新国立劇場小劇場で井上ひさし脚本のこまつ座公演「どうぶつ会議」を観た。戦争と公害は子供たちを不幸にするという直球のテーマを堂々と演じる快作である。
井上ひさしの寛容なヒューマニズムが目の前で微笑んでいるかのようで、その温かさに自然と涙が溢れてくる。元気一杯の芝居は演奏者と演技者が融合する見事な演出で、壮大なテーマをリズムに乗って楽しく観劇できる。観客全員と歌う「どうぶつ憲章の歌」は大変に盛り上がり、私も精一杯歌わせてもらった。
暗愚の宰相が保身のために仮想敵を作るキナ臭い世相が濃厚な今の世に、心が洗われるかのような清涼な芝居を観ることができて、本当に幸せな時間であった。