2012/09/24
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2012年9月(2)敬老の夕食
9月20日、集中授業最終日は、まとめのレポートを課し、早めに終了しました。学生も、一日に90分授業5コマ受けるのはたいへんだったでしょうが、私も6日間、朝9時から夕方6時までぶっ続けの授業、精魂傾けて学生に「日本語教育とはなんたるか」を注入し、くたびれました。授業がおわって、姑のところへ行きました。
前日姑の家に泊まった夫と、朝から出かけて合流した娘、姑の検査結果を聞くために病院へ。夏の間弱っていた体調も、すこしずつ回復し、今後の方針として週に一度ヘルパーさんの派遣を受ける、ということを、姑も納得しました。他人が家に来ることに不安を持っていた姑でしたが、私は手伝えないので、やむをえません。
秋からの後期の授業は、週に90分授業13コマ。これは、中学校などの授業で言えば、週26時間の授業を担当するということ。周囲の高校教師中学教師に聞いても、私が中学校教師だったときを思い出しても、一日4時間の授業を担当して週に20時間が限界だと言うのです。20時間といっても、4つのクラスに同じ授業をするのだとしたら、授業準備は5コマ分。現在の私の場合、13コマの全部が異なる授業なので、授業準備は13コマ分。自分でも、よくもまあ、こんなサーカスの空中ブランコみたいなことやっているなあ、いつか墜落か、と思います。
あきらかに働き過ぎです。でも、家族を食わせるために働かねば。
修士論文の提出が3ヶ月後にせまって、バイトの余裕もなくなり大学事務のアルバイトを断ってしまった息子、相変わらず趣味の会社経営をしていて、稼いだ分は会社維持につぎ込むだけで終わる夫。家族を支える私が倒れてしまったら一家全滅崩壊家族というぎりぎりの状態で、なんとかこれまでやってきたのです。と、以上は、姑の介護に関して、私が姑のトイレ掃除フロ掃除に通ってはいられない、ということの言い訳です。
娘は毎回の病院付き添い、夕食をおばあちゃんといっしょに食べ、昔話を聞いてやるなど、せいいっぱいおばあちゃん孝行をしています。これ以上は娘にも無理。息子のお祖母ちゃん孝行は、「おばあちゃんの生き甲斐」になってあげること。姑は、跡継ぎの孫が博士号をとって一人前になるまでは生きていたいと願っているので、まずは修士論文を完成させることがバアチャン孝行。
家族だけではたいへん、というとき、週一回でもヘルパーさんの派遣はありがたい。週一回で、まずは風呂場と1階と2階のトイレの掃除をしてもらうことになりました。私は、階段の掃除もやって欲しいと思っていましたが、1時間だと、ふろとトイレくらいで終わるそうです。
夕食は、私が作って持参した鶏肉と野菜の煮物(大根、なす、かぶ、人参、しいたけ、しめじ)。ちりめんじゃことわかめと青梗菜のあえもの。娘がおばあちゃんの台所で作った麻婆茄子。私がその脇で娘とぶつかりながら作った豆腐と若布の味噌汁。姑が作り置いたかぼちゃの煮物。むすこは、「おばあちゃんの煮たかぼちゃ」が大好物なので、いつも作っておいてくれるのです。夏の間は、このカボチャ煮さえ作れないほど体力弱っていましたが、作れるようになったということは、体調が上向いたということでしょう。
食卓に並べてみると、私が作ったおかずは、どれも色合いが地味で、テーブルの上、かぼちゃ以外は、彩りが悪い。もうちょっとお祝いの膳になるようなごちそうがよかったかなと、思いましたが、私は、もともと授業の終わる時間がわからないので、来るかどうか分からない、夫も午前中病院に付き添った後、仕事に行って、仕事の終わる時間は予想できないということだったので、お祝い膳ということではなく、娘と息子がお祖母ちゃんといっしょに食べる夕食、という「ふだんのおかず」の用意しかしてなかったのです。
姑は、嫁に遠慮などしない人なので、私の作った味噌汁は「しょっぱい」と言ってお湯をさして薄めていました。ウッ、失敗!姑は薄味の味噌汁が好みなのに、濃い味にしてしまいました。姑が薄味をモットーとしているのは、「濃い味付けは塩分の取りすぎになって高血圧に悪い」と信じているからです。姑は、「健康のためなら死んでもいい」健康オタクです。血糖値が高いと言われれば、甘い物は決して口にしないので、今回も娘が糖質でない甘味料でチーズケーキを作って持って来ました。甘味料も、毎日大量に摂取すれば健康に悪いのですが、たまに食べるスィーツに使うくらいなら大丈夫でしょう。チーズケーキは、「おいしい」と姑の口にも合いました。
夫は、姑が「健康にいい」とあれこれと買い集めているサプリメントを飲むのが気に入らず、「そんなにいろいろ飲む必要があるのか」と、サプリメントの箱を持ってこさせて吟味。グルコサミンだのビタミンなんとかだの、野菜粒だの、いろいろあります。
夫が「こういうの飲まないほうがいいんじゃないか。サプリメントの取りすぎで、肝臓悪くしたっていうニュースを見たことがある」と言います。
おばあちゃんが不服そうな顔をしたのを見て,娘は「副作用がはっきりしていて、取らない方がいいってわかっているサプリメントはやめたほうがいいけれど、おばあちゃんが健康にいいと信じて飲んでいるんだから、医者がこれはやめたほうがいいって言わない限り、飲んでいてもいいんじゃないの。おばあちゃんがこれを飲めば、自分の健康のためになるって信じているんだから。おばあちゃん、毎月の食費よりも高いお金をサプリメントにかけているんだよ」と言います。
夫も、しぶしぶ「じゃあ、一応サプリメントリスト作って、医者の意見を聞いてみよう」と、「飲むな」を撤回しました。
私からのいつもの金一封祝い袋で何を買うかは姑しだいですが、もしかしたらサプリメントになるのかな。姑が自分のために使うお金ですから、何を買うのも自由なのですが、私なら、サプリメントよりも食べ歩きに使いたいなあと思ってしまうのは、食いしん坊だからでしょう。姑は、グルメにもファッションにもあまりこだわりがなくて、ひたすら健康だけが関心事。健康グッズには消費を惜しまない。
夏中、一家でおたおたしてしまった姑の健康問題。検査の結果、「しばらく様子を見ていても大丈夫」という診断だったので、ひとまずは落ち着きました。夫は、実母の体調が急激に悪くなったことが受け入れられずに「暑すぎて熱中症のようになって具合がわるくなったのだろう」と考えています。息子というのは、母親の衰えを受け入れられず、一時的なものだろうと思いたいようです。
年寄りは、昔の暮らし方を守ろうとして、夏場でもエアコンをつけたがず、家の中で熱中症になる人もいたというニュースもありました。姑も、昔の暮らし方が好きですから、夏は家中の窓を開け放して風をいれるのが一番、という考え方で、部屋を閉め切ってエアコンをつけるのは好きじゃないというのです。「昔の暮らし方も大切だけれど、エアコンつけずにいて家の中で熱中症になってもたいへんだから、真夏日にはエアコンつけるように言ってよ。嫁が言えば角がたつから」と、夫には姑のケアを申しつけてきたのですが、ようやくこの夏、「除湿」のスイッチをつけるようになったみたい。
いつまでも夏日が続く9月でしたが、お彼岸をすぎれば、朝夕すこしずつ涼しくなって、姑の体調も回復するでしょう。この夏は、娘とふたりで箱根に行ったのですが、また、姑を連れて行けるといいなあと思います。
<つづく>
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2012年9月(2)敬老の夕食
9月20日、集中授業最終日は、まとめのレポートを課し、早めに終了しました。学生も、一日に90分授業5コマ受けるのはたいへんだったでしょうが、私も6日間、朝9時から夕方6時までぶっ続けの授業、精魂傾けて学生に「日本語教育とはなんたるか」を注入し、くたびれました。授業がおわって、姑のところへ行きました。
前日姑の家に泊まった夫と、朝から出かけて合流した娘、姑の検査結果を聞くために病院へ。夏の間弱っていた体調も、すこしずつ回復し、今後の方針として週に一度ヘルパーさんの派遣を受ける、ということを、姑も納得しました。他人が家に来ることに不安を持っていた姑でしたが、私は手伝えないので、やむをえません。
秋からの後期の授業は、週に90分授業13コマ。これは、中学校などの授業で言えば、週26時間の授業を担当するということ。周囲の高校教師中学教師に聞いても、私が中学校教師だったときを思い出しても、一日4時間の授業を担当して週に20時間が限界だと言うのです。20時間といっても、4つのクラスに同じ授業をするのだとしたら、授業準備は5コマ分。現在の私の場合、13コマの全部が異なる授業なので、授業準備は13コマ分。自分でも、よくもまあ、こんなサーカスの空中ブランコみたいなことやっているなあ、いつか墜落か、と思います。
あきらかに働き過ぎです。でも、家族を食わせるために働かねば。
修士論文の提出が3ヶ月後にせまって、バイトの余裕もなくなり大学事務のアルバイトを断ってしまった息子、相変わらず趣味の会社経営をしていて、稼いだ分は会社維持につぎ込むだけで終わる夫。家族を支える私が倒れてしまったら一家全滅崩壊家族というぎりぎりの状態で、なんとかこれまでやってきたのです。と、以上は、姑の介護に関して、私が姑のトイレ掃除フロ掃除に通ってはいられない、ということの言い訳です。
娘は毎回の病院付き添い、夕食をおばあちゃんといっしょに食べ、昔話を聞いてやるなど、せいいっぱいおばあちゃん孝行をしています。これ以上は娘にも無理。息子のお祖母ちゃん孝行は、「おばあちゃんの生き甲斐」になってあげること。姑は、跡継ぎの孫が博士号をとって一人前になるまでは生きていたいと願っているので、まずは修士論文を完成させることがバアチャン孝行。
家族だけではたいへん、というとき、週一回でもヘルパーさんの派遣はありがたい。週一回で、まずは風呂場と1階と2階のトイレの掃除をしてもらうことになりました。私は、階段の掃除もやって欲しいと思っていましたが、1時間だと、ふろとトイレくらいで終わるそうです。
夕食は、私が作って持参した鶏肉と野菜の煮物(大根、なす、かぶ、人参、しいたけ、しめじ)。ちりめんじゃことわかめと青梗菜のあえもの。娘がおばあちゃんの台所で作った麻婆茄子。私がその脇で娘とぶつかりながら作った豆腐と若布の味噌汁。姑が作り置いたかぼちゃの煮物。むすこは、「おばあちゃんの煮たかぼちゃ」が大好物なので、いつも作っておいてくれるのです。夏の間は、このカボチャ煮さえ作れないほど体力弱っていましたが、作れるようになったということは、体調が上向いたということでしょう。
食卓に並べてみると、私が作ったおかずは、どれも色合いが地味で、テーブルの上、かぼちゃ以外は、彩りが悪い。もうちょっとお祝いの膳になるようなごちそうがよかったかなと、思いましたが、私は、もともと授業の終わる時間がわからないので、来るかどうか分からない、夫も午前中病院に付き添った後、仕事に行って、仕事の終わる時間は予想できないということだったので、お祝い膳ということではなく、娘と息子がお祖母ちゃんといっしょに食べる夕食、という「ふだんのおかず」の用意しかしてなかったのです。
姑は、嫁に遠慮などしない人なので、私の作った味噌汁は「しょっぱい」と言ってお湯をさして薄めていました。ウッ、失敗!姑は薄味の味噌汁が好みなのに、濃い味にしてしまいました。姑が薄味をモットーとしているのは、「濃い味付けは塩分の取りすぎになって高血圧に悪い」と信じているからです。姑は、「健康のためなら死んでもいい」健康オタクです。血糖値が高いと言われれば、甘い物は決して口にしないので、今回も娘が糖質でない甘味料でチーズケーキを作って持って来ました。甘味料も、毎日大量に摂取すれば健康に悪いのですが、たまに食べるスィーツに使うくらいなら大丈夫でしょう。チーズケーキは、「おいしい」と姑の口にも合いました。
夫は、姑が「健康にいい」とあれこれと買い集めているサプリメントを飲むのが気に入らず、「そんなにいろいろ飲む必要があるのか」と、サプリメントの箱を持ってこさせて吟味。グルコサミンだのビタミンなんとかだの、野菜粒だの、いろいろあります。
夫が「こういうの飲まないほうがいいんじゃないか。サプリメントの取りすぎで、肝臓悪くしたっていうニュースを見たことがある」と言います。
おばあちゃんが不服そうな顔をしたのを見て,娘は「副作用がはっきりしていて、取らない方がいいってわかっているサプリメントはやめたほうがいいけれど、おばあちゃんが健康にいいと信じて飲んでいるんだから、医者がこれはやめたほうがいいって言わない限り、飲んでいてもいいんじゃないの。おばあちゃんがこれを飲めば、自分の健康のためになるって信じているんだから。おばあちゃん、毎月の食費よりも高いお金をサプリメントにかけているんだよ」と言います。
夫も、しぶしぶ「じゃあ、一応サプリメントリスト作って、医者の意見を聞いてみよう」と、「飲むな」を撤回しました。
私からのいつもの金一封祝い袋で何を買うかは姑しだいですが、もしかしたらサプリメントになるのかな。姑が自分のために使うお金ですから、何を買うのも自由なのですが、私なら、サプリメントよりも食べ歩きに使いたいなあと思ってしまうのは、食いしん坊だからでしょう。姑は、グルメにもファッションにもあまりこだわりがなくて、ひたすら健康だけが関心事。健康グッズには消費を惜しまない。
夏中、一家でおたおたしてしまった姑の健康問題。検査の結果、「しばらく様子を見ていても大丈夫」という診断だったので、ひとまずは落ち着きました。夫は、実母の体調が急激に悪くなったことが受け入れられずに「暑すぎて熱中症のようになって具合がわるくなったのだろう」と考えています。息子というのは、母親の衰えを受け入れられず、一時的なものだろうと思いたいようです。
年寄りは、昔の暮らし方を守ろうとして、夏場でもエアコンをつけたがず、家の中で熱中症になる人もいたというニュースもありました。姑も、昔の暮らし方が好きですから、夏は家中の窓を開け放して風をいれるのが一番、という考え方で、部屋を閉め切ってエアコンをつけるのは好きじゃないというのです。「昔の暮らし方も大切だけれど、エアコンつけずにいて家の中で熱中症になってもたいへんだから、真夏日にはエアコンつけるように言ってよ。嫁が言えば角がたつから」と、夫には姑のケアを申しつけてきたのですが、ようやくこの夏、「除湿」のスイッチをつけるようになったみたい。
いつまでも夏日が続く9月でしたが、お彼岸をすぎれば、朝夕すこしずつ涼しくなって、姑の体調も回復するでしょう。この夏は、娘とふたりで箱根に行ったのですが、また、姑を連れて行けるといいなあと思います。
<つづく>