高木晴光の 『田舎と都市との ・ 日々こうかい記』

「新田舎づくり」を個人ミッションとし、田舎と都市とを行き来する人生・仕事のこうかい(公開・後悔・航海)日記

スルジェ農園で思ったこと

2010-08-18 08:04:17 | コラム風味
朝、起きたら・・・すぐに昨日のスルジェ農場の風景とご家族の様子が覚醒した頭に浮かびました。

コミュニティカフェ「余市テラス」にお邪魔して、北海道地域社会再生コンソーシアム(内閣府基金)のNPOスタッフスキルアップ・起業セミナー、ねおす担当分第二期生の総括研修(長いですねえ・・)が昨日スタートしました。 研修生は8名。その後、ぶなの森自然学校へ移動し4泊5日の集合研修がスタートしています。

余市で平飼いの養鶏と有機畑作をやっている方がいると噂で聞いていました。その後、余市テラスの伊藤さんから、キッチンスタッフもやっているよと、夏前に紹介されました。彼女の母上は、私がNPO活動を始めた頃のねおすの会員さんでもありました。スルジェ農場は彼女とお連れあいがやっている農場でした。

縁ですね。

私が担当しているセミナーの研修生には、「食や農業」に興味を持っている方が多いので、黒松内へ移動する途中でスルジェ農場を訪問させてもらいました。

「生ジブリの世界だったなあ」 と研修生のひとりが言いました。

それほど大きくない農場ですが、まず空気が違った。生きることに・・温かな懸命さが感じられました。犬も猫も嬉しそうにしてました。

この夏の豪雨で水路が氾濫し、飼い犬が溺れそうになったそうです。当然、トマトやナス、ズッキーニの畑は冠水・・。野菜達はその試練に耐えたもののちょっと元気がなくなってました・・・収量は落ちてしまうとのこと。

「でも、家が流れたわけでないからね」と明るくさらっと、ニコッと言った彼女が、観音様みたいだったなあ。

「有機で畑をすることに何かこだわりがありますか?」との研修生の質問に、農場主は・・
「特にないですが・・・」と言い・・一見・・こわい・・すいません・・
直売方式は、畑作業に集中していると販売がおぼつかなくなりとれたものがさばけない、販売に集中すると販路が開拓できない、後継者がいない、「これからやる人に申し訳ないけど、農業はもうからないよ」日本の農業の矛盾など、この研修の性格を知ってのことか、経営上のことを話してくださいました。

お連れあいの彼女が・・・、
「この人、あまり外向きに話さないので補足しますね・・。山の中や畑で黙々と働く彼のそばにいるとこだわりはあります」
「ここへ来るひと、子ども達が何を採ってもすぐ食べらることの幸せを作っています」というようなことをやさしく話されました。

そうこうしているうちに、小学2年生の娘さんが帰ってきて・・トマトハウスへ行き、大きなトマトを丸かじりしました。そして、「トマト食べませんか?」って 僕達に案内してくれました。

ひとしきり、トマトを食べた僕達・・・キュウリやささぎのお土産までいただきました。

帰り際、親子三人並んで僕達を見送ってくれた時、車の運転席から・・女の子に向かって

「トマト、おいしかったよ!」 と 女の子へ 親指を立てて グットジョブ!

お父さんもお母さんも娘さんも  返してくれた笑顔が ほんとにほんとに素敵でした。

農業って 幸せをわけてくれる職業なんだって それがほんとの農業なんだって、感じたなあ! 僕も嬉しかった・・・

「僕」なんて書いちゃうほどに、私も優しくなれた。

***
息子が「おやじ読め」と置いて行った「国民のための百姓学」宇根豊著の中にあった、

「農業はもうからなければいけないのか?」

という問いかけが、やけに頭にこびりついた朝だ。

農業こそ、NPO経営がいいのかもしれないな・・・・。
コメント
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