
新宿御苑ハクモクレン
20200315
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2020二十重日記春よ来い(7)新宿御苑散歩黙とう
3月1日からの引きこもり生活。3月上旬、授業は自宅からオンラインで。
外に出たのは、7日土曜日に徒歩圏内にある歯科医に行ったのみ。歯科の予約は2週間前にしたのですが、受付で話を聞くと、「バスに乗っていくのが怖いから」と、予約キャンセルした高齢の方もいたよし。歯科医院内は消毒も徹底されているし、心配はないと思うけれど、高齢の持病持ちは重症化の危険が大きいと聞くと、出かけるのもおそるおそるになってしまいます。
7日、歯医者さんの帰りにスーパーで買い物をして、数日は食いつなぐ。
11日水曜日、じゃがいもとニンジンをチンして、冷凍の肉を加え、缶詰のビスクソースで煮てブランチにする。乾物のひじきも食べてしまい、残りはカップ麺ひとつ鮭缶詰ふたつ。工夫すれば、なんとか食べることはできるけれど、野菜不足になってきたので、買い物にでることにしました。
どうせ買い物に出るなら、ちょっと足を延ばそうと決意。文科省は「休校中も公園などですごすのはよい」と発表し、テレビで解説している専門家も「換気が悪い閉鎖的空間に、人が密集している場所はダメ」と言っていたので、オープンエアの公園なら出かけてもよし、と判断。朝夕のラッシュでなければ、電車もすいている。
早春の花を求めて新宿御苑に行きました。新宿御苑、久しぶりです。2003年に散歩した記録は残っているけれど、そのあとはいつ入園したのだったか。
今回は電車で新宿御苑へ。
昼近くの電車は座席も余裕で、脇をあけて座れました。駅ごとにドアが開くので、換気も悪くない。乗客、マスクをしている割合は8割。2日から通勤しておらず、家の中ではマスクをしていなかったので、使う予定だったマスクはまだ残っています。
電車の中でマスクなしに咳をした人が他の乗客からとがめられ、けんかになったという話も伝わっているので、マスクはウイルス予防のためではなく、トラブル防止のためにしているのです。
千駄ヶ谷門から入園しました。新宿門から入ったことがあるのみで、千駄ヶ谷門から入ったことなかったかも。
新宿御苑千駄ヶ谷門

千駄ヶ谷門近くの桜。この木は他に比べ早咲きだったようです。木についていた樹種のプレートは「ヤマザクラ」。ソメイヨシノより早く咲くのもあるんですね。私のこれまでの印象では、山桜はソメイヨシノより遅れて咲くように思っていました。

寒緋桜は、満開もあり散ってしまったのもあり。
数種類の桜があったのですが、どれがどの品種やらわからなくなりました。

高遠小桜

枝垂桜を撮影する人々

若いカップルが写真を撮り合っていました。「ふたりの世界」に浸っていて、桜より満開のふたり。

見事な咲きっぷりだったのはハクモクレン。毎年真っ先に白く明るく咲くハクモクレンですが、こんな大木にぎっしり花がついているのをはじめてみました。

光の当たり具合がとてもよかった。

ボケの花も満開

新宿御苑の中には歴史的建造物が残されています。旧洋館御休所と旧御涼亭です。
これまで新宿御苑に入園しても、たいていは桜やハンカチの木など季節の花を追いかけるのが忙しくて、温室や建物をゆっくり見る時間がありませんでした。
旧洋館前のミツマタの花(和紙の材料の三椏です)

旧洋館御休所は、コロナ感染防止のために入室はできませんでしたが、ゆっくり外観を眺めることができました。


今回、旧御涼亭から池を眺めました。
旧御涼亭は、昭和天皇のご成婚記念として1927(昭和2)年に建てられました。1945年まで日本領下であった台湾の在住邦人有志によって寄贈され、建築材料にも台湾杉や台湾桧などが使われています。屋根の形や瓦の色、内部の装飾など、中国南方地方の建築様式「閩南びんなん様式」の建物。本格的中国風建築物であり、皇室庭園であった新宿御苑を伝える歴史建造物です。2004(平成16)年に東京都選定歴史的建造物に指定。

御涼亭から池を眺める


大温室にも入りました。熱帯地方の植物や、沖縄や小笠原の絶滅危惧種の植物。温室カカオの実が幹にくっついてのを見ました。

小笠原島固有種のムニンタツナミソウ「よい匂いがします」と書かれていたので、鼻を近づけてみると甘い匂いがしました。

私が小学生のころだったころの思い出。母が加わっていた婦人会では、毎年温泉一泊旅行に行っていたのですが、ある年、バスを仕立てての「新宿御苑行き」になったことがありました。母はすごく楽しみにして出かけたのですが、帰ってきて感想を聞くと。「大きな木があって、きれいなところだったけどねぇ。東京の人には大事な場所だろうけれど、群馬じゃねぇ、木はいつもいっぱいあるから」というものでした。(当時は旧洋館も御涼亭も非公開でした)
昨年やっちゃんと庭園が解放されている美術館へ行ったとき、やっちゃんも同じことを言っていました。「庭園、きれいだけど、群馬のほうが木がいっぱいある。だけど、木と木の間にビルが見えるのは群馬にないから写真撮っておこう」。

休憩所のソフトクリームを買って、しばしの休憩。
となりの二人連れ、老夫婦でお散歩らしい。西側に見える高層ビルを指して「あれさ、こないだのクイズの、なんたっけな、ドバイののブルジなんとかって、あれのほうが高いんだろ?」「世界一っていってたもんね、ドバイの、ブルジえっと、なんとか」「あれ、ちゃんと答えていたよな、ほら、カズなんとかって人が」「ちがうよ、お父さん、カズじゃなくて、東大のクイズ得意な、なんとかって人、あの人が答えてた」「ああいう人は、ちゃんと全部覚えているんだろうなあ」
そうそう、ブルジなんとかを答えた、カズなんとかじゃなくて、東大のなんとかって人ですよね。私もそう思います。でも、ご夫婦なら、全部「あれ」「なんたっけな」で会話が続く、いいですねぇ。聞いていて、ほっこりしました。ちゃんと全部覚えてクイズ全正解にならなくても、ほんわかと生きていける。
(検索すればすぐわかることなんか、覚えていなくたって生活になんら支障はない。ブルジェハリファを答えたのは、カズレーザーではなくて、東大王とかの伊沢拓司なのかな)
園内には、水彩画を描いている人、写真を撮る人、芝生に寝転ぶ人、家族でお弁当を食べている人、それぞれに楽しいひとときをすごしているようすで、4月の陽気という天気のお陰で、とても穏やかで、のんびりした光景でした。コロナウイルスで縮こまっていた気分が晴れ晴れしました。
午後になると、雲が出てきました。
2時45分から1分間、東日本大震災犠牲者のための黙とうの案内がありました。ちょうどベンチでコーヒー休憩をしていたので、アナウンスにしたがって黙とう。
家ですごしていたら、地震発生の時間どおりの黙とうにはならなかったのかもしれないので、これは、公園ですごした功徳。
御涼亭で

3時過ぎ雨がぱらつき、傘を持ってきていなかったので、あわてて帰宅。行きも帰りもすいている電車でよかった。
電車を降りたら雨は降ってなくて、慌てて帰って損した気分。でも、ずっと家にいて、12000歩歩いたのは久しぶりでしたから、なまった体には健康長寿効果がありました。
本日の行楽費。シルバー入園料250円(一般500円)、ソフトクリーム400円。合計650円。以上。
<つづく>