事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「家族の昭和」 関川夏央著 新潮社

2008-12-24 | 本と雑誌

387604 向田邦子「父の詫び状」、幸田文「流れる」、吉野源三郎「君たちはどう生きるか」鎌田敏夫「金曜日の妻たちへ」「男女七人夏物語」をサンプルに戦前戦後の日本を読み解いた書。向田邦子の愛人の自殺など、初めて知ることが多い。彼女にしても幸田文にしても、実生活と作品のつながりが家族をキーワードに語られている。またしても関川の断定口調が炸裂しております。戦前はけっして暗黒の時代ではなく、戦後の享楽もまた、苦い部分があるのだと。

関川はホントに戦後的なるものを嫌悪してるんだと思う☆☆☆★★★

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「ヒトラーの贋札」Die Fälscher(2007 独=オーストリア)

2008-12-24 | 洋画

監督:シュテファン・ルツォヴィツキー 出演:カール・マルコヴィックス

120464701718516208920_3  特殊技能をもっているが故に、収容所のなかで“優遇”されてしまう微妙な立場の男たち……。第二次大戦中のイギリス外貨準備高の4倍ものポンド紙幣を偽造した、文句なく史上最大の偽札事件がモデルになっている。

「今日銃殺されるぐらいなら、明日ガスで殺された方がいい」とする主人公の苦悩はよくわかる。腕前を誇示したいという欲求もあるだろうし。共産主義者として、この作戦をサボタージュすることこそ重要なんだと主張する男(原作者がモデル)の気持ちもわかる。そしてナチに懐疑的でありながら、作戦遂行に官僚として取り組む所長の気持ちもまた。ついでに戦後にそなえて偽造パスポートまで依頼するあたりが高級官僚としての有能さ(笑)だろうか。

のべつまくなしに銃声や怒声が壁の向こうから聞こえる設定もリアリティがあり、終戦と同時にいっきに静かになるあたりの映画的趣向もすばらしい。戦後、この作戦を成し遂げたことで主人公が刹那的になるのを、モンテカルロのカジノの一夜に集約してみせる。おみごと。

男ばっかりのドラマなのでオープニングとラストはすごくエッチです☆☆☆★★★

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「おれたちの街」 逢坂剛著

2008-12-24 | ミステリ

9784087712384 おなじみ御茶ノ水署シリーズ。血なまぐさい事件はまったく起こらない。ま、主人公のダメダメコンビは生活安全課だからあまり縁はないわけだけど。逢坂のタッチが、熱気とは無縁なのが計算なのか単に疲れているのかわからず考えこむ。キャラがみんな薄いのである。でも逢坂の神保町への偏愛はタイトルだけじゃない。

とりあえず、図書館にあったら読みましょ☆☆☆

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