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あこがれの作家さん

2013-11-16 21:19:00 | 雑事つれづれ

▲作者近影と『三国志』手書き生原稿(拡大コピー)

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 今日は、待ちに待った直木賞作家・宮城谷昌光さんの茶話会に参加してきた。12年かけて文藝春秋誌で連載されてきた『三国志』完結記念のイベントである。
 単行本の最終巻となる12巻に「茶話会」の案内はがきが挟み込まれており、それに応募したところ当たったという具合である。
 茶話会は宮城谷さんの講演会と、茶話会での質疑応答そしてサイン会の3部構成。
 書店でのサイン会ではないので、蔵書の中から持って行くこともできるという具合である。しかも2冊も!!


▲宮城谷さんの仕事場風景。こちらにも『三国志』の生原稿が…。


 宮城谷さんの詳細は→wik

 私が宮城谷さんの本と出合ったのは直木賞受賞作の『夏姫春秋』である。
 当時は愛知の海越出版社(1999年に自己破産だそうだ)から出ており、私が持っているのもそちらの版である。『夏姫春秋』は少なくとも8刷(私が持っている刷)まで出したのにねぇ…。
 その後『重耳』や『王家の風日』『天空の舟』等を読破していった。
 そして転職。
 徹夜で仕事をしたり、会社の床で寝たりという生活。睡眠時間が一番貴重な時間であった。前職に比べて給与も激減で、とにかく生活のために働いていた時。子どものころから本の虫だった私が、本作りの仕事に携わっているうちに、本を読む時間を失っていった時である。
 そんな時に宮城谷さんの新刊が出た。
 『晏子』
 350ページほどの極太新刊本を思わず買ってしまった。睡眠時間が削られるのを避けようと1章だけ読もうとページを開いたが、もう、寝なくてもいい!! と思うぐらいおもしろかった。仕事で疲れていたけれど、胸のワクワクを止められない。読書って、楽しいものだったということを一瞬で思い起こさせてくれた本である。
 宮城谷昌光氏に開眼したといった感じか…(恥ずかしいフレーズだなぁ)
 ということで、現在新刊本を買うのは宮城谷さんのみとし、自宅の書棚スペースのコントロールをしている。文庫・新書はかなりゆるーく買っていくけれどね。


▲漢字の本質的使い方に悩まれた宮城谷さんは、自作の「辞書(ノート)」を使っているようである(パネル撮影)


 講演会は「『三国志』の人間学」というタイトル。文藝春秋社の地下ホールで200名以上であっただろうかが、集まった。
 講演会に先だって、文藝春秋社社長 平尾隆弘さんのあいさつがあった。
 ●12年連続で休みなく連載されてきた長編小説は今までなかった(他社にもない)
 ●登場人物の多さも特筆する点。従来は『ドン・キホーテ』や『戦争と平和』が700~800名、司馬遼太郎氏の『竜馬がゆく』が1149人、『坂の上の雲』が1087名(この2作は作家の出久根達郎がカウントしたそうだ※誤差があるかもとのこと)。『三国志』はきちんとカウントしたわけではないが、校閲部の資料では2000名を超えているとのこと。しかもそのすべてに注釈がついていて、ただ名前だけ出たという人はいないとのことである。
 すなわちそれは、宮城谷さんの調査がそこまで及んでいたということである。
 ●三国志といえば、多くの人は吉川英二氏の『三国志』を思い出すだろうが、これは『三国志演義』を下地にしたもの。宮城谷版は三国志『正史』を下地にしたものであるが、吉川版に勝るとも劣らない、血わき肉躍る内容となっている。
 ●宮城谷版は、歴史の本質を改めて発見していくことができ、初読より再読、再読より三読の楽しみがある「汎時代的小説」である
 ●吉川版のある意味「呪縛」からの解放となる宮城谷版『三国志』である

 といった内容であった。
 社長も力入っているなぁ。

 続いて、挿絵を担当した村上豊氏のあいさつ。
 私は単行本派なので、文藝春秋誌に連載されていた時の挿絵を知らない。なんで単行本に収録していないの?

 
 そして、本丸宮城谷さんの講演。
 内容は宮城谷さんが三国志を執筆する前の話が主だった。
 憧れの作家さんを前に浮足立った私は、まるで仕事のように詳細な取材メモを残している(先の社長の話もその前段で書きとめていたもの)。
 
 初めて聞く「鶏肋(けいろく)」という言葉。これが宮城谷さんが三国志を執筆するきっかけになった言葉であったという。
 そうよね、ちょっと前までの財界人って、中国古典を読みこなしていたのよね。今はどうなんだろう。たまにビジネス誌とかで中国古典特集をしていたりするが、最近は社内吊り広告を見ないので、どうなのかな~。
 あまりかっちりした話ではなかったけれど、考え方の一端を知ることができてうれしかった。 



▲軽食が振る舞われた。ドラゴンフルーツ、初めて食べたよ

 場所を1階に替えて、茶話会へ。
 パネルで仕事場&仕事の様子、そして『三国志』の生原稿を拡大掲示。手書きだとは知っていたけれど、そのちょっと癖のある字体にしばらく解読モード。いや、慣れない字体は見慣れるまで大変なのよ。
 軽食提供と書かれていたが、冷たい食事、温かい食事、デザート&フルーツと十分な内容であった。そもそも無料招待である。

 やがて、宮城谷さんも会場にやってきて、会場後方で応募はがきに書かれた質問に答えていた。質問とはあったが、前段として、いかに自分は宮城谷さんが好きなのかといった文章が織り込まれている。え、そんなところから書いてよかったの!? 私、質問しか書かなかったのよね。それでは読まれるわけないわ。
 と、軽食バイキングに出遅れて会場の後方で人の背中越しの声を聴きながらモグモグ食べながら思う。


▲会場後方からはとっても見えなかったので、廊下のガラス越しに撮影した宮城谷さん


▲後方からデジカメだけ上に上げて写っていたらラッキー状態の撮影。ラッキーは1発のみであった。


 本日の参加者は、北は北海道から南は九州まで全国からきているという。最高齢は80歳代、最年少はなんと1歳児!!(赤ちゃん連れのご夫婦が来ていらしたのだ。パン投げていたよ・笑) リアルな読者では26歳が会場最年少か…。
 そして、予想の範疇であるが、圧倒的におっさんが多い。多分参加者は200人ぐらいと思われるが、そのうち女性は20名はいなかったのではないだろうか…。そのうち半数近くはご夫婦で来ているっぽい(申し込み段階から同伴1名OKであり、同伴者の名前を書くことができた)から、本当のファンなのかはちょいと不明である。
 他社の茶話会(ちなみに宮城谷さんの茶話会の第1回は、この『三国志』の3巻同時刊行時だったらしい←今見たら、ちゃんと1巻に挟まっていたわ、申し込みはがき)では盛装した方がいたらしく、とっても私は心配したのだが、みなさん楽な格好でいらしていてホッとした。


▲ひとり2冊までサインをしてもらえる。筆ペンでカッコよく書いてくれるのだ

 やがて質問タイムも終了し、サイン会が始まる。
 みんないろんな本を持って列を作る。やはり多いのは『三国志』第12巻。私も1冊はそれだ。それ以外に、『楽毅』や『孟嘗君』、『香乱記』、『奇貨居くべし』、『春秋名臣列伝』を持っている人もいた。
 いや、いろんなの持ってきたのねー。私一応気を使って、文藝春秋社発行の本からセレクトしてきたんだけれどね。もっともそれが一番好きな本『沈黙の王』だからよかったんだけれど…。
 結構古い本なんだけれど、好きなのよね、コレ。最初は図書館で文庫で読んだのだが、あるとき単行本が増刷されていたのを見つけて改めて買ってしまったもの。だから文藝春秋の人に懐かしいと言われつつ、状態はまだいいのである。
 質問タイムの最後の方に、突然「傅説(ふえつ)」の話が出てきて、心の中でガッツポーズを決めた私である。
 そしてちゃっかり写真も撮ってもらった。
 


▲お土産盛りだくさん。
 下に敷いてあるのは挿絵の村上さん原画の風呂敷。中国の四神が描かれている。左は文藝春秋社の来年のカレンダー。右手前は講演会会場に置かれていた連載開始直後と完結後のインタビュー記事をまとめたもの。サイン本が『沈黙の王』で、その背後の『三国志』12巻にもサインしていただいた。そして、一番後ろにあるのは、宮城谷さんの奥様が書いた初めての小説。冊数限定で無料ということでした。でももうこれ2刷なの~。ISBNも付いていないし、奥付に非売品と書いてあるし…。文藝春秋社ってスゲーな。
 本当に無料でここまでしていただいて申し訳ない。あ、外伝とか読本とか買います!!