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ぽかぽか春庭「書の美ー手鏡と王義之」

2019-03-16 00:00:01 | エッセイ、コラム
20190316
ぽかぽか春庭アート散歩>春咲アート散歩2019(2)書の美ー手鏡と王義之

 熱海のMOA美術館。書の名品が並んでいました。国宝3点目。「手鏡 翰墨城」
 古来の名筆を集めたものが手鏡。翰(筆)と墨によって築かれた城という名がついています。
 戦功なった武将が、一国一城を与えられた時、「名物の茶碗が欲しかったのに、国を与えられて残念」と言ったように、城や国ひとつよりもこの「翰墨城」のほうがほしい、という価値観を持った人もいたにちがいない。 

 古筆の名品は、一幅の掛け軸だけでも貴重ですが、それが、何枚もの色紙が重なって、奈良時代から南北朝・室町時代の各時代にわたる古筆が、表側154葉、裏側157葉の合計311葉収められているのです。
 江戸時代の古筆家別家の古筆了仲(りょうちゅう1655~1736)が所蔵し、茶人として名高い益田鈍翁(1847-1938)に伝わりました。
 
 白氏文集切 伝菅原道真 平安時代
 

 高野切「古今和歌集巻九」伝紀貫之 平安時代 


 詞書切「和漢朗詠集」伝小野道風 平安時代

 
 美しい文字だなあと感嘆しつつ眺めましたが、白氏文集も古今和歌集も、ちゃんと読めたならもっとこの美を味わうことができるのだろうと、名筆を見るたびに思うのですが、、、、。

 「帰雲」無準師範墨跡 


 この二文字はちゃんと読めました。
 無準師範(仏鑑禅師1178~1249)は、中国南宋時代の禅僧。
 東福寺の円爾へ無準の書が多く贈られ、伝来しました。この「帰雲」は、徳川家の「柳営御物りゅうえいごもつ」として所蔵されたのちに、MOA美術館へ。

 ほかに何点も名物切が展示されていました。書の研究者なら食い入るようにして一日中眺めていたいでしょうが、書の美にうといHALは、「読めないし、、、」と言いながらささっと見て歩く。

 2月28日、東京国立博物館東洋館の「王義之書法の残影」展。常設展示のなかの企画として見ることができました。南北朝時代と隋時代の書を中心に、中国の名筆の拓本が展示されていました。

 5階の特集「王義之書法の残影」


 王義之「定武蘭亭序」
 王義之を深く敬った唐の第三代太宗は、蘭亭序とともに葬るよう遺言。蘭亭序の本物は、太宗とともに墓の中で朽ち果てました。まったく、なんてわがままな。
 しかし、太宗が命じて臨書が行われ、それを石や木版に刻んだ書の拓本は、何種類か残されました。「定武本」は、五代から北宋時代初期に碑石が発見された定武郡の名がついています。さまざまな版の覆刻があり、東京国立博物館が所蔵する蘭亭序もそのひとつ。

定武蘭亭序(呉炳本) 王羲之筆 中国 東晋時代・永和9年(353)



 書道を志す人たちが、垂涎の思いでみるであろう古筆の数々、仕事リタイアしたらお習字したいなあと、いつになるやら知れぬ夢を見つつ、美しい文字をながめました。

<つづく> 
コメント (2)
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