事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「散歩する侵略者」(2017 松竹=日活)

2017-09-23 | 邦画

タイトルから想像できるように、これは“静かな侵略”というジャンルの作品。そんなジャンル聞いたことがないって?いまわたしが勝手につくったのですから無理はありません。

宇宙戦争」や「インデペンデンス・デイ」に代表される、円盤が飛んできて破壊のかぎりをつくすドンパチなタイプとは対極の、ある日突然、隣人が(あるいは家族が)宇宙人に入れ替わっている恐怖を描く……

ドン・シーゲルの「ボディ・スナッチャー」およびそのリメイクが代表。ちなみに、わたしはフィリップ・カウフマンのバージョンが大好き。ヒロインのブルック・アダムス(名探偵モンクのトニー・シャローブの奥さん)が目玉をクルクルまわすシーンだけでももう一度見たい。

このジャンルはSFというよりも心理劇の色彩が強いので(夫が、妻が、きのうとは別人になっていると想像すれば怖いでしょう?)、画的には地味でも映画の題材として強い。

もっとも、「散歩する侵略者」は、近所の人にきちんとあいさつする普通の女子高生が、(直接は描かれないが)いきなり家族を惨殺するシーンからスタート。現場へ事件記者(長谷川博己)が訪れると、不思議な少年があらわれて……

もうひとつのパートは、夫である松田龍平をやけに邪険にあつかう妻(長澤まさみ)のお話。夫は、まるで新生児のようにすべてを学びたがり、妻をいらだたせる。

ネタバレ覚悟で紹介すれば、松田龍平は妻を裏切って不貞をはたらいていたのであり(死語の連発)、その夫が“生まれ変わった”ことによるラブストーリーでもある。乱暴なくくりですが。長谷川博己が早口でまくしたてるので、ゴジラが出ない「シン・ゴジラにも見えます(あの映画は他の作家に「これやっていいんだ!?」と思わせたようです)。

黒澤明よりも現在では“世界のクロサワ”になった黒沢清作品だけあって、役者はみんな出演したがるのだろう。びっくりさせたいので明かしませんが、ビッグネームがいっぱい登場します。そして彼らの味もあいまって、なんか、いい感じの“変な映画”になっています。「舟を編む」のときに、松田龍平は変な歩き方を発明したなあと思ったら、この作品でも変でした。いつもああなのか!

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「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」(2017 東宝=ホリプロ)

2017-09-22 | 邦画

タイトルが「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」で主演が妻夫木聡。まっとうな50代男性なら、まず見ないタイプの作品。東宝のキラキラ映画(わかるでしょ)の一環だとすればなおさら。

でも振替休日。

シネコンの朝イチ上映の「ダンケルク」にうちのめされ、午後は「エイリアン:コヴェナント」。お昼はどこでラーメンをいただこうかな……でもそれでも時間はあまりまくってる。そこにちょうどうまくはまったのがこの映画。

ポスターでチェックすると、ヒロインが水原希子。なんか、気になる女優なの。脇役もすごい。松尾スズキにリリー・フランキーに新井浩文、そして安藤サクラまでっ!くせ者総出演じゃないか。しかも監督は「モテキ」の、というよりわたしにとっては「湯けむりスナイパー」「まほろ駅前番外地」「リバースエッジ」の大根仁。急にモチベーションがあがる。

並みのキラキラ映画じゃねーぜとばかりに妻夫木と水原希子はキスしまくりセックスしまくり。水原希子の完璧なボディ(いやはやすごいんですよ)と邪悪な美貌をたっぷり拝むことができてお得な作品。そうですともオヤジですわたし。それがなにか?

ただし、「自意識過剰な自分に嫌気がさして、ナチュラルな生き方をしている奥田民生にあこがれるライフスタイル誌の編集者」には妻夫木聡は絶対に見えないのがつらいところ。んもう絶対に見えません。

これは演技力ではなくて、資質の問題なのだと思う。仕事や恋愛の失敗にクヨクヨ悩み、ときに号泣する情けない役柄をやるには、妻夫木はイメージとしてクレバー過ぎる。ホリプロが製作を主導したのだろうから仕方がないとはいえ、これがたとえば役が憑依するタイプの松山ケンイチだったらどうだったろうと夢想しながら見ていました。

映画館はガラガラ。まあ平日に稼働できる作品ではないことをさしひいてもさみしい状態。数字は残酷で、今年公開された東宝作品で最低の入りとか。うーん。

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「ダンケルク」Dankirk (2017 WB)

2017-09-21 | 洋画

戦争映画といっても、決して血湧き肉躍る題材ではない。なにしろ連合軍の撤退作戦を描いているのだから。真珠湾攻撃を描いた「トラ・トラ・トラ!」や、超オールスターキャストを用意してマーケット・ガーデン作戦をネタにした「遠すぎた橋」の興行的惨敗を考えれば、敗戦を描くのはとても勇気が要る。

そこを、クリストファー・ノーランはチカラでねじふせた。三つのストーリーをまず用意し、

・1週間(ダンケルクの海岸で英国兵を船で撤退させる顛末)

・1日(イギリスの民間人がみずからの船で救出に向かうお話)

・1時間(英国空軍のスピットファイアとドイツのメッサーシュミットの空中戦)

という三つの時間をより合わせ、それぞれのクライマックスを微妙に相関させている。

この、まるでアクロバットのような脚本を、CGをほとんど使わず(実際にドッグファイトをやらせている!)、セリフをそぎ落とし(日本語吹替版ってあるのかな)、端役にいたるまでみごとな面構えの役者を起用して傑作に仕立て上げている。

ノーランにしては上映時間も短く、「ダークナイト」のように三本分のアイデアをつめこんだ高カロリー作品ではないけれど、英国人船乗りの誇り高い行動(「わたしたちの世代が始めた戦争で子どもたちが死んでいくのはがまんできない」というマーク・ライランスの矜持に感動)、ドイツ軍に追いつめられ、自分さえ生き残ればいいと卑怯なふるまいをしてしまった少年兵が、故国に帰り、老人から毛布を受け取り「顔も見ないで毛布を渡してくれた」と涙ぐむエピソードなど、しみじみとさせてくれる。

敗軍の兵士たちを英国人は熱狂して迎える。しかし主役である少年の顔は晴れないままだ。このあたりの苦みもまた、しみじみといい。

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コヴェナントのつづき。

2017-09-20 | 洋画

PART1はこちら

エイリアンの特徴は、有能そうな監督の登竜門になっていたこと。

なにしろ1作目がリドリー・スコットで2作目「エイリアン2」があのジェームズ・キャメロン。三作目がなんと「セブン」「ファイト・クラブ」を撮る前のデイヴィッド・フィンチャー、4作目は「アメリ」を撮る前のジャン=ピエール・ジュネである。FOXも無茶するなあ。というより、一作目でリドリー・スコットを起用して大博打に勝った成功体験がそうさせたんですかね。あの化け物はわけのわかんない若僧に撮らせておけと。

でもリドリー・スコットとしてはつらかったようだ。自分の作品なのだから続編も当然自分が監督できると思っていたらしいので。

その不満解消を今回は爆発させてます。おれの一作目よりも評価が一部で高い2作目(わたし、この2作目だけレーザーディスク買いました)レベルならおれでも撮れる!とばかりにヒロインの大活躍をきっちり。フェイスハガーとかチェストバスターといった、1作目を見ないとわけがわからないエイリアンの幼体も復活。

それはすべて、一作目で「これは完全な生物だ」と言われていたことへの返歌。なぜ実は弱っちい生物だったエイリアンが、完全な生物になったかが明らかになる。なるほどねえ。

はるかに遠い惑星に移住する宇宙船での出来事、という前提なので、クルーがみんなカップルになっていることは無理がない。だから誰か死ぬとみんな感情的になる(笑)。

でもシャワー室で抱き合っているときにエイリアンのあの部分を女性の……ってのはあまりにあざとくないですか!ギーガーのコンセプトデザイン自体が、女性器や男性器をイメージしていたとしてもね。さすが、R15。うちの生徒はいないみたいだったのでよかった。

後半はミステリ仕立て。たいがいの人が途中で真相に気づくと思う。わたしも「あ、これは」と思っていたので、どう収拾をつけるつもりかと注視。うまいもんです。マイケル・ファスベンダーの表情が絶妙。それからクレジットされてないけど意外なキャストが!

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オヤジロック三昧 Neil Young - Heart of Gold

2017-09-19 | 音楽

Neil Young - Heart of Gold

きのうは米沢往復。さすがに疲れます。片道160キロ。一日で7時間クルマを運転していたことになる。でも、全然眠くならなかった。

NHK-FMが敬老の日特集として(これがちょっと我ながらつらいんだけど)「オヤジロック三昧」と称して69才以上のロックアーティスト(元気にもほどがある)特集をかましてくれたからだ。おれのためにあるような企画!69才にははるかに遠いけど!

89年のストーンズのスティール・ホイールズ・ツアーのオープニング曲は……

「スタート・ミー・アップ!」

みんな病気になったエアロスミスのなかでいちばん健康なのは……

「ジョー・ペリー!」

(訳詞コーナーの)

「♪おれはハリウッドにも行った」

「レッドウッドにも行った!」(「孤独の旅路」ニール・ヤング)

DJより先に宣言するわたしに助手席の妻と後部座席の娘はあきれている。仕方ないんだよそういう世代なんだから。

でもこの番組に狂喜したのはその理由だけじゃない。

「このDJ、何才ぐらいだと思う?」

わたしにとっておなじみの人だったので。

「え?三十代くらい?」

「おれより年上なんだよ」

そのDJは山本さゆりだったのである。

あ、誰も知らないか。

かつてラジオ関東(死語)でオンエアされていた「全米トップ40」で湯川れい子のアシスタントのような立ち位置だった人だ。チャッピーじゃん。懐かしくて涙が出る。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E3%81%95%E3%82%86%E3%82%8A

今泉恵子の全英トップ20もよろしくね。

初めて知ることも多かった。

○キャロル・キングは、ソングライターになる前はティーンエイジアイドルとして売り出そうとしていた。

○(「ビー・マイ・ベイビーの)ロネッツのヴェロニカはフィル・スペクターと結婚していた(マジで知りませんでした)。

えーとあと何だっけ。こうやって忘れていくのが敬老っぽい。

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「エイリアン:コヴェナント」Alien:Covenant (2017 20世紀FOX)

2017-09-19 | 洋画

オープニングの、ウェイランド社の社主(ガイ・ピアース)とアンドロイド(マイケル・ファスベンダー)のやりとりにすべてがこめられている。

白い部屋。スタインウェイのピアノと絵画があるだけのおそろしく殺風景な場。

アンドロイドの創造主であり、父と自認する社主は“製品”にピアノを弾くことをリクエストする。選んだのはワーグナー「ニーベルングの指輪」の一曲。狂気のルートヴィッヒ2世のリクエストで書かれた曲だ。社主はつぶやく。「オーケストラがいたらな……」創造主は、みずからの作品が地に満ちることを願うという意味がこもったセリフだろう。ここ、テストに出ますよ。重要です。

「お前の名前は?」

アンドロイドはダビデ像を見て「デイヴィッド」(ダビデの英語名)と答える。ダビデはゴリアテを倒し、イスラエルの王となった男。

「デイヴィッド、紅茶を注いでくれ」

アンドロイドは、少しのあいだ逡巡し、しかし社主のためにサーブする。彼はどうやら父親を尊敬していない……

5年前の「プロメテウス」の続編であることはあまり宣伝されていない。あの映画でただひとり生き残った人間、ノオミ・ラパスがその後どうなったかを考えると、あまり強く言えなかったか。

あるいはもっと単純に、芸能界こぞって売り出そうとしていたのに結局は売れなかった剛力彩芽を吹き替えに起用したことがマイナスに作用して(あれはひどかった。わたしはだから今回は絶対に字幕版でなければならんと無理をしました。今度も彼女が声をやってるんですか?)、興行成績がふるわなかったことが背景にあったか。だったらこの作品のように、エイリアンの前日譚なのを最初からバンバンPRすればよかったのに。

いや、「コヴェナント」(神との契約を意味する)は、作品自体が「エイリアン」そのものを継承しているんですよと強く訴えていたのだった。以下次号

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明細書を見ろ!2017年9月号 定年延長。

2017-09-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2017年8月号「印刷室の彼女」はこちら

男性週刊誌、というジャンルがあります。主要なところでは「週刊朝日」「サンデー毎日」などの新聞社系。「週刊ポスト」(小学館)「週刊現代」(講談社)「週刊文春」(文藝春秋)などの出版社系。当初は新聞社系が先行し、のちに出版社系が猛追。

いまは毎週のようにスクープを連発するセンテンス・スプリングが独走し、新潮が追いかけている状態。身におぼえのある人たちは、ドキドキしながら発売日の木曜朝を迎えています。

こんなイケイケのジャンルが成長したのは、昭和30年代に、太宰治、井伏鱒二、松本清張らを育て上げた敏腕編集者、齋藤十一という新潮社の天皇が牽引した週刊新潮が創刊されてから。蓄財とスキャンダルとヌードという、日本の高度成長を支えたサラリーマンたちの欲求に応えたからです。

ところが。

近年の男性週刊誌は、まるでひと頃の健康雑誌みたいになっています。今週号の見出しでも

「誤嚥性肺炎で死なないための対策ガイド」(文春)

「睡眠時無呼吸症候群で寿命が10年縮む」(現代)

「高齢者に警鐘! 認知症抑制薬が寝たきりを招く」(新潮)

……なんだこりゃ。誰でもご想像になれるように、要するに読者が思い切り高齢化しているのでしょう。でなければ河合奈保子(お若い方はご存じない元アイドル)の再ブームなど理解できるはずがありません。そんななか、週刊ポストが思い切りかみついたのは、政府のこの動きに対して。

公務員定年65歳に延長 段階的に 来秋にも法案

政府は、国家公務員と地方公務員の定年を現行の60歳から段階的に65歳まで引き上げる検討に入った。少子高齢化で生産年齢人口の減少が見込まれる中、労働力確保を図る。早ければ来年秋の臨時国会に関連法案を提出する方針だ。

政府は6月、内閣人事局や総務、財務両省などの局長級による関係省庁連絡会議を設置し、定年の引き上げ幅などを議論している。菅義偉官房長官は1日の記者会見で「労働人口を確保しつつ、社会全体の活力を維持するために幅広い検討を進める」と述べた。

最終的に65歳までの定年延長を視野に入れるのは、公務員の年金受給開始が2025年度までに65歳に引き上げられるためだ。定年と受給開始年齢を合わせることで、収入の「空白期間」が生じるのを防ぐ。

ただ、定年延長は総人件費の拡大につながる可能性がある。政府は60歳以降に役職定年制を導入するなど、給与水準を抑制する方策をあわせて探る。(9月1日付 毎日新聞)

……毎週のように公務員たたきを演じ、高齢読者の意見を代弁するかのようなポストはこう断じました。

「現在57歳の国家公務員(ノンキャリア職員)の平均年収は約804万円で、定年延長がなければ2020年に829万円で60歳の定年を迎える。ところが、定年延長で65歳まで勤め上げればその給与水準をほぼ維持したまま、ざっと4000万円ほどの生涯賃金が上積みされる計算になるのだ。」

……“ためにする議論”の典型。そんなわけないだろ。このお話は来月もやります。

画像は「三度目の殺人」(2017 東宝=GAGA)
脚本、監督:是枝裕和
出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず

タイトルどおり、三つの殺人が描かれます。いや、正確には画面上にあらわれるのは一つだけ。しかも犯人が明確なのは(ちょっとネタバレですみません)三つ目の殺人のみという穏やかならざる映画。
スキャンダルで火だるまになっている斉藤由貴が、まさしくそういう役で出てきてあまりの符合にびっくり。天然の邪悪さとでもいうべき魅力が爆発です。不倫がなんだ。週刊誌に負けるな斉藤!

 2017年10月号PART1「定年延長。の延長戦」につづく

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おんな城主直虎 第37回 武田が来たりて火を放つ

2017-09-17 | 大河ドラマ

第36回「井伊家最後の日」はこちら

前回の視聴率は予想よりも回復して12.1%。テレ東は池をさらわなかったけれども、フジが27時間テレビで歴史を特集していたなかでの数字。

さて今回はタイトルが横溝系。あ、すみません。近ごろ低視聴率で有名だった「神の舌を持つ男」をDVDで見続けているので(面白いです)、2サス(2時間サスペンス)用語がつい。

怒濤の勢いで武田が迫ってくるという“大きなお話”に、還俗した直虎、じゃなくておとわの生活が影響を受ける、という“小さなお話”がからむ。尼小僧という一種のコスプレがあったので直虎は戦国の世のジャンヌ・ダルクでいられた。しかし龍雲丸と子どもをつくることをリクエストされる存在はあまりに普通。大河ドラマのヒロインとしてはしんどい。そこに都合良く(笑)武田が襲い来るという次第。

今回はスパイものを志向したようだ。大八車のなかに隠れて潜入するとか、そういえばこの子は最初から怪しかった高瀬が暗殺を武田から指令されるとか。「悪魔が来たりて笛を吹く」というより、ブラピとロバート・レッドフォードの「スパイ・ゲーム」や、ミッション・インポッシブルに味わいは近い。いっそタイトルは「高瀬大作戦」とか「私が愛した直虎」の方がよかった気も。

なぜ駄弁を弄しているかというと、近藤という存在が意外に豪胆だったとか、スパイである高瀬に井伊の家中がみんな優しいという、のちの展開が泣かせるんだろうということを想像させつつ、でもやっぱりつまらなかったから。百姓として亭主に嫉妬する女房と、政次を死に追いやった男の陣中に男武者の姿で潜入するという、柴咲コウがこれまで見せなかった姿のお披露目があってもですよ。

家康の脱糞を描くなら(この人はよくもらします)、もっとギリギリの描写が必要だったはずなのに……

今回の視聴率は、さすがに11%をきる予感が。

第38回「井伊を共に去りぬ」につづく

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「日本橋本石町やさぐれ長屋」宇江佐真理著 講談社

2017-09-16 | 本と雑誌

まるで落語に出てくるような裏長屋における、小さな出来事の数々。現代人ならこの徹底したご近所づきあいに辟易することだろうけれど(わたしは辟易します)、板子一枚下は地獄でもあった、生命保険も生活保護もない江戸では、これは一種の社会保障だったんですよね。住人が飲む安酒がひたすらうまそうだ。

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「三鬼」宮部みゆき著 日本経済新聞社

2017-09-16 | 本と雑誌


心に傷を負った娘のもとへ、不可思議なできごとを客たちが“ただ語る”ためだけに訪れる……三島屋のおちかが、逆カウンセリングのように物語を聴く「三島屋変調百物語」シリーズの「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子(わらし)」につづく最新作。

容れ物として、この百物語という設定が宮部みゆきにとってとても便利なものなのだと知れる。人情噺、武家もの、怪異譚、ホラーとなんでもあり。小説家としてオールラウンドプレイヤーである彼女でなければできない設定でもある。

今回の四篇もとてもレベルが高く、特にタイトル作「三鬼」は絶妙。

ある事情で人を斬った武士が、辺境の地の勤務を命ぜられる。その村は、上(かみ)と下(しも)に分かれており、互いの行き来があまりない。ひとつにまとまった方がなにかと便利であろうに、なぜ分かれているのか。

前任者の不可思議な死に方、謎の“人物”の登場、そして……

息苦しい展開を、しかしここから強引にハッピーエンドにもっていく手腕に脱帽。やっぱり、宮部みゆきはうまい。

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