、台風や突風などで風速が強すぎると、過剰回転による危
険防止のために風車を止めてしまう。せっかく高出力を得られる高風速時に止めるのは無駄が
多い。そこで高風速時に風車を止めない工夫が必要になる。

出力が最大級の小型風車を製造するアイルランドC&Fグリーンエナジーの「CF20」はブレード
の角度を調整し、強風時に風を逃がして過剰回転にならないようにするピッチ制御が可能。そ
のため風速毎秒25mまで止めずに発電ができる。大型風車には搭載されている機能だが
小型では珍しい。風力ベンチャーのゼファー(東京都港区)が開発したエアドルフィン
は高風速時、風車の回転を電気的に制御することでどんな強風下でも風車は回り続ける。
ブレードに、軽量で剛性に優れる炭素繊維を使うことで実現できた。

一方で最高出力に達する前の低中風速時での発電効率を高める工夫をしているのがレン
ズ風車。九州大学の大屋裕二教授は複数の風車を組み合わせたマルチローターシステム
を開発。プロペラ型のブレードの外側を囲む輪「集風体」が最大の特徴。九州大学と同
大学発ベンチャーのリアムウィンドが開発。九大応用力学研究所の大屋裕二教授は集風
体によって風の渦を作ることで風力を強める。同サイズのプロペラ型に比べ2~3倍に
出力が向上すると話している。同教授が現在、実用化に取り組んでいるのがマルチロー
ターシステムと呼ぶ、1つの支柱に複数の風車を取り付けた製品。3.1kWの風車を3つ
取り付けた機種を九大内に15年12月に設置した。3つのレンズ風車をまとめて配置
することで風力を強める相乗効果があり、発電量が10%程度上がるため10kWの出力
が得られる。小型ならではの出力を高める工夫がある。さらには、ブログで紹介した「
縦渦リニアドライブ型ウインドタービン」(「ようこそ、SWT工房へ」2017.01.30)も
直に参入してくるだろう。

 
● 課題は設備のコストダウン

小型風力の最大の課題は設置コストが割高なことがあげられている。20kW2000万~
3000
万円にもなる。その対策として新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は

産学と連携し委託・共同開発を開始。小型風力発電の主要部品である電力変換装置など
の研究開発を実施し、部品の標準化を進め30%のコストダウンを目指す。売電のため
には電力会社の送電網に小型風力が生み出した電力を供給する系統連系と接続作業が必
要になる。小型風力は風量によって発電量が頻繁に変化する特性がある。従来は各メー
カーが独自に最適なパワーコンディショナーを開発してきたが、標準化できれば無駄な
機能や部品を省けるようになる。現代はデジタル革命の渦中にある。コスト逓減を肌身
で知っているわたし(たち)は恐れはしていない。

● 事例研究:特開2017-008858 風力発電装置

それでは、最後に「最大出力回転数」に関係する新機考案事例を俯瞰しよう。

大型の風車を用いた大規模な発電施設に限らず、小型の風車を利用した小規模な発電設
についても開発が進められ、低コストでの実用化に向けて、発電効率の向上を目指し
た技術が
種々提案されている。風力発電に利用される風車には、風の方向に沿って回転
軸が水平方向に設定された水平軸型風車と、風の方向に対して回転軸が垂直方向に設定
された垂直軸型風車と、が利用されている。

1.垂直軸型風車は、風向に対する風車の回転面の方向制御機構が不要である等のメリ
  ットがあるが、
2.
風車が風を受けて回転する際に風車の回転軸より半分の部分では羽根が受ける風は
  風車を回転する方向に有効作用する一方で、残りの半分の部分では羽根が受ける風
  は回転方向に対して逆方向となって抵抗となり、回転効率が低下するデメリットが
  ある。
3.これに対して、垂直軸型風車の周囲に導風板や整流板等のガイドベーン等を配置す
  る技術がしられているが、垂直型風車の周囲にガイドベーン等を設置する構成では、
  風車が占めるスペースに加えて、その周囲にガイドベーンを設置するスペースが必
  要となるため、全体として大きなスペースを必要である。一般的に風車の回転径が
  大きいほど、風車の出力ひいては発電効率が大きくなるが、ガイドベーンを設ける
  場合には、限られたスペースでは、逆に風車自体のスペースすなわち風車の回転径
  を小さく製作せざるを得なくなり発電効率の向上がさほど期待できない。
4.風車の周囲に集風板を設け、風車に導入される風量を増加させ風速を増大させるこ
  とで、風速が低
い環境でも垂直軸型風車を効率良く回転させ、風車の周囲の風速
  高い場合には集風板を収納し、
風車の回転による総合的な発電効率を高める(特開
  2017-015094「垂直軸型風車の集風装置」も提案されているが、機構が複雑になると
  いうことで、改良提案を個人的にこのブログで提案をしているところである。

よって、同じ設置スペースに対してできるだけ効率の良い風力発電の開発が望まれてい
た。下図のように、風の流れFに対して垂直方向に設置されて軸回り回転自在に支持さ
れた回転軸12と、風を受けて該回転軸12と一体的に回転するように該回転軸12に
取り付けられた複数の羽根体14とを有する垂直軸型の風車体16と、回転軸12に連
結され該回転軸の回転により発電する発電機18と、風車体16の外側で周方向に互い
に等間隔に離隔して配列されて該風車体16への風の流れをガイドする複数の導風板20
であり、回転軸12に直交する断面視で、該羽根体14の回転軌跡円CRと該回転軌跡
円CRに外接する仮想的な正多角形SPとの間の領域Z内に全体が収容されるように設
置された複数の導風板20とを備えた風力発電装置10から構成される。

JP 2017-8858 A 2017.1.12
【符号の説明】

10 風力発電装置 12 回転軸 14 羽根体 16 風車体 18 発電機 
20 導風板 26 返し部


また、導風板20は、回転軸12に直交する断面が直線状となる平板状部材からなり、
該断面直線形状の一端(20A)を羽根体14の回転軌跡円CRに近接して設けられる
とともに、他端(20B)を前記正多角形SPの辺上又は辺に近接して設けたこととし
てもよい。また、羽根体14は、回転軸12に直交する断面形状が回転軸12に向けて
凸状に湾曲された湾曲板材で形成されるとともに、回転方向前方側12Aに流線型を形
成するように前端部12Aを外側に向けて略U字状に湾曲された返し部26を有するこ
ととしてもよい。また、導風板20は、回転軸12に直交する断面形状の長さが、羽根
体14の回転軌跡円CRの径方向の羽根体14の幅D1よりも長い長さで設けられたこ
ととしてもよい。また、導風板20は、回転軸12に直交する断面形状の長さが、前記
正多角形SPの頂点から該羽根体の回転軌跡円CRに接する接線の長さよりも短い長さ
で設けられたこととしてもよい。また、導風板20は、該羽根体14の回転軌跡円CR
の直径を導風板20の数で割った長さに設定されたこととしてもよい。



【実施形態】

図1、図2、図3に示すように、風車体16は、回転軸12の周りに複数の羽根体14
を等間隔に取り付け、風を受けて一体回転する羽根車であり、回転軸12を風の流れに
対して垂直に向けた垂直軸型の風車装置である。本実施形態では、回転軸12は、例え
ば、軸方向を地面等の設置面に対して鉛直に立てて配置され、機枠22の軸受24に回
転自在に軸支されている。

なお、羽根体14の枚数は任意でよく、例えば、図7の実施形態に示すように、3つで
もよい、2枚又は4枚以上の数でもよい。また、羽根体14の形状も例えば、上記の形
状に限らずダリウス型、クロスフロー型、サボニウス型、直線翼型、パドル型等、その
他任意の風車の羽根形状
でもよい。複数の導風板20は、該風車体への風の流れをガイ

ドするように風車体16の回転軌跡円CRよりも外側で周方向に互いに等間隔に隔離配
列された導風手段である。複数の導風板20は、羽根体14に対して回転を促進する方
向に風をガイドするとともに、羽根体14の回転を妨げるように作用する風を一部遮る
ように整流する整流機構となる。図4に示すように、導風板20は、一部の風を遮りつ
つ、その流れを変えて回転している風車体の羽根体14に流すことにより、該導風板14
の風下側、すなわち該導風板14の後方部分と、導風板をよけて流れていく部分と、で
風の流れに速度差を生じさせる。その結果、例えば、導風板14の板面に風が当たった
際に、導風板の後方に負圧を生じさせて、導風板20の背面側に回転する羽根体14が
位置する際には、該羽根体14を回転方向Dに促進させて、回転効率の向上を期待でき
る。



【特許請求範囲】

  1. 風の流れに対して垂直方向に設置されて軸回り回転自在に支持された回転軸と、
    風を受けて該回転軸と一体的に回転するように該回転軸に取り付けられた複数の
    羽根体とを有する垂直軸型の風車体と、回転軸に連結され該回転軸の回転により
    発電する発電機と、風車体の外側で周方向に互いに等間隔に離隔して配列されて
    該風車体への風の流れをガイドする複数の導風板であり、回転軸に直交する断面
    視で、該羽根体の回転軌跡円と該回転軌跡円に外接する仮想的な正多角形との間
    の領域内に全体が収容されるように設置された複数の導風板とを備えたことを特
    徴とする風力発電装置。
  2. 導風板は、回転軸に直交する断面が直線状となる平板状部材からなり、該断面直
    線形状の一端を羽根体の回転軌跡円に近接して設けられるとともに、他端を前記
    正多角形の辺上又は辺に近接して設けたことを特徴とする請求項1記載の風力発
    電装置。
  3. 羽根体は、回転軸に直交する断面形状が回転軸に向けて凸状に湾曲された湾曲板
    材で形成されるとともに、回転方向前方側に流線型を形成するように前端部を外
    側に向けて略U字状に湾曲された返し部を有することを特徴とする請求項1又は
    2記載の風力発電装置。
  4. 導風板は、回転軸に直交する断面形状の長さが、該羽根体の回転軌跡円の径方向
    の羽根体の幅より、長い長さで設けられたことを特徴とする請求項3記載の風力
    発電装置。
  5. 導風板は、回転軸に直交する断面形状の長さが、前記正多角形の頂点から該羽根
    体の回転軌跡円に接する接線の長さよりも短い長さで設けられたことを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の風力発電装置。
  6. 導風板は、該羽根体の回転軌跡円の直径を導風板の数で割った長さに設定された
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の風力発電装置。

【実施例】

実施例では、図9に示すように、上記実施形態のように構成した風力発電装置10を送
風機VからL=3100mmだけ離した位置に設置し、風速0.6m/秒で風を当てて
風車体16の回転を目視で計測し、30回転に要する時間を測定した。図9(a)と図
9(b)では、風力発電装置10に対する風の方向を45度変更して各導風板に当たる
風の角度を変更して測定した。実施例では、風車体16の羽根体14の回転軌跡円CR
の直径は276mm、羽根体14の回転軸方向長さは600mmとし、導風板20の回
転軸方向長さは600mm、導風板20の横断面の幅長さWを下記のように変更して、
それぞれ風車体が30回転するのに要する時間を5回計測してその平均値を求め、その
平均値から平均回転数(1分あたりの回転数)を算出した。また、比較例として、導風
板を設けないで回転数を計測した。以下にその結果を示す。

 

 

実施例1~6の結果により、風力発電装置に当たる風の向きが図9(a)、(b)のい
ずれの場合でも、導風板の幅長さWを長くすると回転数が向上し、導風板20の幅長さ
Wを回転軌跡円の直径を導風板の数で割った値(実施例では、69mm)とした場合に
回転数が最大となり、さらに該幅長さWをその値を超えた長さとすると回転数が低下す
るのが分かる。導風板が4つの場合には、導風板20の幅長さWを、例えば回転軌跡円
の直径の20~30%程度に設定するとある程度高い回転数で風車体が回転すると推測
できる。実施例6に示すように、導風板20の幅長さWを長くして正方形の頂点から該
羽根体の回転軌跡円に接する接線の長さ、すなわち回転軌跡円に外接する正方形の一辺
の長さの半分の長さ(実施例では、138mm)に近づけると回転効率が劣ることが分
かる。


 ● 今夜の一曲

ベートーベン: クラリネット三重奏曲 Trio , in B, Op.11

ピアノ三重奏曲 第4番 変ロ長調『街の歌』(Gassenhauer)作品11は、ルートヴィヒ・ヴァン・
ベー
トーヴェンが1797年に作曲したピアノ三重奏曲。1798年に出版され、作品はマリア・
ヴィルヘル
ミーネ・トウン(英語版)へ献呈された。ベートーヴェンの初期に人気の高
かった、木管楽器を扱
った社交的な作品のひとつである。変ロ長調で作曲されており、
これは当時まだベーム式シス
テムの恩恵を受けていなかったB♭管クラリネットでの演
奏の容易さを考慮したものとされてい
る。「街の歌」という愛称は、第3楽章において
当時流行していたヨーゼフ・ヴァイグルの歌劇『
船乗りの恋、あるいは海賊』(L’amor
marinaro ossia Il corsaro)からのアリア「仕事の前に」(Pria ch'io l'impegno)の主題を用いる。
この作品が人気を博した大きな理由でもあり、ニコロ・パガニ
ーニもこの主題による作
品を残す。なお、ベートーヴェンが多楽章作品で他人の主題を用いた
のはこれが唯一で
ある。

【楽曲構成】

  • 第1楽章 Allegro con brio:変ロ長調、4/4拍子。ソナタ形式。第1主題は3つの楽
    器のユニゾンに、第2主題はクラリネットに提示される。
  • 第2楽章 Adagio:変ホ長調、3/4拍子。ソナタ形式。主部の主題は、2年後に作
    曲された七重奏曲Op.20の第3楽章と似たリズムを持つ。
  • 第3楽章 Tema con variazioni (Pria ch'io l'impegno: Allegretto):変ロ長調、4/4拍子。
    変奏曲形式。軽快な主題に9つの変奏とコーダが続く。

コメント
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雪が降るから考える。

2017年02月03日 | 環境工学システム論

 

  

        何に随うのか / 沢雷随(たくらいずい)


                               


       ※ 「随」とは、したがうこと。同行、附随、随喜の随である。この卦
        は人々を心服悦従させる道を示すとともに、人に随うことの必要を
                も説いている。「したがう」とは主体性を失って流れにまかせろこ
        とではない。何に随うか、これは主体の決断にかかっている。随っ
        ていく対象をしっかと見定めねばならぬ。上卦の兌(だ)は若い女、
        下卦の震動(しん))は年輩の男である。中年男が少女に鮭せられ
        て随っている形ともとれるし、実力あるものが、一歩譲って自分以
        下のものに随っている形ともとれる。いずれの場合も真摯に行なう
        ならば必ずよい結果が出る。この卦は四季にあてれば秋である(一
        説には初春ともいう)。盛気衰えるとき、人に随う気持を忘れては
        ならない。

 

 



【LED型交通信号降雪障害】
 

省電力などを理由に県内でも普及の進む発光ダイオード(LED)信号機が、降雪時に「
見えにくい」との声が上がっている。LEDは従来の電球型と異なり発熱量が少なく、
表面に付着した雪が溶けにくいためだ。県警も課題として把握しているが、手作業によ
る雪の除去しか有効な対策がないのが現状という(中日新聞 2017.02.03) 

彦根市でも積雪が60センチに達するなど、湖北・湖東地域を中心に県内が大雪に見舞
われた1月23~24日。豊郷町内の国道8号高野瀬交差点ではLED信号機に吹き付
けられた雪が凍っていた。赤信号は縁がかろうじて光って見える程度。右折信号は
点灯
しているかどうかも分からない。LED信号機は、耐久性や省電力などに優れ、東
日本
大震災を機にいっそう注目されるようになった。県では2003年から導入が始ま
り、
昨年3月末時点で、県内2402の信号機のある交差点のうち、約56%をLE
が占
める。
 

LED信号機が普及するにつれ「降雪時に見えにくい」との苦情が届くようになり、1
月の大雪時には、同様の苦情が豊郷町役場と彦根、甲賀、木之本署で合わせて少なくと
も五件あった。苦情があれば、管轄の署員が出動し棒で雪をはたき落としたり、ふき取
ったりして対応する。場合によっては契約業者に除去を依頼する。雪国を中心に対策が
進み
つつあり、おわん型の着雪防止フードがついたLED信号機や、真っ平らで雪のた
まる箇所がな
く、雪が落ちやすいよう斜めに設置するフラット型も登場している。 

日本で最も積雪の多い県の一つの青森では県内の信号機の44%がLEDだ。青森県警
による
と、これまでさまざまな種類のLED信号機を導入し、風向きや雪質などを踏ま
え、最も有効な
機種を判断。現在は新たな設置に限らず、更新時期が来た信号機も順次、
最適の機種に換え
ている。14年からは、同県警が主導して研究機関などと開発チーム
を設置。問題解消のた
め、着雪の仕組みを調査しながら、改良型の開発と普及を目指す。
滋賀県警も複数種の
LED信号機の導入などを試みているが、年間降雪量が多い青森な
どに比べ、対策は遅れ気味だ。県警交通規制課は「自然が相手なので、これといった決
定打がない」と話す。打開策が講じられるまでは「信号が全く見えない場合は、十分に
安全を確保してから110番や署への電話で知らせてほしい」と求めている。

寒冷地では、降雪時に交通信号灯器のレンズ外表面に雪が付着し、視認性の低下を招く
という問題が生じている。交通信号灯器に用いる光源として、①節電効果、②視認性に
優れ、③寿命が長い等のメリットを有することから電球型からLED型への移行が進ん
できているが、LEDは白熱電球に比して発熱量が少ないため、光源としてLEDを用
いた場合は、降雪時に交通信号灯器のレンズ外表面に付着した雪が更に溶け難くなり、
視認性が損なわれるため、寒冷地においては、降雪時における交通信号灯器のレンズへ
の着雪対策が種々講じられている。

  1. 例えば、着雪を防止出来き、清掃の負担を軽減出来る交通信号灯器等の表示装置
    ――表示パネルの上方位置にフードを設け、さらに、表示パネルの外表面または
    このフードの表面に撥水塗料を塗布し降雪時に雪で覆われないようにする方法。
  2. また、着雪防止の透明導電膜――透明基板に形成し、酸化インジウムスズ(IT
    O)を主原料とし、窒素とケイ素酸化物を添加、透明発熱体として用いる方法。
  3. 交通信号灯器のレンズ外表面に対して着雪をし難くするために、レンズの形状を
    半球状としたり、表面をフラット状とした表示器を路面に向けてやや傾けて設置
    する方法。

以上などが提案されているが、1の方法は、交通信号灯器のレンズの上方位置にフード
を設けたとしても、吹雪いた時にはフードで雪を確実に遮ることが出来ず、レンズの外
表面に着雪が生じる。また、レンズの外表面や当該フードに撥水性塗料を塗布したとし
ても、雪の付着を防ぐ効果は、雨水の付着を防止する効果に比べて十分でない。また、
雪の付着を防ぐ効果も2年足らずで薄れ、撥水効果を長期間安定して実現することが出
来ない。また、レンズ外表面の除雪や清掃を行う場合には、ブラシ等で外表面が擦られ
るため、撥水性塗料が剥ぎ取られて撥水効果が損なわれる。

また、2の方法では、透明導電膜を透明発熱体として用いた場合には、電気コストの増
大を招くと共に透過率の低減を招く。また、透明導電膜は、耐屈曲性に劣るため、曲面
を有する部材への適用には問題がある。

3の方法では交通信号灯器のレンズ形状を半球状としても、吹雪いた時にレンズに着雪
し、十分な着雪防止効果を得ることが出来ない。さらに交通信号灯器の表示器の表面を
フラット状とし、表示器を路面に向けてやや傾けて設置した場合には、当側に雪が積も
り、この積もった雪により形成される氷柱が人や車に落下する等して安全性に欠けると
いう問題がある。

そこで、下図の新規考案――光源をLED14とした交通信号灯器10に取り付けられ
る交通信号灯器用電熱回路付き透光カバー1で、少なくともLEDの光の照射方向に、
光を透過する透光体層2と、抵抗発熱する電熱回路3aを当該LEDから照射された光
を遮らない位置に配してなる発熱導体層3とを積層し、交通信号灯器に着脱自在取り付
できることで、①安全で、②安価で、③優れた着雪防止効果を③長期間安定して発揮す
ることの出来る交通信号灯器用電熱回路付き透光カバー及び表示器が――提案されてい
る。 

  Feb. 2, 2017

【特許請求の範囲】

  1. 光源をLEDとした交通信号灯器に取り付けられる電熱回路付き透光カバーであ
    って、少なくとも当該LEDの光の照射方向に、光を透過する透光体層と、抵抗
    発熱する電熱回路を当該LEDから照射された光を遮らない位置に配してなる発
    熱導体層とを積層してなり、当該交通信号灯器に着脱自在に取りつけられるもの
    であることを特徴とする交通信号灯器用電熱回路付き透光カバー。
  2. 前記透光体層との間に前記発熱導体層を挟み込んで封止する透光性の封止体層を
    積層した請求項1に記載の交通信号灯器用電熱回路付き透光カバー。
  3. 前記透光体層及び/又は前記封止体層は、ポリカーボネートからなる請求項1又
    は請求項2に記載の交通信号灯器用電熱回路付き透光カバー。
  4. 外表面に撥水膜を形成した請求項1~請求項3のいずれかに記載の交通信号灯器
    用電熱回路付き透光カバー。
  5. 前記電熱回路付き透光カバーの温度を検出する温度検出手段を備え、当該温度検
    出手段の検出温度に基づいて前記電熱回路への通電を制御し、当該電熱回路付き
    透光カバーを温度に加熱する請求項1~請求項4のいずれかに記載の交通
    灯器用電熱回路付き透光カバー。
  6. 少なくとも外表面に振動を付与する振動手段を備えた請求項1~請求項5のいず
    れかに記載の交通信号灯器用電熱回路付き透光カバー。
  7. 前記電熱回路は、中央部の回路幅が外周部よりも狭い請求項1~請求項6のいず
    れかに記載の交通信号灯器用電熱回路付き透光カバー。

これによると、交通信号灯器用電熱回路付き透光カバー1は、着脱自在に交通信号灯器
10に取り付けられるため、降雪のない時期には取り外すことができ、また、破損した
場合でも迅速に交換することが出来る。また、交通信号灯器用電熱回路付き透光カバー
1を用いずに交通信号灯器10のレンズ12の外表面に撥水塗料を塗布しただけでは雨
風や砂埃等に曝されて2年程度しか効果が得られない、交通信号灯器に着脱自在な交
信号灯器用電熱回路付き透光カバー1を用い、定期的に交換することで、常に外表面
の撥水性を高めた状態に維持することが出来るとしているが、定期的に交換する必要が
あるのが難点である

下記図は、着雪防止機能を専ら加温手段に頼るタイプの信号機は、加温手段で透光パネ
ルを加温して透光パネルへの着雪を防止できたとしても、透光パネルの温度が下がりや
すく、透光パネルが曇って信号機の視認性が低下するという問題が生じる。また、着雪
防止機能を専ら加温手段に頼るタイプの信号機は、消費電力が大きくなりがちで、信号
用光源として消費電力の小さな発光ダイオードを使用した意味が無くなるという欠点が

ある。特に、人里離れた山間部等、商用電源の確保が難しい場所に信号機を設置する場
合には、太陽光や風等の自然エネルギーを利用して発電する小型発電機を信号機に併設
する場面も想定されるところでは、信号機の消費電力が大きいと、その電力を小型発電
機では賄いき
れなくなるという問題も生ずる。という問題を解決するために提案されて

いる新規考案である。そんないい考えがあるのか?その実力を考えてみよう。

Jan 19, 2017

上図1のように、前方へ信号光を出射するための光源板10と、光源板10の前面側を覆う透光
パネル20と、透光パネル20を加温するための加温手段30とを備えた信号機において、透光
パネル20を、透光性を有するゲル化蓄熱材等からなる蓄熱層21を備えたものとした。光源板
10を、その前面側に隙間を隔てて多数の信号用光源11を配列したものとし、加温手段30を、
通電すると発熱する電熱線31と、電熱線31に電流を流すための加温用電源32とで構成し、
電熱線31を、光源板10の信号用光源11における隙間を縫った状態に配することで、着雪や
曇りによる視認性の低下を防止する信号機の提案である。

尚、蓄熱層21に使用するゲル化蓄熱材は、イソブチレン・無水マレイン酸の共重合ポリマー(
吸水樹脂)と、エチレングリコール(凍結防止剤)と、架橋剤とを水に添加してゲル化したものを
蓄熱層21の蓄熱材として使用している。

また、 加温用電源32の出力電力は、信号用光源11の個数や種類等によっても異なり、特に
限定されないとしつつ、1つの信号灯を126個の発光ダイオードで構成する場合には、加温用
電源32の出力電力は、1つの信号灯当たり、70Wもあれば十分30~40W程度でも十分に
賄えるとする。

さらに、上図3の降雪検知手段40は、降雪時に一対の検知用電極42,43の隙間が
雪で埋ま
り、その雪を通じて一対の検知用電極42,43間に電流が流れることによっ
て、降雪検知信号を出力する(降雪時と判断する電気抵抗は、例えば、200kΩ~5
0MΩ程度の範囲で調節)。

こうみると、双方の新規考案での性能評価データがないものの、後者(株式会社テクノ)
の方が正解のようだ。ただし、地方での電源資源の自然エネルギーの容量不足にふれてい
るが、これは公共事業政策(制度)の問題で解決すべき課題であろう。こう考えると、
降雪障害の1つは解決する。道路の融雪・解氷などの問題解決に関しては、既にブログ
掲載しているので願参考されたし。

空気を抜いて新鮮素材を長期保存! Air Reducer エアリデューサー特別な器具や工程
をしなくても、パパッと密閉状態がつくれちゃうんです♪プシューっと簡単に!開閉も
楽ちん♪ なるほど面白いキッチン・グッズだと感心する。

もっとも、株式会社富士商のオリジナリティーではなく輸入品だから新規考案(特許)
を調べてみようとおもったものの、ここ数日、わたしの頭は"アマデウス"状態ゆえに、
パスすることに(マグネットを使った空気抜き機構)。

 

 ● 今夜の一曲

ドボルザーク: 弦楽四重奏曲 String Quartet No.12「アメリカ」, in F, Op.96

ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 作品96, B.179 『アメリカ』は、1893年
に作曲された弦楽四重奏曲。ドヴォルザークがアメリカ滞在中に作曲した作品で、彼の
室内楽作品中最も親しまれている作品のひとつ。1892年9月、ドヴォルザークは、ニュ
ーヨーク・ナショナル音楽院の院長としてアメリカに渡る。彼は黒人霊歌やアメリカ先
住民達の歌に興味を持ち、黒人霊歌の編曲者で歌手であったハリー・サッカー・バーレ
イを自宅に招いて歌を歌ってもらったり、大衆的な歌謡ショーであるミンストレル・シ
ョーのためにフォスターが作曲した歌曲にも興味を持っていた。彼のアメリカ時代の作
品には大きな影響を与える。その代表作が前作の交響曲第9番であり、後に書かれるチ
ェロ協奏曲る。1893年5月に交響曲第9番「新世界より」を書き上げ、米国での最初の夏
期休暇を、チェコからの移民が多く住んでいたアイオワ州スピルヴィル(en)で過ごす。
この地でくつろいだドヴォルザークは、コヴァリック一家が演奏するためにこの作品を
作曲。1893年6月8日に着手するとわずか3日間でスケッチを終え、6月23日には完成。
1894年1月1日、クナイゼル弦楽四重奏団によりボストンで初演される。

【楽曲構成】

  1.  Allegro ma non troppo:ヘ長調のソナタ形式。
  2.  Lento:ニ短調の緩徐楽章
  3.  Molto vivace:ヘ長調のスケルツォ
  4.   Vivace ma non troppo:ヘ長調のロンド  

● 急性トランプ躁鬱症 

毎日、権力を持つトランプが威圧する報道を見せつけられると精神状態がおかしくなる
ので
すぐにチャンネルを切り替える。考えれば、「ポスト・ケインズ主義的経済政策」
をぱっくったところまでは良かったが、その後は阿呆まるだし。米国政府の良き伝統―
―政策手順を明確に示し行動するスタイルをかなぐり捨て、持論をまくし立てるデール
主義的アプローチ(一本釣り)。格差の急速な拡大の対処法は、税制による富の再配分
にあるのだが、そこは黙りを決め込んでいる。さすが、役者!
 ヨッツ、大統領!

                                  

 

 

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デジタル革命の聖地

2017年02月02日 | 環境工学システム論

 

  

       歓楽の功罪 / 雷地予(らいちよ)

                               


      ※ 予には三つの意味がある。たのしみ、おこたる、あらかじめ、で
        「歓楽」にうつつを
抜かせば、「油断」して思わぬ失敗をする。
        「あらかじめ」警戒してゆかねばならない。卦の形から見
れば、
        地上(三三坤)に陽気が雷動くする(震:しん)春である。今や
        冬のうちに蓄えてきたエネルギーをすべて
発散すべきときである。
        これまでの不遇はまったく今日のための予備段階であったわけだ。
        準備完了
油断せず、歓びの境遇を切り開いてゆくがよい。

 

 Feb. 1, 2017

● 酸化物系で世界最高性能の導電率を実現

-高い安全性と信頼性を実現した小型全固体リチウム二次電池を開発-

今月1日、産業技術総合研究所のグループは、①単結晶を固体電解質部材として用いる
ことで、内部短絡しない全固体リチウム二次電池を実現、②常温製膜技術であるAD
より強固な電極-電解質界面を形成、③化学的に安定な酸化物系材料からなる安全な小
型全固体電池――酸化物系で世界最高性能の導電率を実現――を開発したことを公表。

リチウム二次電池は、高いエネルギー密度をもつことから、さまざまな機器で使用され
エネルギー密度の向上や安全性確保、長寿命化が要望され、安全性の観点から、可燃性
の有機電解液に替わり、不燃性である硫化物や酸化物の無固体電解質を用いた全固体リ
チウム二次電池の開発が進められているが、特に素材として安定性の高い酸化物系固体
電解質材料は、①リチウムイオン導電率内部短絡(ショート)、②電極と固体電解質
の界面の接合強度などの課題があった。

今回、酸化物系固体電解質材料であるガーネット型酸化物について、現在世界最高のリ
チウムイオン導電率をもつ単結晶を初めて合成し、固体電解質部材に用いた。また、産
総研の常温製膜技術であるエアロゾルデポジション法AD法)により正極を固体電解質
表面に作成して、強固に接合した電極-電解質界面を実現。これらにより、今回開発し
た全固体リチウム二次電池は、従来の全固体リチウム二次電池よりも高い安全性と信頼
性をもち、医療用途などへの応用が期待されるとのこと。

また、フローティングゾーン溶融法(FZ法) ――単結晶成長方法のひとつで、溶融帯を
空中に浮遊させる。溶融帯は上下の原料棒によって表面張力で支えられ、溶融帯をゆっ
くりと移動させ、単結晶が成長。るつぼを使用しないため、るつぼ材の混入がない。ま
た、溶融帯が局所的で、条件を工夫することで、揮発性が高い材料でも単結晶の育成が
可能――を用いてこれまで合成が困難と思われていた固体電解質材料であるガーネット
型酸化物単結晶
を合成した。FZ法の条件を工夫し、世界ではじめて安定な単結晶成長を
実現する。得られた単結晶を用いて作製した固体電解質部材は、従来の焼結体よりも稠
密ちゅうみつであり、金属リチウムの貫通を防ぐことができる。短絡試験の結果、10
mA/cm2 の大電流でも内部短絡せず、信頼性が高いことがわかった。また、25 ℃で導電
率10-3 S/cmを超える、現時点で酸化物系固体電解質材料では世界最高のリチウムイオ
ン導電率を示す。これは有機電解液と同等以上のリチウムイオン導電率である(上図1)。

さらに、電極と固体電解質の接合が強固でなく、これまでの課題を解決するためAD
を応用。ガーネット型酸化物単結晶を用いた固体電解質部材を基材とし、正極のニッケ
ル系酸化物材料を本法により製膜し、密着性が高い電極-電解質界面を形成する。負極
には金属リチウムを使用。これらにより25 ℃で可逆的な充放電が可能で、短絡・発火の
危険性がほぼ全くない高い安全性と高い信頼性を併せ持つ、直径5 mm、厚さ0.7 mm小型
全固体リチウム二次電池を実現する(上図2)。

尚、AD法は、ノズル技術系統から当初から技術調査を行ってきている。その当時の感想
は製造プロセスの環境安全的側面で懸念がある見ていたが本筋での技術課題は「前実
用段階」と評価している。その意味では、「実用段階」と見て良いだろう。

それでは、製造過程の技術課題を同上研究所の保有特許から垣間のぞいてみよう。


● 事例研究:特開2016-100069  リチウム固体電池の製造方法

【要約】

本発明は、Liイオン伝導性が高い固体電解質膜を有し、固体電解質膜の両面で強固な
界面接合を形成したリチウム固体電池の製造方法を提供することを主目的とする。エア
ロゾルデポジション法(AD法)により、正極活物質層上に、硫化物固体電解質材料か
ら構成され、結着材を含有しないCSE1を成膜し、負極活物質層上に、硫化物固体電
解質材料から構成され、結着材を含有しないASE1を成膜する成膜工程と、上記CS
E1および上記ASE1を対向させ、プレスすることにより、上記CSE1および上記
ASE1が一体化したSE1を形成するプレス工程と、を有し、上記プレス工程におい
て、上記CSE1および上記ASE1の緻密性を向上させることとで、上記CSE1お
よび上記ASE1の界面が消失した上記SE1の形成を特徴とするリチウム固体電池の
製造方法を提供する。

【符号の説明】

 1  正極集電体   2  正極活物質層   3  固体電解質膜   4  負極集電体  5 負極活物質
層   11  チャンバー   12   台座   13   基板 14 
ロータリーポンプ   15  ガスボンベ  
16  原料粉末   17  エアロゾル発生器 
 18 ノズル

現在市販されているリチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用され
ているため、短絡時の温度上昇抑制装置や短絡防止の装置が必要となる。これに対し、
電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム固体電池は、電池内に可
燃性の有機溶媒を用いないため、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れ
る。

  1. 例えば、硫化物系固体電解質スラリー結着材――通常、イオン伝導性を有
    しないため、結着材を有する固体電解質膜のLイオン伝導度は、固体電解質膜
    に含まれる硫化物系固体電解質自体のLイオン伝導度よりも低い
  2. 例えば、正極活物質層上にAD法により固体電解質膜を形成した場合、固体電解
    質膜は、正極活物質層との間に強固な界面接合が形成できるが、負極活物質層
    の間には同等の界面接合を形成できない。このように、AD法を用いた場合、固
    体電解質膜の両面で強固な界面接合を形成することは困難である。
     

図1は、本発明のリチウム固体電池の製造方法の一例を示す概略断面図である。図1に
おいては、まず、正極集電体1上に正極活物質層2を形成し、正極活物質層2上に、エ
アロゾルデポジション法(AD法)により、硫化物固体電解質材料から構成され、結着
材を含有しない固体電解質膜3(CSE1)を直接成膜する(図1(a))。次に、負
極集電体4上に負極活物質層5を形成し、負極活物質層5上に、AD法により、硫化物
固体電解質材料から構成され、結着材を含有しない固体電解質膜3(ASE1)を直接
成膜する(図1(b))。

図2において、チャンバー11の内部には、台座12が設置され、その台座12上には
基板13が配置されている。また、チャンバー11の内部の圧力は、ロータリーポンプ
14により任意の減圧状態に制御可能である。一方、原料粉末16は、エアロゾル発生
器17の内部で、ガスボンベ15から供給される搬入ガスによってエアロゾル化される
さらに、エアロゾル化した原料粉末は、チャンバー11の内部に配置されたノズル18か
ら基板13に向かって噴射される。基板13の表面上では、粒子の塑性変形とともに堆
積が生じ、固体電解質膜が成膜される。

次に、図1(c)に示すように、CSE1およびASE1を対向させ、プレスする。こ
れにより、CSE1およびASE1が一体化した固体電解質膜(SE1)を形成する(
図1(d))。特に、本発明においては、プレス工程において、CSE1およびASE1
の緻密性を向上させることにより、CSE1およびASE1の界面が消失したSE1を
形成する。このことにより、結着材を有しないCSE1およびASE1からSE1を形
成するため、Liイオン伝導性が高い固体電解質膜を有するリチウム固体電池を得るこ
とができる。また、AD法で正極活物質層側にCSE1を成膜し、同じくAD法で負極
活物質層側にASE1を成膜し、CSE1およびASE1を接合してSE1を形成する
ため、SE1の両面で強固な界面接合を形成したリチウム固体電池を得ることができる。

  1. 成膜工程:本発明における成膜工程は、AD法により、正極活物質層上に硫化物
    固体電解質材料から構成され結着材を含有しない固体電解質膜(CSE1)を成
    膜し、負極活物質層上に硫化物固体電解質材料から構成され結着材を含有しない
    固体電解質膜(ASE1)を成膜する工程である。
  2. プレス工程:プレス工程は、上記CSE1および上記ASE1を対向させ、プレ
    スすることにより、上記CSE1および上記ASE1が一体化した固体電解質膜
    (SE1)を形成する工程である。また、プレス工程において、CSE1およびA
    SE1の緻密性を向上させることにより、CSE1およびASE1の界面が消失
    したSE1を形成する。
  3. リチウム固体電池:AD法により固体電解質膜を形成することで、急速充電に適
    したリチウム固体電池を得ることができる。急速充電を行う場合、図7に示すよ
    うに、負極集電体4に近い負極活物質51にまでLiイオンが挿入されず、負極
    活物質層5の固体電解質膜3側の表面で電池反応が生じる。その結果、負極活物
    質層5の固体電解質膜3側の表面電位が下がり、Liが析出する。


    ここで、図8
    (a)に示すように、塗工法で形成した固体電解質膜3は、硫化物
    固体電解質材料の粒子31の粒界が存在する。さらに、通常は、硫化物固体電解
    質材料の粒子31を結着させるための結着材(図示せず)も含有する。そのため
    、塗工法で形成した固体電解質膜3には、負極活物質層5で析出したLiが、正
    極活物質層(図示せず)に至るパスが存在する。これに対して、図8(b)に示
    すように、AD法で形成した固体電解質膜3は、硫化物固体電解質材料が塑性変
    形した緻密な膜であるため、粒界はほとんど存在しない。さらに、通常は、結着
    材も含有しない。そのため、AD法で形成した固体電解質膜3では、負極活物質
    層5にLiが析出したとしても、Liが正極活物質層(図示せず)に至るパスが
    極めて少ない。このように、AD法により固体電解質膜を形成することで、急速
    充電リチウム固体電池を得ることができる。

尚、AD法において、原料粉末が基板に衝突する衝突速度は、所望のCSE1が得られ
る速度であれば特に限定されるものではないが、例えば100m/s~600m/sの
範囲内であることが好ましい。、衝突速度は、M. Lebedev et al., "Simple self-selective me-
thod of velocity measurement for particles in impact-based deposition", J. Vac. Sci. Technol. A
18(2), 563-566(2000)
に記載された方法により測定できる。具体的には、衝突速度測定器
を用いて測定を行い、下記1式より最大速度Vmaxおよび最小速度Vminを算出できる。 
式中、rはノズルの回転半径であり、Tはノズルの回転周期であり、δはスリット幅で
あり、Lはスリットおよび基板の距離であり、αはエアロゾルの広がり角度であり、
はスリットを通過して基板に最も早く着弾した粉体の位置であり、dはスリットを
通過して基板に最も遅く着弾した粉体の位置である。
 

【図7】急速充電時の状態を示す模式図である。
【図8】塗工法で形成した固体電解質膜と、AD法で形成した固体電解質膜との違いを
    説明する概略断面図である。

【図9】実施例1におけるプレス前後のAD-SEの断面画像である。
【図10】実施例1で得られた評価用積層体の固体電解質膜(プレス後のAD-SE)
    の膜厚およびLiイオン伝導度の測定結果である。

【図11】実施例2および比較例1で得られた評価用積層体の固体電解質膜のLイオン
        伝導度の測定結果である。

【図12】実施例3における負極活物質層上に形成されたAD-SE(接合前)の断面画
        像である。

【図13】実施例4、5および比較例2で得られた評価用電池の出力および放電容量の測
        定結果である。
【図14】AD法で固体電解質膜を形成した場合、および、塗工法で固体電解質膜を形成
        した場合における入力性能の違いを説明するグラフである。

【図15】AD法で形成した固体電解質膜と、塗工法で形成した固体電解質膜との違いを
        示す断面画像である。

【図16】硫化物固体電解質材料の圧縮破壊試験の結果である。

DOI: 10.1021/acsami.6b12744

● ガラス基板上で人工光合成 ギ酸の合成効率を15倍に

先月20日、大阪市立大学のグループは、太陽光を利用し二酸化炭素を燃料源の一種で
あるギ酸に変換する
ことのできる触媒分子群(太陽光-ギ酸合成システム)を、ナノメ
ートルサイズ
の無数の孔をもつ板状のガラスの中に配置する事で、従来型の溶液に分散
した触媒システムと比べて約15
倍の効率でギ酸合成反応を進めることに成功したこと
を公表している。

それによると、太陽光-ギ酸合成システムを固定する基板として、光をよく透過し、か
つ、ナノメートルサイズの孔を無数に持つガラス板(多孔質ガラス板)に注目。多孔質ガ
ラス板の厚さは1 mmあり、孔は表から裏まで貫通。この孔の中に、太陽光-ギ酸合成シ
ステムを高密度に固定することで、溶液中に均一に分散させた触媒システムの約15倍
の性能を持つ、太陽光で二酸化炭素をギ酸に変換するガラス板の開発に成功する(下図)。

Jan. 20, 2017

ところで、この成果報告に注目するのは、「里山薪ストーブ普及事業構想」の燻薪(く
んしん)製造工程で使用する木酢による防腐処理のこのシステムを組み込むことを検討
しているため(「爆弾低気圧の解」2017.01.24)。詳しくは、「里山薪ストーブ普及」
(「彦根市民の飲み水を守る会」2017.01.23)願参照。


 

 

  今夜の一曲

メンデルスゾーン: 弦楽八重奏曲
Octet in Es , Op.20

弦楽八重奏曲 変ホ長調 作品20は、フェリックス・メンデルスゾーンが1825年の秋(作
曲者が
まだ16歳のとき)に作曲した室内楽曲で、もはや習作の域を越えた古典的な完成
度の高さにより有名となる。この八重奏曲は、複弦楽四重奏曲という編成が採られる。
4つのヴァイオリン、2つのヴィオラ、2つのチェロだが、現在では、弦楽合奏用の作
品として演奏
される。このような場合には演奏者が規定数以上に膨れることも珍しく
ない。またアルトゥーロ・トスカニーニは、1947年にNBC交響楽団の団員を率いて本作
を上演した際に、チェロパートの部分にコントラ
バスを重ねた独自の版を用いる。

【楽曲構成】

  1. アレグロ・モデラート・コン・フォーコ Allegro moderato con fuoco
  2. アンダンテ Andante
  3. 「スケルツォ」。アレグロ・レジェリッシモ Scherzo: Allegro Leggierissimo
  4. プレスト Presto

   jesea 2017/0201

● デジタル革命の聖地は何処に?

電通で若い女子社員が過労死(自殺)しているが、経験から言うと月に時間外勤務を百
時間×3ヶ月続けると身体に異常をきたす。まぁ、これも労働の質によりバラツキがあ
るがそう思っている。そこで、
現在の自宅労働を考えると月150時間はざらで、通勤
時間を差し引いても考えられないような長時間労働だ。もっとも、趣味みたいなところ
があるので?これを彼女に指摘されると、時と場合により心に余裕がなければ、ムカつ
くこともしばしば。さて、それはさておき、デジタル革命の聖地はどこだろうとふと考
えた。米国が該当するのは大凡の見方だろうし、スティーブ・ジョブズをはじめその予
言者は沢山いてそうだが、これが第5次産業革命で、その分析を行い未来を予言した者
は米国ではいないと考えている。世界中で数名該当しそうだが、日本にもひとりいる。
その意味では、日本もデジタル革命の聖地なのだろう。

                                    

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