20161105
ぽかぽか春庭@アート散歩>2016秋の音楽(4)古楽アンサンブル・無料コンサート10月
10月28日、ジャズダンスの練習に行く前に、北とぴあエントランスロビーのミニコンサートに行きました。東京都北区と上野学園大学のコラボ企画の無料コンサート。
演奏は、上野学園大学古楽アンサンブルのメンバーです。
パイプオルガン中村文栄さんは、大学の助教。あとの演奏者は学生と卒業生です。リコーダー中津川茉莉3年生。ヴィオラ・ダ・ガンバ清水愛架1年生と折口未桜卒業生。
オルガンの説明を先生が、楽器の説明を学生さんがしてくれました。
ヴィオラ・ダ・ガンバは、「足のヴィオラ」という意味。ヴィオラとは、古楽の時代に弦楽器全体をさすことばでした。現代の弦楽器は弦が4本ですが、ヴィオラ・ダ・ガンバには6本の弦があり、形はギターに近いということです。
一方、「ヴィオラ・ダ・ブラッチョ(=腕のヴィオラ)」と呼ばれた腕で楽器を支えるほうは、現代のビオラやヴァイオリンになりました。
大きさのことなるヴィオラ・ア・ガンバ

16世紀17世紀に人気があったヴィオラ・ダ・ガンバは、音量が小さく、大ホールなどでの演奏にはむきません。音楽演奏会が広く大衆に向けて開かれるようになると、ヴィオラ・ダ・ブラッチョのほうが主流になり、宮廷や貴族の室内で演奏されたヴィオラダガンバは、18世紀にはすたれてしまいました。19世紀末から20世紀はじめに古楽が復活され、音楽大学でも教えられるようになりました。
演奏を見ていて、足で挟んで固定するのはたいへんだろうなあと思いました。弦は古楽の形を残すとしても、現代のチェロのように、楽器の下に楽器を支える足(エンドピン)をつけたら、音色が変わっちゃうのかなあ、と、よそごとながら心配しました。細身のお嬢さんが足で抱えているのを最前列で見ていたので。
上野学園大学の卒業生のうち、今、もっとも有名な演奏家は辻井伸行でしょうけれど、辻井さんは小学生のころからコンサートを開くなど活躍してきたので、あまり「卒業生」のイメージはありません。
大学の印象としては、「お嬢様の花嫁修業」の感じがありましたが、古楽器を演奏した在学生卒業生、みなさんすてきな音を出していました。しかし、校風なのか、古楽という曲目のイメージなのか、学生さんたち、みな上品で物静かなお嬢さんでした。
曲目は、ソナタニ短調(ペープシュ)、大公の踊り(スウェーリンク)、グラウンドによるディヴィジョン(シンプソン)、透明な涙よ、彼女は私の過ちを許すだろうか、目覚めよ愛、来たれ、深き眠りよ(ダウウンド歌曲集より)。
ジョン・ダウランドは、イギリスエリザベス朝時代の音楽家です。カトリック教徒であったために、イギリス国教会支配下の故国では音楽の仕事ができず、デンマークなどで活躍。エリザベス1世が1603年に亡くなってようやく、ジェームズ1世治下のイギリスに帰郷しました。王室付きリュート奏者として、歌曲をはじめ、数々の曲を作りました。
スティングがダウランドの歌曲を歌う「ラビリンス」を2009年にリリースし、バッハやモーツァルトと同じように、現代にも生きている作曲家として蘇りました。
私は映画でコスチュームプレイが好きなので、ジェークスピアものとか、エリザベス1世やスコットランドのメアリー女王の伝記映画などよく見ますが、バックに流れていた曲のなかに、ダウランドの歌もあったのだろうと思います。
エリザベス1世の宮廷ではダウランドの曲が演奏されることがあったかどうか不明ですが、エリザベスならダウランドの歌曲が静かに流れる中、おごそかに「メアリーの首を刎ねよ」と、宣言したかもしれません。
イギリスでエリザベス1世がメアリー女王の首を刎ねたその年、日本では、秀吉が豊臣姓を受けて京都に聚楽第建設。エリザベスが着々イギリス国家の基礎をかためていたころ、信長秀吉もしゃかりきに国の統一をはかっていたのです。
エリザベスがなくなり、メアリーの息子ジェームズがイングランドスコットランド両国の王となることで、イギリスは二国連合王国となります。
現代のイギリス王室にメアリーのDNAが流れているように、日本も、織田と豊臣のDNAは九条家を通して皇室に続いています。信長の姪浅井お江と秀吉の甥豊臣秀勝の間に生まれた完子を、お江の姉淀殿お茶々がひきとって大阪城で育てました。完子は、九条家に嫁ぎ、子孫の九条節子が大正天皇皇后となったため。ちなみに完子も節子も読み方はサダコ。女系をたどれば、歴史上、さまざまなDNAがごちゃまぜになっているってことです。
今、アメリカ制作のドラマ「クイーン・メアリー」を家族で見ています。BGMは、ザ・ルミニアーズという現代のヒットチャート1位というグループの今風な曲です。ダウウンドの曲も流れたらもっと16世紀末の気分になれたかも。
古楽の優雅な調べを耳に残し、ジャズダンスの練習へ。ロックやジャズの曲にのせて、ステップやターン。うん、古楽もいいけれど、ロックもいいわ。
<つづく>
ぽかぽか春庭@アート散歩>2016秋の音楽(4)古楽アンサンブル・無料コンサート10月
10月28日、ジャズダンスの練習に行く前に、北とぴあエントランスロビーのミニコンサートに行きました。東京都北区と上野学園大学のコラボ企画の無料コンサート。
演奏は、上野学園大学古楽アンサンブルのメンバーです。
パイプオルガン中村文栄さんは、大学の助教。あとの演奏者は学生と卒業生です。リコーダー中津川茉莉3年生。ヴィオラ・ダ・ガンバ清水愛架1年生と折口未桜卒業生。
オルガンの説明を先生が、楽器の説明を学生さんがしてくれました。
ヴィオラ・ダ・ガンバは、「足のヴィオラ」という意味。ヴィオラとは、古楽の時代に弦楽器全体をさすことばでした。現代の弦楽器は弦が4本ですが、ヴィオラ・ダ・ガンバには6本の弦があり、形はギターに近いということです。
一方、「ヴィオラ・ダ・ブラッチョ(=腕のヴィオラ)」と呼ばれた腕で楽器を支えるほうは、現代のビオラやヴァイオリンになりました。
大きさのことなるヴィオラ・ア・ガンバ

16世紀17世紀に人気があったヴィオラ・ダ・ガンバは、音量が小さく、大ホールなどでの演奏にはむきません。音楽演奏会が広く大衆に向けて開かれるようになると、ヴィオラ・ダ・ブラッチョのほうが主流になり、宮廷や貴族の室内で演奏されたヴィオラダガンバは、18世紀にはすたれてしまいました。19世紀末から20世紀はじめに古楽が復活され、音楽大学でも教えられるようになりました。
演奏を見ていて、足で挟んで固定するのはたいへんだろうなあと思いました。弦は古楽の形を残すとしても、現代のチェロのように、楽器の下に楽器を支える足(エンドピン)をつけたら、音色が変わっちゃうのかなあ、と、よそごとながら心配しました。細身のお嬢さんが足で抱えているのを最前列で見ていたので。
上野学園大学の卒業生のうち、今、もっとも有名な演奏家は辻井伸行でしょうけれど、辻井さんは小学生のころからコンサートを開くなど活躍してきたので、あまり「卒業生」のイメージはありません。
大学の印象としては、「お嬢様の花嫁修業」の感じがありましたが、古楽器を演奏した在学生卒業生、みなさんすてきな音を出していました。しかし、校風なのか、古楽という曲目のイメージなのか、学生さんたち、みな上品で物静かなお嬢さんでした。
曲目は、ソナタニ短調(ペープシュ)、大公の踊り(スウェーリンク)、グラウンドによるディヴィジョン(シンプソン)、透明な涙よ、彼女は私の過ちを許すだろうか、目覚めよ愛、来たれ、深き眠りよ(ダウウンド歌曲集より)。
ジョン・ダウランドは、イギリスエリザベス朝時代の音楽家です。カトリック教徒であったために、イギリス国教会支配下の故国では音楽の仕事ができず、デンマークなどで活躍。エリザベス1世が1603年に亡くなってようやく、ジェームズ1世治下のイギリスに帰郷しました。王室付きリュート奏者として、歌曲をはじめ、数々の曲を作りました。
スティングがダウランドの歌曲を歌う「ラビリンス」を2009年にリリースし、バッハやモーツァルトと同じように、現代にも生きている作曲家として蘇りました。
私は映画でコスチュームプレイが好きなので、ジェークスピアものとか、エリザベス1世やスコットランドのメアリー女王の伝記映画などよく見ますが、バックに流れていた曲のなかに、ダウランドの歌もあったのだろうと思います。
エリザベス1世の宮廷ではダウランドの曲が演奏されることがあったかどうか不明ですが、エリザベスならダウランドの歌曲が静かに流れる中、おごそかに「メアリーの首を刎ねよ」と、宣言したかもしれません。
イギリスでエリザベス1世がメアリー女王の首を刎ねたその年、日本では、秀吉が豊臣姓を受けて京都に聚楽第建設。エリザベスが着々イギリス国家の基礎をかためていたころ、信長秀吉もしゃかりきに国の統一をはかっていたのです。
エリザベスがなくなり、メアリーの息子ジェームズがイングランドスコットランド両国の王となることで、イギリスは二国連合王国となります。
現代のイギリス王室にメアリーのDNAが流れているように、日本も、織田と豊臣のDNAは九条家を通して皇室に続いています。信長の姪浅井お江と秀吉の甥豊臣秀勝の間に生まれた完子を、お江の姉淀殿お茶々がひきとって大阪城で育てました。完子は、九条家に嫁ぎ、子孫の九条節子が大正天皇皇后となったため。ちなみに完子も節子も読み方はサダコ。女系をたどれば、歴史上、さまざまなDNAがごちゃまぜになっているってことです。
今、アメリカ制作のドラマ「クイーン・メアリー」を家族で見ています。BGMは、ザ・ルミニアーズという現代のヒットチャート1位というグループの今風な曲です。ダウウンドの曲も流れたらもっと16世紀末の気分になれたかも。
古楽の優雅な調べを耳に残し、ジャズダンスの練習へ。ロックやジャズの曲にのせて、ステップやターン。うん、古楽もいいけれど、ロックもいいわ。
<つづく>