20160211
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記2月(3)観劇「ゴンザーゴ殺し」
2003年三色七味日記2月の再録です。
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2003/02/11 火 曇りときどき小雨
ジャパニーズアンドロメダシアター>『ゴンザーゴ殺し』
阿子さんと待ち合わせして、千石の三百人劇場で昴の『ゴンザーゴ殺し』を見た。
芝居は、ハムレットの中に出てくる旅の一座がメインになり、ハムレットの依頼で、王殺しの芝居を上演するというストーリー。権力と旅芸人。拷問があり、最後は座長とその妻は絞首刑という刑が決まるが、権力の転換により運命は一転して「宮廷附属劇場」に取り立てられる。
ブルガリアの劇作家の作品という。最後のシーンで、照明効果により壁が牢獄の鉄格子のようにみえる。宮廷劇場に取り立てられるという運命の転換があったとしても、結局は権力の手の中の牢獄で呻吟するしかない人々の運命を暗示しているという演出。イヤホーン音声では、はっきりと「牢屋の格子を思わせる照明があたっている」と解説が入るが、見た目だけだと、受け取る人によって、牢屋の格子にも見えるが、ただの垣根にも見えるので、演出家が込めた「体制がどう変化しようともこの世はどこも牢獄」というブルガリアの共産主義体制から資本主義体制へ移行したあとの社会変化への批評が観客に伝わったかどうかは不明。
芝居後のトークショウでは、ベテラン俳優と演出家によるトーク、台本の翻訳者による感想などを聞くことができた。
なぜ、ハムレットと王妃と王の声だけ録音にして、顔を出さない演出にしたのか、という質問に、演出家は「自分自身の顔を持つ一般の人に対して、この世で一般の人とは異なる役割を演じている王、王妃、王子なので、この芝居では、自分の顔を持たない人として、顔を見せず、声も録音で演じた」という説明があった。それを聞くまで、なぜ聞き取りにくい録音テープで言うのか、あまり意図がわからなかった。
この世におけるロールを演じているという点では、ハムレットもホレーショも旅芸人も同じような気がするが、たぶん世襲によって生まれたときからロールが決められていて、自分で選ぶことができないという点が、一般人と異なるという解釈なのだろう。
彼らにも自分の役割を選ばせてあげましょうよ。世襲社長が引き継いだ会社はたいてい傾く。国だってジョンイル王子程度のプリンスじゃ、傾いちまう。ニューカマープリンセスは自分の運命を自分で選ぶことができるだろうか。ロールに縛られることなく、名前の通りに愛を選び取れる人生をおくらせてあげましょうね。
視覚障害者のためのイヤホンサービスも体験した。どんな説明が入っているのか聞いておけば、あとで、阿子さんに、舞台装置の説明などをするときに、イヤホンの説明と重複しないですむ。
歌舞伎の解説に比べてあっさりしたおとなしい解説だった。私はもっと細かく役者の衣裳や動きを逐一伝えているのかと思っていた。
想像力の乏しい私には、目をとじてイヤホン解説と役者の声だけでこの舞台を観賞したら、半分も理解できなかったろうと思う。阿子さんは「ああ、おもしろかった。舞台はいいよねぇ」と楽しんだようすだったが。
息子は、午後、夫の事務所手伝い。渋谷へメッセンジャー2件で3000円稼いできた。
我が家の王子様はゲームソフト代稼ぐためには、せっせとアルバイトしなければならない。いいことだ。
本日のつらみ:To buy or not to buy. That is not question. Work hard!
2003/02/12 水 晴れ
日常茶飯事典>パスポート申請
午前中Aダンス。
午後、娘ととサンシャインワールドインポートにあるパスポートセンターに行く。いよいよ娘と息子のパスポートを取ることにしたのだ。
書類を書き込んだところで、代理出願には本人の署名と身分証明書が必要とわかり、ジュンク堂でお茶を飲みながら、息子が下校してくるのを待つことになった。ジュンク堂の「ティールームサービス券」が2枚あったので。
娘は統計学の本を探す。
途中、娘はあいちゃんからのメールを受け取り、あいちゃんが大変なので、先に帰って慰めて来るという。滑り止めのつもりで受けたところが不合格となったため、とてもナーバスになっているので、あいちゃんの家まで行ってくるという。
娘にとっては、あいちゃんの受験を支えることが今の自分を支えることのひとつになっているのだと思う。今、娘にはほかに関心をむけていることや心配事がないようなので。
息子と池袋東口で待ち合わせして、サンシャインに向かったが、途中で、息子は生徒手帳を携行していないという。それで、パスポートセンターに行くのは無駄だから、と帰ることになった。
帰りに東急ハンズペットコーナーで兎を見た。
どの子もとてもかわいらしく、うちの捨てウサギはまったくもってブサイクな兎であるという結論。
でも、「じゃ、こっちのかわいいウサギと、タイムと取り替える?」と聞くと、見た目はブサイクでもやはりうちのタイムはかわいい、という。客観的に見てタイムが「見た目がブサイク」というのは確か。でも、かわいらしい兎たちを見て、どんなに見た目が悪くとも、身びいきでみれば「うちの子が一番かわいい」という「親ばか心理」が、息子も理解できた。
「ね、いくら自分の子がバカだと思っても、我が子が一番かわいいっていう親の気持ちがわかったでしょ」
中学では目立たない存在であっても、私には最高の大事な息子なのだ。息子は明日から高校入試日になる。教室内に荷物を置いてきてはいけないため、リュックサックに教科書ノート全部を詰め込んで持ち帰った。「重いよ」と文句を言いながら歩く。
娘とお茶ケーキを食べたので、息子にも「何か食べる?」と聞いたのだが、「重いから早く帰りたい」というので、何も食べないで帰った。
本日のひがみ:血統書つきではない我が家のペット、娘、息子
2003/02/13 木 晴れ
日常茶飯事典>都庁でパスポート申請
昨日、サンシャインでパスポートが出願できなかったので、今日は娘は東京都庁へ行く。
パスポートセンターで提出しようとしたら、今度は一家の名前が書いてある保険証が必要だという。それで、今回もだめになった。さらに娘の写真は顔が小さいので撮り直しと言われた。
そういうこと、昨日のうちに全部教えてくれれば、今日は全部用意したのに。
45階の展望台で外を眺めてお茶とケーキ。
本日のうらみ:昨日は写真のことなど、一言もいってくれなかった
2003/02/14 金 晴れ
日常茶飯事典>パスポート申請3度目
午前中、もう一度都庁へ。今回はやっとパスポート申し込みができた。
午後、スピーチ発表会と会議。5時半から駅前の居酒屋で「コース修了パーティ」
学生とも今日でお別れ。沖縄へ赴任するスディさんともお別れ。
本日のひがみ:私もいきたい南の島
2003/02/16 日 曇りのち雨のち雪
日常茶飯事典>日常生活円滑進行不全症
娘は姑宅へ。姑、夫、娘の三人で、3月の舅一周忌の相談。
私は交換留学生成績表を郵送しに、スーパー前のポストまで雨の中を歩く。スーパーででトイレットペーパーを買って、店に忘れてきた。家のドアノブを回したら、手に持っていないのに気づき、また雨の中取りに戻った。一日に一回はドジをしないと、毎日が進まないのも困ったものだ。
パスポートセンターに3回も通ってようやくパスポート申請ができた話など、娘が夫にしたら、またまた「どうしてきちんとしたことが何もできないのか」と夫は言うだろう。私だって、たかがパスポート申請で2回も失敗するとは思わなかった。
ここまでくると、この徹底した事務処理能力のなさ、日常生活円滑遂行不全症とでもいうものが「芸」のうちなのではないかという気もしてくる。
本日のつらみ:買った品物を店に置き忘れるのは日常茶飯事
<つづく>
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20160211
視覚障害医者と図書館朗読ボランティアとして始まった、阿子さんとのおつきあいも、四半世紀を超えました。
昨年12月に大阪の阿子さんから手紙がきている、と娘がメールに添付しておくってくれました。
阿子さんは、8歳までは弱視ながらうっすら目が見えたので、ひらがなを覚えました。その記憶によって、晴眼者にはひらがなを書いてくれるのです。点字をならったけれど、点字一覧表と突き合わせでなければ読めない私のために、いっしょうけんめい仮名文字で書いたクリスマスレターをくれました。
2015年はいっしょに出かけることができなかったけれど、2016年は、またいっしょにお芝居を見に行きたいです。
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記2月(3)観劇「ゴンザーゴ殺し」
2003年三色七味日記2月の再録です。
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2003/02/11 火 曇りときどき小雨
ジャパニーズアンドロメダシアター>『ゴンザーゴ殺し』
阿子さんと待ち合わせして、千石の三百人劇場で昴の『ゴンザーゴ殺し』を見た。
芝居は、ハムレットの中に出てくる旅の一座がメインになり、ハムレットの依頼で、王殺しの芝居を上演するというストーリー。権力と旅芸人。拷問があり、最後は座長とその妻は絞首刑という刑が決まるが、権力の転換により運命は一転して「宮廷附属劇場」に取り立てられる。
ブルガリアの劇作家の作品という。最後のシーンで、照明効果により壁が牢獄の鉄格子のようにみえる。宮廷劇場に取り立てられるという運命の転換があったとしても、結局は権力の手の中の牢獄で呻吟するしかない人々の運命を暗示しているという演出。イヤホーン音声では、はっきりと「牢屋の格子を思わせる照明があたっている」と解説が入るが、見た目だけだと、受け取る人によって、牢屋の格子にも見えるが、ただの垣根にも見えるので、演出家が込めた「体制がどう変化しようともこの世はどこも牢獄」というブルガリアの共産主義体制から資本主義体制へ移行したあとの社会変化への批評が観客に伝わったかどうかは不明。
芝居後のトークショウでは、ベテラン俳優と演出家によるトーク、台本の翻訳者による感想などを聞くことができた。
なぜ、ハムレットと王妃と王の声だけ録音にして、顔を出さない演出にしたのか、という質問に、演出家は「自分自身の顔を持つ一般の人に対して、この世で一般の人とは異なる役割を演じている王、王妃、王子なので、この芝居では、自分の顔を持たない人として、顔を見せず、声も録音で演じた」という説明があった。それを聞くまで、なぜ聞き取りにくい録音テープで言うのか、あまり意図がわからなかった。
この世におけるロールを演じているという点では、ハムレットもホレーショも旅芸人も同じような気がするが、たぶん世襲によって生まれたときからロールが決められていて、自分で選ぶことができないという点が、一般人と異なるという解釈なのだろう。
彼らにも自分の役割を選ばせてあげましょうよ。世襲社長が引き継いだ会社はたいてい傾く。国だってジョンイル王子程度のプリンスじゃ、傾いちまう。ニューカマープリンセスは自分の運命を自分で選ぶことができるだろうか。ロールに縛られることなく、名前の通りに愛を選び取れる人生をおくらせてあげましょうね。
視覚障害者のためのイヤホンサービスも体験した。どんな説明が入っているのか聞いておけば、あとで、阿子さんに、舞台装置の説明などをするときに、イヤホンの説明と重複しないですむ。
歌舞伎の解説に比べてあっさりしたおとなしい解説だった。私はもっと細かく役者の衣裳や動きを逐一伝えているのかと思っていた。
想像力の乏しい私には、目をとじてイヤホン解説と役者の声だけでこの舞台を観賞したら、半分も理解できなかったろうと思う。阿子さんは「ああ、おもしろかった。舞台はいいよねぇ」と楽しんだようすだったが。
息子は、午後、夫の事務所手伝い。渋谷へメッセンジャー2件で3000円稼いできた。
我が家の王子様はゲームソフト代稼ぐためには、せっせとアルバイトしなければならない。いいことだ。
本日のつらみ:To buy or not to buy. That is not question. Work hard!
2003/02/12 水 晴れ
日常茶飯事典>パスポート申請
午前中Aダンス。
午後、娘ととサンシャインワールドインポートにあるパスポートセンターに行く。いよいよ娘と息子のパスポートを取ることにしたのだ。
書類を書き込んだところで、代理出願には本人の署名と身分証明書が必要とわかり、ジュンク堂でお茶を飲みながら、息子が下校してくるのを待つことになった。ジュンク堂の「ティールームサービス券」が2枚あったので。
娘は統計学の本を探す。
途中、娘はあいちゃんからのメールを受け取り、あいちゃんが大変なので、先に帰って慰めて来るという。滑り止めのつもりで受けたところが不合格となったため、とてもナーバスになっているので、あいちゃんの家まで行ってくるという。
娘にとっては、あいちゃんの受験を支えることが今の自分を支えることのひとつになっているのだと思う。今、娘にはほかに関心をむけていることや心配事がないようなので。
息子と池袋東口で待ち合わせして、サンシャインに向かったが、途中で、息子は生徒手帳を携行していないという。それで、パスポートセンターに行くのは無駄だから、と帰ることになった。
帰りに東急ハンズペットコーナーで兎を見た。
どの子もとてもかわいらしく、うちの捨てウサギはまったくもってブサイクな兎であるという結論。
でも、「じゃ、こっちのかわいいウサギと、タイムと取り替える?」と聞くと、見た目はブサイクでもやはりうちのタイムはかわいい、という。客観的に見てタイムが「見た目がブサイク」というのは確か。でも、かわいらしい兎たちを見て、どんなに見た目が悪くとも、身びいきでみれば「うちの子が一番かわいい」という「親ばか心理」が、息子も理解できた。
「ね、いくら自分の子がバカだと思っても、我が子が一番かわいいっていう親の気持ちがわかったでしょ」
中学では目立たない存在であっても、私には最高の大事な息子なのだ。息子は明日から高校入試日になる。教室内に荷物を置いてきてはいけないため、リュックサックに教科書ノート全部を詰め込んで持ち帰った。「重いよ」と文句を言いながら歩く。
娘とお茶ケーキを食べたので、息子にも「何か食べる?」と聞いたのだが、「重いから早く帰りたい」というので、何も食べないで帰った。
本日のひがみ:血統書つきではない我が家のペット、娘、息子
2003/02/13 木 晴れ
日常茶飯事典>都庁でパスポート申請
昨日、サンシャインでパスポートが出願できなかったので、今日は娘は東京都庁へ行く。
パスポートセンターで提出しようとしたら、今度は一家の名前が書いてある保険証が必要だという。それで、今回もだめになった。さらに娘の写真は顔が小さいので撮り直しと言われた。
そういうこと、昨日のうちに全部教えてくれれば、今日は全部用意したのに。
45階の展望台で外を眺めてお茶とケーキ。
本日のうらみ:昨日は写真のことなど、一言もいってくれなかった
2003/02/14 金 晴れ
日常茶飯事典>パスポート申請3度目
午前中、もう一度都庁へ。今回はやっとパスポート申し込みができた。
午後、スピーチ発表会と会議。5時半から駅前の居酒屋で「コース修了パーティ」
学生とも今日でお別れ。沖縄へ赴任するスディさんともお別れ。
本日のひがみ:私もいきたい南の島
2003/02/16 日 曇りのち雨のち雪
日常茶飯事典>日常生活円滑進行不全症
娘は姑宅へ。姑、夫、娘の三人で、3月の舅一周忌の相談。
私は交換留学生成績表を郵送しに、スーパー前のポストまで雨の中を歩く。スーパーででトイレットペーパーを買って、店に忘れてきた。家のドアノブを回したら、手に持っていないのに気づき、また雨の中取りに戻った。一日に一回はドジをしないと、毎日が進まないのも困ったものだ。
パスポートセンターに3回も通ってようやくパスポート申請ができた話など、娘が夫にしたら、またまた「どうしてきちんとしたことが何もできないのか」と夫は言うだろう。私だって、たかがパスポート申請で2回も失敗するとは思わなかった。
ここまでくると、この徹底した事務処理能力のなさ、日常生活円滑遂行不全症とでもいうものが「芸」のうちなのではないかという気もしてくる。
本日のつらみ:買った品物を店に置き忘れるのは日常茶飯事
<つづく>
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20160211
視覚障害医者と図書館朗読ボランティアとして始まった、阿子さんとのおつきあいも、四半世紀を超えました。
昨年12月に大阪の阿子さんから手紙がきている、と娘がメールに添付しておくってくれました。
阿子さんは、8歳までは弱視ながらうっすら目が見えたので、ひらがなを覚えました。その記憶によって、晴眼者にはひらがなを書いてくれるのです。点字をならったけれど、点字一覧表と突き合わせでなければ読めない私のために、いっしょうけんめい仮名文字で書いたクリスマスレターをくれました。
2015年はいっしょに出かけることができなかったけれど、2016年は、またいっしょにお芝居を見に行きたいです。
