極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 199

2025年04月02日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時
代の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。





【海水有価物回収水素製造並びに炭素化合物製造事業論 ⑪】
✳️水素生成システムおよび水素生成システムの制御方法⓶
1️⃣特開2024-119040 電極およびその製造方法 JFEスチール株式会
社(審査中)
【要約】鉄原子を50mass%以上含む基材の表面に、厚さが10
マイクロメートル以上のマッキナワイトの層を有するものとする。十
分低い水素過電圧を有し、水素発生の速度も速く、しかも水素発生電
極上の活性物質の失活の無い、電極を提供する。

図1 X線スペクトラムからピークが存在する角度を判定する方法を
説明する図
【符号の説明】  1  クーポン  2  導線  3  樹脂塊
【発明の効果】本発明の電極は、水素過電圧が従来技術と同等以下で
あるにもかかわらず、水素の吸着と脱離が同一の化合物上で起きるた
めに水素ガス発生速度が速く、しかも供給電力の変動や断絶時も水素
発生電極が酸化せず、かつ失活がないという、顕著な効果を奏する。
更に、本発明の電極は、安価な物質の化合物からなることから、製造
コストを低減することも可能である。
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【背景技術】
  世界的な脱炭素化の潮流を受け、水素ガスの利用が模索されている。
それは、水素ガスの利用は環境負荷が低いからである。例えば、燃料
電池の場合、発電後の排出物は水であり、環境負荷が低い。また、水
素ガスはCOの再利用にも用いることができる。すなわち、CO
と水素ガスからメタンを合成するメタネーションがその代表例である。
このように水素ガスは、これから脱炭素社会を実現するための非常に
有用な物質と考えられている。しかし、水素ガスの製造に目を向けると、
水素ガスの製造工程が十分に脱炭素化されているとは言えない。

  現状の水素ガスの製造方法は、化石燃料の改質、製鉄所・化学工場
等からの副生ガス、バイオマス、水の電気分解の4種類である。化石
燃料の改質や製鉄所・化学工場等からの副生ガスに関しては、元の燃
料が石油などの地下資源であり、当然水素ガスの製造過程でのCO
排出が避けられない。バイオマスは地下資源由来ではないが、バイオ
マスのみによって、これからの脱炭素社会を支えるのに十分な量の水
素ガスを得ることは難しい。そもそもバイオマスからの主たる1次生
成ガスはメタノールやメタンであり、水素に改質せずそのまま利用す
る方が効率的である場合の方が多い。 
  以上の通り、水素ガスの製造方法を比較すると、自然エネルギーを
用いた水電解は、その製造過程においてCOが発生しない水素の製
造方法であり、最も将来性がある。

  水電解の方法の一つにアルカリ形やAEM(Anion  Exchange 
 Membrane
)形といった、KOHなどのアルカリ性の水溶液を電解
する方法がある。これらの電解方法は、PEM(Proton  Excha-
nge  Membrane。Polymer  ele
ctrolyte  Membrane

固体高分子膜の略とされることもある)形水電解と比較して水素や酸
素発生電極に高価な合金を用いる必要が無く、比較的安価な水電解方
法として知られている。しかし、これらの水電解は、アルカリ性の水
溶液を用いるがための特有の問題がある。すなわち、供給電力の低下
や、供給電力の断絶時に、水素発生電極に用いる触媒が変質ないしは
電解液に溶出する結果、その触媒活性を失う、いわゆる失活という問
題がある。このため、自然エネルギーとして知られている風力発電や
太陽光発電のように、その電力の変動幅が大きかったり夜間に電力の
供給が断絶したりする電源での水素ガスの製造が難しかった。

  上記の問題を解決するために、電力の供給が低下したり断絶したりし
たときに、貯蔵しておいた水素を用いて発電し水電解を継続すること
も考えられているが、産業に利用できる水素を得る方法としては効率
が悪いことは言うまでもない。また、水素製造のために水電解装置近
傍に巨大な水素貯蔵タンクや燃料電池を建設する必要があるため、付
帯設備が大掛かりになり、トータルで製造コストを低減できていると
は 上記の問題を解決するために、電力の供給が低下したり断絶したり
したときに、貯蔵しておいた水素を用いて発電し水電解を継続するこ
とも考えられているが、産業に利用できる水素を得る方法としては効
率が悪いことは言うまでもない。また、水素製造のために水電解装置
近傍に巨大な水素貯蔵タンクや燃料電池を建設する必要があるため、
付帯設備が大掛かりになり、トータルで製造コストを低減できている
とは言い難かった。言い難かった。
【0008】
  上記の水素発生電極における触媒の失活を解決するために、例えば
特許文献1(特開2001-234379)では、ニッケル基材上にニ
ッケル酸化物を形成させた水素発生極およびその製造方法が提案され
ている。すなわち酸化による変質に強いニッケル酸化物を600℃以
下の温度でニッケル基材上に塗
布焼結する方法及びそのようにして得られた水素発生電極を開示して
いる。しかし、例え600℃以下の温度であるとはいえ焼結によるニ
ッケル基材の強度の劣化を完全に防止することは難しかった。
 【0009】
 また、特許文献2(特開2001-234380
では、水素吸着が起きや
すい金属と水素が脱離しやすい金属を組み合わせた電極が提案されて
いる。すなわち、物質としての安定性の高い金属において、上記のよ
うな特性を有する2種類の金属を組み合わせて、水素触媒活性が高く
(これを水素過電圧が低いという)かつ安定性の優れた電極が開示さ
れている。しかし、電極上における水素吸着サイトと水素脱離サイト
が異なるため、水素発生の速度が十分に速いとは言えず、水素発生の
効率が必ずしも高くなかった。

  また、特許文献3(特開2002-317289
)では、低い水素過電圧を示し且
つ耐久性に優れた水素発生用電極としてモリブデンまたはタングステ
ンの炭化物、酸化物、硫化物から選択された1種類以上の化合物から
なる担体にニッケルの微粒子を担持した水素発生用電極が提案されて
いる。しかし、同文献3に記載の製造方法には焼結工程が含まれてい
るため、電極基材の強度の劣化を完全に防止することは難しかった

  また、特許文献4(特開2003-13271)
では、水素過電圧が低
くかつ耐久性のある水素発生用電極として、電極基材上に格子定数が
3.566Å以下であるニッケルとモリブデンの合金が積層されている
、電極が提案されている。しかし、同文献4に記載の製造方法には焼
結工程が含まれているため、電極基材の強度の劣化を完全に防止する
ことは難しかった。

  また、特許文献5(特開2015-178666)には、湿式法(電気メッキ法)
によって電極基材上にFe-Co-Ni-C合金を被覆した電極が提
案されている。しかし、同文献5に開示されている電極の安定性は、
同文献5の詳細な説明にもある通り、電極の使用条件を調整して回避
できる範囲にて、電解中断時の電極からのFeの溶液への溶出を抑制
するものであるため、その効果は限定的であり、より根本的な解決が
望まれる。

  また、特許文献6(特開2018-127664
)には、基材上にFe-Ni-W
合金膜を形成)させた、カソード電極にもアノード電極にも用いること
ができる、アルカリ水電解用電極が提案されている。しかし、同文献
6に開示されている実施例を見ると、アノード電極としての特性を調
査するLSV測定は1回しか実施されておらず、カソード分極側から急
激にアノード分極側までのスイープが何度も繰り返された場合におい
ても、当該合金が酸化され失活が発生しないのかは不明であり、より
根本的な解決が望まれる。

【課題を解決するための手段】
  発明者等は、上記の課題を解決できる物質を種々探索した結果、マッ
キナワイトと呼ばれる硫化鉄を、鉄原子を50mass%以上含む電
極基材の表面に10マイクロメートル以上の厚さで形成させた、電極
を見出した。まず、発明者等は、マッキナワイトと呼ばれる硫化鉄の
表面では水素過電圧が低いことを知見した。すなわち、マッキナワイ
ト(硫化鉄)は、水素過電圧が低いことという、水電解装置の水素発生
電極に求められる特性を満足している。ちなみに、マッキナワイトは、
n型半導体である。また、マッキナワイトは、一様な化合物であるた
め、特許文献2に記載のように、水素吸着が起きやすい金属と水素が
脱離しやすい金属を組み合わせる必要が無い。すなわち、マッキナワ
イトは、水素の吸着と水素の脱離が同一化合物上で起きるため、水素
が吸着した場所から水素が脱離する場所まで拡散などで移動する必要
が無く、水素発生も十分に速い。【0017】
  ここで、アルカリ形水電解やAEM形水電解などの、溶液にアルカリ
性の水溶液を用い、電極間で水酸化物イオンを交換する水電解装置の
水素発生電極にマッキナワイトを使用した場合、供給電力の変動また
は断絶時のマッキナワイトの挙動は、以下のようである。
  まず、水素発生時、すなわち水素発生電極がカソード側に分極されて
いるときのマッキナワイトの電極上では、主に水が電気により分解し
水素が発生する反応が進行している。一方で僅かではあるが、硫黄原
子がイオン化し徐々に電解液に硫黄イオン(S2-)として溶出する反
応も進行している。すなわち、マッキナワイトを構成していた硫黄の
一部が、イオン化して電解液に溶出する。このようにして電解液に溶
けだした硫黄イオン(S2-)は、水素酸化物イオン(OH)よりも
イオンサイズが大きいため、カソードとアノードを隔てるイオン交換
膜を透過し得ない。すなわち、マッキナワイトから溶出した硫黄イオ
ン(S2-)は、そのままカソード側に留まる。【0018】
  一方、(上記の各特許文献に記載された)従前の水素発生極(AEM
形では一般に導線を接続する主電極とは区別して触媒電極と呼ばれる
ことがある)では、供給電力の変動または断絶時に、アノード側、すな
わち水酸化物イオンから電子が奪われ水と酸素が発生する反応が起き
る側、電極からすると酸化反応が促進する側、に分極される状態が生
じる。このことが、供給電力の変動または断絶時に水素発生極電極が
酸化される原因である。かように、水素発生電極がアノード側に分極
されたときに電解質中の酸素が電子を放出し、水素発生電極を構成す
る物質と結びつき、水素発生電極を構成する物質が酸化してしまう。
以上が失活のメカニズムである。【0019】
  なお、供給電力の変動や断絶時に水素発生極がアノード側に分極され
得る原因は、供給電力の変動や断絶が急であると、水素発生極が対極
の酸素発生極ではなく電極を隔てるイオン交換膜や、電解セルを隔て
る物質などに対して一時的にアノード側に分極される状態が発生する
ためである。このため、装置全体としてみれば水素発生極はカソード
側に分極しているはずでも、供給電力の急な変動や断絶時に水素発生
極が酸化し、これが繰り返されると最終的に失活に至るのである
ちなみに、PEM形水電解装置のような、プロトン(Hイオン)を
電極間で交換する方式では、水素発生極がアノード側に分極されてし
まっても、水酸化物イオンが存在しないため失活は発生しない。
【0020】
  これに対して、水素発生電極がマッキナワイトの場合、水素発生極
がアノード側に分極されてしまっても、上記のような酸化は起きず、
代わりに硫黄イオン(S2-)が電子を失い酸化して、マッキナワイ
トが電極上に再度生成する。すなわち、水素発生時に一部失活したマ
ッキナワイトが再生する。このようにマッキナワイトを水素発生電極
とした場合、供給電力の変動や断絶に伴う電極の酸化が起きず、これ
らを原因とした失活はない。

  さらに、鉄も硫黄も非常にありふれた元素(※筆者:本当にそうです
ね)であり、これまでアルカリ形水電解装置の水素発生電極として検
討されてきた物質と比較して、非常に安価であることも利点である。
  発明者等は以上のような知見を得て、本発明を完成するに到った。
【0021】  本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであって、
その要旨は次の通りである。1.鉄原子を50mass%以上含む基
材の表面に、厚さが10マイクロメートル以上のマッキナワイトの層
を有する電極。
【0022】2.前記1に記載の電極の製造方法であって、前記基材
を、前記基材の表面積に対する比液量が50mL/cm以上且つ6
0℃超に保たれた、濃度が1.0mass%以上のチオシアン酸アン
モニウム水溶液中に15時間以上浸漬し、前記基材の表面にマッキナ
ワイトを形成する、電極の製造方法。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】  鉄原子を50mass%以上含む基材の表面に、厚さが
10マイクロメートル以上のマッキナワイトの層を有する電極。
【請求項2】  請求項1に記載の電極の製造方法であって、前記基材を、
前記基材の表面積に対する比液量が50mL/cm以上且つ60℃
超に保たれた、濃度が1.0mass%以上のチオシアン酸アンモニ
ウム水溶液中に15時間以上浸漬し、前記基材の表面にマッキナワイ
トを形成する、電極の製造方法。
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コメント
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