十数年前、たまやカブキ・ロックス、Beginなどを輩出した(最高だったのはリトル・クリーチャーズというバンド)『イカす!バンド天国』略して“イカ天”という深夜番組を眺めていたとき、隣で見ていた妻がいきなりのたうち回って笑い始めた。
「どしたの?」
「み、見て(笑)……あのベース」
そこには、サングラスをかけた私がいたのだ。
世の中には、三人のうり二つの人間がいるらしい。あるいは、分身であるドッペルゲンガーと出会うと死んでしまうという言い伝えもある。どうやらその素人ベーシストを見たせいで私が死ぬことはなかったようだが、そっくりさんという存在は自身を映す鏡でもあるわけだから、やはり気にはなる。
結婚前、合コンで知り合った女性から結婚してすぐに出会ったら「去年会ったときは奥田瑛二だったのに、どうして今年会ったときはこぶ平になってるの?」と呆れられた。ま、奥田うんぬんは思い違いとしても、ルックスは日々変わっているんだから、そっくりさんも変遷するのは自然なことじゃないか。
そっくりさんとはちょっと違うけれど、同姓同名の人間にもちょっとしたシンパシーは感じる。近頃「魔界転生」を見た二人の読者から「ホリ・ヒロシって人がスタッフにっ!」とメールが。「バイトしてるの?」とか。
罰当たりな話である。ホリ・ヒロシと言えば、その読者のメルマガによれば…
ホリ・ヒロシ
1958年神奈川県生まれ。人形師・着物・舞台衣装デザイナーとして活躍。91年に東京都民文化栄誉賞を受賞し、海外の様々な演劇祭に参加。98年には映画『源氏物語より 浮舟』で、登場人物全てを人形制作、衣装デザインし評価を得た。
このメ-ルを読んでいる一人と同姓同名のコチラの方が「魔界転生」の衣装を担当されたそうです。平山秀幸監督はじめ主要3人物と並んで紹介されてる取り扱いの大きさ。いや、びっくり。世界的な人形師だそうです。
みんな知らんかったんかい。わたしは同姓同名であるせいで昔から四谷シモンと並んで気になる人形師だったんだけどなあ。でもみなさんも、一度ヤフーあたりで自分の名前を検索してみると面白いんじゃないかな。いますよ同名の人間にはいろいろと変わったヤツが……