今週末は宝塚記念で、巷間ではディープインパクトがどんな勝ち方をするかが見どころということらしい。今回の宝塚は阪神コースが改装中ということで京都コースで行われますが、京都での宝塚記念というとすぐに思い出すのが'95年のライスシャワーです。このときはダンツシアトルがレコード勝ちしたんですが、レース結果よりも、3コーナー過ぎで故障を発生し落馬競争中止となったライスシャワーに全国の競馬ファンの注目が集まりました。そしてほぼみんなの心配した通りに予後不良となってしまい、小柄な体に驚異的なスタミナを秘めた稀代の競走馬は、リアルシャダイの後継馬としての期待に応える前に突然いなくなってしまいました。馬券のことも忘れて、ただただ残念な思いが残ったレースでした。
そのときのライスシャワーの馬体重が438kg。競馬ファンならたいてい頭に浮かぶと思いますが、ディープインパクトの前回天皇賞時の馬体重が同じく438kgでした。だから春の天皇賞の馬体重が発表されたときすぐにライスシャワーのことを思い出して一瞬不安が脳裏をよぎりました。幸い、杞憂に終わってホッとしましたけど。
「カンカン泣き」という競馬用語があって、負担重量に弱い馬のことですが、カンカン泣きするのはどうしても大型馬よりも小型馬に多い。負担重量の体重に対する割合に由来するのかもしれません。ところが中には大型馬なのにカンカン泣きする馬や小型馬なのに重く背負わされても走ってしまう馬がいます。ライスシャワーやディープインパクトは後者に当たるのでしょう。しかし、いくらカンカン泣きしないからといって、負担重量が重ければ馬体に与える物理的な負担はカンカン泣きする馬と同じなわけで、無理に走ってしまう分、四肢に受けるダメージも大きいでしょうから、負担重量の馬体重に対する割合が小さくなる大型馬のほうが一般的には有利ということになります。亡くなった大川慶次郎さんも競走馬は古馬になったら500kgくらいあったほうがいい、と仰っていました。天皇賞は定量だから58kgの負担重量で出走しますが、馬体重500kgの馬だと、体重の11.6%なのに対し、ディープインパクトは13.24%となって、かなりの負担差があったように思います。
「肉屋じゃないんだから馬の体重なんて気にすることはないんだよ」とフランスのホースメンは言った、といった内容のことを、亡くなった野平祐二さんが書いておられました。確かにそうかもしれませんが、予想するデータの豊富な日本式の競馬のほうが馴染みやすく感じます。凱旋門賞では馬体重の計量はないでしょうが、今後のディープインパクトはやはり大川慶次郎さんの言うとおり、もうちょっと体重が増したほうが安心感が出るような気がします。21年前の無敗の三冠馬シンボリルドルフも馬体重は470kgから490kgくらいで出走していました。無事是名馬とかつての名物馬主菊池寛は言いましたが、ディープインパクトは引退まで無事に走ってほしいものです。
馬券は2,3着を薄めに狙った三連単で勝負しようかなと思いますが、何よりもディープインパクトが無事に1着でゴールインするのが先決です。もう有馬記念の二の舞はなしでお願いしたい。ということで、ディープを信じてその上で穴馬はどれかもう少し考えます。