事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

ボーン・アルティメイタム The Bourne UltImatum

2007-12-14 | 洋画

Bu 「ボーン・アイデンティティー」「ボーン・スプレマシー」につづくジェイソン・ボーンのシリーズ最終作。原作はロバート・ラドラム。わたしの世代にとっては、80年代の角川文庫における刊行ラッシュでおなじみ。読んだなあ。でも代表作である「暗殺者」(アイデンティティの原作。読んだ人ならおわかりのように、この邦題はちょっと……)はなぜか新潮文庫から出ている。

 ラドラムの原作からは「記憶喪失に陥った男が、自分が邪悪な暗殺者なのではないかという怖れを抱きながら組織(→CIAであることがのちに判明)に反逆する」という基本線をいただいているものの、次第に映画はオリジナルの色彩を濃くしていく。

 それにしてもね、あのジェイソン・ボーンにマット・デイモンをキャスティングしたのには驚いた。印象としては一作目に工作員“教授”として登場するクライヴ・オーウェンのようなクールなタイプこそボーンだと思っていたので。しかし『記憶喪失』であることがすなわち『無垢』であることを象徴する展開を考えると、マット・デイモンははまり役だったかも。

Bu2  このシリーズが凡百のアクション映画と歴然と違っているのは、そのリアリティにある。格闘はあくまで相手を無力化するために行われ(マジで痛そうだ)、見知らぬ街で行われるカーチェイスでは律儀に地図を見ながら(!)ボーンはハンドルを切る。シリーズの白眉は1作目の領事館からの脱出と、2作目のモスクワの追跡劇。今回もタンジールの迷路のような街並みでボーンが暗殺者を追いつめる(と同時に逃げる)緊迫感や、携帯電話をつかって素人をコントロールするウォータールー駅のシーンがすばらしい。

 そう、今回は携帯電話にはこんな使い方があるんだという例がてんこ盛り。しかもそれぞれ説得力がある。ラスト近く、襲撃者を足止めするためにためらいなくエレベーターをストップさせる素早さや、2作目でウォッカ(舞台がロシアですから)で傷を消毒し、同時に目つぶしに使うなどの小細工にゾクゾク。

Bournesub22  こんな小細工こそがスパイ映画の魅力。だからこそ舞台がほとんどヨーロッパである必然に気づかされる。スパイの生息地は、やはり権謀術数うずまく欧州であり、そこへいかにもヤンキー丸出しのデイモンが放り出されているあたりもこのシリーズの魅力なのだ。すばらしい作品。ラストの“彼女”の笑顔を見るかぎり、続篇製作は必至とみた。待ってるぞ!

コメント
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