映画「地獄の花園」を観た。
バカリズムは、フリップを何枚もめくりながら「トツギーノ」とやっているときが一番面白かった気がする。トツギーノをやめてから以降の話芸も基本は同じで、物事に独特なところから光を当てて笑いを取る。これはバカリズムの世界観に由来するもので、他の人では同じレベルで真似をするのは難しいと思う。
本作品の脚本も同様の方法で作られている。既存の少年漫画の番長モノそのものの展開をOLにやらせるところがバカリズムの独創的な着想である。OLだから抗争も昼休みとお茶の時間と退勤後に限られているのも愉快だ。いわゆる普通のOLである主人公田中直子を演じた永野芽郁のモノローグが殊の外面白かった。特に声がいい。朝倉あきや奈緒の系統の声で、聞いているだけで癒やされる。
予告編でそれぞれの番長たちのあらかたの情報は出ているが、眉のない小池栄子は怖いというより、眉がなくても綺麗だった。この人の胸や脚を強調した衣装を期待したが、意外にカッチリとした衣装だった。それでも悪くはなかったのだが。
森崎ウィンが演じた二枚目社員の伏線を回収したところでエンディングとなるが、これがオチみたいに思われ、そう言えば本作品は長い漫才みたいな作品だなと、改めてバカリズムの才能に納得したのである。