前号からの繰越を解決しよう。
まずは訂正。つぼイノリオの「金太の大冒険」の歌詞は「金太、マスカット切る」ではなくて、正しくは「金太、マスカットナイフで切る」でした。痛っ(笑)。ご指摘ありがとう。謹んで訂正させていただきます。
このつぼイ、名古屋を中心に活動していた(今でもしている?)タレントで、オールナイトニッポンのDJもやっていたんだけど、いっこうにメジャーになれなかった。たしかに素(す)のしゃべりは面白くなかったし。むしろ日テレの幼児番組「カリキュラマシーン」でのはしゃぎぶりの方が印象つよい。持ち歌のほとんどが放送禁止では、メジャーになりえようがなかったわけだが。しかしおそらく彼も想像もしていなかったと思うけれど、カラオケという媒体がここまで巨大化し、四十代以上の人間があの密室で「♪吉田松陰 神妙にしろい」などと歌うことで印税がウハウハ入ってくる(だろ?)時代がやってくるとは……放送禁止も、彼にとってはマイナスにだけはたらいたわけじゃなかったんだな。
そしてなぜ放送禁止なのかわけがわからなかった曲について、調べがついたのでご報告。
さだまさし「聖野菜祭(セントベジタブルデイ)」と「朝刊」。あのひたすらぬるい曲のいったいどこに問題が……答は「天気予報」と「交通情報」。曲のなかに効果音として挿入されたそれぞれの音声が、“実際のものと混同するおそれがある”ためなのだそうだ。もっとすごいのはピンクレディーの「SOS」。イントロに2秒間モールス信号でSOS[・・・ - - - ・・・]がシングルに入っており、こいつが問題にされたのだ。だから例のリストでは取り扱いがCランク。その部分を削除すれば放送が可、という扱いだったわけ。
まったくくだらない理由。しかしこれらはまだ被害が想定できるだけ意味がわかりやすい。問題は原由子「I LOVE YOUはひとりごと」のケース。歌詞が卑猥だと断定されてみごとAランクである。こんなオカマのセリフが入っていたことも一因なんだろうが……
“ハァ~じゃないのよゆうこちゃん、やぁねぇアンタも。あたしだってね、必死で生きてんのよ。そこらの女より綺麗でありたいしね。だからと言って、男に同情されて抱かれんのもヤだしねぇ~。でもねぇゆうこちゃん、ホントにアンタとだったら趣味が合いそう趣味が……でも、あっ!なにすんのよゆうこちゃん!あんたってそんな人じゃないでしょ、やめてよ”
他にも疲れた女のエッチなひとりごとが満載なのだが、だからといって要注意あつかいは過剰というものだろう。だいたい、歌っているのはあの原由子だぞ(笑)。実は私はこの曲が入った原のファーストソロ「はらゆうこが語るひととき」を学生時代にちゃんと買っていた。「うさぎの唄」(“うさぎ”は宇崎竜童のこと)「いにしえのトランペッター」などの傑作ぞろい。聴いてね。