「狡兎」とは、すばしっこい兎。「走狗」とは、猟犬の事です。兎を捕まえる猟犬も、兎が死んでいなくなれば用無しになり、煮て食われることから、価値があるときは大事にされ、なくなれば簡単に捨てられることをいう。事が成って、国が安定しだすと、忠臣が幅を利かせて、勢力が大きくなってくると君主の地位を犯してくると当然不安になってきますね。
そうなってくると、左遷とかの問題ではなくなって、あらぬ罪を着せて楼に入れるとか処刑してしまいます。「敵国が滅びると、軍事に尽くした功臣であっても不要になって殺される」現状を比喩するために用いられた。なお、もともとあった能力がなくなったために、切り捨てられるという意味で使うのは少し意味が違います。
例を挙げると ①「越王勾践を助け、呉王夫差を破った氾践は、自分が伍子胥の二の舞になると悟り、同僚だった大夫の種に手紙を送り、君も越にいては危険だから勾践の元を去ったほうがよいとすすめたときに言った。
③ その李斯も暗愚な皇帝「胡亥」に諫言するのを恐れ疎まれて趙高に疑い、でっちあげを仕組まれてこれも一族が殺されてしまいました。
④ これが針外しが一番当てはまっていると思う漢の「国士無双・韓信」です。高祖・劉邦の死後,太后の呂雉(りょち)に韓信の勢力が余りにも大きくなってきたので邪魔になり罪をでっちあげられて「車引き」の刑にされてしまいました。この時、幕僚の かい通(かいとう)が韓信に進言します。「狡兎死して走狗烹らる」と言います。と注意を促すのですが、何故か韓信は聞く耳を持ちませんでした。その後、呂雉(ろち)に殺されてしまいます。
これは日本でもあります。
➄蘇我石川麻呂日本乙巳の変の実行犯であるが、首謀者である天智天皇に叛意ありと称され一族自害
藤原泰衡日本源頼朝に圧迫されて源義経を討伐するも、結局は自身も頼朝に討たれてしまう。
福島正則日本江戸幕府成立後は武家諸法度違反を言いがかりのような形ででっち上げられ改易。
とまあ、話が長くなるのでこの辺りで。忠義もいいですけど、得てして、一生懸命尽くしても結果が悪い方向になることが多いので注意しましょうね。