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ぽかぽか春庭「お願いことがあります」

2019-10-19 00:00:01 | エッセイ、コラム
20191019
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>再録日本語教師日誌(2)お願いことがあります

 春庭の日本語教師日誌を再録しています。
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2005/12/07 水
ニッポニアニッポン語教師日誌>学生からのメール(1)メールよろず相談係り

 私のメールアドレス、ひとつはホームページに公開している。めったに人が訪問してこないサイトだし、「公開を前提としているメール」とことわってあるので、内容のあるおたよりはそうそう来ない。

 ほとんどが「迷惑メール」ばかり。開けずに速攻削除。また、「いきなり教えて君(ハンドルネームも告げず、挨拶無しにいきなり○○について教えて、という人々)」のメールには、「自分で調べてね」という返信をかえす。
 「このメールは、公開します」と、おことわりがしてあるHP用のメールに来たものなので、一例を公開します。
 たとえば、こんなメール。
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Date: Sat, 12 Nov 2005 13:21:26
Subject: お願いことがあります。

文法訳読法
オーディオ・リンガル法
サイレント・ウェイ
TPR
直接法
サジェストペディア
コミュニカティブ・アプローチ」
それぞれどんな教授法なのか、それぞれの長所と短所をお教えください。先にありがとうございます。

 返信。
Date: Sat, 12 Nov 2005 18:26:21
Subject: Re: お願いことがあります。

私は、日本語と日本語教授法を教えて、日々の糧を得ております。授業料を払っている人を対象として教えているので、現在ネット上のボランティア授業は行っておりません。

あなたの質問に関して、ネットで検索すればいくらでも回答が見つかるので、どうぞ、検察機能を使ってご自分で調べてください。

なお、日本語教授法を学習する以前の問題として、老婆心ながら、ご忠告を。
自分がどこのだれであるかを名乗りもせずに、いきなり質問を寄せるのは、たいへんに失礼な行為であるということを含め、日本文化や礼儀作法について学んでから質問したほうがよいと思います。以上。
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 ちょうど「日本語教授法」のクラスで、先月はオーディオリンガル法と直接法について教え、「私にはマネできない教授法」としてサイレントウェイ教授法による授業を録画したビデオを見せた。「教師はできるだけ黙っていて学生の発話を引き出す」というのだが、私には1時間の授業を声をださずにいるなんてことができない。歌ったりときには踊ったり、とにかくにぎやかに楽しくしていたい。

 昨日の「交換留学生クラス聴解&会話」の授業では、ミュージカル好きな学生が「サウンドオブミュージックが一番好き」と、発表し、一番好きな歌は「エーデルワイス」といって、歌い出したので、いっしょに歌った。
 ♪エーデルワイスエーデルワイス、Bless my homeland forever ♪

 先週はTPR(トータル・フィジカル・リスポンスTotal Physical Response)全身反応法という教授法を実演し、学生にも体験させた。学生のコメントには、「教授法の本で理論を学ぶだけより、実際にやってみてずっとよくわかった」と、感想があった。

 春庭から「だれでも上手に日本語を教えられるようになる、すばらしき日本語教授法」を教わる学生はラッキーなのである、と自分で言ってみる。だれも誉めてくれんので。

<つづく>
2005/12/08 木
ニッポニアニッポン語教師日誌>学生からのメール(2)相談、相談

 仕事先へ公開しているメール。学生たちへも「授業欠席の連絡や質問に使ってください」と、アドレスを知らせている。

 毎年、たくさんの学生に出会う。さまざまな進路に向かって悩む学生に対し非常勤講師が関われる範囲は、非常(キン)に狭い。
 私に相談するより、常勤の教授や、学生部相談係もいるのに、と思うが、学生が話をしたいと言うなら、断ることはできない。

 「質問、いつでもどうぞ」と言っているので、さまざまな質問相談事がつぎつぎあらわれる。メールで相談時間を予約してきたり、いきなり授業のあとで「相談がある」と、言ってきたり。

 授業が終わったあとで、「相談したい」と学生がやってきても、教室は次の授業で使用するし、非常勤講師の大部屋講師室には学生が入ってはいけないことになっているし。で、キャンパスのベンチにすわって話し込んだり、学生用カフェテラスで話したりする。

 今、受け持っている留学生からのメール
『 こんにちは、ナミです。
 作文のことで先生にみていただきたい文書がありますし、作文コンテストのことで相談したいこともあるので、時間をつくっていただけませんか。
 お忙しいところお手数おかけしますが、よろしくお願いします。』

 う~ん、直球の依頼。日本語教師としては、ついつい添削したくなる。
 返信。

 「わかりました。来週、授業がおわったあと、話しましょう。
 あのね、アポイントメントをとるとき、相手の都合がわからない場合は、『時間をつくっていただけませんか』よりも『お時間があるときに、お話させていただきたいのですが』というくらいの表現にしておく方が、やわらかい表現にきこえます。日本語的な依頼の表現。

 「時間をつくっていただけませんか」だと、言い方は丁寧で敬語としては正しいのに、待遇表現のニュアンスから言うと、命令に近くなってしまうのです。
 日本語表現、いろんな含み表現や、反語や、暗喩もあって、勉強は、どこまでいっても、深い泉をさぐるようなもの。がんばって学び続けましょう。」

 欠席のいいわけに、やたらに「親族の不幸」が何度もあるので、ツッコミを入れたくなる日本人学生もいるし、どういうソフトでメールしたのか、文字化けして何がなんだか意味不明のメールを送ってくる留学生もいる。


<つづく>
コメント
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