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ぽかぽか春庭「ハマスホイとデンマーク絵画展 in 東京都美術館」

2020-03-14 00:00:01 | エッセイ、コラム

 東京都美術館

20200314
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2020二十重日記春よ来い(8)ハマスホイとデンマーク絵画展 in 東京都美術館

 デンマークの絵画について、ちょうど3年前の2017年2月に「スケーエンの芸術家村」という展覧会を見た折に、ハマスホイも見たと思うくらいで、とんとデンマークのアートにはうとい。デンマークの芸術・アートと言われて思い出すのは、アンデルセンが最初で、あとは北欧家具とかロイヤルコペンハーゲンを知っているくらいです。

 2月19日午後、東京都美術館で「ハマスホイとデンマーク絵画展」を観覧。
 水曜日は65歳以上は観覧無料になるほか、2020年1月から第3水曜日は夜8時まで開館することになっていました。ありがたいサービスです。

 会期:2020年1月21日(火)~3月26日(木)ですが、
 2月29日(土)~3月16日(月)まで、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、臨時休室

 あまり知られていないデンマーク美術の紹介。第1章から第4章まで、年代と画家、描く対象によって内容を分けて紹介されていました。無料で入館したので、有料の音声ガイドを借りました。宮沢りえの解説音声です。

 出品作はデンマーク国立美術館などが所蔵する油彩画86点が第1章から4章まで展示され、うち第4章を中心に37点がハマスホイの作品です。
 西洋美術館での展覧会ではSkagenをスケーエンと表記していましたが、東京都美術館ではスケーインになっていました。


  第1章。19世紀前半にデンマーク美術は「市民のための芸術」が花開き、王侯貴族のためではない、市民が日常で芸術作品を楽しめるようになりました。
 親しみやすい肖像画やデンマークの美しい風景が描かれました。
 デンマークの市民生活で大事にされていることのひとつは「ヒュゲ」ということ。デンマーク語で「心地よい、快適な」という意味なのだそうです。家庭において社会において「ヒュゲ」であることが大切にされ、デンマーク家具も壁に飾る絵も、ヒュゲの精神が根付いているということです。

 第1章のデンマーク絵画。デンマークの芸術が花開いた黄金期の作品が並んでいます。

クレステン・クプゲ《海岸通りと入り江の風景、静かな夏の午後》1837年(画像借り物)


 第2章。スケ―インの発見
 デンマークの北の端の静かな漁村に芸術家たちが集まり、厳しくも美しい自然環境や、漁師たちの姿などを描きました。芸術家村スケーインの評判は広まり、この村に集まる画家たちは「スケ―イン派」と呼ばれました。

 コペンハーゲンなどからやってくるスケーイン派の画家たちの中にあって、アナ・アンガは、スケーイン出身の女性画家です。村の唯一の宿屋の娘であったアナは、自身も絵を描きたいと熱望し、ミケール・アンガの指導を受けます。
 やがてアナとミケールは結婚。スケーインを拠点として傑作を描きました。

 ピーザ・スィヴェリーン・クロイア《スケーイン南海岸の夏の夕べ、アナ・アンガとマリーイ・クロイア》1893年。クロイアが妻マリーとアナ・アンガが散歩する様子を描きました。(画像借り物)


 第3章は、19世紀末のデンマーク絵画を中心に。ここにも「ヒュゲ」の静かで暖かな心地よさが集まっていました。

 ヴィゴ・ヨハンスン「春の草花を描く子供たち」
 温かくここちよい空間です。(画像借り物 1000円で売られているポスター画像です)


 第4章。いよいよハマスホイの作品群。ハマスホイの作品は、西洋美術館の常設展に所蔵されており、見たい時いつでも見ることができるのです。
 西洋美術館所蔵ハマスホイ「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」


 ハマスホイが室内にいる人の姿を描くとき、ほとんどが後ろ姿です。人がいない室内の描写もあります。古くても落ち着いた室内の様子は「静謐な美しさ」に満ちており、かつ後ろ向きになって室内にいる人物は顔の表情などは見えないですが、「ヒュゲ」の雰囲気を背中で表していると感じます。
 
 展示出口のパネル(こちらのみ撮影可能)


 スケーインなのかスケーエンなのか、私にはわかりませんが、あまりなじみのなかったデンマークの絵画に、3年前は西洋美術館で、2020年には東京都美術館で見ることができ、静かで心地よい「ヒュゲ」の国に旅してみたくなりました。

 室内を描いたパネルの前で


 2月29日から3月15日まで2週間、ほとんどの美術館博物館はコロナウイルス対策のために旧館となりました。
 休館中に終了してしまう展覧会もあり、見たいと思っていたのに、見ることができなかった、という企画も多数。私も東京国立博物館の「出雲と大和」展を見に行こうとぐずぐずしているうちに、3月6日で終了する展示を見ないうちに展示終了となってしまいました。

 お花見中止要請が出されて、お花見を楽しみにしていた人には残念でしょうが、桜は来年も咲きます。でも、特別展は同じような企画は今後いつあるかわからない。このような理由で展覧会を中断するなら、会期を3月15日以後に、1週間でもいいから延期してほしかったです。」

<つづく>
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