平野謙という文芸評論家がいた。1970年頃の文壇評論家の大御所だった。当時の秦野章警視総監のいとこともいわれた。彼については、プロレタリア文芸家として毀誉褒貶はあるが、それはそれとして、私自身彼の担当で、成城学園の隣り、喜多見の駅からほど遠くない畑の中を通って行くところに家があり、毎月のようにそこを訪ねた。
彼は、60歳代になって、癌で腹を切った。その時に彼が言ったのは、『一腹十年』であった。一回開腹手術をすると、10年寿命をちぢめるということだ。
実際、彼は、その後、数年して、やはり癌で71歳のときに亡くなった。
手術して延命効果があった例もあるのかもしれないが、寡聞にして、その例を知らない。であるから、彼の「ひとはら10年」という言葉が印象的であり、しかも、その通りになっているのが、今でも強く記憶されている。
爾来、怪我など以外で、内科の病気の器官を外科治療することに、多少の疑問を持っているのだ。
要するに、病気が自覚されてからそれが致命的になるまでの期間と、その病気が早期発見されて、手術した場合とで、その期間にさほど違いはないのではないかと、疑念を持っている。
彼は、60歳代になって、癌で腹を切った。その時に彼が言ったのは、『一腹十年』であった。一回開腹手術をすると、10年寿命をちぢめるということだ。
実際、彼は、その後、数年して、やはり癌で71歳のときに亡くなった。
手術して延命効果があった例もあるのかもしれないが、寡聞にして、その例を知らない。であるから、彼の「ひとはら10年」という言葉が印象的であり、しかも、その通りになっているのが、今でも強く記憶されている。
爾来、怪我など以外で、内科の病気の器官を外科治療することに、多少の疑問を持っているのだ。
要するに、病気が自覚されてからそれが致命的になるまでの期間と、その病気が早期発見されて、手術した場合とで、その期間にさほど違いはないのではないかと、疑念を持っている。