20151115
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>晩秋のことば(2)秋の馬
新しく知ることば、専門用語というのは、どの世界のことばでも、とても幅広く奥深く、知るたびにとても利口になった気がします。
「ギヒンダイ」ってご存じでしょうか。牧畜関係者には日常茶飯事のことばなのでしょうが、聞いただけではなんのことやら、一般人にはわかりません。漢字で書けば意味がわかるかも。擬牝台と書きます。
種馬や種牛から精液を採取するときに、牡馬や牡牛がのしかかるための台です。見た目は、器械体操のあん馬。こんな台にのっけられて、精液を搾り取られちゃう種馬もなんだかなあ、という気がする。種馬といえば、多数の雌馬に囲まれたハーレム状態なのかと思っていました。
京都御所の壁を修理する左官の仕事紹介や「伊豆の長八」展に出かけて、入江長八の仕事を見たあと左官用語事典などパラパラと見ていて、「馬」という左官用語を知りました。
「馬」という語も、左官用語では別のもの。「脚立と同じ4本足の踏み台ですが、脚立より足が短くて上に乗るのに安定している、、、」なるほど。
馬=足の短い四本足の脚立。
天高く馬肥ゆる秋。「馬肥ゆる」は秋の季語。私は一年中肥えていますが。
・牧の馬肥えにけり早雪や来ん<高浜虚子
・馬尿す音岩山の秋の昼<加畑吉男
・馬跳びの子ら天に跳ね秋日濃し<春庭
左官の入江長八の作品「近江のお兼」
下駄でたずなを踏んづけ、馬を取り押さえている女傑、近江のお兼の姿も馬もいいですね。

新しいことばを知るとうれしくてつい、吹聴したくなります。仕事柄新しいことばへのアンテナはいつも磨いているつもりですが、最近のアンテナにひっかかるのは新出来のカタカナ語ばかり。あとは、古い本を読んだときの、今では使われることの少ない漢語や熟字訓。
「救恤金キュウジュツキン」。ジュツの字、読めませんでした。義捐金(ぎえんきん)や寄付金が現代語として残り、救恤金が廃れてしまったのは、やはり「恤」が常用漢字から落ちてしまったことが原因だろうか、とか考えて、何の得にもならぬことをぐだぐだ思い巡らせて秋の日を浴びています。
「騏驥キキ」この語を、自分の文章で使ったことなかったです。
「騏驥」とは、
1 よく走るすぐれた馬。駿馬(しゅんめ)。
2 すぐれた人物。
のことですって。
漢字表記、私は、副詞や接続詞などはできるだけカナ書きしたいし、平仮名表記をしても意味が伝わることばは、仮名書きしています。でも、これまで使ったことのない漢字を知ると、面白く思います。
牛が6つで「犇犇ヒシヒシ」という漢字見て、じゃ、午や馬が6つあったら何になるだろう、なんて思っていたら、同じこと考える人もいるもんですね。ネットで探せば、「三つ以上同じ形を並べる漢字集」が出てきました。(外字が多いので、文字化けするかも)
人-众 女-姦 子-孨 心-惢 手-掱 口-品 目-瞐 耳-聶 舌-舙
牛-犇 犬-猋 羊-羴 馬-驫 魚-鱻 鹿ー麤 虫-蟲 貝-贔 龍-龘
日-晶 木-森 屮-芔 土-垚 水- 泉-灥 火-焱 雷-靐 風-飍 石-磊 金-鑫
田-畾 原-厵
白- 刀- 力- ム-厽 又-叒 吉-嚞 止-歮 直-矗 言-譶 車-轟 隹-雥 飛-飝
おお、ありました。馬が三つで驫。音は「ヒョウ」で、意味は「多くの馬が群れるようす」です。
こんなことをして遊んでいるから、文化系の学部は潰すべきだ、と文科省のお役人が考えてしまうのですね。ノーベル賞とれるようなモノツクリができない学問は不要だと。
日本のモノツクリもすばらしいけれど、言語文化もすばらしいのだ、とわかってもらわねばなりませんが、、、、
天高く、、、、馬以上に肥ゆる秋、をもちっと節制して、脳に栄養を行き渡らせなければ成りません。「騏驥」なる人物にはなれそうもないので、せめて「驥尾に附す青蝿」くらいには頑張ります。
「驥尾に附す」とは。ただの青蝿であっても、優れた馬のしっぽにつかまっていれば、千里を走る馬と同行できるたとえ、、、、、ですと。今、知った。
<つづく>
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>晩秋のことば(2)秋の馬
新しく知ることば、専門用語というのは、どの世界のことばでも、とても幅広く奥深く、知るたびにとても利口になった気がします。
「ギヒンダイ」ってご存じでしょうか。牧畜関係者には日常茶飯事のことばなのでしょうが、聞いただけではなんのことやら、一般人にはわかりません。漢字で書けば意味がわかるかも。擬牝台と書きます。
種馬や種牛から精液を採取するときに、牡馬や牡牛がのしかかるための台です。見た目は、器械体操のあん馬。こんな台にのっけられて、精液を搾り取られちゃう種馬もなんだかなあ、という気がする。種馬といえば、多数の雌馬に囲まれたハーレム状態なのかと思っていました。
京都御所の壁を修理する左官の仕事紹介や「伊豆の長八」展に出かけて、入江長八の仕事を見たあと左官用語事典などパラパラと見ていて、「馬」という左官用語を知りました。
「馬」という語も、左官用語では別のもの。「脚立と同じ4本足の踏み台ですが、脚立より足が短くて上に乗るのに安定している、、、」なるほど。
馬=足の短い四本足の脚立。
天高く馬肥ゆる秋。「馬肥ゆる」は秋の季語。私は一年中肥えていますが。
・牧の馬肥えにけり早雪や来ん<高浜虚子
・馬尿す音岩山の秋の昼<加畑吉男
・馬跳びの子ら天に跳ね秋日濃し<春庭
左官の入江長八の作品「近江のお兼」
下駄でたずなを踏んづけ、馬を取り押さえている女傑、近江のお兼の姿も馬もいいですね。

新しいことばを知るとうれしくてつい、吹聴したくなります。仕事柄新しいことばへのアンテナはいつも磨いているつもりですが、最近のアンテナにひっかかるのは新出来のカタカナ語ばかり。あとは、古い本を読んだときの、今では使われることの少ない漢語や熟字訓。
「救恤金キュウジュツキン」。ジュツの字、読めませんでした。義捐金(ぎえんきん)や寄付金が現代語として残り、救恤金が廃れてしまったのは、やはり「恤」が常用漢字から落ちてしまったことが原因だろうか、とか考えて、何の得にもならぬことをぐだぐだ思い巡らせて秋の日を浴びています。
「騏驥キキ」この語を、自分の文章で使ったことなかったです。
「騏驥」とは、
1 よく走るすぐれた馬。駿馬(しゅんめ)。
2 すぐれた人物。
のことですって。
漢字表記、私は、副詞や接続詞などはできるだけカナ書きしたいし、平仮名表記をしても意味が伝わることばは、仮名書きしています。でも、これまで使ったことのない漢字を知ると、面白く思います。
牛が6つで「犇犇ヒシヒシ」という漢字見て、じゃ、午や馬が6つあったら何になるだろう、なんて思っていたら、同じこと考える人もいるもんですね。ネットで探せば、「三つ以上同じ形を並べる漢字集」が出てきました。(外字が多いので、文字化けするかも)
人-众 女-姦 子-孨 心-惢 手-掱 口-品 目-瞐 耳-聶 舌-舙
牛-犇 犬-猋 羊-羴 馬-驫 魚-鱻 鹿ー麤 虫-蟲 貝-贔 龍-龘
日-晶 木-森 屮-芔 土-垚 水- 泉-灥 火-焱 雷-靐 風-飍 石-磊 金-鑫
田-畾 原-厵
白- 刀- 力- ム-厽 又-叒 吉-嚞 止-歮 直-矗 言-譶 車-轟 隹-雥 飛-飝
おお、ありました。馬が三つで驫。音は「ヒョウ」で、意味は「多くの馬が群れるようす」です。
こんなことをして遊んでいるから、文化系の学部は潰すべきだ、と文科省のお役人が考えてしまうのですね。ノーベル賞とれるようなモノツクリができない学問は不要だと。
日本のモノツクリもすばらしいけれど、言語文化もすばらしいのだ、とわかってもらわねばなりませんが、、、、
天高く、、、、馬以上に肥ゆる秋、をもちっと節制して、脳に栄養を行き渡らせなければ成りません。「騏驥」なる人物にはなれそうもないので、せめて「驥尾に附す青蝿」くらいには頑張ります。
「驥尾に附す」とは。ただの青蝿であっても、優れた馬のしっぽにつかまっていれば、千里を走る馬と同行できるたとえ、、、、、ですと。今、知った。
<つづく>