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ミンガラ春庭「ヤンゴンの雨期、ヤンゴンの虫」

2015-08-29 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150829
ミンガラ春庭ミャンマー通信>ヤンゴン8月日記(5)ヤンゴンの雨期、ヤンゴンの虫

 日本は8月、猛暑にも見舞われ、夏の盛りでした。しかし、ミャンマーは夏ではありません。ミャンマーが一番暑いさかりは、3月~5月の暑期と呼ばれる時期。6月~9月は、雨期です。10月は雨期あけ。12月~2月が、乾期で観光にはベストシーズンになります。
 ミャンマーの8月は雨期真っ最中で、毎日が湿度100%となります。

 雨期ときいて、私は35年前にすごしたケニアの雨期を思い出して、ケニアと同じように朝方ざ~と一気にふり、あとは晴れてしまう振り方を想像していました。ケニアの雨期はサバンナ気候の雨期でした。
 しかし、ミャンマーの熱帯モンスーン型の雨期は、ようすが違いました。一日に何度も降ったり止んだりし、ときには、日本の台風のような激しい風雨となります。降っているときはいくらかは涼しくなるのですが、止むと一気に温度も湿度も上がって、湿気で肌がべとべとになります。大学校舎にはひさしがとりつけられているのですが、雨がひさしを叩く音が半端でなく、日頃大声で授業をするので、学生から「寝られない」と文句も出ていた私の声も教室の中で聞こえにくくなってしまいます。

 8月17日、台風並の強い風雨にみまわれました。私がいる事務所前の大木の枝が折れて上から落ちてくるのを目撃しました。こんなときは、傘も役立たず、雨が弱くなるまで2時間3時間と屋内に退避しているよりほか、仕方ありません。

 スーパーで買い物をしている間に、きたときはそれほどでもなかった雨が、帰り際にはとても歩けないほどの雨になっていました。入り口には思案顔の人々が折り重なっています。
 スーパー店内のカフェで雨宿りすることにしました。

 みな考えることは同じですから、カフェもごったがえしています。席がなかったのですが、ウェイターが若者ふたりに相席をたのんでくれました。コーヒー1杯1000チャット100円です。1500チャット150円あれば、道ばたの露店で1食分腹が満たせるのですから、カフェに100円払えるのは、それなりに余裕がある人たち。最貧層のひとつといわれる紡績工場の女工さんの給与は、1ヶ月30000チャット3千円。大学卒の初任給が5~7万円。英語やIT能力に高いスキルを持つ人が7~15万円。という給与体勢の中、私は一杯100円のコーヒーを飲んだ。
 でも、本当は、私はどちらかと言えば余裕ない側の人たちのほうなんです。タクシー運転手にさえ「そんな安い給料で年取ってまで働くのは、たいへんだろう」と、同情されたくらいです。(チャットと円の換算を間違えて給与額を言ったらしい)

 雨宿りの1杯100円のコーヒーさえ「贅沢」と思ってしまうような生活をしてまで、どうして私はここに来てしまったのか、と、あまりうまくないエスプレッソを飲み込みながらため息をつき、止まない雨を眺めました。

 この日買ったのは、バケツとタオル。
 13日に引っ越しした外国人教員宿舎。部屋の広さは一人暮らしには十分だし、冷蔵庫、蚊帳など、3月に赴任していた前任者がそろえてくれていた生活備品も、残されています。しかし、部屋にキッチンがなく、共同キッチンのプロパンガスはカラ。シャワーは、お湯が出ず、水シャワーのみ。帰宅してすぐに汗を流すときは水シャワーでもいいのですが、髪を洗ったりするには、やはりお湯があったほうがいい。バスタブはありません。そこで、電気ポットでお湯をわかし、バケツで水とまぜて髪を洗うことにしました。
 若い頃すごしたケニアや、中年になって赴任した中国で田舎に旅行したときはこの方式でしたから、私はこれで十分ですが、贅沢に慣れた若い世代には、めんどうなことだと思われるかもしれません。

 ベッドにかかっている蚊帳は、それほど必需品ではありませんでした。室内に小さな蝿がくるけれど、それはヤモリが退治してくれる。外出時に蚊取り線香を焚いたら、ヤモリの姿が見えなくなってしまい、悪いことをした。室内で蚊には刺されていません。


 室内に蚊が入り込んだことは今のところないけれど、屋外で蚊にさされるのは、要注意。デング熱マラリアその他の蚊が媒介する病気も多いので、液体の蚊取りは室内で昼夜ずっとスイッチをいれており、蚊取り線香も併用しています。それなのに、なんだかよくわからない虫にさされたらしく、右足だけ赤く腫れ上がりました。日本では経験したことのない自分の足。
 虫なのか、かぶれなのか、よくわからないので、あとで診断してもらうために、写真をとっておきました。あらまあ、赤くないところも、ずいぶんとふくれあがって、、、、って、そりゃもともとの太さですがな。足のサイズは22.5で小さめなので、その分横にひろがっているんですの。



 いったい、この腫れは何なのでしょう。かゆみ止めを塗りまくっていますが、この赤さが目にはいると、バアサンなのに、どうしてこんな目にあうことになったのか、と、弱気になります。どうしてこんなことに、、、、そうだ、自分で赴任を希望したのだった。

 こぎたないものをUPして恐縮ですが、自分の記録として、こういうことも経験したのだという証拠にのこしておきます。

 ヤンゴンには、カンドジー湖と、インヤー湖というふたつの大きな湖が市内に残っています。東京は上野の不忍池はかろうじて残ったけれど、「溜池」を埋め立ててしまって、今や溜池山王なんていう地下鉄駅名にしか残されていないの比べて、都会の中に大きな湖が残されてよかったと思います。また、市内、雨のあとは至る所に水たまりができ、低いところにある道路は川になります。

 宿舎に向かうタンランから歩く道路も川になるので、タクシーでないと帰れない。水たまりがあるので、夜になると、都会の真ん中でも盛んに蛙の鳴き声が聞こえます。東京では、ビルの間から蛙の合唱が聞こえるなんてことないので、ゲーコゲーコの合唱をなつかしく聴きました。犬の遠吠えはやかましく聞こえるけれど、蛙の合唱は好き。

 雨期のミャンマー。それなりの楽しみ方はあるのでしょうが、今のところ、大学と宿舎の往復だけで、突然の大雨を思うとおちおち街歩きもしていられません。ヤンゴンの雨期をちょっとなめていました。雷神さま風神さま、風雨担当のほとけ様、ごめんなさいです。

<つづく>
コメント (4)
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