20161123
ぽかぽか春庭@アート散歩>東京建物巡り(3)迎賓館赤坂離宮その3花鳥の間
迎賓館赤坂離宮。
彩鸞の間の次は、二階へあがって花鳥の間。
この部屋は、アンリー2世様式で広さは約330平方メートル。腰壁は茶褐色の木曽産シオジ材を板張りしており、柱は檜。キンピカの彩鸞の間に比べて、重厚な雰囲気を出しています。ボランティアさんの説明聞いても、檜は知っているけれど、シオジ材というのは知りませんでした。落葉広葉樹ですが、近年山に自生する樹木は激減し、材木として流通している数は少なく、修復するにしても同じような良材を得ることは難しいようです。
花鳥の間は、主に国・公賓主催の公式晩餐会が催される大食堂として使用されています。最大約130名の席がセッティングできます。
花鳥の間

花鳥の間の大食器棚。明治末年にフランスから輸入されたもの。壁にはゴブラン織りで狩猟場面が織り出されています。

豪華な陶器がテーブルに飾られており、正餐用、レセプション用などと説明プレートがありました。娘は「こんなテーブルでお高いお皿で食事出されたら、銀のナイフ落としたりして失敗したらどうしようかと心配で、落ち着いて食事できないなあ」と言います。だいじょうぶ、心配しないで。こういうテーブルに招かれることないから。

花鳥の間の天井に描かれた花や鳥の絵は36枚。

壁面に飾られた『七宝花鳥図三十額』の飾り30枚。室名は、飾りの花鳥に由来します。原画下絵は渡辺省亭、焼きが濤川惣助。
左から「百舌に山茶花」「雲雀に罌粟桜草」「懸巣に蔦」

ボランティアさんの説明「七宝を制作したナミカワソウスケさの絵や、欄間に張られたゴブラン織風綴織は、、、、」というのを聞いて、私は、「あれ?七宝のナミカワさんはヤスユキじゃなかったっけな」と思いました。
家に帰ってから調べてみると、明治時代には、二人の七宝ナミカワがいたのです。濤川惣助ナミカワソウスケと、並河靖之ナミカワヤスユキ。私は、並河靖之の七宝作品は展覧会で見たことがあるのですが、濤川惣助の作品を見たのは初めてでした。
明治時代のすぐれた工芸品はほとんどが輸出用で、濤川惣助作品も、国内には、この迎賓館の30枚の花鳥画のほかには、ほとんど残されていない、ということでした。作品は、海外の美術館やお金持ちの所蔵になっています。
左から「赤啄木鳥(アカゲラ)に檜」「鷭(バン)に花菖蒲」「山翡翠(ヤマセミ)翡翠(カワセミ)に柳」

「赤坂離宮の建物全体が国宝ですが、この七宝で日本画を描き出した工芸品一枚でも国宝級のもので、今となっては買うこともできないくらい貴重品です。今日は、この30枚の七宝絵を見ることができただけで、貴重なお宝経験ですよ」というボランディアさんの説明。
ドアの飾りひとつとっても、華麗な飾りがついており、日本の高度な工芸技術を外国の賓客にみてもらえる。ドア前の床は寄せ木細工。色の異なる木材を組み合わせて、さまざまな模様を組み立ててあります。

廊下

廊下の照明具

次は、二階階段上を見学。
正面玄関から入った賓客は玄関で出迎えを受けます。1階彩鸞の間を経て、中央階段をのぼり二階ホールに立ちます。ホールは、彩鸞の間と同じくキンピカです。
見学者は、玄関の見学はできないので、脇階段から2階に上り、花鳥の間を見てから2階階段上ホールに出ます。
階段も、キンピカの装飾と大理石がふんだんに使われています。ホールを飾る油絵は小磯良平の「音楽」と「美術」。イタリア産の大理石の柱はきれいな模様を見せている石です。
2階の階段上から、正面玄関を見下ろす。

次回、朝日の間、羽衣の間。
<つづく>
ぽかぽか春庭@アート散歩>東京建物巡り(3)迎賓館赤坂離宮その3花鳥の間
迎賓館赤坂離宮。
彩鸞の間の次は、二階へあがって花鳥の間。
この部屋は、アンリー2世様式で広さは約330平方メートル。腰壁は茶褐色の木曽産シオジ材を板張りしており、柱は檜。キンピカの彩鸞の間に比べて、重厚な雰囲気を出しています。ボランティアさんの説明聞いても、檜は知っているけれど、シオジ材というのは知りませんでした。落葉広葉樹ですが、近年山に自生する樹木は激減し、材木として流通している数は少なく、修復するにしても同じような良材を得ることは難しいようです。
花鳥の間は、主に国・公賓主催の公式晩餐会が催される大食堂として使用されています。最大約130名の席がセッティングできます。
花鳥の間

花鳥の間の大食器棚。明治末年にフランスから輸入されたもの。壁にはゴブラン織りで狩猟場面が織り出されています。

豪華な陶器がテーブルに飾られており、正餐用、レセプション用などと説明プレートがありました。娘は「こんなテーブルでお高いお皿で食事出されたら、銀のナイフ落としたりして失敗したらどうしようかと心配で、落ち着いて食事できないなあ」と言います。だいじょうぶ、心配しないで。こういうテーブルに招かれることないから。

花鳥の間の天井に描かれた花や鳥の絵は36枚。

壁面に飾られた『七宝花鳥図三十額』の飾り30枚。室名は、飾りの花鳥に由来します。原画下絵は渡辺省亭、焼きが濤川惣助。
左から「百舌に山茶花」「雲雀に罌粟桜草」「懸巣に蔦」

ボランティアさんの説明「七宝を制作したナミカワソウスケさの絵や、欄間に張られたゴブラン織風綴織は、、、、」というのを聞いて、私は、「あれ?七宝のナミカワさんはヤスユキじゃなかったっけな」と思いました。
家に帰ってから調べてみると、明治時代には、二人の七宝ナミカワがいたのです。濤川惣助ナミカワソウスケと、並河靖之ナミカワヤスユキ。私は、並河靖之の七宝作品は展覧会で見たことがあるのですが、濤川惣助の作品を見たのは初めてでした。
明治時代のすぐれた工芸品はほとんどが輸出用で、濤川惣助作品も、国内には、この迎賓館の30枚の花鳥画のほかには、ほとんど残されていない、ということでした。作品は、海外の美術館やお金持ちの所蔵になっています。
左から「赤啄木鳥(アカゲラ)に檜」「鷭(バン)に花菖蒲」「山翡翠(ヤマセミ)翡翠(カワセミ)に柳」

「赤坂離宮の建物全体が国宝ですが、この七宝で日本画を描き出した工芸品一枚でも国宝級のもので、今となっては買うこともできないくらい貴重品です。今日は、この30枚の七宝絵を見ることができただけで、貴重なお宝経験ですよ」というボランディアさんの説明。
ドアの飾りひとつとっても、華麗な飾りがついており、日本の高度な工芸技術を外国の賓客にみてもらえる。ドア前の床は寄せ木細工。色の異なる木材を組み合わせて、さまざまな模様を組み立ててあります。

廊下

廊下の照明具

次は、二階階段上を見学。
正面玄関から入った賓客は玄関で出迎えを受けます。1階彩鸞の間を経て、中央階段をのぼり二階ホールに立ちます。ホールは、彩鸞の間と同じくキンピカです。
見学者は、玄関の見学はできないので、脇階段から2階に上り、花鳥の間を見てから2階階段上ホールに出ます。
階段も、キンピカの装飾と大理石がふんだんに使われています。ホールを飾る油絵は小磯良平の「音楽」と「美術」。イタリア産の大理石の柱はきれいな模様を見せている石です。
2階の階段上から、正面玄関を見下ろす。


次回、朝日の間、羽衣の間。
<つづく>