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ぽかぽか春庭「迎賓館赤坂離宮見学その4朝日の間・羽衣の間」

2016-11-24 00:00:01 | エッセイ、コラム
20161124 
ぽかぽか春庭@アート散歩>東京建物巡り(4)迎賓館赤坂離宮その4

 迎賓館赤坂離宮見学つづきです。

 朝日の間は、広さは約200平方メートル。国・公賓用のサロンとして使われ、表敬訪問や首脳会談などの行事が行われます。



 部屋の名は天井に描かれた「朝日を背にして女神が香車(チャリオット)を走らせている姿」の絵に由来しています。天井画は長径8.26メートル・短径5.15メートルの大きな楕円形です。室内は古典主義様式。壁には京都西陣の金華山織の美術織物が張られています。

 天井絵の女神像には縦の黒い線が細かく入っているので、どうしてかなと思っていたのですが、あとで娘が質問して、経年劣化によるものとわかりました。朝日の間はまもなく閉鎖され、部屋の修復修理にかかる3年間は見学できなくなるそうです。朝日の間、最後の見学になるので、閉鎖前に見ることができてよかったです。



 最後の見学室は、羽衣の間。広さは約330平方メートル。室内は朝日の間と同様、古典主義様式。



 晴天なら正面玄関前で行う歓迎儀式ですが、雨天の際に羽衣の間で歓迎行事を行います。また、晩餐会の招待客に食前酒や食後酒が供される部屋です。娘は、「そうそう、貴族の館では、ディナーの前に食前酒を飲む部屋ってのがあるんだよ」と言って、入り口の解説板を読んでいます。娘の知識はドラマ「ダウントンアビー貴族の館」を見てのものです。

 「羽衣の間の名称は、天井に謡曲の「羽衣」の景趣を描いた300平方メートルの曲面画法による大壁画があることに由来している」という説明が部屋の入り口の説明板に書いてありました。これに娘がひっかかりました。部屋中どこを見ても、謡曲に出てくる羽衣は見当たらないからです。



 娘がボランティアさんに質問したところ、「絵はすべてフランスに発注したため、「羽衣が、こういう絵になった」ということでした。でも、それなら「謡曲の羽衣を描いた」という説明は合っていないんじゃないかなと、私は思いましたが、娘はボランティアさんの説明に納得していました。解説の内容うんぬんではなく、素人の素朴な質問にもひとつひとつ丁寧に解説してくれる様子に感銘を受けたようです。

 私は様々な建物でボランティア説明を聞いているから「毎度毎度、見物客は同じ質問をするから、ボランティアさんもちゃんと勉強しているんだと思うよ」と、そっけない。

 謡曲羽衣と聞けば、娘も私もそう感じたように、天女が羽衣を松にかけている図を思い浮かべてしまいます。
 買ってきた写真集の説明によれば、謡曲「羽衣」の中に出てくる「虚空に花ふり音楽聞こえ霊香四方に薫ず」という一節を絵にしたもので、花と音楽と薫香を表現したのだそうです。天女が羽衣を着ている絵柄ではなく、もともと音楽と香を描くことになっていた。天井と壁の間に香炉の絵があり、そこからもくもく煙が出ている絵があるので、それが「霊香四方に薫ず」の絵なのでしょう。壁には、バイオリンやトランペットのレリーフが金箔で飾られています。 





 羽衣の間の正面の中2階には、オーケストラボックスがあるのは、羽衣の間が舞踏会場として設計されたから。
 迎賓館の中で最も大きいシャンデリア(重量800キログラム)が下がっています。

 私が「ドアに番号がついている部屋は、賓客宿泊のお部屋でしょうか」と、尋ねたら、警備の人は「さあ、私どもは本日の一般公開のために臨時に雇われたので、内部のことはわかりません」だったし、ボランティアさんは「私たちも、見学できる部屋のほかのことは知らされていません」と、セキュリティに関わりそうな事柄には、回答がありませんでした。

 見学は一方通行に通路が設定されていますが、一度外へ出て、再び館内に入るのは何度でも自由。よほど混雑がひどくなると、一回入ったら2時間以内に退館、などの措置がとられるようになるかもしれませんが、今のところ、自由に館内と南側の庭を往復できるので、ゆったり見たい人は、午前中に来て、休憩室で持ち込みのお弁当を食べ、閉館の5時まで館の主人公になった気分で長居することもできます。

正面玄関


 私と娘は、前庭に店を出していた移動カフェで一休み。夕暮れ時になり、部屋に灯りがついた赤坂離宮もなかなか趣がありました。

正面玄関ドア


 夕暮れの迎賓館正面を見ながら、右端の椅子に腰掛けて飲み物を飲んでいる娘


 閉館時間になってもゆっくりお茶していたら、係員に追い立てられました。


 1974年に、我らの税金108億円も投じて修理修復された迎賓館。入館料千円はかかるけれど、皆様ぜひ、税金の使い道を眺めてください。

 次回、庭園美術館(旧朝香の宮邸)
 
<つづく> 
コメント (6)
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