置酒延落景,金陵鳳凰台。 酒を置いて、落景を延ばす、金陵の鳳凰台。
日の暮れるまで酒宴を張る 金陵の鳳凰台で
長波寫萬古,心與雲俱開。 長波万古に寫ぐ、心は雲與(と)俱(ともに)開く。
長江の万古変わらずそそぐを見れば心は雲と共に開け広がる
借問往昔時,鳳凰爲誰來。 借問す往昔時、鳳凰誰の為に来る。
言問はんその昔、鳳凰は誰の為に来たのか?。
鳳凰去已久,正當今日回。 鳳凰去って已に久し。正に當に今昔廻るべし。
鳳凰去りてすでに久しまさに今日こそ廻り来る時である。
明君越羲軒,天老坐三台。(今や)明君羲軒に超え、天老三台に座す。
いまや明君は伏羲・黄帝にも勝り 賢臣が三公の位にある。
豪士無所用,彈弦醉金罍。 豪士(ごうし)用いる処無く、琴を弾いて金罍に酔う。
文豪も用いるところなく琴を弾いて美酒に酔うのみ。
東風吹山花,安可不盡杯。 東風(こち) 山花を吹く。安ぞ(いずくんぞ)杯を盡(つく)さざる
春風は山花を吹く好季節。どうして杯を重ねて、痛飲せずにいられよう。
六帝沒幽草,で深宮冥綠苔。 六帝、幽草に没し、深宮綠苔に冥(くら)し
六朝(りくちょう)の皇帝の遺跡も草に埋もれ、その深宮は苔むして暗い
置酒勿複道,歌鍾但相催。 置酒して復言う勿れ歌鍾、但(はなはだ)相(あい)催(もよお)さん
そんな事なんてもう言うな。只、酒宴を張って謳って囃し立てよう。
「今の皇帝は明君で伏羲・黄帝にも勝り 賢臣が三公の位まであって、盤石だ!」。此処で現皇帝をうんとよいしょしておかないとね。豪士たる我々は(豪士と言うのは、暗に李白達)。
用いられる処も無い。琴を弾いて酒に酔うのみである。自分達が宮中で居場所が無くなって、しまっています。宮中が安定してしまって、自分達の棲む場所(活躍する場)が無くなってしまったのは何とも嘆かわしい。
ここで、針外し曰く、「でもねえ、狡兎死して走狗烹らる」って言うじゃないですか。用が無くなって殺されるよりいいじゃないですか?
金陵鳳凰台
昔、ここ金陵 (南京) の鳳凰台の上には、鳳凰が飛んで来て遊んだと伝えられているが、今では、鳳凰は去り、台だけが空しく残り、台の下の長江 (揚子江) のみが昔ながらに流れている。はるか西南の方向に見える三山は、雲の上にまでそびえ、中腹から下は青空の外へ落ちかかっているように見え、また二水は白鷺洲をはさんで二つの流れとなっている。