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ぽかぽか春庭「2003年の花火」

2015-08-06 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150806
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記8月(2)2003年の花火

 2003年三色七味日記8月の再録です。
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2003/08/02 土 晴れ 
日常茶飯事典>花火

  4時出発。ピザや焼鳥を買い、川沿いの土手を歩く。去年より人出が多いが、打ち上げ場所近くにスペースがとれた。5時すぎにはもうぎっしり周囲がうまってきた。小学校のうらのコンビニへ、飲み物を買いに行く。戻ってきて6時。
  娘と息子は、かき氷を食べたりして「こうやって待っている分には退屈しないね」と言って。私も退屈しのぎに宮部みゆきの推理小説を持ってきたが、たいしてページは進まなかった。青空にうかぶ白い雲、夕日に染まる雲、そんな雲の変化をのんびりと親子で眺めているだけで、時間がたつ。

  7時から打ち上げ開始。江戸開府400年記念の「和火」の打ち上げも含め、最後のナイアガラ、スターマイン連発まで楽しんだ。

本日のうらみ:ダイエット中につき、缶ビール2本でがまんした


2003/08/03 日 晴れ 
日常茶飯事典>ぐうたら夏休みその1

  やっと夏休み気分。ぐうたらすごす。
  春学期成績提出の催促電話があったというので、図書館に行く。家だとレポートやら広げる気にならないので。
  しかし、図書館は日曜日は5時という早い時間に閉館になってしまうのだった。まだ外は暑い。指導案の採点が残っているのに。

  中学3年生というのに、バカ息子もといぐうたら息子は親に見習って、ぐうたらしている。まったく勉強しない。寝っ転がって、オリザの『演劇入門』や、鴻上尚史『発声と身体のレッスン』をながめているだけ。

  息子は、同学年の村長、我聞、金太郎と4人組。総合学習「話しことば研究」4班のメンバー。
  「話しことば研究」は、平田オリザ『演劇入門』をテキストにして、それぞれが自分のオリジナル脚本を書くというチームだ。文化祭の演劇オリジナル台本を書く者が、中1から高3まで各クラスにいるという学校だから、先輩野田秀樹のあとを継ぐ者が出るかも知れない。

  息子は、脚本を書く気はないらしいが、つかこうへい劇団児童教室に在籍していた経歴があるので、話しことば4班でなんとかいっしょにやっている。

  小学校時代、クラス男子はサッカー少年団のグループと少年野球チームのグループに二分されていた。どちらでもない息子は、家庭科クラブや音楽部に所属して、アパルトヘイト下の名誉白人みたいな「名誉女の子」の位置だった。息子がクラスでイジメに合わなかったのは、サッカーと野球はへただったが、水泳と陸上という個人競技では勝てるし、1対1のけんかでは強かったから。

  中学校では「スポーツよりゲーム」の話題につきあってくれる友だちがたくさんいるから、居心地がいい。ただし、他のクラスメートは「勉強もちゃんとできた上でゲーム」で、息子は「勉強はまったくしたことがなくてゲームオンリー」のところに違いがある。

  息子に「夏休み読書」として本を渡したが、中3夏休みにのんきに本を読んでいられるのも、中高一貫校のありがたさ。息子が続ける「家でまったく勉強しない中学生活」を公立中でやったら、たぶん進路の選択肢は、限りなく小さく狭くなったことだろう。自分でも「来年高校受験じゃなくて、中学受験をしたとしたら、ぜったいに今の学力じゃ中学に合格できない」と言っている。よかった、中学受験で宝くじが当たって。入っちまえば、とりあえず、高校へ進学保証。

  私としては、せっかく受験勉強がない中3の夏休みなんだから、友だちと自転車で1週間旅行にいくとか、一人で海外ホームステイとか、自分で計画を立てて行動して欲しい。毎日ゲーム漬けじゃ、こちらがいらいらする。
  戦国歴史シュミレーションゲームを続けているおかげで、街道名とか旧国名に強くなり、播州といっても、駿府といっても、どこだかすぐ地図をさせる、というのだが、それだけでいいのか、中学3年生の勉強。

  と、いいつつ「かたづけものを始末しなきゃ」と思いながら、寝ころんで本を読む方を優先する親。「つらくても明日のためにしなければならない事」より、目先の楽な方楽しい方を選ぶのは遺伝だから、「さっさと宿題しろ」と叱る言葉も威勢に欠ける。

本日のつらみ:土日こそ遅くまでやって欲しい図書館


2003/08/04 月 曇り
日常茶飯事典>ぐうたら夏休みその2

  午前中は『東京下町殺人暮色』を読む。花火大会の時間待ちにちょうどいいかと推理小説を持っていったが、結局たいして読めなかった。たいして読み進めなかったけれど、事件がおきて、捜査がはじまったところまでは読んだので、読み始めれば最後まで続けて読んでしまわなければ気がすまない。
  だから、推理小説は老後の楽しみにしておいたのに。と、文句を言ってもはじまらない。宮部みゆきの本も、ほとんどを「先の楽しみ」にしてこれまで読まずに我慢してきたのになあ。

  「まだ、成績を提出していないのは先生だけ」という、おしかりの電話。「もうしわけありません。明日持参します」と、締め切り日をさらに一日あとまわしに。締め切りがあしたとなれば、もう、今日は勝ったも同然。と、またぐうたら。

本日の負け惜しみ:あしたのことはあした考える


2003/08/05 火 晴れ
日常茶飯事典>石田衣良にサインをもらう

  午前中、なんとか「指導案」のABCをつける。課題レポート、指導案、模擬授業へのコメント、授業中活動ポイントの総合で、最終ABC。

  なんとか午前中に教務課に提出した。「遅れてすみません。ご迷惑をおかけしてしまって」と平謝り。どうしたら公平できちんとした成績がつけられるかなんて悩んでいないで、さっさと適当につけて提出した方が、教務の人からは受けがいいのだろうが、優柔不断な性格だから、人にランクをつけるということがとてもとてもいや。できれば、全員優でも私はかまわない。しかし、「おおむねAは受講学生の2割程度、Bは5割程度Cは2割」などと、割合まで基準があると悩む。
  いろいろ悩んで結局最終的にはBが2割で、あとはAという甘い採点。ま、そんなもん。

  午後、「これで前期の仕事は全部終わったあ」という開放感をどこで味わおうかと思ったが、映画、美術館、本屋という選択肢しか思いつかない人間だった。

  「ブックファースト」へ。
  文庫になってから買おうと思っていた『4ティーン』を買った。「本日、石田衣良先生来店。サイン会は6時半から」という店内ポスターを見て、ミーハーの血が騒いだので。
  6時15分から列にならんだ。私の整理券番号は56番。いくらミーハーな私でも「ため書き」を自分の名前にするのは気恥ずかしいので「14歳の君へ」として、息子の名前を書いてもらうことにした。

  石田衣良は気さくな感じで、ファンのひとりひとりに話しかけていた。私は「今までの作品で好きなのは『娼年』です」と言った。
  池袋ウエストゲートパークはテレビドラマで見ただけだし、単行本を読んだのは『娼年』ただ一冊だけだから。読んだ本が一冊だけだもの、その一冊がベストワンに決まっている。
  そしたら石田さんは「えっ、珍しいですね。あんなエッチな本を」と言う。男娼の話ではあるけれど、わたしにとって「エロスではなくタナトス死と再生」の香りが強い本だったし、リョウのビルドゥングスとして気分良く読める本だった。でも、そんな感想を述べる余裕はなく、ただ、「ありがとうございました」だけ言って、サイン会場を出る。握手したりいっしょに写真を撮ったりしているファンもいたのだから、もうちょっと話をしてみたかったけれど、まだ、ミーハー道の修行が足りない。

本日のそねみ:私もいっしょに写真とりたかった


2003/08/06 水 晴れ
ニッポニアニッポン事情>2チャン千羽鶴

  くらげんは「広島へ送る千羽鶴作り」を友だちとやっているそう。平和記念館の折り鶴が焼かれたあと、2チャンネルに「かわりの鶴を折って送ろう」という板が立ち上がり、くらげんも参加することにしたんだって。
  一人分で千羽はいくという。たぶん、全国規模で、焼かれた折り鶴より多い数が集まるだろう。ちょっと前であるなら若い世代にとって「平和を祈念して鶴を折る」なんて、ダサイ行為の代表のように思われていたのに、2チャンネルが呼びかければ「若者の流行現象」となる。2チャンネルの効用の大きさに、年寄りが気づかないといいのに、と思ってしまう。

  「折り鶴つくって広島に送ろう」に賛同した若者の大多数はこれまで「ヒロシマ?ゲンバク?しらねーよ。平和運動?かったりいよ。運動は、跳び箱も逆上がりもしたくねえ」という人たちだったと思う。だから、今回の折り鶴作りに参加して、ヒロシマやナガサキについて知ることができた人が少しでも増えれば、2チャンネルの有用性を生かすことができる。

  逆もまた真。千羽鶴作りに参加した人の何割かは、まったく何も考えず、ただ「2チャンネルのイベント、楽しめそうなことならとりあえず参加」という者もいる。
  うまい具合に誘導すれば「イラクへの義勇兵募集、平和維持活動に参加しよう」でも、「北朝鮮の不法核兵器を摘発するためのボランティア募集」でも、可能になるだろう。つられる若者は必ずいる。
  個人を誹謗中傷した板の存在についての責任をひろゆきがおわされることはあっても、どんな板を立ち上げるか、基本的には自由なのだから。

  古い体質の政治家が多く、いまだに有権者の前で土下座パフォーマンスをしたり、おばさんに握手責めでいけば、当選できると思っているうちはいいけれど、ネット利用の世論操作の方法がもっと巧妙になったとき「思考停止、寄らば大樹、付和雷同」の我が同胞たちは、どのように操作されていくのだろうか。
 ネットはおもしろいけれど、その使い方について、私たちはあまりに無知だ。

本日のwebSurfなみ:ニッポニアニッポンはひろゆきと2チャンネラーを応援しています

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20150806
 予定は決定にあらず、というのがミャンマー式だけれど。とりあえずヤンゴン生活がスタート。

 「戦国ゲームなんぞにあけくれる中3オバカ息子」の夏休みにやきもきしていた12年前。
 今もかわらず「戦国期政権論」という博士論文が「まとまらな~い」と言いつつ、ごろごろぐうたらとしている息子にやきもきしながらのヤンゴン出発でした。
 こっちに来てしまえば、息子のぐうたらぶりも目にはいらないので、自分は自分でぐうたらしていられます。

 12年前の原爆忌を前に、慰霊のための折り鶴に放火され焼けてしまうという事件があった。それに対して、2チャンネラーたちは、「新たに鶴を折ってヒロシマに送る運動」をはじめました。ネットの呼びかけに若者が応じたのです。私はこれらの運動を姪のひとりのSNSでしりました。

 しかし、私の危惧は、ネットの利用が巧妙に操作されたとき、「平和を維持するために悪い国をやっつけよう」なんぞという呼びかけがなされるかもしれない、ということでした。

 現在、行われている国会周辺をとりまくデモなども、ネットでのつながりによって活動に参加する若者多いと聞きます。若者達が自分たちで平和について考え、行動する姿を見ていきたいです。戦争反対を訴えるデモに参加した若者達をさして「彼らは自己チューだ」とつぶやき投稿した政治家に対し、たちまち「そうやって言論をおさえつけようとする態度こそ自己チュー」という反論が殺到した、というニュースも見ました。
 さまざまな意見が自由に出せる国でありたいし、違う意見を尊重できる国でありたい。民主主義の基本は、少数意見の尊重。多数決で国会決議するということも民主主義の基本です。が、多数だから横暴をきわめてよいということではないことを確認したいです。

 平和を祈ります。  

<つづく>
コメント (6)
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