事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「プリティ・リーグ」A League of Their Own (1992 コロンビア)

2018-12-15 | 洋画


「プリティ・リーグ」大好きな映画なんですよ。結婚して何年かたってから、妻がお出かけ。ひとりでゆっくりとビデオでも見ましょうかと選んだのがこの作品。帰って部屋の戸を開けた妻がいきなり呆れた顔をした。

「ど、どうしたの?」

わたしは号泣していたのである。んもう大感激。ほぼ二十年ぶりに再見して……やっぱり泣いてしまいましたー。

第二次世界大戦のさなか、大リーグのプレイヤーたちも次々に戦地へ。それでは、ということで菓子会社(おそらくはハーシーがモデル)がスポンサーとなって女子野球リーグが結成される。

中年のスカウト(選手たちとの交流を徹底して拒否するあたり、味がある)が目をつけたのは長身のソフトボール選手ドティ(ジーナ・デイビス)。田舎暮らしに飽き飽きしている妹のキット(ロリ・ペティ)も、強引に姉についてくる。この姉妹、姉が捕手で妹が投手という設定がラストで効いてくる。

プロテストが行われ、合格者が貼り出される。ひとり、途方にくれている選手がいる。

「名前がなかったら不合格だ。帰りなさい」

と指示されても彼女は困惑するだけだ。 なにごとか察した他の選手が彼女にかけより、

「あなた、字は読める?」

彼女は涙を流して首をふる。結果的に彼女は合格していて、涙は笑顔に輝く。 こんなエピソードがてんこ盛りにつまっているんですよ。これはもう泣くしかないでしょ。以下次号

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「生か、死か」Life or Death マイケル・ロボサム著 ハヤカワ・ミステリ文庫

2018-12-14 | ミステリ


英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞&アメリカ探偵作家クラブ(エドガー)賞最優秀長篇賞最終候補。肩書きだけでもすごいのに、売り文句が

「大金の行方を知るとされる受刑者は、出所日前日に脱獄を敢行した。一日待てば自由も金もすべて手に入ったはずなのに……。」

これで期待するなという方がどうかしている。で、読み始めて……期待以上でした!冷静な主人公の行動の背景にあるものが次第に明らかになってくる。うまいなあ。もっとも、読み終えて……どうして1日前でなければならなかったのかさっぱり(笑)。ミステリ読みとして失格です。

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うまい店ピンポイント2018年冬 いち

2018-12-13 | 食・レシピ

富重おむすび篇はこちら

久しぶりに三川イオンシネマで映画。「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

妻もわたしも複雑な思い。でもイベントとしての映画は必要不可欠じゃないですか。映画館に行くことは(健康であるかぎり)必須の作業と言ってもいい。

ああ早く隠居して平日の朝から映画館にいるようになりたい。あ、もうすぐか。

そうなるとイオンシネマ近くでおいしいお店がやはり必須になる。いちはいいですよねえ。いつもそこにあり、いつもそこそこすいている。ラーメン屋の理想型。

妻は「いちでいいわよ。こんなに雪降ってるし」失礼なようだが、こんな普通のリクエストに普通に応えてくれるありがたい存在。にしても、土曜日のあのドカ雪はなんだったんだ。わたしは気象オタクなので、平年比3500%という積雪量には大笑いしてしまいましたが。

山形まるぶん篇につづく

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「ベルリンは晴れているか」深野野分著 筑摩書房

2018-12-13 | ミステリ

終戦直後のベルリン。日本のそれとの相似と相違に驚く。

主人公の(あまり魅力的とは言えない)ヒロインが、ある行動をとることがこのミステリのキモ……であることよりも、この1945年のベルリンの描写がすごいんですよ。自分が知らなかったことが彼女のピースによって次々に埋められていく。。

巻末に大量の参考文献が列挙されているけれど、「戦場のコックたち」の作者らしく、その時代、その人物に壮絶に同化できるのだろう。
これは大いなる才能だ。

タイトルはもちろん「パリは燃えているか」をいただいているわけだけど、パリは燃えなかったし、ベルリンは晴れもしなかった。にしても、彼女の作品が筑摩書房から出るのか。

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「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」(2018 WB)

2018-12-12 | 洋画

見終わって、妻と顔を見合わせる。

「なんか、またしちめんどくさい展開になってきたねえ」

「そうね。あたしは一作目のほうが好き」

同意。あの、無邪気なモンハンに終始した「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」は、舞台がアメリカのジャズ・エイジだったことも手伝って、まさしくファンタスティックだった。あれと比べれば、ハリー・ポッターは思えば陰鬱な話だったよなあ。

主役のエディ・レッドメインはあいかわらず好調。誰からも愛され、同時にいらつかせもする茫洋とした感じがなんともいい。アジア市場を意識したか、中国のモンスターと日本のモンスター(KAPPA)が登場し、近年の市場規模の差が影響したか、中国のモンスターの方が大活躍。河童の出番はもっとほしかったなあ。

妻はジョニー・デップにも不満があるようだった。

「あんなにいい男なのに、近ごろはこんな役ばっかり」

この作品の原題は「グリンデルバルドの罪の数々」なので、ジョニデは独裁者にして煽動者であるグリンデルバルドを憎々しげに演じている。

妻はわたしと結婚しているだけに男を見る目は確かなのだが(笑)、ジョニー・デップの作品選択にはわたしも首をかしげる。久しぶりに美男っぷりを見せつける作品が必要ではないだろうか。思えば「パブリック・エネミーズ」はそれしかない映画だけれど、ジョニデの美貌だけで立派に成立していたではないか。

ネタバレになりそうなのでラストは明かせないが、すると次作ではジョニデとジュード・ロウ(アルバス・ダンブルドア)の美男合戦が見られるのかしら。妻はジュード・ロウも大好きなの。なにしろわたしと結婚するくらい(以下同文)。

「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」につづく

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「フーガはユーガ」 伊坂幸太郎著 実業之日本社

2018-12-11 | ミステリ

優我(ゆうが)と風我(ふうが)は双子の兄弟。彼らは誕生日になると2時間ごとに身体が入れ替わる。その能力を使って彼らは不幸な境遇(その多くは父親の虐待によるものだ)を、精神的にも肉体的にもはね返してきた。優我は年上の子持ちの女性と知り合い、いつの間にか彼女にひかれていることに気づく。しかし……

平仄が合わないような気がするのだ。伊坂作品にしてはめずらしく。どんな不幸も軽快な文体と会話で爽快な読後感を残すのが常だったのに、あまりにも登場人物たちに襲いかかる不幸(それは残酷な社会の具現化だが。)が強すぎるような。

伏線がバリバリにはられていて、しかも例によって他作品との連関もあってサービス満点。しかしちょっと哀しすぎる。この哀しさは「重力ピエロ」以来かな。

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みたび「LBJ」

2018-12-10 | 洋画

PART2はこちら

映画は1963年11月22日のダラスに始まる。暗殺の日

遊説に訪れたケネディは市民に熱狂的に迎えられるが、副大統領のジョンソンはほとんど注目もされない。そもそも、彼がなぜ副大統領に起用されたかといえば、“史上最強の院内総務”と呼ばれるほど議会対策に長けていたジョンソンを、副大統領にまつりあげておいた方が安心だというケネディの思惑があったため。

それでも弟のロバート・ケネディは、そりの合わないジョンソンとことごとく衝突する。上流階級に属する見栄えのいいケネディ兄弟と、テキサスの田舎者のジョンソンでは、確かに水と油。しかし、それでもなおケネディの政策を継承しようとジョンソンが決意するあたりがちょっと泣かせるのだ。

たとえ話や笑話ではぐらかすのがお手のもの、というあたりはリンカーンを想起させる。

ピンチに陥ったときがチャンスだとする思い出話。

「親父とクルマに乗っているとき、おれは生意気なクチをきいたんだ。そしたら親父は怒っておれをそこで降ろして帰ってしまった。だから延々と歩かなきゃならなかった。そしたらふるいつきたくなるような女性がクルマに乗せてくれたんだ。で、これがみごとな胸なんだ。家までずーっとおっぱいを眺めてたよ。わかるか、しんどいことがあっても、おっぱいのリターンがあるってこと」

よくわからないけれども(笑)。

親に愛されなかったという思いこみもあってか、彼は他人から愛されないことを極度に恐れる。妻はそんな彼をやさしく包みこむが、心のどこかで彼はいつもおびえている。

そしてベトナム戦争という、ケネディの負の遺産も継承したことで(マクナマラを重用したつけであることもさりげなく描かれる)、彼の不人気は決定的になる。そして……

最後の字幕で、その後の彼が説明され、観客はなぜ彼が再選に向けて立候補しなかったかを悟ることになる。うまい。

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ふたたび「LBJ」

2018-12-09 | 洋画

PART1はこちら

そうかお若い読者はジョンソン大統領って知らないよね。第36代の大統領で、その任期は1963年の11月から始まる。なぜかというと、ダラスでケネディが暗殺されたために、副大統領だった彼が自動的に大統領に就任したから。

この映画は、邦題が示すように人種差別の撤廃のためにケネディがめざした公民権法の成立に彼がどのように取り組んだかが中心。彼はケネディが「始めた」ことを「続けた」のである。これが就任演説の骨子だった。

ジョンソンを演じたのはウディ・ハレルソン。いったいどうしてこのようなキャスティングが実現したのだろう。ウディを政治家役に?

だって彼はタランティーノが脚本を書き、オリバー・ストーンが監督したという、今から考えるとよくわからない「ナチュラル・ボーン・キラーズ」でジュリエット・ルイスと殺人によってアイデンティティを保った若者を演じ、「ラリー・フリント」でPLAYBOYよりもはるかに過激な男性誌「HUSTLER」の経営者を本人よりももっと過激に演じたり、近ごろだって「ゾンビランド」「スリー・ビルボード」「猿の惑星:聖戦記」でファナティックな人物を気持ちよさそうに演じていたのだ。なにしろ父親が殺し屋だったって経歴は最強。

彼の骨格は確かにジョンソンに似ていたこともあったかもしれない。オープニングでジェニファー・ジェイソン・リー(やはりタランティーノの作品「ヘイトフル・エイト」では顔をボコボコにされているので顔がよくわからない)が出ているのクレジットされていたので、さーていつ出てくるのかと思ったら、ほぼ最初から出ていたジョンソン夫人であるあたり、メイクアップの技術は近年なんでもありだ(笑)。

そして監督はロブ・ライナー。「スタンド・バイ・ミー」「シュア・シング」の彼がJFK(ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ)の次の大統領、LBJ(リンドン・ベインズ・ジョンソン)を描くとどうなったか。以下次号

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うまい店ピンポイント2018年冬 富重

2018-12-09 | 食・レシピ

龍横健篇はこちら

三ヶ月に一度、わたしは元同僚たちと富重で例会。最初は高名な「ゆず」だったんだけど、ご存じのような次第であの店なくなったので富重に移動。

魚料理はやっぱりここ。この日もハタハタ中心にいろんなメニューが。

ただ、わたしたちは徹底的にあることにこだわっているので(おそらく)店には迷惑がられている。

それは、岩海苔のおむすびが出てくるか、だ。

飛島のそれはそれは冷たい海岸で穫る岩海苔のことだから、量がなかなか確保できなくて、だからしばらく出てこなかった。

でも今回はいただけました。じーん。単品でオーダーするとものすごい値段らしいのでなおさらうれしい。

カニのだし汁をメレンゲみたいにしたのもたいそうおいしかった。次は3月。岩海苔のおむすび、またいただけるかしら。

「いち三川店」篇につづく

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「LBJ ケネディの意志を継いだ男」(2017 ツイン)

2018-12-08 | 洋画

現在のアメリカは、愚劣な大統領のもとに愚劣で露骨な政治が行われているわけだが、少し前までは、日本の政治家には絶対にかなわない美質があった。

スピーチがうまいのだ。

洗練された(あるいは意図的に洗練されていないふりをした)警句を用いて、スピーチそれ自体で人の心を動かす。他民族国家であるアメリカは、だから過剰にアメリカ的であろうとふるまう。その手段としてスピーチは有効な手段だったのだろう。

この映画においても、ジョンソン大統領はケネディのスピーチライターの残留を強く望み、スタッフ(おおなんとクリス・トーマス・ハウエルじゃないですか)はそのライターを励ます。

「一般教書演説であり、(ケネディの)追悼演説であり、就任演説をあと21時間で書け」

「無理ですよ」

「君ならできる」

「いったいどうやって?」

「いつもどおりの、君のやり方で」

……こういうやりとりにはしびれます。

ジョンソン大統領のお話。わたしがものごころついた時のアメリカ大統領は彼でした。

「国際ニュース」で(これはジャンルという意味ではなくて、夜6時55分から山形放送で……ということは日テレで放映されていた番組)常連のように彼は登場した。ヤン坊マー坊天気予報の次のレギュラーって感じ。そして彼にはいつもこの言葉がつきまとった。

「北爆」

ベトナム戦争が、彼の不人気を決定づけたのだが……うわ、言いたいことはもっとある。以下次号

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