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『改めて日本語を考える』その51。毎年一度だけ、年賀状を書く段になると干支のことを思い出す。簡単に言うと十干(じゅっかん、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)と十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)を組み合わせたもので、その順番は『甲子(きのえね)』からスタート、次は『乙丑(きのと)』『丙寅(ひのえとら)』『丁卯(ひのとうさぎ)』と繋がって60通りが終わって一回り、これが還暦である。
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このルールは『木、火、土、金、水』の『き、ひ、つ、か、み』にそれぞれ『兄(え)』『弟(と)』をくみあわせて『きのえ』『きのと』『ひのえ』『ひのと』『つちのえ』『つちのと』『かのえ』『かのと』『みずのえ』『みずのと』と呼ぶ。
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さらにその下に十二支をつけて干支となる。2025年は『乙巳』だから『きのとみ』となるのである。
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十二支は日本では方角も表す。北から『子丑寅卯辰巳・・・』と続いていって30度ずつずれていく。このため、90度ずれると『卯』が東、『午』が南、『酉』が西を表す。
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南北に伸びる線を子午線とよぶのである。では北東はというと『丑寅』(うしとら)の方角というのだが、これを1字で表すと『艮』。良という字の点を取ったような時である。
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(有楽町線辰巳駅)
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(大阪市営地下鉄千日前線北巽駅)
同じように南東は『辰巳』で一字では『巽』、南西は『未申』で一字では『坤』、北東は『戌亥』で一字では『乾』となる。
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例えばここから出た言葉が『乾坤一擲』、意味は『大勝負をすること、一か八か、』などとなる。出自は中国唐代の韓愈という詩人が詠んだ『鴻溝を過ぐ』という詩の中で項羽と劉邦の戦いが休戦となった。そして両軍が東西に分かれた時に劉邦が急にUターンして項羽を攻撃したことを『誰が君主に馬首を回らすを勧めて真に一擲乾坤を賭するをなせる』と詠んだのが始まりと言われている。
色々な地名や戦いの名前などにもよく使われるので覚えておくと役に立つこともある。下の喜撰法師の歌も自らの庵が京都の南東である宇治市にあった、その為私のことを宇治山と呼んでいるという意味がわかるのである。
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(例えば壬申の乱、戊辰戦争、庚午年籍、辛亥革命、甲子園球場など)