2013/12/19
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十三里半日記12月(6)オペラ『秘密の結婚』
12月12日、溝の口の洗足学園前田ホールで文化庁委託事業のオペラ公演『秘密の結婚』を見ました。若手のオペラ歌手育成のために文化庁がお金を出しています。見る人は整理券をもらえば、無料でオペラが見られます。無料大好きの私、ジャズダンス仲間のコズさんに誘われて、仕事を終えた足で溝の口に向かいました。コズさんが所属している女声合唱団の指導者が、洗足学園の先生なので、無料鑑賞券をもらえたのだそうです。
定年退職したあとのこの2年間、のんびりすごしているコズさん、「平日だから、みんな仕事あるし、付き合ってくれる人いないんだ」というので、いっしょにオペラ鑑賞となりました。現地集合の約束の前田ホールへ向かおうとしたのですが、例によっての方向音痴、地図を見つめながら、北口南口西口東口と、溝の口駅の周りを2周しました。ぐるぐる回ったので、どこがどこなのかわからなくなりましたが、どっちかの出口はイルミネーションがきれいでした。
溝口から徒歩7~8分とかいてあったのだけれど、あきらめてタクシー拾おうとしていたら「e-Naちゃん」と呼ぶ声。現地集合のはずのコズさんとばったり会えたのでした。
『秘密の結婚』は、ドメニコ・チマローザ作曲のオペラ作品です。
チマローザ(1749 - 1801)は、ナポリ近郊で生まれたイタリア人で。18世紀後半にウィーンの宮廷音楽家として活躍した人だそうです。チマローザと同時代の作曲家としてはモーツァルト(1756 - 1791)があまりに傑出して有名。モーツァルトはチマローザより7年遅く生まれ、10年早くなくなっています。私は、チマローザをぜんぜん知りませんでした。
まったく同じ演目が、10月に東京芸大の(新)奏楽堂でS席5000円で上演されていましたから、今年はチマローザブームなのかしら。
『秘密の結婚』は、1972年、チマローザ42歳の作品で、オペラ・ブッファの代表作。貴族の娯楽であったオペラの中に、市民を登場させたオペラブッファは、市民階級の男女や下男女中までが主役を担うという点で、それまでのオペラから見ると「庶民的」なものになっていました。
『秘密の結婚』の台本は、ジョバンニ・ベルターイ。
商人階級ながら成金の大金持ちとして次は名誉と名声をと狙っているジェロニモが、娘を貴族階級と結婚させようとはかります。長女のエリゼッタは、伯爵との見合い話に大喜び。しかし、次女のカロリーナは、下僕のパオリーニと愛し合い、すでに秘密裏に結婚しています。身分下の男との結婚を父親に認めさせるためには、姉が貴族と結婚し、父の機嫌がよいときに打ち明けるのがいいと考えています。しかし、ジェロニモの招きで家にやってきたロビンソン伯爵は妹のカロリーナに一目ぼれしてしまったので、話はこんがらかり大騒動となります。
お話は、オペラブッファの定番通りに、わいわいと楽しく、大騒ぎも最後には大円団。それぞれの人に見せ場の歌があり、重唱あり四重唱あり。舞台の上部に字幕が出るので、イタリア語での歌唱でも大丈夫でした。これまでオペラの舞台を敬遠していたのは、オペラチケットが高い、ということと、原語で歌われても意味わかんない、ということがあって、オペラを見るのはもっぱらテレビの舞台中継のみでした。テレビだと字幕が出るので。日韓合同公演の舞台や聴覚障碍者といっしょに楽しもうとする舞台で、字幕付きの上演を見てきましたが、そうですよね、オペラも字幕で楽しめるんでした。
出演者は、若手オペラ歌手からオーディションによってえらばれています。音楽大学やオペラ歌手養成所の卒業生であっても、なかなか主要な役にはつけない現状がありますが、文化庁は、「若手オペラ歌手育成」のために、公演を企画したのです。
ロビンソン伯爵の従僕役で舞台に登場したダリオ・ポニッスィ、実は、この公演の演出家です。6名の主要出演者たち、厳しいオーディションを勝ち抜いた歌手だけあって、それぞれ役柄に合っていて、とても上手でした。父親ジェロニモの役の人もほんとうは33歳ですが、立派にと老け役をこなしていました。
出演者たちは、オーディションから3か月の間けいこを続けたそうで、たった一回の公演ではもったいないと思いました。
見ている層は、若い人はおそらく出演者のおともだちか、オペラ志望の音楽大学学生。あとの観客は、ほとんど、中高年でした。これは、他のクラシックコンサートも同じ。そりゃ、若い人はロックやアイドルのコンサートに出かけるのに忙しくて、オペラなんぞ見ないわねぇ。思うに、文化庁は「若手歌手育成」と同時に観客育成もしておかないと、われわれの世代がいなくなったあと、オペラを見る客はいなくなるんじゃないかしら。
また無料の公演があったら見に行きたいです。むろん、外国歌劇団の引っ越し公演なんぞのS席ウン万円のチケットをお持ちのからのご招待も受付中。
<つづく>
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十三里半日記12月(6)オペラ『秘密の結婚』
12月12日、溝の口の洗足学園前田ホールで文化庁委託事業のオペラ公演『秘密の結婚』を見ました。若手のオペラ歌手育成のために文化庁がお金を出しています。見る人は整理券をもらえば、無料でオペラが見られます。無料大好きの私、ジャズダンス仲間のコズさんに誘われて、仕事を終えた足で溝の口に向かいました。コズさんが所属している女声合唱団の指導者が、洗足学園の先生なので、無料鑑賞券をもらえたのだそうです。
定年退職したあとのこの2年間、のんびりすごしているコズさん、「平日だから、みんな仕事あるし、付き合ってくれる人いないんだ」というので、いっしょにオペラ鑑賞となりました。現地集合の約束の前田ホールへ向かおうとしたのですが、例によっての方向音痴、地図を見つめながら、北口南口西口東口と、溝の口駅の周りを2周しました。ぐるぐる回ったので、どこがどこなのかわからなくなりましたが、どっちかの出口はイルミネーションがきれいでした。
溝口から徒歩7~8分とかいてあったのだけれど、あきらめてタクシー拾おうとしていたら「e-Naちゃん」と呼ぶ声。現地集合のはずのコズさんとばったり会えたのでした。
『秘密の結婚』は、ドメニコ・チマローザ作曲のオペラ作品です。
チマローザ(1749 - 1801)は、ナポリ近郊で生まれたイタリア人で。18世紀後半にウィーンの宮廷音楽家として活躍した人だそうです。チマローザと同時代の作曲家としてはモーツァルト(1756 - 1791)があまりに傑出して有名。モーツァルトはチマローザより7年遅く生まれ、10年早くなくなっています。私は、チマローザをぜんぜん知りませんでした。
まったく同じ演目が、10月に東京芸大の(新)奏楽堂でS席5000円で上演されていましたから、今年はチマローザブームなのかしら。
『秘密の結婚』は、1972年、チマローザ42歳の作品で、オペラ・ブッファの代表作。貴族の娯楽であったオペラの中に、市民を登場させたオペラブッファは、市民階級の男女や下男女中までが主役を担うという点で、それまでのオペラから見ると「庶民的」なものになっていました。
『秘密の結婚』の台本は、ジョバンニ・ベルターイ。
商人階級ながら成金の大金持ちとして次は名誉と名声をと狙っているジェロニモが、娘を貴族階級と結婚させようとはかります。長女のエリゼッタは、伯爵との見合い話に大喜び。しかし、次女のカロリーナは、下僕のパオリーニと愛し合い、すでに秘密裏に結婚しています。身分下の男との結婚を父親に認めさせるためには、姉が貴族と結婚し、父の機嫌がよいときに打ち明けるのがいいと考えています。しかし、ジェロニモの招きで家にやってきたロビンソン伯爵は妹のカロリーナに一目ぼれしてしまったので、話はこんがらかり大騒動となります。
お話は、オペラブッファの定番通りに、わいわいと楽しく、大騒ぎも最後には大円団。それぞれの人に見せ場の歌があり、重唱あり四重唱あり。舞台の上部に字幕が出るので、イタリア語での歌唱でも大丈夫でした。これまでオペラの舞台を敬遠していたのは、オペラチケットが高い、ということと、原語で歌われても意味わかんない、ということがあって、オペラを見るのはもっぱらテレビの舞台中継のみでした。テレビだと字幕が出るので。日韓合同公演の舞台や聴覚障碍者といっしょに楽しもうとする舞台で、字幕付きの上演を見てきましたが、そうですよね、オペラも字幕で楽しめるんでした。
出演者は、若手オペラ歌手からオーディションによってえらばれています。音楽大学やオペラ歌手養成所の卒業生であっても、なかなか主要な役にはつけない現状がありますが、文化庁は、「若手オペラ歌手育成」のために、公演を企画したのです。
ロビンソン伯爵の従僕役で舞台に登場したダリオ・ポニッスィ、実は、この公演の演出家です。6名の主要出演者たち、厳しいオーディションを勝ち抜いた歌手だけあって、それぞれ役柄に合っていて、とても上手でした。父親ジェロニモの役の人もほんとうは33歳ですが、立派にと老け役をこなしていました。
出演者たちは、オーディションから3か月の間けいこを続けたそうで、たった一回の公演ではもったいないと思いました。
見ている層は、若い人はおそらく出演者のおともだちか、オペラ志望の音楽大学学生。あとの観客は、ほとんど、中高年でした。これは、他のクラシックコンサートも同じ。そりゃ、若い人はロックやアイドルのコンサートに出かけるのに忙しくて、オペラなんぞ見ないわねぇ。思うに、文化庁は「若手歌手育成」と同時に観客育成もしておかないと、われわれの世代がいなくなったあと、オペラを見る客はいなくなるんじゃないかしら。
また無料の公演があったら見に行きたいです。むろん、外国歌劇団の引っ越し公演なんぞのS席ウン万円のチケットをお持ちのからのご招待も受付中。
<つづく>